いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

グラウンドの空

■第3回モニター「グラウンドの空」あさのあつこ

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

あさひ さん (30代女性 会社員)
 音が聞こえ、景色が浮かぶ。冒頭から沸き起こる情景に引き込まれ、スルリと物語に入り込んでしまいました。
 あさの先生の細かい文章の描写はいつも私を引きこんでしまう。
 少年たちの情熱、素直さ、歯痒さ…どれもがジンと伝わってきて同じように感じ取ってしまい続きが気になって一気に読み進めてしまいました。
 切り替わる視点に人物の過去が語られる。それぞれの現在(いま)に影響を及ぼした過去。思うようには行かない現実。だが、未来は自由であり未知であると結びつけられていく。
 そして最後に瑞希が見上げた空に未来が重なってなんとも言えない満たされた読了感。
 それと同時にグランド上に広がる紺碧の空を思い描いた時、再び冒頭に戻って読み直したくなったのはきっと私だけではないと思います。
 諦めるのはまだ早い、明日は未知なのだからと読み手を勇気づけてくれる作品でした。
 あさの先生の作品はいつもいろんな感情が含まれていて、読んでいると刺激を与えてくれます。中でも家族の繋がりや暖かい思いやりに心が暖まります。
qwertys さん (10代男性 学生)
 とても気持ち良く読み終えることのできる作品でした。
 社会情勢や周囲の環境などの自分ではどうしようもない状況に翻弄され、時には挫折しそうになりながらも、自分の夢のために決して諦めない中学生の葛藤や純真さがとても細やかに表現されていると感じました。
 中学生同士のみならず、家族や地域社会の「絆」についても一考させられる作品だったと思います。人が挫折しそうになったとき、いかに周囲の人が頼りになるかを再度教わった気がします。
 この作品には対人関係の重要性や家族の大切さも語りかけてくれる作品だと思います。この本は子供はもちろんのこと、大人もよく読んでみて、多くのことに思いを馳せてほしい作品であったと思います。
 瑞希の母親、和江が一番好きです。何も見ていないようでしっかり息子を見て、何も知らないようで息子のすべてを知っている、瑞希を一番近くで心配し、支えている和江の人柄にはとても惹かれました。
 透哉の過去の場面はとても印象深かったです。自分の好きなことをしているだけなのに周囲の反感を知らぬ間に買うような状況は意外と身の回りに多く存在すると思います。ここには人間のエゴや妬む者と妬まれる者の両方の葛藤が丁寧に描き出されていてとても印象的でした。
 今回の作品も人物の内面がとてもわかりやすく描かれていて、とても楽しく読まさせていただきました。次回作もとても期待しています。
あこ さん (40代女性 自営業)
 うまいなあ。あさのさんて、なんてうまいんだろう。野球に縁のないおばさん心が、14歳の少年になって、ドキドキドキドキ……。
 名作「バッテリー」も兄弟愛がキュンと迫ってきたが、本作品も抜群だった。地元のキャッチャー・瑞希が、都会から来た女の子みたいな透哉の才能を見抜き野球に誘う。そのまっすぐさ、清々しさ! そしてクライマックス、思わず目頭が熱くなってしまった。
わかば さん (10代女性 学生)
 あさのあつこさんは日本一の野球小説家!
 登校拒否のピッチャー作楽透哉と相方不在のキャッチャー山城瑞希。普通の野球小説や漫画とは違い、「熱血」な話ではありません。でも、この思いあぐねる感じ、誰もが中学生や高校生の時に味わったものだと思います。
 もどかしい、苦しい、辛い。でもきっと道は見い出せる。
 そんな祈りに近い思いを抱きながら、あの頃の自分と重ねて読みました。『バッテリー』とはまた違った、リアルな青春小説でした。
 作楽透哉が一番好きな登場人物です。
 大人からみたら、イマドキなめんどくさい繊細な少年なのかもしれません。でも、私はすごく、リアリティーのある人物だと思います。ひがみとか嫉妬とか、初めての敵意を浴びた人間の複雑でめちゃくちゃでぐちゃぐちゃな心理が、まさにこんな感じだと思いました。
 「野球小説<青春小説」な感じでしたが、中学生の心理描写がぎくっとするほどリアルで、この辺はやはり「あさのあつこ」ってすごいなあと思いました。これからも素敵な野球小説を書いてください。
asmx さん (30代女性 専門職)
 初めての「あさの作品」。確かに噂に違わない「ザ・青春小説」。読後も爽快だし、野球というスポーツに何の感慨もなくても楽しんで読める作品には間違いがないのだけれど。
 しかしながら、リアリティが全く感じられないまま終わったのは非常に残念。「あれ?中学生男子ってこんなんだっけ?」という気持ちがどうしてもぬぐえないまま予定調和のストーリーだけが進んでいく。どちらかというと女性の好むBL小説のようだ(キャラの設定含め)、というのが偽りのない正直な感想でした。
 瑞希と良治の関係性、作楽が野球を辞めた理由もろもろ含めて、「えっと、そういうものでしたっけ?」と思ってしまったのです、ごめんなさい。
 対象年齢がもしかして、私にはあわなかったということでしょうか。もしかして中学生とかが読むとすごく楽しめる小説なのかもしれません。
 好きな登場人物は和江。一番リアリティのある登場人物ゆえ。
 好きなシーンは、祖母から和江が「観音様のような顔だ」と言われるくだり。彼女の人となりが一番表れているエピソードに思わず涙。本書の中で唯一泣いてしまったところ。
まちこ さん (30代女性 専門職)
 初めての「あさの作品」。確かに噂に違わない「ザ・青春小説」。読後も爽快だし、野球というスポーツに何の感慨もなくても楽しんで読める作品には間違いがないのだけれど。
 しかしながら、リアリティが全く感じられないまま終わったのは非常に残念。「あれ?中学生男子ってこんなんだっけ?」という気持ちがどうしてもぬぐえないまま予定調和のストーリーだけが進んでいく。どちらかというと女性の好むBL小説のようだ(キャラの設定含め)、というのが偽りのない正直な感想でした。
 瑞希と良治の関係性、作楽が野球を辞めた理由もろもろ含めて、「えっと、そういうものでしたっけ?」と思ってしまったのです、ごめんなさい。
 対象年齢がもしかして、私にはあわなかったということでしょうか。もしかして中学生とかが読むとすごく楽しめる小説なのかもしれません。
 好きな登場人物は和江。一番リアリティのある登場人物ゆえ。
 好きなシーンは、祖母から和江が「観音様のような顔だ」と言われるくだり。彼女の人となりが一番表れているエピソードに思わず涙。本書の中で唯一泣いてしまったところ。
道方信明 さん (40代男性 会社員)
 「小さな薔薇のような贈り物」。それは登場人物の球児たちにとって、たった一つの軟球で結ばれる友情と、その輪によって生み出される夢や希望だったのでしょう。「グラウンドの空」を読み終えて、少年たちの野球に対する純粋な気持ち、心の交流のひたむきさに、とても胸を打たれました。この作品が、よくあるお気楽なスポ根小説と違うところは、登場人物ひとりひとりが何かしら不安を抱えています。金と雇用が落ちる産業がほとんどない地方の町で、少年たちも決して不況という暗い深い霧に無関係ではない。将来を憂い、旧社会の因習に縛られ、澱んだ不快感を持つことを余儀なくされ、家族関係にもねじれが生じます。でも紺碧の空を突き抜ける白いボールが、そんな逆境を切り裂く、打開を求める強い意志であり、仲間を大切にして同じ方向の目標に歩みを進めば、きっと必ず黒い壁を崩すことができるのだと、教えてもらえたような気が致しました。透哉が、新しい生活で友情の糸口を見つけて、少しずつ回復していくプロセスがとても清々しく、うちひしがれて倒れても、また起きあがれるのだ。失敗してもきっと立ち直れるのだと感じました。心の病が問題になっている現代で、苦しんでいる繊細な人々にリセットの手がかりを、生きる勇気を与えられる、あたたかい作品だと思いました。
 とても素敵だと思ったのは、瑞希の母、和江です。丸くコロコロしていて鷹揚な性格ですが、子供のわずかな心の変化を見逃さない鋭さが頼もしいです。ぎりぎりの収入で一家の生活をやりくりしているのに、決して不安を愚痴ったり、いたずらに社会を嘆いたりしないところがかっこいいと思いました。家族との接し方、距離感、生き方のひとつの見本として、和江は魅力的なのではと思います。女優で劇作家の渡辺えりさんがふと頭に浮かびました。ドラマ化がなされたら和江の役は、渡辺さんがぴったりなのではと思ってしまいました。
 瑞希と良治が透哉に会いに作楽家を訪問する場面が好きです。クロが飛びかかって瑞希がけがをして、心の優しい透哉が傷の手当てのために家に招き入れる。三人の個性を過不足無く、ユーモアたっぷり豊かに描いた感動的なシーンです。この作品にとってクロとシロはとても重要な役を演じています。うまく心が通えない人同士の間に存在して、潤滑油のようにまとわりつく犬二匹。それらを優しい眼差しを差し向ける人間たち。とても滑らかで艶っぽいと思いました。この作品にはいわゆる「マドンナ」はいませんが、クロとシロがその役割を与えられているのかなと思いました。
鈴音 さん (20代女性 学生)
 瑞希、透哉、良治はそれぞれに家のことや将来のこと、自分の今の状況やしがらみに、どろどろと暗い雰囲気があるのですが、野球を始めた瞬間、世界がキラキラと輝き始めます。表現方法は違えど、みんな野球が好きなのだと感じました。
 また、自分の思いを上手く言葉で表現できずもやもやとする気持ちにはとても共感しました。ですが、本当に伝えたいことや強い思いは、表情やまとう空気からきちんと伝わるのだと思いました。
 みんな初めは野球が好きだっただけなのに、嫉妬や羨望からお互いを傷つけてしまうのは悲しいことだと思いました。それでも、捨てきれない野球の魅力が詰まっていました。
 好きな場面は、初めて透哉と瑞希がマウンドでキャッチボールをするシーン。透哉が始めの一球を投げるまで、良治の軽口やじれったさでイライラしていたのに、最初の一球で空気が変わり、球数を重ねることで、球に重みが増してゆき、全力投球では、一瞬世界の全てが止まり、重たい感触が感じられました。
 暗くどろどろとした空気から、キラキラと輝く空気に変わるのが好きです。
みいさく さん (20代女性 学生)
 女子高育ちの私にとっては、甲子園は『未知の世界』だけれども。瑞希が甲子園で感じた興奮には身に覚えがある。
 2年前、私の地元校が開校以来初の甲子園出場を果たした。残念ながら甲子園球場へと応援に駆けつけることは叶わなく、また2回戦敗退という結果ではあったけれども。予選時から、試合の流れに一喜一憂し、パソコンやテレビの画面から離れられなくなることが多々あった。そんな日々を懐かしく思い出しながら、どんどんページをめくっていった。
 画面越しでさえ、その興奮を味わえるのだから、生で味わった瑞希が、その後野球への情熱を持ち続けるのは、ある意味必然だったのかもしれないと、読みながら思った。
 しかし、本当に大事なことは、情熱をただ持ち続けることではない。そのために、努力することだろう。
 好きなのは、透哉と瑞希のキャッチボールのシーン。お互いに、悩みは色々とつきないかもしれない。それでも、野球がやれる幸せを感じているシーンに、胸が熱くなった。
カラフル さん (40代女性 その他)
 随所に今という時代(親のリストラ、夜逃げ)を感じました。
 好きな登場人物は良治。斜に構えながらも、自分自身のことをよく把握しており、そして「諦めるのが癖になるのは嫌だ」と思っているから。同じ年頃の子供を持つ身として、わが子にもそう思ってあがいてもらいたいから。
 好きなシーンは、作楽のおばあさんが透哉のために、良治に頭を下げに行った場面。傲岸不遜だった彼女だが、孫のために行動することで少しずつ変わっていき、何歳になっても人間は変われるんだなと感じたから。
 あさのあつこさん、バッテリー以来のファンです。新作が読めるのは幸せです。
Luna さん (10代女性 学生)
 少年たちの一見冷静な表情の内に潜む、野球への熱い情熱に胸を打たれました。野球は一人ではできない。誰か一人でも欠けたら、決して成り立たない。だからこそ、ともに汗を流す仲間の存在が必要不可欠で、かけがえのないものなんだ。野球という一本の糸を通じて結ばれていく少年たちの縁に、尊さを感じました。
 作楽透哉くんが好きです。透哉という名前の通り、透き通ったクールな印象を感じさせる少年ですが、その内には野球への熱い思いがあり、良い意味で二面性を持った子なんだと思います。野球を通して新たな仲間に出会い、信頼することへの恐怖を乗り越えていくその姿は、すばらしいと思いました。
 瑞希が、透哉の部屋の前で、「ドアとは開いて誰かを招き入れるものなのか、閉めて誰をも拒否するものなのか―」と考えている場面が、心に残りました。瑞希はただ、「透哉と一緒に野球をしたい」という純粋な気持ちを伝えたいだけなのに、いろいろな気持ちがわき出てきてなかなかうまく伝えることができない。そして閉じたドアの向こう側にいる透哉もまた、瑞希を信じて大事な野球を再び取り戻したいのに、信頼することが怖くてその一歩が踏み出せない…。二人の心の葛藤が読んでいるこちらにも伝わってきて、切なくなってしまう場面でした。
kotobuki さん (20代女性 主婦)
 少し、雰囲気的に「バッテリー」に似てるなと思って読みました。ピッチャーの性格が「バッテリー」とは正反対というところがおもしろいと思います。
 読み終わった後、もう一度冒頭部を読み返してみて、いつのまにかみんながお互いを、呼び捨てで呼んでいることに気づきました。
 たぶんここまでいく間に、いろんな流れもあったと思います。
 大人が読んでもおもしろく、子どもに読ませても教育的にもとても良いものだと思います。
 瑞希の母親がとても好きです。丸くて大きくて満月のようなのに、性格がすばらしい。中学生の男の子が母親のことを「嫌いではない」といえる母親と言うのはすごいと思います。私もこんな母親になりたいと思いました。話の中にたくさん出てくるいろんな母親像も、物語のいい流れに沿っていると思います。
桔梗 さん (40代女性 専門職)
 間違えることってのは誰にでもある。ずっと後になってから間違いに気がついて後悔することもある。それは子どもでも、年齢を重ねた人でも同じだ。―もう、取り返しがつかない…自分の愚かさに嫌気がさす。そして心を閉ざす。
 でも、終わりなんかじゃない。取り返せるかどうかは自分次第。目の前で扉が閉じられても、また開けることはできるんだ。
 信じて扉を開けてみよう。そう思える話。
 あさのあつこさんは、児童文学という枠を超えて、大人も子供も一緒に読んで楽しめる本を書ける貴重な作家さんだと思ってます。我が家には小学生と中学生の子供がいますが、あさのさんの著作は親子で楽しんでいます。
 親子で、こうしていろんな思いや経験を共有できるのはとても嬉しいことです。これからも素敵な作品を期待してます。
パピコ さん (20代女性 会社員)
 最初は少し戸惑いながら読んでいた。『バッテリー』と比べていた部分があったのかもしれない。だが、野球の光と影を、球を投げ受けとめる存在を、少年達と周りの大人達登場人物の内面を丁寧に紡いだあさの作品の新しい野球物語は静かに、じりじりと、胸を熱くさせる。甲子園がはじまるこれからの夏にぴったりな本だと思う。
 中性的な透哉が一番気になる存在だが、ちゃかしキャラの田上良治が作中で一番好きだ。まっすぐな性格(?)のバッテリーを引き立てる隠し味的存在だと思う。隠し味は周りの大人達さえも混ぜて中和してしまう。まぁ損な部分もあるけれど、バッテリーをそっと見守り、ちゃちゃを入れるやさしい奴だと思った。
 「負けたくない。そう思う。負けたくない。運命とか現実とか得体の知れないものたちにも、野球の勝負にも負けたくない。「しょうがない」と諦めたくない。自分を自分でいなしたくはないのだ。」この瑞希の強い思いを手帳に残したい言葉としてメモしました。得体の知らないものに囲まれ動かされていくなかで負けるもんかと決意するまっすぐさに惹かれました。
 あたりまえと思う裏の部分に考えさせられ、あらためて感謝したくなりました。あさのさんの作品は思いが重い。読む時期と読む前の覚悟が必須だけど、読了は心地よく、しびれる重さに惚れています。「「しょうがない」と諦めたくない」。へこたれそうになったとき、この言葉を思い出して踏ん張り、一歩前へ進めそうです。これからもたのしみながら作品を読ませていただきます。あさのさんの作品が、大好きです。
キクゾー さん (30代男性 会社員)
 最初から最後までとても読みやすい本でした。最初は野球の青春小説かと思っていましたがそうでもなく、テーマは『ひきこもり』というところでしょうか?もう少し野球の内容があればと思いました。
 一番好きな登場人物は山城瑞希。やはり不器用ながらまっすぐな性格が好き。
むつぞー さん (40代女性 自営業)
 あさのあつこさんによる少年野球ものということでかなり期待してました。「グラウンドの空」というタイトルも期待をあおります。
 ただ残念ながら期待してた野球のシーンが少ないように思います。
 瑞希の甲子園に魅せられる心情、ピッチャーがいない、ミットが欲しいという中で出会った瑞希と出会った気持ち、兄から送ってもらったミットでボールを捕る楽しさ…。
 ひょうひょうとしたように見えるけど繊細さを持つ良治、上手く人とつきあえなかった瑞希、そしてその祖母の心情。
 明るい気持だけでなく、諦めや後悔といった一つ一つの気持が大変よく伝わってくる分、その閉塞感というものも伝わってきます。
 それに負けないくらいのもっと爽快なグラウンドの空を、その下で伸びやかに野球をする瑞希たちの姿を見たかったと思ってしまったのです。
 ずっと野球がやりたかった…その思いが伝わるからこそかもしれません。彼らのこの後を、野球している姿をもっともっと読みたいですね。
 一番好きな登場人物は瑞希です。
 その理由は物事をプラスの視点から見ることができるからでしょう。
 冒頭で良治がサクランボを飛ばしてもなにもならないと言われたことに対し、彼の妹は喜んだだろうと指摘したように。彼がキャッチャーに択ばれたのは、この性質によるものなんでしょう。
 きっとピンチのシーンでもプラスの点を探せるいいキャッチャーになるのだろうと思えます。
masa さん (20代男性 会社員)
 自分があまり触れることのない題材の物語でしたので、とても新鮮な気持ちで向きあうことが出来ました。登場する人物が持つ期待や葛藤が良く描かれており、頭の中にその光景が浮かぶような文章も相まって、時間も忘れて読みふけってしまいました。
 好きな登場人物は作楽透哉ですね。重い過去を背負い逃げるように祖母の住む町に来た彼が、その原因の一つでもあった野球を通じて、瑞希たちに心を開いていく姿がとても印象的でした。登場人物がすごく生き生きとしていて、自分がその場にいるような錯覚を覚える箇所がたくさんありました。そんな作品に出会えて本当に感謝です。
有隣リンコ さん (40代女性 会社員)
 面白かったです。野球の根性ストーリーかと思っていましたが、いろいろな人の心の動きとか、生きていくうえでぶつかる問題とか、うまく織り込まれていて、本当にあさのあつこさんは上手だなあと思いました。野球が大好きで、真面目で練習熱心でも、やっかまれることって・・あるのが、人間なんですね。いまさらながら、人間のもつ嫉妬心って、いやだなあと思いました。織り込まれているばあちゃんの話も、大人の私には、なんだかせつなかったです。家族と友情と野球と田舎町の人々の話。最後のお豆腐と油揚げの差し入れもなんだかジーンときました。いいお話です!
 好きな登場人物は良冶くん。なんだか、ふざけているようだけれども、いつも人と人との距離をきちんと見ていて、それでいてばあちゃんとかにも気を使って、本当にいいやつだなあと思いました。いろいろな人と人とのつながりがこんな素敵な関係をつくるのだなあと。読んでいて、弟とか、息子とかいるわけではないのですが、良冶くんみたいに、やんちゃで大飯くらいで、愛嬌があって、でもちゃあんと回りのこと考えている子って、本当にかわいいなあと思います。
 好きなシーンは、瑞希が、達哉に「甲子園に行こう!」と熱く語った後に、良冶が「おまえ押し付けがましくない?」「他人の夢を押し付けられても困るだろ。」と諭す場面。人にも、野球にも絶妙な距離感で生きている良冶の一言に、自分の人生の中でも、形をかえてそんな場面があったのではないかと思い、反省しました(人に夢を押し付けすぎる)。
さけちゃん さん (10代女性 学生)
 『グラウンドの空』を読み終え、自分も同じ経験をしたと共感できました。この本では、自分が中学、高校で経験した二方向からの悩みが鮮明に書かれていました。中学で一緒に汗を流しながら頑張っていた友人とレギュラー争いをし、負けて友人をねたんでしまった事。高校では反対に先輩や同級生に妬まれ、話もしてもらえない孤独な状態。そういった感情がこの本を読んで思い出されました。この本では誰もが経験するであろうことが書かれています。これは人と深く関わって行くには、仕方がない事かもしれません。だから、私はこの本を小学生から大人の方まで読んでいただきたいと思っています。
茨木月季 さん (40代女性 主婦)
 スポーツを通じて、喜びを感じられることは素晴らしいと思いました。また努力だけではどうにもならないことが多いという世の中の事を知った上で、ただ仕方がないと安易に諦めることに慣れたくないというまっすぐな心に惹かれました。
 ただ、主人公たちが生活する街が遠くて、同じ日本に住みながら異国のように感じてしまいました。生活舞台に過疎化による地方を選んだのなら、自然の豊かさの他に、その窮状に対する問題提起のようなものもちょっとだけ入れて頂くと、同じ日本に住むような気がしたのかも…。
 好きな登場人物は良治。軽く振舞っているのに、情に厚く、人を思いやる心と、すんなり他人の中に入っていくすべを持っているところなどが理由です。
nyanco さん (50代女性 自営業)
 瑞希と透哉は、偶然にも、甲子園で「野球」に出逢い、「野球」を愛し始める。
 純粋にただ野球をしたいだけなのに、野球が出来ずにいた二人が出会う。
 最初は食い違っていた二人の想いが徐々に、寄り添っていく過程がとても素敵でした。中学生の3人のキャラもとても良いのですが、周囲の人たちの人物描写も流石、あさのさん、とても巧いです。
 頑固な作楽のババアだが、孫を思う気持ちをお金という形でしか、表現できない不器用さが切ない。明るさが取り柄の母、その母が俯く理由、この先、瑞希は、彼の家族はどうなるのだろうか…。
りあ さん (20代女性 学生)
 女子高育ちの私にとっては、甲子園は『未知の世界』だけれども。瑞希が甲子園で感じた興奮には身に覚えがある。
 2年前、私の地元校が開校以来初の甲子園出場を果たした。残念ながら甲子園球場へと応援に駆けつけることは叶わなく、また2回戦敗退という結果ではあったけれども。予選時から、試合の流れに一喜一憂し、パソコンやテレビの画面から離れられなくなることが多々あった。そんな日々を懐かしく思い出しながら、どんどんページをめくっていった。
 画面越しでさえ、その興奮を味わえるのだから、生で味わった瑞希が、その後野球への情熱を持ち続けるのは、ある意味必然だったのかもしれないと、読みながら思った。
 しかし、本当に大事なことは、情熱をただ持ち続けることではない。そのために、努力することだろう。
 好きなのは、透哉と瑞希のキャッチボールのシーン。お互いに、悩みは色々とつきないかもしれない。それでも、野球がやれる幸せを感じているシーンに、胸が熱くなった。
さん (20代女性 学生)
 「おまえはもっと堂々と笑ってええんやぞ。」
 誰だって、悩んだり、相手のことが分からなかったり、上手く伝えることができなかったり、空気を読みすぎてしまったり…皆、不器用に生活してるんだと思います。
 そんな中でもがむしゃらに、自分の気持ちを正直に伝えること、表すことで、しっかりと届く思いがあるんだと、なんだか励まされた一冊でした。
  好きな登場人物は良治。一見、お調子者のように見せかけて、瑞希も透哉も、さらには美紗代にも、そっと懐に入り込んでくる優しさを持った少年なんだと思います。人の機微に敏感だからこそ、周囲の空気を読んで、明るい自分を演出することのできる、出来た子なんだろうなあと感心してしまいました。
みじん子 さん (20代女性 主婦)
 あさのあつこさんの本を読むのは初めてでしたが読みやすかったです。
 内容をみたときは登校拒否の少年とか今時題材やな〜とおもったけど。。。読んでいくとそれはそれはサラッとかかれてました。野球ものでもっと暑苦しいのかと思いましたがかなりクールな印象でした。
 好きなセリフは以下の2つ。どちらも今を生きている感じがすきです。
 
 「明日は未知。誰も予想なんてできない。何が起こるか、わからないんだ。」
 「あほ。おれ、まだ十四やぞ。本気で諦められるほどオヤジやないわい。」