いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

お台場アイランドベイビー

■第5回モニター「お台場アイランドベイビー」伊与原 新

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

コジョピー さん (20代男性 会社員)
 面白い! まずはその一言から始めたい。これは本当に新人作家の書いた小説なのか。
驚愕の完成度の高さといわざるをえない。
それもそのはずで、この著者、江戸川乱歩賞の最終選考に二度続けて残っているという。
登場人物の描き方にも目を見張るものがあった。
全ての登場人物はしっかりと血の通った描き方がされていて、物語の進行にも無理がない。
特に刮目したいのが、丈太をはじめとした子供たちの描写。これほど楽しい子供たちと小説世界で出会ったのは本当に久しぶりだ。
そんな登場人物たちと完成度の高いストリーテリングでお送りする、サスペンスフルな冒険ミステリ。
これはもう読んで体感してもらうしかない。
t2t2 さん (30代女性 会社員)
 各登場人物の人間性、彼らの会話、謎が明かされるまでのストーリー展開、どれをとっても、秀逸で、素晴らしく面白い。特に大好きなのは、主人公の名前、関西弁、くせのある登場人物たち。私を最初から最後まで惹き込んで離さなかった。(おかげで寝不足)
 最後は、「大切な存在を守り抜いた」主人公への称賛で、涙が止まらなかった。
 また、人は本当の意味で決して「孤独」にはなりえない。
 この本は読み終えた後も、温かく心地よい空気で包んでくれる。もはや読む価値があるというレベルではない。MUST BUY である!
 一番好きな登場人物は巽丑寅。大切な存在を守り抜く事、それよりカッコいいことなんて思いつかない。
ちかこ さん (30代女性 主婦)
 現実か非現実か・・・明日にはその境が違うかもしれない、とドキドキしながら一気に読み進めました。
 巽のヤクザと渡り合う肝の据わった態度、みどりのだんだん真実に近づいていく捜査、そして、互いに一目置いている巽とみどりの関係、どれも作品を読む中でおもしろいキーポイントになっていました。
fucchan さん (40代女性 主婦)
 非常に謎めいたプロローグから始まり、謎が謎を呼び、トンネルの中からなかなか抜け出せないような展開でした。最後はあっと驚く結末でしたが、プロローグの謎が解けてすっきりしました。この小説は仕事に追われて疲れている40代の男性にぜひ読んでもらい、男のロマンを堪能してほしいです。また和達教授は地震学の権威というべきか非常に博学で、著者がヒッチコック監督のように自分の作品に入り込んだかのように思いました。
好きな登場人物は鴻池みどり。非常に強い正義感と、仕事に対する責任感に同じ女性として尊敬を覚えました。男に囲まれた警察という保守的な世界で、孤軍奮闘している姿はかっこいいです。
また、「頼りにしてるで、係長」という巽のセリフが印象的でした。巽とみどりが上司と部下という立場ではなく、同志として強い絆で結ばれていることの象徴のように感じました。
アーミー さん (40代女性)
 この小説の続編、期待します。無国籍で孤児となった丈治が、成長してどんな青年になるのか。とっても楽しみですから。ハードボイルドの新ヒーローになるかもしれませんね。彼を不憫におもい、お台場にできたストリートチルドレンの国へ助けに行く主人公の元刑事。血もつながらないのに、同じ心の傷をもつ親子のような二人の心のふれあいに涙が出ました。
 普段、社会の中から忘れがちな無国籍孤児やストリートチルドレンといった社会的階級層にスポットを当て、事件の重要な位置づけをさせた作者の独創性に脱帽でした。
ストリートチルドレンという言葉を通して、親子の絆や子どもへの愛情をしみじみと考えさせられました。外国では結構、こういう子供たちがいると聞いています。
べる さん (30代女性)
 心に傷を抱えたヤクザ崩れの主人公・巽が、偶然出会った理由ありの黒人少年・丈太を、亡くした息子と重ねあわせて守り抜こうと必死に奔走する姿に胸を打たれた。特に、クライマックスの、瀕死の巽が最後の最後まで丈太の手を離さず守り抜くシーンでは胸がぎゅっと締め付けられるような切ない気持ちになった。自分の息子は守れなかったけれど、今度こそ大切な存在を最後まで守りぬけた巽は本望だったのではないだろうか。巽の中では、きっと息子への贖罪となった筈だと思う。天国では、息子と二人、幸せに暮らしていると信じたい。
 好きな登場人物は佐智。シングルマザーの母親を支える芯の強さを持ちながら、天真爛漫な明るさも備えた可愛らしさに癒された。重いストーリーが続くので、彼女が出てくるとほっとした。理由あり黒人少年の丈太に対しても色眼鏡でみることなく、明るく接してあげる優しさに胸が温かくなった。巽との関係も好きだった。
あしたのチャオ さん (50代女性 主婦)
 みどりと巽、二人の関係が変わったあたりから、グググッとこの世界にひきこまれていった。
俊を失った哀しみをかかえ、自責の念に苦しみながら、それでも生きている巽が丈太と俊を重ねてしまうのは痛いほどよくわかった。
エンディングに近づくにつれ、わざと読むスピードをゆるめたり、本をいったん閉じ、コーヒーを入れたりしてラストを引き延ばしにしたりしたが、結局、一気に読んでしまった。
巽はじめ、登場人物が子どもたちを命がけで守る姿勢に心がふるえた。「この子を守るためだったら何でもする!」という想いは、私の心を熱くした。
一番好きな登場人物は巽丑寅。理由は、男らしいところ。頭がいいし、ハートが熱い。こんな男となら、人生を前向きに切り開いて生きていけそうだ。

作品中で、最も印象に残った場面とその理由
「あんたは何ものなんだ? 記者か?」
「別に何ものでもない。丈太の近所のただのおせっかいなオヤジや」
という会話に、今どきこんなオヤジいる? ジーンときた。
もうひとつ、丈太の母の死後、丑寅が図鑑をプレゼントするところ。泣けた。
コウキ さん (10代男性 学生)
 とにかく面白かったです。荒廃した東京のビジョンは現実的で、衝撃的でした。そのビジョンの中を躍動するキャラクターたちは魅力満点で、最初から最後までテンポ良く読めました。「ストリートチルドレン」を巡る巨大な謎は、なかなか読み応えがありますし、その謎が様々な人との会話の中で深められていく中盤はとても楽しく読めました。主人公の丑寅が背負っている過去のリフレインも絶妙のタイミングで挟まってきて、キャラクターのバックグラウンドが適度に見えるのが心地よかったです。
 何と言っても圧巻なのは、ラストシーン。お台場を舞台にしたそのシーンは、感動と衝撃の連続で、興奮しっぱなしでした。
 去年の横溝正史大賞の「雪冤」以来、この賞には注目してきました。「雪冤」でも泣かされましたが、この作品には負けず劣らず泣かされました。良質の小説を送り出し続ける姿勢が素晴らしく、これからも 注目していきたいと思います。
hirohiro さん (50代女性 主婦)
 壮大なスケールの中で近未来に起こりうるのではと思えるようなストーリー展開が素晴らしい。知らない間にぐいぐい引き込まれていった。謎解きのミステリー小説でありながら、人間の心の根底にある【情】と【業】が鋭く描かれている優しい人間味ある小説であるところに魅力を感じた。小説だけにとどまらず、実写化(映画化)になったら必ずヒットするであろうと感じた。ハリウッド映画のようなスケールの大きな物語であると思った。
好きな登場人物は、ダントツで巽丑寅。人間味があり、愛情があり、劣等感があり、正義感があり、いい加減でユーモアがある。
RIN さん (30代女性 主婦)
 まるで映画館で映画をみているような臨場感を味わえる作品であった。近未来を描いているのに、突拍子も無い感じが全くしない。きっと人物の性格や人生の背景がしっかり描かれているからであろう。
また、近未来を描いているのに、具体的かつ緻密な描写がなされているため、すんなりと物語に入っていくことができた。
 自分が親であるせいか、子供とのやりとりには泣けた。
ラストは涙無しには読み進むことができない。せつないけれども、読後はさわやかで、ぜひ筆者の別の作品を読んでみたいと思った。
りおん さん (20代女性 自営業)
 思っていたよりも物語の広がりがあった。舞台がとても具体的な場所だったので、設定が非現実的でもすんなりとイメージできた。キャラクターが丁寧に作りこまれていたため、とても生き生きしていて読みやすかった。小説を書き始めて2年の人の作品だとは思えないほど良くできていた。
 好きな登場人物は巽丑寅。好感が持てたし、行動や考え方が一貫していて説得力があった。
好きな場面は、みどりと丑寅が、精神的に深い関係になるシーン。肉体関係ではなく、自らの本質をさらけ出したところで深いつながりができた、という点がとてもいいと思った。
doki さん (40代女性 その他)
 引き込まれた。この作品を読み終わった時、映画館を出た時のあの独特の混乱・・・
「話の中の世界」と「今」。「今」に自分が戻るまで、しばらく間が必要だった。
震災ストリートチルドレン達の背後にあるもの。それと交差する、一度は蓋をしたはずの巽とみどり、それぞれの「事情」。
様々な要因が組み合わさりながらも、それぞれの人の‘人らしさ’を感じる描写に背景の複雑さを感じさせない。
自分も駆け、叫んだ! ラストは、忘れない。
 好きな登場人物はネムリ。その端正な容貌と、忠誠心に惹かれたから。
 好きなセリフは、巽丑寅の「頼りにしてるで、係長」。巽の人柄を表す言葉だから・・・「ありがとう」であり「Go!」でもある。関西弁が、色々なニュアンスを含ませてくれている。
なみを さん (40代女性 自営業)
 作家の伊与原さんの生年月日などを確認せずに読み始めたのですが、冒頭シーンから10ページも読み進めてすぐ「あ、ガンダム世代?」とピンときた。その感じは最後まで消えることなく、70年代、80年代のすぐれたアニメ作品への愛情が随所にでてきて、作家さんとの共通項を感じることができた。
気に入った点は、克明に記述される地震についての専門的な見解を含めた描写。真に迫っていて、近未来に確かにこういうことが起きるかも、という気持ちになってくる。 そして、脆弱な日本の政治の果てに、とどめをさすように、あのような地震が東京におきたら、ファッショ的指導者が現れてもおかしくはない。その未来の予想図がリアルに迫ってくる。
 好きな登場人物はセイジ。実話ダイナマイトを信奉している純粋で単純な若者、というのがまず好き。かつての東映実録ヤクザもの映画でも必ずでてくる、ちょっと人間味のある抜けヤクザがいることで、ほっとします。
おかめまる さん (40代女性 主婦)
 巽丑寅って何年たっても忘れない名前です。登場人物の名前って重要です。私も動物好きなので、名前のインパクトにすんなりストーリーに入れました。
巽の最後まで、自分の子供と同じように丈太に接した姿、鴻池みどりの自分の本当の子供ではないのに一生懸命育てている姿に感動しました。
 好きな登場人物は鴻池みどり。血のつながらない前夫の子を自分の子として育てている強さを感じます。
好きなシーンは、P142〜P143の、巽と鴻池みどりの過去が少し説明されている場面。過去のことを長く深く語らなくて、胆略的にまとめあげ、心の動きも読者に伝わり文章のうまさに作者の力を感じました。何回もここは読まさせていただきました。
比良坂よみ さん (30代女性 専門職)
 これは多分、数年先の現実――――――
そう感じたのは、多分私だけではないはず。自分が以前いたはずの風景が(最近滋賀に転居したので)、戻ったときにこうなっているかもしれないと思わせる筆力がそこにはありました。
一つ一つは、まったく新しい着想ではないかもしれない。でもそれは複雑に絡み合って、非常に綿密に積み上げられた言葉によって文字の羅列が見上げるほどの一つの建築物を作り上げているようです。
暫くじっくり小説を読む時間が取れなかったのですが、この作品は少々細切れになってしまっても自分の中でくっきりと形を成してくれました。拝読できてよかったです。
 好きな登場人物はみどり。丑寅と向き合いつつ、組織の中でも自分なりの信条を貫き通したので。たとえ実際に血がつながっていなくても、ふがいない実の父親よりも彼女は立派に娘を育て上げていると思う。
好きな場面は、ある動物が大量に乱舞し、そしてそれが皆を逃がすことに繋がったあのシーン。壮観だったと思う。全編通して、そして最後に丑寅と正気に戻った丈太の場面にも上手く繋がって作品をまとめている。