いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

爛れた闇の帝国

■第10回モニター「爛れた闇の帝国」飴村行

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

トトロ さん (40代女性 自営業)
 面白い。特に後半は怒涛の展開で、オチを考える隙を与えない。救いのない物語が潔くて、のめりこむごとに自分自身が癒されていく。欲望、悪意、恐怖、怒りなど、露骨に出すと支障のある感情が1つ1つ解放されるからだろう。質の高いエンタテインメントだった。
 タイトルにある「帝国」の表現はピッタリだった。人間はいつもいろいろなものに支配されているよな、と思った。
チルネコ さん (30代男性 会社員)
 これは驚かされた。今までの飴村行というとやはりホラー、グロ色が強い作家さんというイメージだったが、ミステリとしての驚きが増していたからだ。常軌を逸した登場人物たちと世界観、それに加えられたさりげない伏線がホラーミステリとしてどこに出しても胸を張れる作品に仕上がっていた。始めは何がなんだかわからないSF作品?と思ってしまうが、読んでいくうちの内容がリンクしてゆき、ページターナーぶりを発揮してくれる。伏線が回収されたその瞬間驚いてしまう読者は多いだろう。そして、ラストも秀逸。「ミシッ」とページを閉じる音が聞こえてきそうな幕引きはお見事。
ヨースチン さん (30代男性 専門職)
 有り得ない設定ながらもどこか実際にあってもおかしくないなと思わせる。
 前半に散りばめられている、細かな謎が後半一気に繋がっていく所は爽快でした。物語自体は爽快とは真逆に進んでいきますが。
 人間の愚かさと、恐ろしさと、弱さと、執着心が良く理解出来るお話でした。
 「人間の心の奥底にはね、必ず爛れた闇が潜んでいるんだよ」
 この物語はこの言葉がすべてだと思います。ただ、爛れ過ぎていますが。。。
m4m4 さん (50代女性 主婦)
 高校生の正矢と日本兵の尚人が、いったいどこで繋がるのか、まったく予想のつかないストーリーは読み始めたら決してやめられません。つぎつぎと明らかになっていく登場人物の過去に戦慄をおぼえました。初めから終わりまで残酷で暴力的なシーンが満載ですが、物語の不思議さゆえに読むことに苦痛は感じませんでした。日本兵がなぜ記憶をなくしたのか、なぜこんな拷問を受けなければならないのか。それが分かったときに、作者の想像力のすごさに感服しました。まさか、こういうことだったとは、と誰もが驚くのではないでしょうか。
 しかし、正矢は、母親を冷めた目で見ているかと思うと、意外に母親思いだったりします。けれどもいろいろな場面で母親に対する感情が薄いのはなぜなのでしょう。それは「心の中に開いている穴」のせいなのでしょうか。作中の人物は豹変する人が何人かいますが、それも「爛れた闇」のせいなのでしょうか。私はDNAのせいかと思いましたが。
 刺激的な一冊をお探しのかたにお勧めします。脳内をシャッフルされる感覚を味わえます。
アユメ さん (20代女性 その他)
「面白かった!」…けれど困った事に、常識人だと自覚していて小心者の私には、この作品に関しては「面白かったよ!」と大声で、人様に言うことはできない。そんな作品を生み出してしまった飴村行はなんと罪な作家なのか。
 独房に監禁され、記憶を取り戻すために拷問を受ける男の物語。そして、悪夢のような現実に身を置き生きる気力をなくしている少年の物語。どちらもが非常に読み応えがあり、また散りばめられた謎、少しずつ明らかにされる真実にページを繰る指が止められなかった。果たして、このふたりの物語がどのように交わるのか。抑えきれない興奮にどうにかなってしまいそうだった、がっ!  やってくれたなぁ、飴村先生、とニヤリ。かくしてふたりの物語が、まさしく時空も常識も、それどころか想像も超える(越えるどころか、ぶち壊すような)概念で結びついた瞬間から、凄惨な暴力と血に彩られながらも、どこか幻想ホラーのような色合いだった物語は、そしてただただ陰鬱だった青春物語は、一転、極上のB級エンタと化す。欲に塗れた大人たちが、そして子どもたちが、更には「神」までもが暴走し、暴走し、暴走する。ただただただ作者に振り回されている感じ、たまんないなぁ、とにやにやしながら、あっと言う間に読み終えてしまった。あぁ、面白かった。
 暴力的なまでの力技で、こんな物語を仕上げてしまった飴村先生はスゴイ。他の作家さんには絶対できないだろうから。格好や形やら、そんなものかなぐり捨てて、「面白いことが、まずは一番大切」というエンタメの基本の基を形にした作品であり、飴村行という作家の個性が、見事に爆発、炎上、燦然と光り輝いた証拠だと思う。
 読み終えて私の中の爛れた闇が、蠢いている、興奮しているのをひしひしと感じた。私と同じように、自分を常識人であると、小心者であると思い込んでいる人こそ読むべき。そういう人ほど、内なる爛れた闇は深く、暗く、強いのだから。
登場人物は、皆好き。みんな、ほとんど自分の願望、欲望を叶えるためにしか動いていないから。エミリーの真っ当さすら、実は、正矢に好かれるため、女の本能が働いているだけ、としか思えない私は、よほど根性が曲がっているのでしょうか?
モグ さん (30代女性 会社員)
 記憶を失った兵士が、拷問による痛みで徐々に過去を思い出していくという展開が、身震いするほど恐ろしかったです。結末にも「そうきたか!」と唸らされる仕掛けがあり、最後までおもしろく読めました。
 片思いの相手とその親友の友情を壊すことを恐れつつも、自分の想いを伝えようとする絵美子が、初々しくて好きです。
 カミソリの正さんと崎山兄弟の乱闘シーンは、グロい描写の多いこのお話の中で、唯一笑える箇所でした。
だるまちゃん さん (30代女性 会社員)
 人間の欲望は恐ろしい。一気に読み切ってそう思った。心に入り込んだ一点の翳りが嫉妬や憎悪を肥大させ、人生を狂わせるからだ。この物語は、戦時中と現代が錯綜し、互いに関連し合うことで読者を徐々に核心に導いていく。
 尚人の想いは脈々と受け継がれ、一番身近にいる母親や親友が情欲で支配されたのをきっかけに高校生の正矢の理性は爆発した。
 大切な人が正しいレールの上に戻ってきてほしいという優しさが招いた悲劇の結末だった。愛情も友情も、求めれば求めるほど歪んでいくのかもしれないと思った。
 好きな登場人物は尚人。誠実で愛の深い人だからこそ、大切な人が傷つくことを何よりも嫌う。正義感の強さゆえに内に秘めた悪への怨恨も人一倍強い。そんなまっすぐな生き様によって貫く愛は素敵だと思った。
きくちゃん さん (20代女性 その他)
 後味の悪さも何故か妙にスッキリ感じられた本作。緊迫感の中読み終え、あぁ終わって良かった・・・と本を閉じました。
 というのも、この物語には終わりが来ないんじゃないかと思うくらいドロドロしたものが取り巻いていて、一気に読まないと夢に出てきそうで。
 ここまでひどいか、というくらい登場人物のほとんどがモンスターのような人間で、正矢と尚人がリンクして徐々に近づいていく結末は全く予想出来ず、この2人の共通点は一体何なのかとハラハラしながら読み進めました。
ミコ さん (40代女性 主婦)
 読み始めたら、結構サラッとラストまで読めてしまう、最初から最後までどことなくおどろおどろした気味悪さが漂う作品でした。
 ある日突然何事にも空虚感を持ってしまい高校を中退してしまう正人と、記憶を無くした日本兵で、それを取り戻させる為拷問を受け続ける尚人・・・夢の中で出合った二人がどうやって、いつ現実で出会えるのか?そもそも次元の違う二人は会う事ができるのか?尚人サイドは冷徹に拷問を行う名無しの憲兵と二人しか登場しないので不気味で恐いです。何故彼は拷問を受けなければならないのか?拷問の中で次第に明らかになっていく、尚人の過去と憲兵の正体、そして現在の人々とがリンクしていき・・・
 人間のエゴや狂気はすさまじく、正に『爛れた闇』であるといえると思います。
 人間の内面の醜さは怪物と呼ばれる彼よりもずっとずっと恐ろしいと思いました。心の裡で何を考えているんだろうと思うと、人間が恐くなりそうです・・・
松尾 育恵 さん (30代女性 会社員)
 正直ビックリしたというのが最初の感想です。物語は現代と戦時中の2つの場面から構成されていて この2つの世界がどうリンクするのかと思っていたら、私の予想を超え、まるで戦時中の物語の狂気に引きずられるように現代の物語も歪んでいきます。圧倒的闇・憎しみ・暴力を誰しも心に飼っているのかもしれません。拷問シーンの破壊力はすさまじく、読んだ後に後味スッキリの作品とは言えませんが、心を揺さぶられるという点に置いて他に類を見ない作品だと言えるのではないでしょうか?
 好きな登場人物は、記憶喪失の青年 尚人。この人が物語のカギであり、一番の犠牲者であり彼がどうなってしまうのかが一番気がかりでした。
 尚人の拷問シーンが一番印象的というか衝撃でした。この作家さんの持ち味というか グロテスクな描写が得意な方だと思いました。

かぴ さん (30代女性 主婦)
 読み始めた印象と読み終わった印象は全く違いました。
 最初は「ハードボイルド小説?」と思い、自分には合わない小説のように感じたが、読み進めるほどホラーミステリーという初めて聞くジャンル、まさにそのものでぐいぐい引き込まれました。
 痛みやつらさや登場人物のいろんな思いが突き刺さるように感じられ、読むほどに止まらなくなってきました。
 最後まで突っ走って読んでしまったという感じです。ラストは「ほうぅー」とため息が出るようなスッキリ感がありました。
 彼の作品をもっと読んでみたいと思いました。
naminnie さん (30代女性 会社員)
 読み出さなければ良かった!!!
 と思うぐらい、ぞぞっと、言葉通り背筋が凍るようなシーンの連続に、この企画に立候補してしまったことを後悔したぐらいです。
 『粘膜蜥蜴』の際は、丁寧で詳細な描写にもかかわらず、コミカルなシーンは素直に笑え、現実離れした印象があり、遠い世界のお話だという感覚がまだありました。しかし、この『爛れた闇の帝国』は、ついさっき、そこで起きていてもおかしくない!!と、読後、後ろを振り返ってしまいたくなりました。それほど、リアリティを感じる展開です。
正矢、絵美子、晃一の3人の友情で形成される「ワンダー3」。一瞬青春モノかと勘違いするような、友情の思い出や、正矢とその家庭を心配する二人の様子。
 もう一方の物語は、独房に監禁され拷問される尚人の話。尚人は、監禁され、謎の男に拷問されます。記憶喪失の尚人に、大罪を犯した記憶を呼び起こさせるよう謎の男が命令します。
 物語の前半部分では、この拷問部分と、友情部分とが交互に語られ、そのギャップになんと形容していいのか分からない違和感がつきまといます。
 この読んでいる間中、感じる得も言われぬ違和感、そしてその違和感が徐々に嫌悪感になり、こんな展開なら読み出さなければ良かった、と後悔するときにはもう、物語の虜になっており、どうなるのか、どうなるのかとページを捲る手が止まりませんでした。この場合に持つ嫌悪感は、著者の狙い通りなのかもしれません。
 正矢を取り巻く人びとの持つそこの見えない黒さ、暗さ。人間が隠し持っている部分に蠢く、どす黒い部分が丹念に描かれ、今、私の隣にいる人もこのような部分を持っているのではないかと、人間が、自分を含め、怖く、恐ろしく感じました。
大城 緑 さん (20代女性 主婦)
 最初読み始めた時この本は現代の時代の話ではないんだなと思い読み始めました。現代の正矢とどんなふうに絡むんだろう…。そんなふうに思いました。
 初めのほうはあまりからむ部分がなく夢で逢う程度でどんな風につながっていくのかとても読み進めるのが楽しみになりました。後半、すごい勢いで話が展開していき、残酷な運命が明らかになり人間の残酷なものを見た気がしました。
A さん (10代男性 学生)
 手足を縛られ拷問を受ける兵隊。生きる希望を無くした高校生の話が交互に語られていきます。
 ここに出てくる人たちは、“嫌な奴”ばかり。どれも己の欲のために暴力を振るったり、陰でこそこそ手を回したりと、読んでいてとても良い気分にはなれません。兵隊も高校生も、そんな“嫌な奴”のせいで人生が狂い、振り回されてしまいます。その過程が書かれているのですが、読む手が止まりませんでした。もう、怒濤のラストまで一気読み。
 ラストではある仕掛けが明かされ、びっくりしました。また、最後にはぞくりとする台詞があり、背筋が凍ります^^
べあ さん (40代女性 主婦)
 精神と肉体と、いったいどこまで叩きのめされたらヒトは生きていく力を失うのだろうか…
 時代も場所も異にした二つの出来事。高校生と兵士、二人が受け続ける精神的肉体的苦しみがあまりにも酷すぎて思わず鳥肌が立つ。
 それでもなお読む手を止めることができない、この特異な世界。これは飴村行ならではのもの。
 交互に語られる二つの真っ暗な闇のような、おどろおどろしい恐怖が詰まった話が突然一つに繋がったときの衝撃。ヒトとして生きていくことが恐ろしくなる展開に、のめりこんで読み続けていた。
山下 貴子 さん (40代女性 主婦)
 読み始めたときは、2つの並行する時間軸と空間軸の物語がどこでリンクするのだろうかと興味津々でした。読み進むうちに、次はどうなるのか、次はどう展開するのかと気になりはじめ、一気に読み終えてしまいました。この2つの世界がリンクしたとき、登場人物の心に棲む悪意・残虐性と人間の心の中の闇のあまりの残酷さに驚愕しました。
 予想外の結末に「そうくるか」と驚き、戸惑い、救いようのないやるせなさが残りました。
AstiN さん (20代男性 学生)
 これまでの『粘膜』シリーズから離れ、粘膜ではない飴村行はどんなものだろうとわくわくしながら読んだのだけれど、予想以上にいつも通りの飴村節とでも言うべきあの世界だった。
えげつなさが今までの三倍増しで襲いかかってくる。現代を舞台にしたにもかかわらず、まったく私たちの世界と同じとは思えないような退廃した雰囲気は、まさに飴村行にしか書けない世界観だろう。
 独房に監禁され、拷問を受ける兵士と、現代の高校生の主人公、全くつながりがないように見えて、物語中盤でつながる。しかしそこから一気にどんでん返しが起こり、終盤の驚きの展開へと続いていく。
 想定していた以上の異常に驚かされ、最悪以上の最悪に飲み込まれていく。読んでいるときの楽しさはやはり尋常ではない。目を覆うようなグロテスクな描写が連続するのに、スラスラ読めて、先が気になる。飴村行作品に期待するものの大半を堪能できたと思う。
 舞台を変えても全く変わることのない飴村行を堪能できた。
尚人がかわいそうでかわいそうで。予想以上に苦しい目にあっていて、これから幸せになってほしいけれど、あの世界では無理だろうなぁと。
さん (30代女性 主婦)
 今回粘膜シリーズではないのでどんなものかと期待しつつ読んだ。
 テイストは似ている。読み易くてエログロは踏襲されていたが笑いはあまりなかった気がする。
 時代設定の妙や後半へきて謎が解かれていく過程はひきこまれる。
 救いのない終わりだったけど面白かった。尚人がこれからどうなるのか、ちょっと気になる。
平良 綾野 さん (20代女性 学生)
 飴村先生の初の単行本とのことで胸躍らせながら読ませていただきました。
 アメムラーの皆様は既にご存知のことと思いますが、飴村先生の作品では誰も思いつかないような描写で登場人物たちが次々と予想もつかない状況に陥っていきます。この独特な読み応えはここでしか味わえないものだなと毎度の事ながら思いました。
 今回は珍しく現代、青春真っ只中に生きる少年が主人公ですが、あの毒々しくも鮮やかに、やたらと詳細に描かれる戦時下モチーフはなおご健在です。前述の少年主人公""正矢""ともう一人の主人公として、独房に監禁され兵士""尚人""が衝撃的な拷問描写と共に登場してくれます。
 二人の主人公が苛まれる数々の絶望的な状況や危機のなか、ちりばめられた絶妙なブラックユーモアが光ります。恐ろしく凶暴な不良""崎山""が荒ぶるシーンでは、とんでもなく間抜けで笑いを誘う情景でありながら、今笑ったら殴られるんじゃないかと無意識に笑いを堪えてしまうような奇妙な緊張感が同時に漂います。悪趣味でナンセンスでとんでもなく魅力的なこの感覚には中毒性がございますので是非ご注意を。
 二人の主人公の視点がいかに絡んでいくか、そしてその先に何があるのか。思わず目を背けたくなるような迫力ある描写と、気になってページをめくらずには居られない数々の謎が混ざり合うホラーミステリー。今作もまんまと度肝を抜かれました。
Beck さん (40代男性 会社員)
 予想に違わず、すごくおもしろかったです。飴村節満開のなんとも形容しがたい物語で、いつものごとく凄惨な拷問場面が入念に描かれているところなど期待どおりでした。ミステリ作法もしっかり組み込まれていて、二つの異なる物語がラストに集約されていくさまは、気持ちよかったです。それと特筆すべきは新たなるモンスターの存在。いやあ、ほんと飴村氏も好きだねえ。