いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

ジェノサイド

■第14回モニター「ジェノサイド」高野和明

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

リオ さん (50代女性 会社員)
 これは二組の父と子の「絆」の物語である。一組は、アメリカ国籍で傭兵のジョナサン・イエーガーと、その息子で肺胞上皮細胞硬化症という不治の病をもつジャスティン・イエーガー 。もう一組は、ウイルス学研究者古賀誠治と薬学部大学院生古賀研人。舞台は、日本、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパと全世界に及び、しかも場面はめまぐるしく変わる。空間的スケールの大きさと、設定されたタイムリミット。しかし、規模は大きくとも細部まで綿密に組み立てられ、実存する最先端の通信機器、軍需資材、実験器具が用いられる点では、まさにリアルタイムのエンターテイメント小説といえる。その一方で、この小説は古賀研人の成長の物語であり、ある意味古風なビルドゥングス・ロマンでもある。
 一読後まず感じたのは、まるで長編小説を3冊立て続けに読んだような達成感であった。ビルドゥングス・ロマンとしては、古典ともいえるロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』や『魅せられたる魂』を読んだ20代の頃のような感動を覚えた。傭兵の世界は、まったくフィクションとしてしかとらえられないが、手に汗握る冒険小説としてクィネルの「傭兵クリーシーシリーズ」を読んだときの興奮を思い出した。冤罪の罠から逃亡する主人公は、伊坂幸太郎『ラッシュライフ』や東野圭吾『プラチナデータ』が記憶に新しい。そして、医療業界で働く私にとって、新薬創生に関わるさまざまな実験手段や薬理学理論、ノックアウト・マウスや遺伝子組み換え細胞は、実際に使用されるものばかりで、確かなリアリティを感じさせてくれた。こうした通常では結びつきがたい世界を、緻密な構築によって無理なく結びつける作者の手腕には舌を巻くばかり。虚構の中から浮かび上がる「もしかすると現実にありうるのかもしれない」世界の姿に愕然とさせられる。
 しかし、こう述べたからと言って、この小説が重苦しすぎるものだというわけではけっしてない。どころか、588頁という大部なものであるにもかかわらず、ページをめくる手を止められない。心暖まる情景が、直前の凄惨な光景を中和してくれる。ちりばめられたエピソードが思わず微笑みを誘う。人と人のふれあいが人間も捨てたものではない、と思わせてくれる。読後は間違いなく達成感と爽快感をあじわうことができる。
なつみかん さん (40代女性 主婦)
 日本、アメリカ、コンゴを舞台に繰り広げられる、スピード感たっぷりのストーリーに引き込まれました。特に中盤からの展開は素晴らしく、最後まで一気に読んでしまいました。東京の大学院生、韓国人学生、アメリカ人傭兵、難病の子どもたち、頭脳明晰な若きアメリカ人分析官、そして…見たこともない新生物。全く関係がないと思われる登場人物たちが、思わぬ接点で絡み合い、行動を共にしていきます。題名の『ジェノサイド』は「大量虐殺」という意味ですので、凄惨な殺戮場面も出てきます。それでも、この本の根底には、希望と愛情が流れていると思います。さまざまな愛の形を読み取れる作品でした。『6時間後に君は死ぬ』のようなハートウォーミングな物語とは全く違うハードボイルドな作品で、著者の作風の幅と執筆力に驚きました。また、新薬を作る場面などに医学的用語が出てきますが、きわめてわかりやすく、文系の私にも興味深く読むことができました。
mutantmogura さん (50代男性 専門職)
 すごい!のひとことである。内容もボリュームも、現在のところ著者の最高傑作であろう。
 スリラー?サスペンス?SF?ジャンル分け不可能なノンストップ・アクションである。 
 まず、著者の取材力とその努力に拍手を送りたい。この中身の濃さはただごとではない。また、その情報が単なる垂れ流しではなく、いずれもストーリーと緊密に絡み合っているというすさまじいまでの構成力も、“すばらしい”の一言である。正直、一言一句も読み逃すことができなかった。そのため、読了までに他の作品より時間を要したが、それは実に楽しい時間であり、読了が残念だった。本書を読む機会を与えていただいたことを、著者と出版社に感謝したい。
 ストーリーの軸は二つ。難病の息子を抱えた傭兵を中心としたサバイバル・アクションと、難病治療薬の開発を亡き父から託された薬学生を中心とした医療サスペンスである。これに米国(たぶんに前政権をモデルにしたもの)舞台のポリティカル・スリラーが微妙に絡む。傭兵アクションの方はまさに手に汗を握る、といった感じで、ハリウッド巨編にでもしたいものである。一方、薬学生サスペンスの方は、うまく作れば新薬開発に絡む秘話といった良質のドラマが作れそうでもある。
 この軸となる二つのストーリーは難病がキーとなって繋がるのだが、どのように繋がるのかは簡単に分かるようでいて実はなかなか分からない。後半に至って、この二つのストーリーは予想を超えた形で繋がる。そして最後は、全てのストーリーが落ち着くべきところにきれいに落ち着くという、何とも言えないカタルシスが得られる。読後感は実にさわやかだ。
 本作の裏テーマは父と息子の関係であろう。本作には、研究者の父と大学院生の息子、傭兵の父と難病の息子、そして、「ヌース」と彼の父親という三組の父子が登場する。著者の真意は分からないが、関係性の異なるそれぞれの父親が、それぞれのやり方でそれぞれの息子を守る。その、父親のやり方でしか表現できない不器用な父親としての愛情が、静かに、しかし実に熱く描かれている。
 父と同じ新薬の研究・開発という道を歩む薬学生の父親に対する思いは、ストーリーの進行とともに変化する。そして、最終的に落ち着くべきところに落ち着く。予定調和ではあるのだが、個人的にはこの父子の絆が最も感動的だった。私と息子の関係がこの父子と非常に良く似ていることもあり、“頑張れ研人!”という声援を、途中で何度も送りたくなった。この息子の名前には間違いなく父親の熱い思いが込められていることを考えて、恥ずかしいことに目頭が熱くなってしまった。研人は、いつの日かそれに気づくだろう、きっと。
 難点を言えば、「ヌース」と「エマ」の設定があまりに超人的すぎるところであろうか。設定上、仕方のないことではあるのだが。また、運命共同体の仲間に情報が最初から公開されていないというのは“どうなの?”って思う。でも、そういう細かいところには目をつぶって、ハラハラドキドキの楽しい時間を過ごせるエンタテインメント巨編である。
 そういえば、ルーベンスとハイズマンの関係も、ある意味では父子のようなものかもしれない。師弟というよりも、なにか知を介した強い絆を互いに感じていたのではないだろうか。こちらのスピンオフ作品も、かなりハイヴロウになりそうだが、できれば読んでみたいものである。
とし さん (10代男性 学生)
 サスペンス、アクション、SFといった要素の他にも過酷すぎる戦場の様子を描いた戦争小説、父と息子の絆を描いた小説としても読める、エンターテイメントだけど一概にそうとも言えないさまざまな顔を持った小説です。
 高野さんはとても多彩なジャンルを書かれる作家さんですが、今回のような日本、アメリカ、そしてアフリカと世界を股に掛けた、ここまでスケールの大きな作品は初めてなのではないかと思います。スケールが大きいながらも、それに負けない骨太の構成やエピソードでなおかつ、薬学などの専門的な内容もしっかりしているので、ストーリーが破たんすることなく進んでいき、一歩間違えれば破滅が待つギリギリの展開に終始ハラハラしっ放しでした。
 作中では戦争に走ってしまった大統領や、読み進めるのが少しつらい戦場での兵士たちの振る舞いなど、人間の悪の部分が強烈に描かれているので、病気の子供たちを救いたい一心で危険を顧みず薬の開発を続ける研人たちや、戦場で息子を思うイエーガーは人間の善の部分を見せてくれているようで、殺伐とした描写もあるこの小説の中で心を癒してくれました。
 作中で人間の残虐性について語られる場面があるのですが、理解はできるけど共感はしたくないといった感じでした。自分はまだまだ作中の登場人物たちのような人間の善の部分を信じていきたいと思います。
セイコリーノ さん (40代女性 主婦)
とても、感動しました。人類の驕り、残酷さについて考えさせられます。戦争がなぜ起きるか。平和に繁栄していけることとは何なのか。異種なものを認められるか。文明、科学力は何のためにあるのか。難病の人を救うためで、殺し合いをするためでないですね。平和ボケの仮面の下には無意識に近い差別の心、他者を見下す心が育ってしまっているのかもしれません。ちがいを認める、共存する、でも普遍なものもあるから理解もできる。知の力を、より深い他者への理解につかうべきなのでしょう。
高野さんの『幽霊人命救助隊』が好きです。しかし、今回の作品はものすごく濃く、素晴しいとおもいました。科学者の知への好奇心、子どもを思う親の気持、どれもよく分かります。また、父と子の4組のそれぞれのありかたが、物語の重要なヒントなのですね。ほんとうに力強く、深い、いい物語を読ませてもらえました。

ちこちゃん さん (40代女性 主婦)
 こんなにもエンタテインメント性を持ちながら、これほど人間の本性について考えさせられた本はなかった! 
 己が危険を顧みず不治の病の特効薬を作ろうとする大学院生・研人。『ヌース』を守る人類学者ピアーズ。この善なる心を持つ人間たちに、圧倒的な権力を持つ為政者の狂気が襲いかかる。
「全ての生物種の中で、人間だけが同主間の大量殺戮(ジェノサイド)を行う唯一の動物だ」
 私の思考は最早この小説を楽しむという段階を越えてしまった! 人類の本性が攻撃性、残虐性であるならば、私はその本性に反して他人のために尽くせるだろうか? まさに危機的状況にあるこの国で、己の善の基準を何に置いて生きていくのか、もう一度考えるきっかけをこの本が与えてくれたことは確かである。
 たかが小説と思わず、ぜひ読んでいただきたい。読めばわかる!
ZAZIE さん (40代男性 会社員)
 高野さんの作品は全て読んでいます。今回は冒頭から突拍子もない話がつづき、戸惑いながらも読み進んでいくと、命の尊さというテーマにたどり着き、やはり高野さんらしい作品に仕上がっていることがわかります。新種の生物が人類滅亡の危機に陥れるという報告を受け抹殺しようとする大国の思惑、それを阻止しようとする側、一方で父の意志を継ぎ新薬の開発に使命を燃やす青年。それぞれの物語が〔ヌース〕を中心に重なり合いつながっていく。次々と訪れるトラブルを何とか切り抜けていくスリル感、徐々に解明されていく謎、さすがの構成力でラストまで一気に引きこまれていきました。また登場人物の心理状態や心の揺れ動きもよく表現できていますね。人物たちが立場を変える部分がいくつかありますが、嫌味のない後味にしあがってると思います。
 常に戦争のやむことのない地球。争うことの愚かさを問う大作といえるでしょう。大震災の折も折、命の大切さ、人々の愛情、つくづく考えさせられました。
ココルナ  さん (50代女性 主婦)
 『13階段』『幽霊人命救助隊』『6時間後に君は死ぬ』と高野作品は3作品を読んできました。どの作品も命の尊さを訴えているように感じられて大好きな作家です。ただ、今回の『ジェノサイド』は、これまで私が親しんできた3作品とは随分、趣が違うように感じられました。「高野さん、どうしちゃったの?」と問いたくなるような過激で残虐な描写が随所に見られ、読み続けることが辛くなる場面が多々ありました。その残虐なシーンも、全てラストに繋がって行くのだと読み終えた後に、しかも暫くたってから理解することが出来ました。そして、やっぱり命の尊さを訴えられているのだと納得!最後は本当にドキドキ・ハラハラ、思わず声を出しそうになりながら、手に汗握って頁を捲りました。

ビオラ さん (40代女性 その他)
 高野和明さんの作品は、初めてでしたが、創薬化学がキーワードでもあるので、私自身が薬なくしては暮らして行けない体でもあるので、興味津々でした。読み始めてしばらくは、各々の登場人物がいったいどこで、リンクするのか、もどかしくもあったけれど、次第に読み進めていくうちに明らかになって行く段階でも、読み手には容易に想像しえない面白さも充分に、堪能出来ました。ですから、驚愕の真実が明らかになった時の衝撃も大きかったです。人種、難病医療、政治的策略と世界規模の問題を提示したスケールの壮大さに、圧倒された作品でした。
しろ さん (20代男性 学生)
 地獄がどこにあるかって?目の前にあるじゃないか。と言われたようだった。この物語は、進むほどに展開の加速度が上がっていく。細かいところなんてぶっ飛ばしてしまうほどのスピード感には圧倒された。もちろん、雑というわけではなく伏線もあり、ミステリアスな部分も絶妙なバランスでもって読者を先へ先へと引っ張ってくれる。二転三転する視点からは多くのことが見られる。戦争の悲惨さや権力の実態、医療の矛盾など・・・この世界、いや人間の心の中にこそ危険があるのだろう、と思わされる。私たちは愚かでどうしようもないかもしれない。でも、失敗したって悩んだって自分のできることに常に全力で取り組むしかないと思う。読後にタイトルを見ると、誰が誰をジェノサイドするのか、にぞっとした。
さん (20代女性 会社員)
 組織細胞、DNA、新薬開発、知識のない人間にとっては少々小難しい内容ではあるかもしれない。理解の範疇を超えた事柄をあり得ないと否定し、躊躇なく排除にかかる。世界に平和をと言いながら戦争を引き起こす。そんな矛盾した世界への批判ともある意味とれるんじゃないかと思ってしまった。
 父親亡き後息子が意思を継ぎ危機的状況を乗り越え新薬開発に成功する。出来過ぎた内容ではあるかなぁ、と思ってしまった。が、諦めず誰かを掬いたいと言う気持ちを持って、最後までやり遂げた事は素晴らしいと思う。素敵な仲間にも巡り合えて状況的にも恵まれていたと思う。一方で何も知られずに戦地に送り込まれた傭兵四人。このまま国の陰謀に巻き込まれ犠牲にされてしまうのか、とハラハラしたが真実を知り生き残るため動き出せて良かった。軽い内容ではありませんが、事実世界は同じような情勢にあるんだと実感させられる、ためになる内容だと思いました。


きくちゃん さん (20代女性 主婦)
 かなりのページ数と、今まで読んだことのないジャンル、また専門用語や登場人物が多くて難しそうだな・・・と読み始めたのですが、主人公・研人の父からのメール『アイスキャンディで汚した本を開け』で一転、その物語にどんどん引きこまれていきました。日本、アメリカ、アフリカ、違う国でそれぞれの登場人物たちが繋がっていくのですが、ハラハラさせられたり、目を覆いたくなるような描写が続いたり、友情に感動したり、人間の本当の姿を、いい意味も悪い意味も含め、改めて思い知らされることになりました。この本を読んで、いろんな国のいろんな種族に興味を持ち、私にとってまた新しい世界が開けた一冊となりました。

ベック さん (40代男性 会社員)
 いったいどこへ連れて行かれるのか?という不安と興味がないまぜになったまま読み進めた。正直、途中の薬を合成する過程なんかは、あまりにも専門的な用語が並んで辟易したが、それでもこの長大な物語を最後まで読み進めたのは、二つの物語がどうリンクしてどんな結末へと導かれるのか?という大きな謎があったからだ。そして、最後まで読んで得られた、この充実感。ほんとお腹一杯になったという感じだ。アフリカの内戦の状態などは、まさしく地獄絵図であり、こんな悲惨な現実があるのかと恐怖にとらわれたし、アメリカのパワフルで合理的な独裁政治の内情はとても興味深く読みすすめられたし、大きな謎である「ヌース」の存在の描かれ方には快哉を叫んでしまったし、大きなSFという枠組みの中に軍事サスペンス、メディカル・スリラーなどのジャンルが混在した面白さがあって良かった。これだけの『ジェノサイド』を描いているにも関わらず、納得のいく気持ちのいい結末を迎えたところが良かったと思う。

咲羅 さん (10代女性 学生)
 あきらめないこと、そして自分を信じること。シンプルなことだからこそ出来ないということに気づかされた。だが、そのシンプルなことを達成し、積み重ねることで大きなものを手に入れる。それは目に見えたり、見えなかったりさまざまではあるが。『ジェノサイド』という題名からなんとなく内容は想像出来たが、それだけではないのがこの物語の面白さである。世界は広いが、同時に世界は狭い気がした。それがたとえ故意的であっても関わったという事実は消えない。人間とは残酷であるが、とても素晴らしい生き物である、と改めて感じさせられた。
 初めて高野和明さんの作品を読んだが、とても好みであった。銃が出てくる作品をよく読むので、今回もとても楽しく読めた。『ジェノサイド』は親子のつながりを大事にしている作品だと感じた。最近は親子のつながりというものはとてもあやふやで、大事にされていないと感じる。だからこそこの作品を通じて少しでも多くの人が家族を大事にしてくれればと思った。今後のご活躍をご期待しております。
トミケン さん (10代男性 学生)
 現実かと錯覚するようなリアルな描写に時間を忘れて読み進めました。最初から最後まで登場人物はほとんど変わらないのに次々と真実が明らかになっていくストーリーにはとても興奮しました。「ジェノサイド」ではアメリカ大統領の愚かさが直接描かれていましたが、「ヌース」の存在は災害下の日本人の浅ましさをも警告しているような気がしてなりません。
驚弾炸裂 さん (40代男性 公務員)
 高等学校で理科(生物)を担当しているので、生物用語が随所に出てきて楽しく読むことができた。人間の持つ愚かさと人間の持つ頭脳の無限大の可能性を考えさせられた作品であったと思う。自ら生きるための殺戮(獲物を仕留めること)を行う肉食獣と、意味のない殺人を行う人間の大きな違いが網羅されていたと感じた。無駄な殺戮を繰り返すことが愚かなことだと理解していながら、何の抵抗もなく実行してしまう人間の行動に哀しみを覚えたと同時に大脳新皮質に刻まれる「学習や経験による行動の中枢」を駆使した人命救済への熱い思いがキャストから伝わってきた。大変読み応えのある作品であるのはもちろん、様々な観点から展開される物語の構築に敬意を表したい。
ちゅうさん さん (50代男性 会社員)
 面白く「ワクワク、ドキドキ」の連続で読ませていただきました。 久々のスケールの大きなエンタテイメント小説を読んだ気がします。日本での映像化は難しいでしょうが、何とかならないでしょうか? まさに映像化にピッタリの作品です。 小説の面白さの基準は、何と言っても文字が画面に置き換えられるかです。
さて、内容は現在の日本・米国・コンゴを舞台に1ヶ月ちょっとの期間の話。 登場人物は少なく、カタカナの苦手な私でも何とか人間関係はクリア。 ネット社会での諜報機関の恐ろしさ、そしてそんな世の中で現在も行なわれている「ジェノサイド=大量殺戮」。 考えさせられる事が山ほど詰め込まれ、それをエンタテイメントとして取り上げる上手さは、高野和明氏の力量でしょうか・・・!? この作品のポイントは、何と言っても「すべての生物種の中で、人間だけが同種間の大量殺戮を行なう唯一の動物であり、それがヒトという生き物の定義だ」 名言です。でも、そんな小難しいことを抜きにしても十分楽しめ、頭の中には映像が展開します。
とんこ さん (40代女性 主婦)
 神の目…その視点で書かれた作品であることは間違いない。序盤は非現実的な世界だと感じたが、読み進むにつれ、書き手の力でどんどんリアルさを増してゆく。自らを省みるに、誰かと初対面のとき、まずは相手を「己より強いか、弱いか?」を本能的に値踏みしてしまう。弱々しい私でも、自らの内面に攻撃性に似たものを見出すことがある。
 この本を読み終わったとき、誰もが「自分の本能の正体は何か?」そして「人間とは何者か?」ということを自問自答してしまうことだろう。
 文系、理系、どちらのタイプの人の知的好奇心も満たされる、オススメの一冊。

えむ さん (40代女性 主婦)
 地獄を見たくなかったら、決して人間には近づくな。壮大にして美しき「現代の黙示録」開幕。衝撃的な言葉に私は、高野さんの世界へ引きずり込まれた。いや、本の中に入り込んでしまった。
 「ジェノサイド」…大量殺戮。
 怖い、身震いする、目を疑う、それ以上に凄まじく悲惨な光景が、すぐそこにあるかの様に、一場面として、ビデオテープの様に映し出されている様な疑似体験をしました。川を渡る場面では、自分の足が冷たくなる感覚に襲われ、エシモ、アキリ、ピアース、マイヤーズ、イエーガー、ミック、ギャレットの逃亡、攻撃の場面では、読んでいる自分も一緒に逃げている感覚、銃弾の音、銃弾が飛んでこないかハラハラドキドキした感覚、これ程までに悲惨な映像を生み出せるとは、高野さんの語彙・文脈・構成すべてにおいて、感服です。研人と李正勲、エシモとピアースの絆も見逃せない。そして、最後にはアキリの笑顔が私にも見えました。読後が、さわやかで安心し、さらに感動しました。
 著者の高野さんは、最新刊「ジェノサイド」では、新薬開発・異人種の出現・IT通信技術・戦争における指導者の在り方等、2001年、第47回江戸川乱歩賞受賞作「13階段」では、司法制度に関しての死刑・冤罪について、今、現在そして将来の日本や世界情勢を見据え、問題提起されている点が素晴らしいです。重い問題ですが、そう感じない、感じさせない、しかし読者に訴えかけている・・・人との絆、つながりを強く感じさせる「ジェノサイド」を是非、多くの方に読んで頂き、その素晴らしさを知って欲しいと思いました。
ヤマオカケンヂ さん (10代男性 学生)
 すごかった。ふたつの物語が、見事に絡み合い、ミステリーとして楽しくよんだ。そして二人が成長する姿をとってみると、青春小説としてもいい。
 そしてなによりも主人公たちが大きなものに立ち向かう姿が、あまりにも格好良かった。
 余韻が続くすばらしい一作。
 今回もまた、楽しませていただきました!命を救うという事が、本当に輝かしく見える、高野さんの作品のなかでもピカイチです。
 次回作が楽しみになりました。
ましろ さん (40代女性 会社員)
 大変読み応えのある1冊でした。「13階段」しか読んだことはありませんが、また前者の作品とは違ったストーリー構成で、これからの作品にも期待が持てると思いました。全体を通して、親子、それも父子の絆、あるいは結びつきに終始していてさっぱりとした又、父子でも強い結びつきがあるんだなと感心しました。
 終末時計のくだりは大変興味深く、そして強く印象に残りました。
 作者の意図するところも読み手側には伝わる力強い作品だと思いました。
 物語は旅の一部だと思います。私の至福の喜びは「いい本と出合うこと」です。今回、ジェノサイド(大量殺戮)と物々しいタイトルの作品ではありましたが読み終わった後の読んだ達成感や高揚感は、いい旅を終えたという喜びを持たせていただきました。
 ありがとうございました。
さん (30代女性 主婦)
 震災の翌日に届いたため読む気になれず数日放置していました。なんとか読み始めてもどうも入り込めず一日数ページしか進みませんでした。
 半分ほど進んだ頃からようやく物語が面白くなりあとは一気に読むことが出来ました。ハリウッド映画のような展開と希望の見える終わり方。こんな時期じゃなかったら絶対徹夜の一気読み本確実です。
上之原由佳 さん (20代女性 学生)
 異世界の話のようで、現実の話なのではないか?と何度も錯覚を起こしながら読みました。はじめの三分の一は、日本とアメリカで起きている出来事にどんな関係があるのかがわからず、読み進めるのに少し苦労しました。しかし読んでいくと、様々な出来事が全て重要で関連があることがわかり、読むのを止めることができなくなりました。
 特に、薬の開発については、専門的な知識が、とてもわかりやすく描写されていて、研究者の気持ちや信念があらわされており、自分が薬の開発をしているようにさえ感じることができました。
 戦争、創薬という、一見、何の関係もないような事柄が、最後に結びついたとき、全身鳥肌がたちました。
tomi さん (50代女性 主婦)
「現代の黙示録」とあるように、真理は? と幾重にも問いかけてくる。アメリカ、コンゴ、日本と同時進行、多重ライブの展開(壮絶な侵略・闘争、目まぐるしい展開・過酷な逃走、組織から逃れ、時間と戦いながらの未知なる創薬研究)に息付く間もなかった。
 『知的にも道徳的にも劣った生物種は、より高度な知性によって抹殺される。』強者・正者が生き残ってきた歴史において、至極まっとうな理論が導き出される。
『恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力ではない。この世で最も恐ろしいのは、それを使う人格なんです。』と、ガードナー博士がバーンズ大統領にいった言葉が、深く胸に残った。
ラムジー さん (50代女性 主婦)
違う場所でのできごとが交錯しながら話が進んでいくのが面白かったです。特に日本における、創薬に関する話が読みやすかったです。
 13階段のときから高野さんのファンです。今回のジェノサイドは、科学者になったような気分で読ませていただきました。これからも、わくわくするような小説を書いて下さい。頑張って下さい。