いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

黄金坂ハーフウェイズ

■第16回モニター「黄金坂ハーフウェイズ」加藤実秋

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

藤崎 さん (20代女性 その他)
 物語を読み進めているその瞬間、彼らの「青春」という日常に引き込まれ、自身がいつの間にか「青春」の輝きを謳歌して帰ってきたかのような不思議な読後感だった。
 しんとした余韻にキラキラとした高揚感、何気ない日常を過ごすことの幸せを思い出させてくれる作品だ。
 私は、「仲間」という言葉に憧れがある。だからなのかは分からないが、ぐいぐいと引き込まれた。思い出の象徴、ウインドブレーカーへしがみつきたい想い、離れたいが離れられない想い、序盤からもう心を掴まれてしまった。
 そこへ丁度良く持ち込まれる事件というスパイス、そして、台詞回しの小気味良さ、展開のテンポの良さ、置かれてある伏線を、ついつい忘れそうになる程の勢いがある。
 是非是非「黄金坂ハーフウェイズ2」を切望する。気が早いかもしれないが「黄金坂ハーフウェイズ3」にも期待したい。
 これはもうシリーズ化されるべき作品だと思う。絶対またこのメンバーの作品が読みたい!
 こんな素敵な作品に触れる機会を下さったことに、心から感謝致します。ありがとうございました。
maru さん (30代女性 主婦)
 就職に失敗した若者が実家の黄金坂に帰ってきた所から、話は始まります。
 出迎えてくれたのは明るく振舞っているけれど息子の就職を心配している母親と、主人公と同じように無職な幼馴染。その幼馴染に連れられて行った「昼間限定」立ち飲みバーで、様々な事件に遭遇し、事件を解決していきます。
 この昼間限定立ち飲みバーがユニークです。ママもバーテンダーも愛想&やる気0。BGMはなぜかAMラジオ。ドリンクは発泡酒で250円。もちろん、コップなしで缶でドンと出てきます。必ず頼まないといけないフードも冷凍ピザが「スペシュルメニュー」として600円で登場してきます。
 この「スペシャルメニュー」は事件を解決する毎に微妙にバージョンアップしていきます。この微妙なバージョンアップ面白かったです。チキンスープが出てきたところでは、ニヤとなってしまいました。(なぜ、ニヤかはぜひ本で確認してください。)
 肝心の事件解決も、小さな事件の解決を横軸に、主人公と幼馴染の高校生時代の事件が縦軸に交差していき、エンディングに向かって盛り上がっていきます。
 人が殺意を感じるのは、生きるか死ぬかとか、積年の恨みとかそんな大袈裟な理由じゃなくて、ふとした瞬間の些細な事なのかもなと思った作品でした。
みけねこ さん (40代女性 主婦)
 『インディゴ』シリーズをイメージして読むと、かなりギャップを感じますね。同じように東京の街の一角に護られて日々を過ごし、厄介な頼まれ事をなんだかんだで解決していく少しドライで義理人情の物語なのに、この『黄金坂〜』は主要キャラをはじめ殆どの登場人物が病んでるように思いました。心の闇というほどでもなく、ただ、リアルにこういう鬱屈した思いを抱きながら生きている人がほとんどの今、共感できるシーンが多いのでは。
 昔ながらの町の風景の中に少しずつ変化があるように、人間も少しずつ変化していくことを成長というなら、主人公はじめ主要キャラはみんなどこか時が止まっていて、読者はその幼稚さや歯痒さや痛ましさを覚えつつ読み進めていくと、それがまた幼稚で痛々しい暴発をしてようやく芯の通った信頼関係を再構築していく一方、クライマックスでは他人に作られたイメージの中にしか自分を見出せなくて虚無に堕ちてしまったかつての友人との二度と取り戻せない友情という対比が印象的でした。爽快なエピローグが余計に影の部分を引き立たせていて、読みやすいのに棘のある、スパイスの効いた小説です。加藤さんの新たな一面を感じた作品だったと思います。
 ぜひシリーズ化してほしいです!
リオ さん (50代女性 会社員)
 加藤実秋さんの描く世界は、現存する社会の写しを装いながら、「ありえない」異常さが漂う。 
青春を消化しきれなかった若者の熱血小説かと思いきや、自転車サドル盗難やいやがらせ電話、犬の糞にいたずら書きとけっこう陰湿な感じが漂う。そして、間奏曲のように、また朝美の血なまぐさい光景がはさまる。過去と現在の境界が曖昧模糊としており、すべてがちぐはぐでアンバランス。一つの事件が解決しても、どこかで耳障りな不協和音が通奏低音として鳴り続けている。
 これが主人公隼人の戻ってきた世界を象徴している。彼は遠方の大学を選ぶことで、いったんは彼をめぐる人間関係から逃れようとした。けれども結局逃げ切れず、戻ってきてしまったのである。彼と悪友楓太はいまだに高校時代の思い出を人生最良の場所とみなしている。朝美の死を自分の中に位置づけられなかったがゆえに。しかし、近づきすぎたためにハレーションを起こしてみえなくなってしまったものを、いくつかの事件を解決するというフィルターを通して、彼らは現実をありのまま認識することを学ぶ。そして、彼らはようやく自分の足で歩き始める。一見そつなく就職して一人暮らしをしているダイスケが、一番ひどく壊れていくのが不気味である。彼もまた現実を自分の中に位置づけることのできなかった者の一人であった。
 そして、まだ謎は残る。イズミは何者?朝美の縁者であることは間違いないように思われる。彼は、朝美の死にとらわれていた隼人をその呪縛から解き放つために現れたのか?ぜひ、この謎を続編で解き明かしてほしい。
ケイ さん (30代女性 会社員)
 最初は軽いタッチの日常のミステリーだと思って読んでいたのが、話が進むにつれ、20代前半の等身大の悩みだったり、過去の殺人事件を匂わすような深刻な話になっていき、犯人の動機も今の時代にしっくりするリアルさがあって面白かったと思います。
 会員制昼酒バーのバーテンダーのイズミは、美味しいところをもっていきすぎでしょ・・・・と思いながらも主人公よりも魅力的に描かれていたと思います。つきだしが今回は何が出てくるんだろう?今何のコミックを読んでいるんだろう?日給500円で実は何者なんだろう?と気になる存在です。
 発売するより一足先に読めて嬉しかったです。高校時代を懐かしむ気持ちやモラトリアムの中で足掻く気持ち、犯人の動機などシリアスな部分と、隼人と楓太とのやり取りや、昼酒バーの脱力した感じのコミカルな部分とのバランスが絶妙で、読みやすいのに、薄っぺらにならない中身のある小説だと感じました。シリーズにして、イズミの謎も解いて欲しいです。
りりあ さん (20代女性 学生)
 「ありそうでなさそう」、「なさそうでありそう」的で面白かった。キャラがそれぞれ楽しい!
 好きな登場人物は雪乃とぼたん。良い具合に主人公2人を操作しているところが魅力。意味深なイズミよりもこのコンビに和まされる。
 なぜイズミの日給が500円なのか、真相が知りたい。
 イズミ、雪乃&ぼたん、摩耶をメインにした作品も読みたい。ぜひこの作品もシリーズ化して下さい。
森下佐和子 さん (40代女性 主婦)
 幼馴染の少年二人の、友情と地域密着型の探偵物語。二人の掛け合いがここちよくてテンポよく漫才みたいにおこなわれながら、進んでゆく話。第1第2第3と事件がおこり解決していくたびに二人の友情が、深まったり離れたり、はたまた対立したり、そして最後には離れられない絆で結ばれる二人。読んでいて懐かしいようなうらやましいような感覚に陥った。自分も青春時代にこんな友達がいたらな〜なんて目を細めながら読んでいた。またこの話ではずせない人物、飲み屋BAR HOLLOWの摩耶さんとイズミくん!摩耶さんの不思議な人物像といいイズミ君のミステリアスな人格。あなた何者??的な不思議さはこの話にはなくてはならない2人。特にイズミ君は事件解決に、はたまたあなたのせいで事件に巻き込まれる?に一役買っていてとても重要人物。また容姿や振る舞いも憎いほどかっこいいなんて!!!ミステリアスな部分ももろ私の好み!主役の隼人よりも大好きな人物。摩耶さんももっと活躍してほしい!またシリーズになってイズミ君や摩耶さんが主役になる話も書いてもらいたいです。ぜひぜひ!!!
 好きなのはイズミ君!!!容姿から不思議な感じ、とらえどころのない人物像。みんな大好きです。冷たい感じがいい!!でも困ってるのを見るとほっとけないようなそっと手を貸すところが魅力的!
 特に印象に残っているのは、朝美の事件が解決して、隼人がイズミ君に飲み屋に呼び出され、そこで隼人が泣いてしまうシーン。とっくにいろんなもの乗り越えてるよ。の言葉で私も泣きました。無理しなくてもう泣いてもいいよ・・・的な言葉が読み取れてイズミ君の優しさに号泣です。
 ぜひシリーズ化でお願いします。もちろん何度も書いてるようにイズミ君主役の話が読みたいです。摩耶さん主役の話も読みたい!!隼人の恋愛話も読みたいな〜。次回作楽しみにしています。
やまびこ さん (20代女性 主婦)
 最初のほうは、隼人と楓太の友情関係や、家族関係などがでてきて、二人が解決する事件を除けば、どこにでもある日常だが、摩耶やイズミくんがいるバー、芸者のコンビと溜まり場など、いろんな立場の人が出てきて、隼人たちの過去が少しずつ小出しになったので、気になって、先をどんどん読み進めてしまった。
 なかでも、隼人の心の動きが、微妙で動きやすくてとても気にしながら読みました。
 隼人は優しいのだが、でも、若さからか、いやでもカッコをつけてしまう性格で、そういうところに共感が持てた。自分の中にある素直さと、それを意味もなく隠してしまう自分ていうのを、客観的に見ている感じがした。
 それと、物語の最後の展開がとてもどきどきした。
 イズミ君が一番印象的で、好きです。どこかこばかにした感じというか、一人で涼しい感じで、でも、重要な役をになっていて、押えるところは押えてるってところが、美形の男子を想像してしまいます。また、隼人がここぞって時にイズミ君の一言がすっとしみるような言葉なので、印象深い。
 黄金坂って懐かしく、新しく、文化的な面白そうな場所なんだと思いました。
 その上に物語が展開していき、とても現実的に楽しんで読めました。
 地域に根ざし、地域の人を題材にしたような物語は面白いです。そういう場所に行ってみたいなと思ったくらいです。
 隼人や楓太がうらやましいです。
森由美子 さん (20代女性 会社員)
 青春小説として読める、楽しい連作「探偵物語」でした。
 立ち飲みバーの設定が面白く、都度出される「突き出し」とマダムのキャラも、なかなかです。
 好きな登場人物はイズミ。こういう、器用で影がある人が必ずいるから。たとえば、四谷シモン人形学校のアトリエの片隅とか、洋書屋で整理をしている兄ちゃんとか。素敵さと、不可解さに興味惹かれる。
 印象に残ったのはHALLOWSで、かき氷を食べるシーン。不思議とこころに残る、ちぐはぐな状況だった。親密さと、調子っぱずれな人々の生態がよく出ているような気がして。
 軽過ぎもせず、重すぎもせず、町の魅力も引き出しながら素晴らしいエンターテイメント小説だったと思います。他の作品も読みたくなりました。
かもめ さん (20代女性 学生)
 私は今主人公の隼人くんたちとちょうど同い年で、全力でやれば何でもできて面白くて楽しいんだと思っていた「青春」を通り過ぎ、でもその日々を単純に懐かしめるほど年を取れてはいない、それこそ「道半ば」な彼らの気持ちがすごくよく分かって、なんだか切なかったです。でもラストに、主人公は相変わらず求職中なのだけど、過去を携えて、自分の居場所で何とか、それなりに、納得して生きていこうとする姿に、爽やかさと安心感を感じました。神楽坂ならぬ黄金坂の街の描写もよかったです。まだ神楽坂に足を踏み入れたことが無いのですが、行ってみようと思いました。
 好きなのは、ダイスケとの話のあと、隼人がイズミに呼び出されて二人でHOLLOWSで話をするシーン。隼人の感情ががーっと動いてかき乱されていく中で、イズミの言葉が一つ一つ響いてるのが分かって、じーんときました。
アヤ さん (20代女性 会社員)
 「不要家族」に、ぷっと笑い、摩耶さん、イズミに実際に会ってみたい、そして黄金坂に行ってみたい。そんなことを思わされる作品でした。続編があれば、読みたいです。この濃いキャラたちに、もう一度会いたいです。
KON さん (20代女性 学生)
 読み始めてから一気に読み終えてしまいました。
 この「黄金坂ハーフウェイズ」はこれぞ加藤実秋ワールドという感じでしたが、今まで私が読んだことのある「インディゴの夜」をはじめとするホスト探偵シリーズ、「アー・ユー・テディ?」と比較してシリアスな感じが前面に出ていた作品に感じました。
しかし、謎に包まれたバーテンダーのイズミや雪乃&ぼたんの芸者コンビといった個性的な登場人物や、隼人と颯太の掛け合いの面白さがシリアスな部分を隠したり、強調したりしてとても読みやすい作品でした。
 これまでとは違う雰囲気の作品から今後の加藤さんの新しいワールドに期待させられる作品でした。
 脇キャラですが、隼人のお母さんが一番好きです。登場シーンでのインパクトは抜群で、無神経な感じですが息子のことを心配しているところがやっぱり母親は偉大だなと感じさせられました。
 今後の作品での新しい加藤実秋ワールドを楽しみに待っています。
ちこちゃん さん (40代女性 主婦)
 若い世代向けのテレビに起用されそうなストーリー展開ですね。話がトントン進む・ポンポン飛ぶ辺りは正にテレビ向けじゃないでしょうか。
とし さん (30代女性 会社員)
 人生、これから。坂の途中なのですね。
 キャラや場所の描写が詳細なことで、舞台が想像しやすかったです。東北に住んでいて、東京に詳しくない身としては、黄金坂があるものだと・・・。ネットで検索しそうになりました。
 ふりまわされ型の主人公、うまくいかない日常に膿んだり。仲間との関係性が変化したり、ぶつかったり。でも行動すれば進んでいくもの。
 時折入る80年代テイスト、加藤さんらしく、よいアクセントになっておりました。ある場所に集う者たち、関係者の日常の謎解き、今時の青年たちの群像劇は、真骨頂だと思いました。
 好きなのは隼人の母、芳枝。就職しない息子を心配しているのでしょうが、毒舌をはきつつ、さらっと流して、自分の世界を邁進できる感じが。石田衣良さんの「池袋」シリーズのマコトの母にも通じる懐の広さとユーモアに。
 印象に残っているのは、最後の方のイズミのセリフ「あんた、とっくにいろんなものを乗り越えてるよ。よそ見をしすぎて足もとがみえないだけで」・・・想いを昇華できる気がする。
 現代の若者たちだけでなく、明治のころとか、江戸のころ、いや平安でも?の若者の群像劇をよみたいような。(今回江戸情緒の街との設定だったせいか、着流しの着物をきた細めの男性のイメージが頭にあって)
しずく さん (30代女性 その他)
 架空の町や現実味の無い物語の中であるにもかかわらず、今まさにこの時代を生きている若者の実態を捕えたものだと思いました。
 適当やっているように見えながらも、それぞれに心の闇のようなものを多かれ少なかれ抱え 悩み手探りで生きている中、現実的ではなくともいろいろな人、事柄とのかかわりで成長していく、大人になっていくということが表現された小説だと思います。
 「朝美」の死がちらつき、その真相に向かって進んでいくミステリですが前半のとりとめもない出来事から後半いっきに謎を突き詰めていく流れにひきこまれました。 
 今の時代や流行などが満載で ドラマ化しやすそうなストーリーだと思いました。
 印象に残ったのは、「体と同じように 人格も立体なのか。見る位置や光のあて方で違って見える。自分のイメージ、印象が 相手の人格では無い。他の人間から見た、(または他の人間に見せる)人格もまた多様であるのが人間なのか」と考えてしまう一場面。
 若者の「今」 を みずみずしく取りあげた作品作り、これからも期待してます!
ヤシマ さん (20代女性 会社員)
 就職活動に失敗して実家に帰ってきた主人公・隼人と、その友人で老舗の(愛着ある)バカ息子・楓太、奇妙な会員バーのバーテン・イズミらが繰り広げる、連作短編ミステリ。
 全五篇で語られる物語はそれぞれ小粒ながらも小気味よくまとまっており、文を追っているという感覚なしに、すいすいと読んでいける。
 話の核心(題材)の選び方に背伸びがなく、いかにも「ありそう!」という感じの日常ネタから話を進めていく心遣いにすごくいい気持ちがした。読む人を選ばない良作だと思う。
 連作短編という形式ではあるが、登場人物は彼らなりの悩みや過去を抱えており、それぞれの事件を追いつつ彼らの機微も救い取っていくので、章が進めば進むほど、物語としての奥深さを積み重ねていく感覚。
 そして最終章で明かされる真実。最後まで目が離せません!
 印象に残ったのは、朝美がダイスケに「楽しい?」と尋ねる場面。ダイスケの人間性をたった一言でえぐった、作中随一のヒヤリとしたシーンだった。この場面、ひいては朝美の人間性をもっと覗いてみたいという思いが強くなった。
 続編、出ますよね?できれば今度は長編を熱望です。
イトゥー さん (20代女性 学生)
 主人公・隼人を巻き込んで、黄金坂の人々が次々厄介事を引き起こす!
 黄金坂を舞台に、小さく(割とどうでもいいような)事件を解決するため、隼人と楓太が全力で走りまわります。隼人の苦い過去をひっかきまわしながらも、懐かしい高校時代の友人達と過ごした日々が思い出されます。
 重量のある難解ミステリーとは一味違い、ぬるく安っぽく、しかしどこか趣ある洒落た世界で起こる単純明快な青春ミステリー。春夏秋冬、そして春。5つの短編で構成されたストーリーは、気軽で読みやすく、個性豊かなキャラクターにも愛着が湧くこと間違いなし。
 物語の1年を通して、隼人の成長、というよりは「変化」を楽しむことが出来るのではないでしょうか。
 気楽にゆるーい本を読みたい!そう思ったら、まずはこの1冊をお薦めします。
 好きなのはイズミ。物語の中で最も変で謎の多いキャラクター。その正体ははっきりと描かれないものの、終盤で少しだけ明らかになります。物語のキーパーソンの一人。
 イズミの存在は、この物語に洒落た色を添えたり、時に混乱させたりと、本当に良い味出しています。読み終わった後に一番心に引っかかるキャラクターではないかと思います。
 印象に残ったのは、主人公・隼人が母に勧められた就職先「かぜのたに」を断った理由を母に語るシーンのセリフ。「じゃないと俺、上手くいかなくなったときに絶対人や世間のせいにする。それって就職できないことよりみっともないし、悲惨だと思うんだよ。春に帰省してからいろいろあって、いままでじゃ考えられないような人とも関わったりした。俺とは全然違うルールで生きてる人もいて驚いたけど、みんなそれなりに筋が通ってるっていうか、矛盾がない。カッコいいじゃんと思った。俺も一生フリーターとかで終わっても、これはこれでありと思えるかもっていうかさ」
 大学4年生として、この言葉は印象的。何より、文句ばかり言っていた隼人が実は、話の中で出会った彼らのことをそんな風に思っていたのか、と知るセリフでした。隼人自身の考え方が垣間見られるシーンだと思います。
 「インディゴの夜」のようにドラマの情景が見えてくるようで面白い作品でした。
 軽くて読みやすく、読者を構えさせない1冊で、私自身のんびりと読み終えることができたように思います。加藤実秋さんの作品は初めて手にしましたが、また機会があれば他の作品も手にしてみたいと思いました。頑張ってください!
さん (20代女性 学生)
 主人公たちの暮らしている町、黄金坂で起こる事件(謎)を解決していくうちに、主人公・隼人や幼馴染の楓太が少しずつ成長していきます。全部で5話収録されています。一話ずつ事件(謎)が起こり、一話で解決するので短編集のような感じもしますが、ストーリーは繋がっています。
 何といっても、登場人物(主人公の身近な人物たち)がとっても個性豊かで、ちょっと不思議で謎に包まれているのですが、彼らが話に深みを与えていて、読むのが楽しかったです。主人公たちが集まる場である”会員制昼酒バー HOLLOW”のメニュー、「本日のスペシャル」として出てきた料理への主人公のツッコミには、毎回笑ってしまいます。ユルい日常や事件だけれど、そこから主人公たちは何かを学び少しずつ成長していく・・・そんな彼らの青春を少し覗いてみませんか?息抜き感覚で読めるので、気分転換にぜひ手にとってみて欲しい本です。
 好きなのはイズミ。本日のスペシャルを平然と出し、きっちり料金を請求するところ(笑)日給500円で働いていることや日常が謎に包まれているところも気になってしまい、本を読み終えた頃にはイズミが一番好きな登場人物になっていました!
 初めて、加藤実秋さんの作品を読ませていただいたのですが、登場人物が個性豊かで、読んでいて楽しい作品でした。今回の本との出会いをきっかけに、他の作品も拝見してみようと思っています。そして、多くの人に『黄金坂ハーフウェイズ』を読んでもらいたいです!!
あいko さん (20代女性 学生)
 黄金坂にある会員制バー HOLLOW。そこは、営業時間が午前8時から午後4時までとなぜか日中。しかも、メニューはぼったくりのような値段で、店員は謎めいている。
 店内で交わされる会話のリズミカルなこと!著者の作品を読むのは初めてなのですが、ぽんぽんとくりだされる会話が面白かったです。それぞれのキャラクターも個性的で、特に謎めいているイズミには何をしでかすか、最後までドキドキさせられました。
 好きなのは、隼人のお母さん芳枝です。息子が就職に悩んでいても、どーんと構えている姿がすごくいいです。
 印象に残っているのは、最終章で隼人が言った「楽しい?それがお前のやり方なら、同情する」というセリフです。隼人は、お母さんが言っていた通りに、時間はかかったけれど自分で答えを見つけたのだと思いました。
 とても面白かったです。謎に包まれたイズミくんの正体(?)が気になります!また彼らの活躍する作品を読みたいです。
 続編を期待しています!
セッキー さん (50代女性 主婦)
 冒頭の隼人と朝美の屋上シーンが、ひそやかでミステリアスなリズムとなって全編を流れている。細やかな筆致で黄金坂界隈が色鮮やかに浮かび上がってくる。隼人と、楓太や事件に絡む登場人物の心理描写がメロディーのうねりを作り出してゆく――作品に飲み込まれるように、一気に読み終えました。
 「役に立てとは言わない。俺に恥をかかせるな」「余計なことをしたり、考えたりするな」とそれぞれの父親に言われる楓太と大貴。ムカついたり、パニくったりを日々繰り返す就職浪人、隼人。その3人の会話中の隼人のセリフ。
 「このあいだ黄金坂を上ってて思ったんだけど、坂下からちょっと行ったあたり、半分手前ぐらいが一番キツいだろ?俺らもこんな感じなのかもな。ゴールは全然先で見えもしない。出だしの勢いはもうないし、ちょっと気を抜くとバテそうになる。けど、眺めはそこそこだし、後戻りするのも悔しい。だからしんどくても面倒でも、取りあえず上り続けるしかねえんだよ」
 題名が心にストンと落ちてきました。
 NAUGHTY KID DETECTEVES のウィンドブレーカーを着たイズミと〈黄金びより〉記者の隼人の活躍を期待しています。
久下真美子 さん (20代女性 その他)
 こうした形の本を読んだのは始めてで新鮮でした。発売前の本を読めるということは特別な感じがして嬉しいですね。
 さて、この作品の感想ですが、はっきりいって面白かったです。もともとこの著者の作風は気に入っていました。ミステリーの要素を含みつつも日常の面白さも十分に書かれているのが、テンポ良く読めるのだと思います。前半は何気ない日常の軽い感じの推理小説というもので楽しく読めました。しかし、所々主人公の深い悲しい過去の謎を暗示させるようが見えて最後の展開をしりたくてうずうずしてくるのです。まさか親友が主人公にあのような感情を持っていたとは・・・その辺からはすこしシリアスなミステリーに突入していくストーリー展開が読者を上手く惹き付けていくのだと思います。そして私もその一人です。後半の読むペースは一気に上がりました。総合的にとても面白い作品だと感じました。ありがとうございました。
 これからも日常ミステリーの楽しさを書いてくださいね。
みらい さん (20代女性 その他)
 まず時代背景が良かったです。古風な日本情緒の漂う中にほんのりフランスの香りが混じっている町で、就職浪人の隼人が何においても「無茶だ」と思えるような会員制のバーHOLLOWに連れて行かれ、ぼったくりかと思えるようなメニューに憤慨しているところや、話の調子が微妙に合わないイズミとのやり取りが面白かったです。
 小さい事件から大きい事件まで、楓太の妙なテンションに引きずられて解決していく話の流れも良かったです。
 イズミが好きです。微妙なイケメンってどんな人だろうととても気になります。芸子二人からの好き光線を浴びても平然としているところが大物っぽい。近所に昔からある床屋で髪を切っているイズミ。もみあげはそれでいいのか?それでもイケメンと言われるイズミっていったい・・・
 また、普段何にも無関心な振りして実は美味しいとこ取りなのも、隼人には悪いようですが、要領がよくて頭がいいんだろうなあと思いました。平気で銀杏取りに出動してくれるところも素敵です!
 些細な場面なのですが、母の芳江がこれ見よがしに隼人の机に置いた「花上大サーカス、団員募集!」を見た彼の心の声が面白かったです。「サーカスは無理だろ?」という隼人の思いに私も共感しました。
 黄金坂は色々な要素が混在していて、ありきたりでないちょっと変わった町という感じが良かったです。就職浪人中の隼人の境遇もリアルで、母の無言かつ多言の厄介者扱いもせつないなあと思いました。
 全体的にキャラも個性的で、飽きることなく読み進める事が出来ました。私もHOLLOWに出向いて、ぼったくりのチュウハイ片手に愚痴ってみたいです。
 今後は加藤さんの前作「インディゴの夜」シリーズにも挑戦してみたいと思います。
まちこ さん (20代女性 専門職)
 現実の世界と仮想の現実が常に交差している舞台設定が新鮮でした。思わずその場所を探してみたくなります。物語の中にいる彼らがよりリアルになっていくような気がする。一つずつの話が完結型ですが、どの話にもいつも一つの謎が付きまとっており、その不確かな感じが読者をページの先へ先へと誘います。
 一番好きなキャラは隼人です。等身大のキャラクターにとても親近感が沸きました。若い人には特にそう感じる人が多いのではないでしょうか。
 その隼人がたびたび回想する朝美のいるシーンは、まるで映像を見ているような雰囲気があります。自分の頭の中に色つきでそのシーンが浮かびます。繰り返し物語に出てくるところがまた強烈な印象を残しました。
 キャラクターや舞台設定がリアルで生き生きしていて、映像化も期待しちゃいます。
サイラ さん (40代女性 その他)
 以前より、加藤実秋は『インディゴの夜』に代表されるように、イキの良い、でもどこか屈託を抱えた男の子を書かせたらピカイチだと思っていた。この『黄金坂ハーフウェイズ』にもやはり、それぞれに屈託や悩み、秘密を抱えた男の子が出てきて、それが作品をさらに面白くしていると思う。特に、秘密というか謎だらけのイズミ(あの日給はないだろうし、なぜあの店で働いているのかわからない)、主人公隼人の高校時代の友人のダイスケ、あるいは衆議院議員の息子の大貴。そして、隼人と腐れ縁コンビの楓太。彼らが隼人に対して持つある思いが物語を動かしている。加えて、彼らを取り巻く女性陣が良い。特に「HOLLOWS」のオーナー(?)摩耶。出番は少ないが、妙に迫力があり、印象に残ってしまう。雪乃&ぼたんの芸者コンビも何のかんのと言いながら、隼人たちを見守っている感じがある。そして、隼人たちの高校時代の友人の朝美。すでに亡くなっている彼女の事件が、全ての発端とも言える。
 朝美の事件の謎のほか、いくつもの謎がちりばめられ、続きが気になってついページをめくってしまい、気がついたら一気に読み終わっていた。
 好きなのは、隼人と楓太が「HOLLOWS」の店内でケンカをするシーンとそのときの摩耶の台詞。「うちは持ち込み禁止。前にそう言わなかった? 酒に食べ物、それにガキのケンカ」