いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

或るろくでなしの死

■第19回モニター「或るろくでなしの死」平山夢明

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

剣先 あやめ さん (30代女性 主婦)
 誰もが自分は正気だと思っている。しかし、それを客観的に証明する方法はなく、他人から狂っていると言われたら、それは違うと叫ぶしかない。生きていくためには多少のことは目をつぶる必要があるが、それを言い訳にしているうちにいつのまにか、必要なことにも目をつぶってしまっている。正気を自覚するよりは狂気を自覚する方が難しい。仕方がないと呟きながら、奈落に向かって自分から滑り落ちていく。そんな人々の行動を馬鹿だなあとおもいつつも、本を閉じたあとはそっと昨日までの自分を振り返ってみる。靴のつま先に詰まった砂粒のような嫌らしさがいつまでもあとに残る作品だった。
 いちばん好きな短編は、「或る愛情の死」。自分にも子供がいて、夫がいる。主人公の狂気は明日の自分の狂気かもしれない。そんな身近な嫌らしさと恐ろしさをかんじさせる。
妻が異形の者に自らなったことにより、夫はようやく妻を受け入れる事ができたのか。これも一つの夫婦愛なのか。また妻を「美しい」とかんじる事ができたのは喜ぶべきことなのか。と考えさせられる。
 今回も相変わらず平山節が全開ですね。まとわりつくような嫌らしさがたまりません。これからもますますのご活躍お祈り申し上げます。
カーレン さん (10代女性 学生)
 七つの様々な「死」はとても興味深かったです。
 その「死」へと向かうまでの描写が細やかで引き込まれるように読みました。
いちばん好きな短編は「或るからっぽの死」。
 主人公が自分に関心がある人物だけ見えるという不思議な能力を持っているという設定。最後まで気が抜けずに読んでしまいました。
命あるものが全て、いつかは死んでしまうのはこの世の道理。しかし、愛情も、生きながらに死んでしまうことも時にはある。そんな様々な一瞬の「死」に引き込まれるように読みました。
カズ さん (40代男性 会社員)
 この著書は様々な“死”、人間だけではなく、ハムスターや猫などの動物の死、そして、本来は死を観念することができない感覚の死に照準を合わせて書かれたものである。
 通常、小説で描かれる“死”というものは、愛するものの死、あるいは死ぬその日までひたむきに生きる姿を見せるといった、時に哀しく、時に感動的なものであり、多くは人間の感情に訴えるものがほとんであろう。
 しかし、本書で描かれている“死”というのは、そうした感情とは無縁の、恐ろしく、物質的な、無機質な事象として表現されている。まるで、模型の飛行機が両翼からもぎ取られて、バラバラにされていくように、ハムスターが殺され、猫が殺され、人間が死んでゆく。それはちょうど、カメラのファインダーから見た、誰にでも同じように見える事象としての“死”なのである。
 しかし、そうであるから、リアリティに欠けるのかというと、決して、そんなことはなく、ファインダーのこちら側にいる我々には、目の前1メートルで起こっている事象と錯覚するくらい、強烈なリアリティを感じさせ、見たくないその場面を見、かつ、聞きたくない音まで聞こえてきそうな、そんな状態に読者を引き込んでいく。したがって、この著書の読後感、いや、読中感は極めて、よくない。途中、何度も投げ出しそうになった。人によっては、吐き気をもよおす、あるいは吐いてしまうのではないかと思うくらいのリアリティ、衝撃である。
 “死”という、生きている人間にとっては、リアリティのないことを、日常の当たり前の事象のように淡々と、しかし、目を覆い、耳を塞ぎたくなるように、リアルに描きながら、もし、最後まで読ませることができるのならば、それは作者の“勝利”と呼んでいいのではないだろうか。
これから、平山さんの他の著作も読んでみようと思います。頑張って下さい。
れもん さん (40代女性 公務員)
 読み終えてひと言。とにかく”強烈”。それしか頭に浮かばない。
 数々のミステリやホラーを読んできたので、グロい表現もそれなりに免疫はついているほうだ。当たり前にスッと読み進める。けれど、この七つの物語だけは…。寝る前に読んだなら、きっと悪夢にうなされるだろう。そう思えて、仕方がない。この物語は虚構の世界。それが解っているから、正気で読めたのだと思う。

 いちばん好きな短編は、「或る愛情の死」。
 目の前で一生分の愛情を注いだ子供を惨い形で亡くした母親の狂気が、読んでいて辛いのだけれど、その気持ちは理解できるような気がしました。
 その中でも印象に残っているシーンは、刑事がやってきて話す場面。
 足下が崩れ落ちていくような感覚でした。何もかもがひっくり返ってしまって。
ノリ さん (30代女性 会社員)
 今の世界とは別の、もうひとつ・・・どす黒かったり、灰色だったりする世界に迷い込んだような作品。

 “狂気”と言う宣伝文句に、一瞬尻込みしましたが、短編集だったので読み切れました。
 「或る嫌われ者の死」にあった、日本が起こした感染爆発により、民族滅亡、日本人も激減…このストーリーを長編で読んでみたいと思いました。
 日本人が激減する世界って、考えた事ありませんでしたが、50年後、100年後に起こりうることかも!!と、今の日本を思うと、ない事ではないな・・・と、思ってゾクゾクしました。
 起こったらとんでもないけど、起こってもおかしくない事・・・ぜひ、読んでみたいです!!
ぽんぽこ大王 さん (10代男性 学生)
 恐ろしかった。冷たい恐ろしさを感じた。
 それぞれの短編が、現実に起こり得そうだったり、そうでなかったりする。でもどの短編にも感じるのは、共通する冷気。
 正直なところを言えば、僕は作者の書こうとしているものを完全に読みとれている気がしない。短編をひとつ読み終えるごとに読者は、この物語の中で何が起こったのだろう? いったい何が死んでしまったのだろう?と、悩むことになると思う。僕がそうだった。でも、その悩んでいる時間が(つまり物語の余韻が)すごく怖くて、混沌としていて、そして何より楽しかった。
 この本におさめられている小説はどれも、おもしろい。やっぱりいちばん重要なのは、「おもしろい」ということではないだろうか。ならばこの本は最高の一冊だ。だっておもしろいんだから。怖いんだから。文章が綺麗で読みやすくて、止まらないほど夢中にさせてくれるんだから。
いちばん好きな短編は「或る愛情の死」だろうか。
 タイトルのとおり、残酷な死によって崩壊したひとつの愛情を描いている。
 病気を患った息子の死。家族の愛情の死。そして最後におとずれるある人物の死。死が人を悲しませ、壊し、そしてまた死を呼ぶ。壊れていく人間の狂気と痛ましい死の連鎖が、冷静な文章で、えぐるように描かれていた。

 「或るごくつぶしの死」の最後の一文が心に残った。
 どの短編も最後の一文、またはラストシーンがきいている。なかでもこの一文には、はっとした。
 「心が死んだ」とはよく聞くフレーズだが、それはまさに言い換えればこういうことなのだ。肉体の死は、そのまま精神の死にも結びつく。けれど、精神だけが先に死んでしまった人間は肉体だけが動き回るようになり、ときには他の人間の精神を殺してしまうこともあるのではないか。思わず唸り、深く考えてしまう一文だった。

 『或るろくでなしの死』は、まぎれもなく傑作のホラー小説でした。
 整った文章が、また恐ろしさを増強させて、いっそう深いものにしていたと思います。一編目から夢中になりました。
 平山夢明さんの作品は初めて読ませていただきましたが、一作でファンになりました。これから既刊作品もいろいろと読んでみようと思います。貴重な読書体験でした。ありがとうございました。
わきた さん (20代女性 会社員)
 目を背けたくなる程残酷だったり、胸が詰まる程哀しかったり、何も必要でない程虚しかったり、唖然としてしまう程突飛だったり、いろんな意味で凄かったです。
 子どもを扱った話は親としてはとても辛くて、辛くて辛くて読むのが苦痛であったりしたけど、でもこの不思議な空間で巻き起こる様々な死の瞬間に、読む手は止まりませんでした。
 そう、たぶん、この現代であったり近未来であったり、日本であったり日本っぽいけどそうであるか不明な場所であったり、それがよりこの“死”を際立たせていたような気がします。
 壮絶で、圧巻。
 不気味なのにどこか哀しく。
 静かで暗い愛が漂っていて。
 胸糞が悪いのに惹かれてしまう。
 そんな一冊。まさに衝撃でした。

 「或るごくつぶしの死」は、好きというよりは、最も頭から離れない作品です。背中に寒気が走って、おぞましいとさえ思った。でもそれはたぶん恐怖からだと、後で理解しました。そう、子どもを持つ親として、南無の瞳が私に向けられているように感じられたから。
 空っぽの部屋の真ん中のベビーカー。
 南無の瞳。
 最期に微かに嗤った口元。
 はっきりと私の頭に焼き付いています。
 お前に親になる覚悟はあるかと、今でも問われているようです。

 初めて拝読させていただきましたが、信じられないくらいの衝撃をいただきました。稀にみる人の残酷さとおぞましさと哀しさと虚しさ儚さと、暗い愛。7つの死が怒涛に押し寄せてきました。
 なんて怖ろしい話を書く人だと思ったのに、次は長編も読んでみたいと思ってしまった。怖いもの見たさでは片付けられない、強い力で引っ張られました。
 今後も平山さんの世界を、期待しています。
きくちゃん さん (20代女性 その他)
 一言で言い表すと、グロイ!!でもホラーやミステリーのジャンルが好きな読者はあっという間に読んでしまうと思います。ただ残酷な描写だけではなくそれぞれの短編にストーリーがあるので後味の悪いものもあれば、ちょっと考えさせられたりするものまで7つそれぞれの味わいがあった。

 いちばん好きな短編は、「或る愛情の死」。
 まさかの結末に、愛情も行き過ぎるとこうなるのか・・・と背筋が寒くなった。
 導入部分から、母親の様子がちょっと普通じゃないなぁと感じてはいたけど。飛ばっちりを受けるユージも可哀相だったけど、あの事件、医師の診断。息子のユーイチが悲惨すぎてやりきれなかった。 

 平山先生の作品は今回初めて読みましたが、ホラーやミステリーといったジャンルが好きなので、1日もかからずあっという間に読んでしまいました。他の作品も読んでみます!これからもゾクッとするような作品期待しています!!
小野メシア さん (30代女性 会社員)
 「生きていればいつか良いことがあるさ」と「死ねば楽になれる」――正しいのはどちらだ? 答えは、「どちらも実であり、同時に虚もである」。
 本書でえがかれるのは7つの?死?だ。?死?の有り様はひとつとは限らない。ホームレスの男は自らの善意と引き換えに、誰にも看取られない惨めな死を迎える。心の壊れた妻と暮らす男の家庭では、?愛情?が死んでいる。言い訳に逃げ道を探すばかりの男には、何の、どんな?死?が待ち受けているのか
 吐き気がするほどに、?死?、?死?、?死?の連続が読者を襲う。しかし全ては虚であり実である。すなわち、?死?の中から浮かび上がる?生?こそが本書の、ひいては作者の狙いなのだろう。

 いちばん好きな短編は、「或るごくつぶしの死」。
 ゆるやかに心を殺してきた男が、現実の?死?を前にしてついに完全なる?心の死?を迎える。
 読者による感情移入を完全に拒絶したかのような隙のない一篇。淡白な語り口でありながら、物語は重すぎるほどに重厚で濃密。見事なり。

 いちばん印象に残ったのは、「或るからっぽの死」のラスト。
 自分が自身への興味を失ったと気づいた主人公が、悲しみも恐れもない?からっぽ?のまま、当然のように死を選ぶシーン
 『大丈夫なんだから。』
 というからっぽな独白。一人称小説の醍醐味と、平山夢明の真骨頂と感じた。こんなに空しい「大丈夫」を、私は知らない。
manaview さん (20代男性 その他)
 どことなく低温にも感じられる文体で語られる「死」とそこに至る過程の設定は読み進めるとそこに主人公たちの体温や匂いや町の肌触りのような雰囲気があり気が付くと一編が終わっていて余韻が残る。その余韻が生きているということを教えてくれるような短編集でまた読み返したい。

 いちばん好きな短編は、「或る英雄の死」。
 ここで起きた出来事や彼らがしたようなことをした経験はないのだけども、ただその行為をしてしまうという事に関しては否定ができず、あるいはその可能性をいくらでも秘めてしまっているような、とても近いものを感じてしまった。意味がないような悪ふざけが引き起こす最悪な展開にいくらでも僕は転げ落ちるかもしれないという嫌な親近感。
 イチローとジローの描写はさすがに面白くて笑ってしまった。ちょっとギャグ漫画ちっくな気もしたけどなんだか怖さと同時にオモシロクもあった。

 読んでいると僕は低温にも感じられたこの文体が心地よく、しかしながら生への実感の裏返しのように感じられました。他の作品も読んでみようと思います。
よしの さん (10代女性 学生)
 入っている短編ひとつひとつが本当にすごく、すごく面白かった。
 私は3年ほど前に平山さんの本に出会い、その後ほとんどの小説を読んできたのですが9月に中国で起きた、ひき逃げされた女の子を通行人18人が無視、誰も助けようとはしなかった。という中国ひき逃げ事件のニュースを聞いたときに、うわ・・・・平山さんの小説の中の世界みたいじゃないか。と思いました。
 あの、道徳のかけらも無いような世界は平山さんの小説の中にしかないだろうと思っていたから、とても驚いていたところに今回の『或るろくでなしの死』の中の「或るはぐれ者の死」を読んでまた衝撃を受けました。また、あの中国ひき逃げ事件を聞いたような気分だった。

 いちばん好きな短編は、「或るろくでなしの死」。
 普段は無感情に人を殺すことのできる血も涙もないような男が、悲惨な環境で生活している少女を助けるというところに、男の優しさが現れているギャップ(?)のようなものを感じて、とても心があたたかくなった。
 独白するユニバーサル横メルカトルに入っている「無垢の祈り」と何か通じるようなものがありました。「無垢の祈り」を読んだときも心があたたかくなって、泣いたのを覚えています。

 いちばん印象に残ったのは、「或るごくつぶしの死」の中で、主人公がナムに指を吸われているときに言った、「くすぐったいぜ。」というところ。
 今の日本にたくさん居そうな、自分本位で子供のことなど気にもかけないような親にでもやはりこういう風に子供と向き合うと、微笑ましい感じになるのかなぁ・・・と疑問に思ったと同時になんだか救われたような気分になりました。

 平山さん、いつも楽しく読ませていただいています!。平山さんの新刊が出たときは本当に寝食を忘れるほどに夢中になって読んでいます。
 いつも幸せな読書の時間を与えてくださってありがとうございます。これからも応援し続けます、平山さん大好きです!
nao さん (20代女性 学生)
 今回の短編集、何かが違う。
 既刊の作品と比べると、ゆっくりしているという印象です。『独白するユニバーサル横メルカトル』や『ミサイルマン』など、その残酷な世界に引き込まれ、振り回され、突き放されるのですが、今回は‘取り残される’という感覚を覚えました。
 今まで壮絶な人間の生を描いてきた平山夢明の、‘死’についての短編集だということがまざまざと感じられます。それぞれの短編を読んでいると、狂気を描いた作品のオマージュになっているものもあり、分かる人は思わずにやりとしてしまうでしょう。狂気と不条理、残酷さの向こう側にある美しさ、読了後は放心間違いなしだと思います。
 表題作は、ちっちゃな女の子が殺し屋を自分の言いなりにして振り回す話ですが、登場人物はみんな異常です。雇われの殺し屋、ハムスターを片っ端から殺していく女の子、小児性愛の変態。こんな世界に生きてたらどれが正しくてどれがおかしいかなんて分かったもんじゃないですよ。それでも人間は生きていかなくちゃいけない。たとえ小学生だろうと決断しなくちゃいけない。そのぎりぎりの描写がとてもせつないです。

 「或るろくでなしの死」でサキが殺し屋に話しかけるシーンが印象的です。
 ここの場面のサキの〈ねえ〉は(声ですが)非常に映像的だと思って深く印象に残っています。「寝た奴と話すのは病人相手みたいで縁起悪いじゃないか」というセリフも好きです。思わず小学生かよと笑ってしまいました。

 平山せんせい、高校のときに『独白するユニバーサル横メルカトル』で衝撃を受けました。もっとたくさんの作品が読みたいので頑張って本を出してください!麻薬みたいなものなので待ってる読者はつらいです。ずっと応援してます。ぜんぶぶち壊してください!
ベック さん (40代男性 会社員)
 七つの短編すべてに平山夢明の持ち味がにじみ出ている。奇妙な登場人物と歪んだ話。適度なグロと破天荒な展開。少し軽めだけど、どんどん読まされる。七つの物語すべてに究極の終結が描かれており、それは死そのものであったり死に値する出来事であったりする。まさにそれは究極の地獄。おぞましい。

 いちばん印象に残ったのは、「或る英雄の死」に出てくる猫との自慰とイチロー、ジローの巨漢兄弟。

 平山さんの作品は小説作品はほとんど読んでおります。長編はすべて大好きです。短編もいいのですが、できるだけ長くて奇妙でグロい作品お願いします。
ちさ さん (20代女性 学生)
 一つ目の短編から恐ろしい。背筋が凍るなんて言葉がありますが、この作品は、そんなあからさまな恐怖を植え付けるのではなくじんわりと光を闇に変え、無慈悲をそっと肩に乗せてくるんです。恐ろしいけど、どこか身近に感じさせる、そんな短編の集まりでした。夜中に半身浴をしながら読んだ私は、なんて場違いなんだと嘆きました。そのあと一人で体を洗うなんて到底できない!狂気の沙汰を目の当たりにしました。

 いちばん好きな短編は、「或る嫌われ者の死」です。
 最後まで希望を捨てていない日本人の姿がすがすがしく感じてとても好きです。男は家族に会えないが会話ができたことは幸せだったのだろうか。いろいろ考えさせられるところは多いですがそれでも男と男のやり取りに愛を感じましたし、家族間でのきずなも感じたのでとても好きな短編でした。

 どの作品も締めくくりに肝が冷えるというか、心臓を冷たい手でそっとじんわり握られていくような作品ばかりで一つに絞ることはとても難しいのですが…。ぞっとしたという意味で最も印象に残っている作品は、「或る愛情の死」です。
 その最後の2文。それまでの壮絶な流れ、母親の歪みきった息子への狂愛。それを存分に狂いきった母親を描いていたのできっとこのまま狂った母親を描いて終わるんだろうなと想像して読んでいたのに、締め方は、まさかの美しい女としての姿が垣間見えたとのこと。
 ぞっとしました。そこに美しさをみいだせるのは家族としての愛なのか、はたまた女としての魅力を感じたのか。そう考えれば考えるほどぞっとし、印象に残りました。

 狂気の沙汰。
 そんな一言がとても似合う作品でした。時折、恐ろしく思わせるシーンや惨い殺し。そんな非現実的であるはずの情景が目に浮かぶのは平山さんの選んだ文才だと改めて実感しました。これからも執筆頑張ってください。
ひとで さん (20代女性 学生)
 登場人物もシチュエーションも、どこか狂っていておかしい。でも、登場人物たちが抱えているどろどろした感情は、現実の私たちも少なからず感じたことがあるはず。人間としてどうしようもないキャラクター達なのに、なぜか理解できてしまう部分があったり、共感できてしまったりすることがある。読後に何ともいえない、どろっとした余韻を残す1冊。
 爽快感や疾走感とは対極にあるような作品だと思った。軽めにさくっと読める本をお求めの方・ハッピーエンドが好きな方・グロテスクな描写が苦手な方には間違ってもオススメしてはならない。逆に、人間の心の闇を覗き込んでみたい方・救いのないお話が好きだという方にはうってつけかもしれない。是非一度読んでみて欲しい。

 一番好きな短編は、【或るはぐれ者の死】
 誰からも理解されず、誰にも顧みられることもなく死んでいった男の話。
 『どうして周りは解ってくれないんだ』と叫ぶ男が感じた孤独感と絶望感に、読んでいるこっちまで引きずられるようだった。世界にたった一人取り残されたような感覚を味わえる話だった。

 印象に残った場面は、【或るはぐれ者の死】JJと警察の問答
 警察の対応がいかにもあしらうという感じで、必死な男との対比が良かった。自分が人間扱いされていないような気持ちを、読む側にもよく伝えていると思う。
とらさん さん (30代男性 専門職)
 一つ一つの短編内でおきる死は、現実的にもありそうだけれども、実際はないと思われる死。記載されている死について考えさせれました。

 『ダイナー』で記された小説としては類を見ない内容からすると、『或るろくでなしの死』は想像しやすい王道路線的な内容に感じられた。個人的には理解しやすく面白かったのですが、一方で、今までの小説のように平山節を強く感じる小説も読みたいと感じました。自分自身の知り合いには『ダイナー』の表紙が「美味しそう」だから買って読んだけど、初めの克明に記された殺されるシーンを読んで気持ち悪くなって読むのを止めたと言う人がいます。平山さんの内容は、偏った内容なので好む人と好まざる人が二分しますが、それが特徴だと思います。これからも万人に受ける内容ではなく、支持する人にうける文章を期待しています。
とも さん (40代女性 無職)
 残虐な場面も多々あるのに、引き込まれました。どの作品も良かったです。
 肉体の死の描写のみではなく、そこに至る状況、周囲の人間の行動、更に正常が何かということまで改めて考えさせられる作品でした。どの作品にも激しい狂気の気配が濃密でそれに酔いしれました。大変完成度が高いと思います。

 どれも良かったのですが・・・・いちばん好きな短編は、「或るろくでなしの死」。
 少女の狂気とそれを見つめる男との関係がたまらなく最後いとおしく感じました。
 書いていることは一種のタブー(幼児愛・動物虐待・児童虐待)にも属しているのですが、この歪んだ世界に体ごと巻き込まれました。

 これからもおぞましい作品で私達を魅了させてくださいませ。楽しみにしています。
 素晴らしい作品をありがとうございます。
抹茶パフェ さん (40代女性 会社員)
 読書に癒しを求めたり、疲れているときの清涼剤としてページをめくれば、強烈なパンチの連続で確実にノックアウトされる。「莫迦、出直してこいよ」と。怒濤のグロ怖さラッシュで攻める全7作品はタフさがなければ読了できない。もはやこれは挑戦状だ。
 程度の差こそあるが、作品に登場する主人公たちは、いずれも、ろくでなしである。しかし、常軌を逸した行動や理解しがたい思考を持つものたちは遠い存在ではなく、実は我々のすぐ隣にいるのだと分かった瞬間に、ぞっとさせられる。
 『或るろくでなしの死』で扱われる題材自体は、育児放棄や差別の視線、覗き見など、実はわたしたちの心の中で抑圧している小さな狂気の芽ではないかと、読んでいてたびたび思うことがあった。彼らは、理性と規制の中で息苦しく生きる偽りの現代人にとって、表裏一体、鏡のような存在なのかもしれない。
 平山夢明氏が描くろくでなし達は、決して望んで、人の道から外れた選択をしているわけではない。誰にも知られたくない、薄暗い感情をちらちらとのぞかせるとき、彼らはわたしたちから良識の仮面を、少しずつ剥がしはじめる。その生き様を正面から捉える氏の真摯さは、辛辣な言葉のなかに隠された優しさでもある。作品は狂気と激しさにあふれているが、読み終えるとフルマラソン完走にも似た、心地よい爽快感が広がるのは、その証左なのだから。

 一番好きな短編は「或るごくつぶしの死」。短いながらも嫌な話で、好きな作品。不快なこと、遠ざけたいことを先延ばしにしてきた主人公の行動は身勝手だが、その正直さには心をえぐられるような辛さを感じる。

 (「或るからっぽの死」ラスト付近の)「最期はあんたに殺って貰えるんだね」。行きずりの女・シニコとのラブストーリーが迎えた結末には無力感だけが残り、あまりにも切ない。

 人間の暗部をえぐりだし、その中に真摯さを忘れない平山夢明さんの作品を、これからも読んでいきたいです。
くりあゆ さん (20代女性 学生)
 気味が悪い、気持ち悪いなのに目がそらせない。ページを捲るたびに身を竦めながら怖いもの見たさで読み進めてしまう…。
 幽霊や怪奇現象のようなホラーではなくて、人間の無関心や虚無感の中に巣食った狂気を描く、そんな話でした。
 短編集なのですらすらと読め、物理的な死、精神的な死など様々な死をテーマにしながらテンポのいい会話やキャラクターたちが重々しくさせすぎず魅力的でした。

 いちばん好きな短編は、「或る英雄の死」。
 一番謎が多くこの家族?はどのようにして生きていたのだろうと気になってしまい何度も読み返してしまった。
 更地になってしまった場所を恨むことを生きる原動力としたばふんに切なさが浮かぶし、それを言わずにいるサトルも切ない。そしてあの家族はどうなってしまったのだろうと思わずにはいられない。
 あのお婆さんは地獄の使者であの男たちは死んでしまった猫だったのではと考えてしまった。

 ミステリばかりでホラーがメインの小説はあまり読まないのですが狂気の世界に引き込まれました。
ままろ さん (40代女性 主婦)
 なんだかむなしくなってくる。人間て結局は死ぬときはそんなもの?って感じ。
 死んだら皆同じだし死ぬのも当たり前、だけど死に方に問題があるんだよね。この本に書かれている死にかたって皆むなしくて寂しくて残酷で悲しくなってくる・・こんな死に方はしたくないって思う死に方ばかり。悲しいよね。

 いちばん好きな短編は、「或るろくでなしの死」。
 孤独な少女と殺し屋の話。悲惨な話の中にも少し明るい未来に通じるようなエピソードが盛り込まれていたから・・・子供が死ぬのは読みたくない。

 正直前向きな内容の本ではないのであまり読みたくないです。
 だけど自分が嫌になった時、嫌なことがあってどうにも落ち込んでしまったとき読みたくなると思う。皆一緒。死ぬのは一緒。こんな死に方をしないだけまだましこんな死に方だけしたくない。そう自分を励ませるような気がする。
こまる さん (30代女性 その他)
 表面的にはすごく読みやすかったと思います。それは,生理的嫌悪感や肉体的な痛みや拷問等の残酷さという点で。でも,読んだ後の「精神的残酷さ」は,どれも,これまで以上だったと思います。
 今回は,よそから見るとどうにかしなよ!と強く思うような狂った日常が続いていくシーンをかなりじっくり書いていて,それ自体の怖さが,これまで以上だったと思います。例えばJJは誰からも話を聞いてもらえないままだし,線路に挟まれた男性は延々と野次馬から嫌がらせをされるし,ともくんと小海は妊娠と子どもの誕生を他人事としっぱなしだし,子どもを亡くした家族なのに形としての団欒は続いているし,シニコは自殺未遂を続けているし・・・。誰も気づかないのか?とか,どうにかしてやれよ!とか,自分が本に飛び込みたい!と思いつつ,読み終わった後に「でも現実もこんなものなのかも」とげんなりします。
 どうせお金を出して本を買うなら,エモーショナルな体験をしたいし,自分はネガティブな意味でのエモーショナルさを求めているので,本当に面白く読み,大いにげんなりしました。

 平山さんのラジオもできる限り聞いているし,トークショーに行ったり,雑誌等への寄稿も読んでいますが,やっぱり著作!それも小説!と思いました。
 上記のような様々な分野で,こんな人いるんだ・・・といろんな意味でびっくりするのですが,小説を読んでいると,お話もさることながら,「頭の巧い女」とか「あたため」とか,言葉づかいが作り出す世界観にびっくりすることがたくさんあります。
 たくさん読みたいですが,何度も読んでかみ締めてるし,平山ファンの弟と話すことがたくさんあるので,当分足りています。平山さんにはなんていうか好きなようにやってほしい(笑)と思います。
666silence さん (30代男性 会社員)
 平山夢明氏の新刊が出るとあって大変楽しみにしていました。また装丁を手掛けている坂野公一氏のデザインもいつも楽しみにしています。今回読者モニター用とあって完成した装丁が見れなかったのは残念でしたが...
 七人の人物が織り出す死。ある者は肉体的な死へ。ある者は精神的な死へ。読んでいて感じたのは、全体にとても渇いた気怠い空気が漂っていた事です。恐ろしく退屈に倦んだ日常に墓標が立って行くイメージを連想しました。平山氏の十八番の狂気のトリガーとなる要素があらゆる場所散りばめられており、いつ狂気が狂い咲くのかを楽しみながら読了しました。
 個人的には「或るごくつぶしの死」のラスト描写が最高でした。緩やかに精神的に死んでいく様にご飯三杯喰えます!!!

 平山さんの小説を読んでいると日頃の憂さを晴れます。
 一平山ファンとしては、「Ωの聖餐」のような圧倒的な狂気と崇高さが共存する長編を読みたいです。
 また強烈にコントラストが効いた作品を楽しみに待っています。お体に気おつけてください。ありがとうございました。
ペキンパーの男 さん (40代男性 自営業)
 一見、タイトルだけで纏められた連作のような雰囲気だが、各作品は“非常に狭い範囲でバラエティに富んでおり”、各々独立した物語となっている。今までの平山作品に親しんで来た読者には勿論の事、前作『ダイナー』でファンになった読者も十二分に楽しめる怪作揃いである。無国籍な雰囲気と後味の悪い残虐性は若干影を潜めたが、それは取りも直さず『ダイナー』で一躍開花した、独自のエンタテインメント性を獲得したという事ではなかろうか。とはいえ、この作品集に収められた各作品は、相変わらず誰にでも薦められるような一般性は余り無い。ほとんどオチと言えるようなオチは無く、唐突に物語は幕を閉じる。分かりにくいとも思える描写は、逆に言えば何度も読み返したくなる中毒性を持っているとも言える。実際、平山作品のファンは、他作品では味わえない快楽を求めて読み続けるのではないだろうか? そしてこの『或るろくでなしの死』は、その期待に十分応えられる作品集になっていると思う。
 一番好きな短編は「或るからっぽの死」。どうしようも無い男とどうしようも無い女の一瞬の輝きを、今までの筆致とはひと味違った幻想的な雰囲気で描き出した作品だから。
 最も印象に残ったセリフは『たぁまぁ〜たまたまたま……たぁまぁ〜たまたまたま……たぁまぁ〜たまたまたま。』
 その後に続く台詞『人間なんてくだらねえ生き物だよ』という、この不条理な短編「或る英雄の死」において唯一メッセージらしき台詞を非常に効果的に盛り上げる為の役割を果たしている、一見とてもくだらなく思える台詞であるから。

 近い将来、平山さんご自身の手で、著作の映像化を是非果たして欲しいと期待しております。
冬のホンダナ さん (50代女性 主婦)
 読みながら思わず、苦虫つぶしたようなしかめっ面になったり、眉間のシワがよりいっそう深くなってしまうくらいの表情になりながら読むこととなった。ハラハラ、ドキドキ。第一話目のストーリーの最初のページから目が離せなくなった。思わず本を閉じたくなるくらい、残酷なシーンの連続だったが、閉じることができず一気に読んでしまった。ラストのストーリーに近づくにつれ、どんどん読むスピードがアップしていき、わざとそのスピードをゆるめることにしたくらいだ。
 ストーリーに衝撃を受け、物語の登場人物の深い悲しみに胸が痛み、肉体も痛くなるほどの感情を抱いてしまった。まさに崩壊、救いようのない虚無感に襲われたりもした。目に見えない “ 愛 ” をカタチに出来る描写力に驚愕。
 好きになったら相手を焦がしてしまうくらい愛してしまいそうになることは、誰にだってあることだと思う。死を見つめることで、なぜ人は生きているんだろう、という疑問を投げかけられている気がした。

 好きな作品は、2つあり、選ぶのが難しかったですが、あえて選ぶとするならば、「或る嫌われ者の死」です。
 ジェイ(ジェイク)と男の会話のやり取りから、この男の深い哀しみが浮き彫りにされて、この男とのやり取りの中からいろんな思いが感じ取ることが出来たから。
 ジェイクの優しさと、この男がかろうじて生きていられる現実の切なさが絡み合って何とも言えない悲しい気持ちになったけど。ジェイが、彼の気持ちをほんの少しだけど、救ったような余韻が残る、この作品が好きです。

 これからもどんどん書いていってください。一つのテーマをどんどん突き詰めて、私たちにメッセージを投げかけてください。心を震わせる作品、書いてください。期待しています、楽しみに待っています。
幽明 さん (20代男性 会社員)
 平山夢明の短篇集『或るろくでなしの死』はどうしようもない悲しい物語ばかり綴られている。どの物語もちょっとした意志の齟齬が凄惨の結末を導き出している。
 一人一人の小さな無関心と拒絶によって引き起こされた「或るはぐれ者の死」は昨今の世情を大きく反映した作品と言える。しかし、実際にこの作品が書かれたのは今から四年も前だというのが驚きだ。それだけ、平山夢明の観察眼が冴え渡る作品だといえる。
 「或る英雄の死」はこの短篇集の中ではかなりぶっ飛んだ作品だった。主人公が川に溺れたのを助けた時の、怪我で人生が狂った恩人と少し危ない夜遊びをする。それだけのつもりだったのに、気付かないうちに危険な領域に足を踏み入れて、引き返せない状況にまで陥ってしまうというのは恐ろしかった。始めの高いテンションから、最後の時間が重く流れていく結末になるというのがより物語をおぞましく感じさせた。
 「或るからっぽの死」は人の姿がはっきり見えない主人公の物語。成長していく中で、自分に興味を持ってくれた相手だけ姿がはっきりと見えると気づくのが切ない。
 自分に興味のある相手の姿しかはっきり見えないという設定だけでも辛いのに、更にそこから突き進んだ話に持ち込むのだから平山夢明はすごい。
 どうしようもない悲しい物語ばかりだが、どの物語も必死に抗い、足掻こうとする姿が描かれているのが印象的だった。単純な残酷な物語ではなく、生きる強さや痛み、尊さまでもがこの短篇集から綴られている。
 また最初の「或るはぐれ者の死」と最後の「或るからっぽの死」は、前者は見えているものを見ようとしないもの達に対する悲劇、後者は見えないものが見えた時の悲劇で対にようになっているのも印象的だった。

 平山先生。『或るろくでなしの死』はどの作品も大変面白く読みました。まさしく何処を切っても美味しく、隙のない作りで大満足です。平山さんのお話はとても痛烈で、読んでいて苦しくなるんですが、それでも一条の光が幽かに差し込んでいるようにどこか優しい気持ちになれる側面もあるので、最後まで読むととても幸せな気持ちになれます。
 これだけ素敵な作品を読んだ後だと、なかなかバンバン出してくださいって言いにくいですけれど、また次の作品も楽しみなので、バンバン読めると嬉しいです。
 平山さんの次回作も楽しみにしております。
春穂 さん (20代女性 その他)
 思わず、口元を手で押さえてしまった。
 なんてことはない、というように繰り広げられる行為はひたすらに残酷で悲惨。読んでいる間、何度も逃げ出したくなったけれど彼らにどうしても希望を見いだそうとしてページをめくり続けた。七通りの<死>はどれも静かな狂気に満ちていて<死>の恐ろしさを痛感する。登場人物は皆、共感しがたい人間だった。でもちょっとした人間臭さやもがきながら生きようとする姿はただ普通の人間で、不器用さになんだか切なくなった。

 一番好きな短編は表題作の「或るろくでなしの死」です。
 ヨミとサキの不思議な関係。親と子のようにも腐れ縁の幼馴染のようにもあってどこか温かくて好きです。

 最も印象に残ったのは「或る愛情の死」のラスト。
 芙美の流す涙を美しいと思えてならないのは何故なのだろうと考えてみたけれど私にはまだその理由を理解できていません。それでもその光景がすうっと頭に浮かんで何とも言えない気持ちになりました。

 初めて平山さんの作品を読ませていただきました。目をそらしたくなるような痛々しい多くの場面に人間の弱さや哀愁が覗き、怖いながらもあっという間に読み終えてしまいました。これからこの作品を読まれる多くの方々にも七通りの<死>を感じてもらえたらなと思います。