いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

パラダイス・ロスト

■第20回モニター「パラダイス・ロスト」柳広司

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

さん (20代女性 会社員)
 正直に言えば【ジョーカー・ゲーム】も【ダブル・ジョーカー】も未読のまま【パラダイス・ロスト】を読んだので、人物、背景、各々の繋がり、そういったものが分からない状態であった。しかし、そんなこと気にもならない位に面白くてページを捲るスピードが徐々に早まっていった。とにかく面白かったし、時代背景はとてもしっかり書かれていて当時の情勢が目に浮かぶようです。
 それと同時に少しだけ恐ろしいとも感じた。余りにも完璧すぎるから。D機関のメンバーが。結城中佐が。彼等だけで戦争の勝敗を決める事が可能なんじゃないかと思わせるほどに。特に結城中佐の頭の回転の速さには驚きを禁じ得ない。例え元々の素質があったとしても訓練してここまで優秀な人物にはそうそうなれはしないだろうに。ただ、過去を捨てて生きていくのは想像以上の過酷さと一抹の寂しさを感じるんじゃないかと思う。
 「死ぬな、殺すな、とらわれるな」この戒律も好きだ。国の為に死ぬのが当然だったこの時代に、生きて戻れと言える人間はとても強いと思う。
 前二作も近い内に必ず読もうと思いました。

 一番好きな短編は【帰還】。例え記憶を失っても、訓練で叩き込まれたことは絶対に忘れない。体が覚えている、とはまさにこういう事を言うのだと思った。
 誤算も計算の内。そんなふうにはとても常人には思えないだろうに、彼等D機関のメンバーはあっさりと通常の軌道に乗せてくる。そもそも、そこまで計算されたうえでの行動、というのがもう凄いとしか言いようがない。とにかくカッコイイ。出来れば島野主人公の短編をもう二、三本読んでみたい。

 月並みな言葉になりますが、本当に面白かったです。何度でも繰り返し読みたくなります。そして何度でも感嘆させられる事でしょう。メインの二冊、絶対に読みます。結城中佐の作り上げたD機関の人々の活躍を、早く記憶に焼き付けたいと思います。これからもご活躍を楽しみにしております!
ゆきひろ さん (30代男性 専門職)
 クールでスタイリッシュなスパイミステリの第3弾。今作も緻密な構成と抜群のリーダビリティで、最後までページを捲る手が止まりませんでした。
 全編に渡り、必ず最後にニヤリとする展開やオチが用意されており、読んでいる間中、何度も「うまい!」「ここまでやるか……」と、心の中で叫んだり呟いたりしていました。
 ひと足先に、素敵な時間をありがとうございます。本を読むのが好きで本当に良かった。

 特に気に入った短編は、本のタイトルにもなっている『失楽園』です。
終盤の展開が、よく出来たジグソーパズルのピースが嵌まっていく感覚に似ていてぞくぞくしましたし、最後の締め方も綺麗だったと思います。

 これが売れなければ大衆文学に未来はない、そう思えるくらい面白かったです。柳広司さん、これからも素晴らしい作品を期待しています。
椿季 さん (20代女性 学生)
 スリリングで鋭利なストーリー展開が魅力的なのは、もはや言わずもがな。色々な予想外を想定している‘つもり’で読んでいて、「やっぱりね」と思って気を抜いた瞬間、「え!そっちも!?」と結局は上をいかれてしまう。でも読者としては、そうやって裏切られるのが堪らない快感になってしまうんですね。
 短編で長編並みの満足感と短編ならではの読みやすさ、テンポのよさ。スパッと気持ちのいいシメ。「退屈」と感じる間が無い。相変わらず見事です。そして、そんな中で、クールで有能なD機関のスパイ達が時折ほんの一瞬だけちらりと見せる(見せてしまう)彼ら‘自身’の心の動きみたいなものが、本当にいいスパイスとなって絶妙に効いていて、今作の隠れた見どころとなっていると思います。

 「ジョーカーゲーム」シリーズ、本当に毎回楽しみに読ませていただいております。読んでいると、家だろうが、電車の中だろうが、ハラハラドキドキ、結城中佐やD機関のスパイたちの手腕に舌を巻き、顔がニヤけてしまうのを押さえられません。好きすぎて今作の発売を知った時、声をあげて喜んでしまい、読者モニターに当選した時は、その2倍喜んでしまいました!これからも楽しみにしております!
クロキ さん (10代女性 学生)
 読み始めてまず作者である柳広司さんの語り口に感動し、そこからスパイたちの頭脳戦に心臓の鼓動が高鳴る。そして、読み終わった時には「騙された。しかし、騙されたとわかっても爽快な気持ちだ。」とそんな不思議な気持ちになりました。

 『パラダイス・ロスト』の中では『追跡』が一番大好きです。『ジョーカー・ゲーム』シリーズを通して“魔王”と呼ばれている結城中佐の過去を解き明かしていくというストーリー。この短編の感想を一言で言うと「さすがは“魔王”。」という言葉がぴったりだと思います。個人的に『ジョーカー・ゲーム』シリーズを通して一番結城中佐のスパイとしての真髄を見れる短編です。

 私は柳広司さんの大ファンで柳広司さんの小説はすべて読みました。どの作品も柳広司さんの世界に引きずり込まれる表現方法で、いつ読んでも感動します。
 個人的には『ジョーカー・ゲーム』シリーズをまだ続けてほしいです。結城中佐、D機関の活躍を再び見れる日を願ってます。
 柳広司さんの次回作を楽しみにしています。これからもお体に気を付けてがんばってください。応援しています。
コウ さん (10代男性 学生)
 今までの作品では、クールでスタイリッシュなスパイ同士の騙し合いや対決が主に描かれていたましたが、今回の作品で新たに加わった視点としては、戦時中の一般人や市民の活躍があります。その市民たちもスパイ同士の駆け引きや戦争の情勢に飲まれていくのであるが、「誤算」などの短編で非常によく表れています。「歴史を変えるのは、常に彼らのような素人の行動なのだ」(54ページ)というようなセリフはD機関の物語には新鮮かつ以外な言葉のような気がして、このシリーズも新たなステージへ動いているような気がします。

 「暗号名ケルベロス」は、中編というある程度の分量があるからこそなせる、どんでん返しや先を読ませない展開が生きています。普通の殺人ミステリとスパイミステリがクロスする展開も面白いですし、最後に明らかになるのですが、スパイに「探偵としての責任」を負わせる展開は、柳さんの探偵に対する意識の高さをうかがわせます。シンプルながら情勢とマッチしたダブルミーニングも好きでした。
ライム さん (20代男性 学生)
 僕は柳さんの作品では「ジョーカー・ゲーム」シリーズが最も好きで、前作『ダブル・ジョーカー』では日米が開戦してシリーズが完結したような感じで終わっていたので、もう少しD機関の話が読みたかったな、と思っていました。そこに続編『パラダイス・ロスト』が出るという話を聞いて、まず続きが読めると喜んだのですが、実際に読んでみるとその期待を全く裏切らない一冊でした。

 最も好きな短編は「失楽園」。理由は、元々シリーズ中では、D機関が裏で糸を引くタイプの話が一番好きで、本作もそうだったから。あと、真相は一応提示されても、それが間違いなく正しいとは言い切れない、やや不確かさも含んだ終わり方も好きです。

 今作も楽しんで読ませていただきました。さらなる続編にも期待しています。次は、これまでになくD機関が苦しめられるような話や、長編の物語など、一風変わった作品を読んでみたいです。
あやね さん (20代女性 学生)
 『ジョーカー・ゲーム』、『ダブル・ジョーカー』がとても好きだったので、続きが読めて本当に嬉しいです! 相変わらず独自の戒律を貫き、飄々と任務をこなすD機関のスパイたちの鮮やかな仕事っぷりに魅了されました
時代背景としてはいよいよ太平洋戦争直前で、不穏でピリピリとした空気が漂っていますが、そんな空気に飲み込まれることのないD機関の面々はまさに超人的で畏敬の念を覚えます。
 舞台となるのは、パリやシンガポールやハワイ沖など今回は随分と国際色豊かで新鮮に感じました。世界各国で活躍するスパイたちのスタイリッシュな活躍ぶりは爽快。
 なんだかんだでD機関に翻弄され騙されるのは結局は読者なわけですが、騙されるのも悪くない。むしろ気分がいい! と思ってしまう私はすっかり“魔王”の術中にはまっているのかもしれません。もっと、この世界観にひたっていたかったです。

 一番好きな短編は『暗号名ケルベロス』。(中編というのかもしれませんが。)
 D機関のスパイたちは超人的過ぎるため、かっこいいと思うもののこれまであまり親しみを覚えることはありませんでした。しかし、この話を読んでシリーズで初めてD機関のスパイに人間味を見出すことができたような気がして、なんだか嬉しく思いました。この話の最後で内海という人間が選択した行動が素敵です。
ボノ さん (50代男性 会社員)
 今回も面白くて一気読みでした。中編も良かったので、是非長編も読んでみたいです。また、複数のスパイが活躍する話を読みたいです。
 一番好きな短編は、「失楽園」。私が好きなラッフルズ・ホテルを舞台にしていることと相手に気づかせず罠にはめること。
オペラ さん (10代女性 学生)
 待ってました、第三弾! 今回もD機関は超人的な才能を駆使してスパイ真っ最中。武術はもちろん、銃の解体にあらゆる言語を話せ、どんな職業にもなりすます。わくわくすると同時にみんなかっこいいのです。そして魔王こと結城中佐の存在…。彼のことは…読んでからのお楽しみです。

 友達に薦められて『ジョーカーゲーム』を読んでから、結城中佐とD機関のメンバー、そしてもちろん柳広司さんの大ファンに。『ダブル・ジョーカー』ではもうこの続編は無いように感じていたので、野性時代に続編が乗ったときは大感激でした。空をつかむような存在の結城中佐。彼の話に、まだまだ浸っていたいと思うのはわがままでしょうか。第四弾でまた会えることを祈っています。
リオ さん (50代女性 会社員)
 『ジョーカー・ゲーム』『ダブル・ジョーカー』そして今回の『パラダイス・ロスト』とD機関を舞台とした連作短編を読み進めてきて、しだいに結城中佐の輪郭が明らかになっていく過程を楽しんでいる。さまざまな方向から、色も光度も異なる照明が当てられることによって、一瞬その姿が浮かび上がる。とはいっても、まだまだ彼の姿は闇に溶け込んだままだが。連作短編といっても、前巻を読んでいないとわからない設定があるわけではなく、どこからでも自由に物語に参加することができる。

 「帰還」では、島野亮祐という人物造型が魅力的に感じられる。結城中佐の教育が骨の髄まで徹底したプロだが、レジスタンスに共感するような正義感をもつ一面も残っている。もちろん、あくまでもこれは造られたイメージであって、その名前を名乗っている人物の本質ではないという設定はわかっているのだが。これを読んで、映画「カサブランカ」を思い出したが、作者は、それさえもアイロニカルに眺めているように思われる。しかし、甘美なプロパガンダに惑わされない、冷徹なまなざしに私は魅了される。

 柳広司先生の作品は、いつも愛読しています。なかでも、このシリーズは切れ味の良さと、アイロニーの効いている点で、繰り返し読む本のひとつです。続編を期待しています。
mutantmogura さん (50代男性 専門職)
 本書には男のロマンがある! とまず言ってしまおう。もちろん戦争は男だけのものではない。しかし本書で活躍するのは男たち、それも、いずれもダンディでスタイリシュな男たちだ。このカッコ良さ、そして時に時代を大きく変えるカギともなることこそ、男のロマンなのだ。なおかつ、本書の4作品は、謎とロジック、その切れ味と併せて、紛れもなく短編ミステリの傑作である。
 本書に登場するD機関の男たちの、何とカッコ良いことだろう。なにより切れる。この頭の良い連中が実在していたら、あの戦争の終わり方がもっと違っていただろう。
蟻吉 さん (20代女性 学生)
 作品ひとつひとつの中に、結末に繋がるヒントが散りばめられて、それを探しながら「次はどうなるんだ!?」と想像しながら読んでいくのが楽しかったです。
 相変わらずD機関の面々は可愛いげがなくてかっこいいし、結城中佐はミステリアスでステキだし……。正体は何者なのか、誰一人わからないのに皆魅力的です。
 『ジョーカー・ゲーム』シリーズ全体に漂う冷ややかさ、暗躍な空気、言われもない焦燥感が私は好きです。騙されようと肩透かしを食らおうと、駆け抜けるような爽快感がそこにはあります。
さ、もう一回読もう。
ユウキ さん (20代男性 学生)
 事実だと思っていたことがひっくり返る瞬間。それまでの引き込まれる文章。ジョーカー・ゲームシリーズの醍醐味です。このパラダイス・ロストでも健在で、1時間くらいで読み切ってしまいました。D機関のスパイたちは人間とは思えない能力の持ち主で、人間らしさもない人たち。それでも、人間臭い選択をする瞬間、大抵最後の最後ですが、その人と自分が重なるような感覚が、よい味付けとなっていて、スパイの騙し合い、冷たい世界の味をより引き立たせているとおもいます。
うだうだ書きましたが、結局のところ、面白い!の一言です。
もりさ さん (20代女性 学生)
 大人気シリーズの三作目、「そろそろ失速しちゃうかな?」と失礼な事を思っていました。しかし、さすがはジョーカーシリーズ。読者の期待を遙かに超えてくれました。
 「待ってました!!」とばかりに鼻息荒く一気に読んでしまいました。D機関のスパイたちが世界各国で暗躍している姿が本当にかっこいいです。「誰がスパイか?どんな罠か?絶対に騙されないぞ!」と意気込んでみても、ことごとく彼らに打破されてしまいます。このそうだったのか、やられた!! という感覚がジョーカーシリーズの醍醐味だと思います。

 特に気に入ったのは、結城中佐の過去に迫る「追跡」です。まさかの生い立ち、意外だな、でも面影があるかも……と中佐の人生を追体験していたと思ったらあの結末で驚きました。プライスと同じく「いったい、なぜ?」と騙されてしまいました。

 いつも作品を楽しく拝読しております。『パラダイス・ロスト』も本当に素晴らしい作品で、このような物語を読めた事を幸せに感じます。すてきな作品をありがとうございました。これからも応援しています。
nemunokimi さん (50代女性 会社員)
 しまった!こんなに面白い作家を見逃していた!
 第二次大戦とスパイの組み合わせに血生臭いものを想像していましたが、完全に裏切られました。
 簡潔にして軽やかな文体がとても読みやすく、テンポ良く展開するストーリーに引き込まれます。とにかく日本のスパイ養成機関 “D機関” の天才集団がカッコイイ!そして “D機関” の創設者にして「魔王」と呼ばれる、結城中佐の怖さに痺れました。
 誰一人として正体を知らない結城中尉、その怜悧な頭脳と剛胆な行動力を併せ持つ黒い闇に包まれたような存在感に魅了されます。軍国主義の愚かさを軽蔑し、世界に頭脳戦を挑む男たちの活躍に胸がすく極上のエンターテイメントです。

 5篇の短編は、甲乙つけがたいです。
 というのは、世界各地のD機関の活躍を描くそれぞれの短編が互いを引き立てて直接はストーリーは繋がらないけれど、ひとつの世界観を構築して盛り上がるので全部読み終わった時点で長編の読後感のような満足感があるからです。

 「パラダイス・ロスト」と「ジョーカー・ゲーム」を読んだらもう柳さんの洗練された文体の虜です。
 第二次大戦を舞台にした小説は悲惨で残酷な場面が多くて読んでいると辛くなるので、ほとんど手に取ることが無かったのですが柳さんの「ジョーカー・ゲーム」は純粋にストーリーを楽しめるので気持ちよく読めました。ミステリーとして素晴らしく面白かったです。第二次大戦についても、なるほど当時はそういう情勢だったのかとわかりやすく、かつ小粋に描写されていて勉強になりました。
 結城中佐の“魔王”振りが素敵で、すっかりフアンになってしまいました。柳さんの作品を全部読破したいと思います。
kazusa さん (30代女性 主婦)
待ってましたの第三弾。あの息をするのさえもどかしい緊張感+頭脳戦がまた読めるとは!今回も面白くて一気読みでした。そして読んでいても、「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」を再読したくなります。
D機関の精鋭達の能力が凄すぎる。この本。今までのスパイモノとは一味も二味も違います
知っているスパイモノの様な派手さはないけれど実際のスパイはこんな感じに違いない。忍者に近いかも。

 一番好きな短編は、「追跡」。
結城中佐の過去が今解明される!と思いながら読んできたのにラストで……。
アーロン・プライスと共に愕然です。
 人とは人の中で生きていくはずなのに、こんなに痕跡を残さないなんてありえない。
魔王恐るべし。
えーる さん (40代男性 会社員)
 魔王の罠が快感になる!
 「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」では、D機関の設立と結城中佐その人にスポットを当てた作品が多かったように記憶していますが、今回は結城中佐の分身たちの暗躍、そしてその背後に一点の隙もなく目を光らせている結城中佐の存在が不気味でした。結城中佐の露出が少ない分、うっすらと見えるその影が余計に大きく、そしてその影が見えたときにはすでに終わっている。そんな感覚が快感でした。
nyanco さん (50代女性 主婦)
 『ダブル・ジョーカー』では開戦を迎え、D機関の任務終了と共にもう結城には会えなくなるのかと残念でなりませんでした。だから、こうして再び、D機関の結城の弟子たちの活躍を読むことができたことが何よりも嬉しい。
 「暗号名ケルベロス」はサンフランシスコから日本へ向かう洋上の客船が舞台。このシリーズが楽しいのは舞台設定がどれも見事であること。洋上のデッキでクロスワードパズルを楽しむ紳士は何者なのか・・・アメリカ・イギリス・ドイツ、各国の思惑と個人の私怨が洋上の船の上で繰り広げられる。これもまた見事でした。
 シリーズ物は時として輝きを失い、二匹目の・・・となることがファンには一番悲しいことです。しかし、このジョーカーシリーズは第三弾でも更に輝きを増して楽しませてくれました。本当に嬉しかったです。

 ジョーカーシリーズは、古い映画を見るような洒落た舞台と会話を楽しませてくれ、そして二転三転する推理、張り巡らされた伏線・・・と、幾重にも読者を堪能させてくれます。
とんこ さん (40代女性 主婦)
 どのお話もクールでかっこいい。スパイとの駆け引き、スパイ同士の攻防、正体を暴かれそうになりそうでならない感じが、とにかくたまらない。D機関…プロのスパイ養成機関…に通ってみたいと思うし、通った経験のある人に会ってみたいなと思う。蛇足だが、この本を手にして歩いている男子は、かなり硬派に見えるだろう。

 もっとも印象に残った場面は、「生き延びること、生きて帰って報告すること、がD機関員に課せられた使命」と、任務を終えたスパイがつぶやくところ。さらっと流すように書かれているが、実際は生きて帰ることが困難である任務が多いことを示唆していて、厳しくてクールな世界なんだと痛感した。

 このシリーズが好きなので、まだまだ書き続けてほしいな、と思います。柳広司さんと私は同年生まれと知ったので、今まで以上に応援したくなりました。頑張って下さい!!
有佐 さん (20代女性 学生)
 大好きな『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第三弾。しかも今回は結城中佐の過去が明かされるというではないですか! これは読まなければ、とわくわくしながら読んだところ……いやぁ、さすがは結城中佐。一筋縄ではいきません。シリーズ初の中編もあり、十分楽しめました。期待通り!
 これからも『ジョーカー・ゲーム』シリーズ、追いかけていきます。
さん (20代女性 学生)
 久々に一日で読み終えてしまう本に出会った。
 軍服姿の強烈な表紙が印象的なこのシリーズ、打って変わってスパイが軸の話である。
読者はまずはじめに登場人物の中からスパイを見つけ出さなければならない。だがこれは簡単に見つかる。日本人を見つければほぼ間違いない。さて、ここからが問題で彼らの行動に気をつけて読み進めていかないと、ふとした瞬間にはもう彼らの手の内だ。知らぬ間にそっと背後に回り、こちらを追い詰めているのだ。

 もっとも印象に残ったのは、「暗号名ケルベロス(前編)」より、冒頭のワンシーン。
 ここまで本編を順に読んだ人ならば、例えこの一冊がシリーズ初めてでもわかるであろう違和感がそこにある。血まみれの甲板に広がる地獄絵図の光景。D機関の嫌う「死」がそこにあるのだ。充満する死臭の中もくもくと作業を進め目的の「物」を見つけた男たち。手際のよさはD機関のスパイ達のように思え、一方でその冷徹さには拭いきれない違和感がある。特にこのシーンをなぞって振り返ることがないので気づきにくいかもしれないが、後編までしっかり読み終えた時にもう一度この場面を読み直してもらいたい。この構成のすべてのピースが埋まり、違和感の理由が説明され切った時のすっきりとした感動はなかなかに爽快だ。
たまご さん (30代女性 会社員)
 スタイリッシュさとクールさにも磨きがかかっていたけれど、そんな中にスパイの人間性がかいまみえて、そのギャップがにくい。

 最も印象に残ったのは、「暗号名ケルベロス」の内海がどんな犠牲を払ってでも謎を突き止める、と決意したところと、最後にその決意を実行に移すところ。それが教授の知的好奇心だけで動いた人間と、強烈な自負心を持って動いている人間の差だと思った。その差こそこの作品を支えている柱なのでは。

 いつも雑誌連載から楽しく読んでいます。こんなスパイ組織が本当に日本にあったらもう少し戦後の結果も違ったものになったのかも、などと妄想しつつ。
 初の中編もとてもよかったです。お体に気をつけて頑張ってください。
ちぃちぃ さん (30代女性 会社員)
 著者の作品を読んだのは、本作が初めてだったのですが、読み始めてすぐに引き込まれました。名前しか登場しないのに、圧倒的な存在感を発する結城中佐にとても魅了されます。
 普段、スパイが題材の作品には馴染みのなかった私ですが、スピーディーな展開とラストでアッと驚いてしまう結末に一気読みしてしまいました。長くない頁数の中にあれだけの展開を書き込める著者の筆力も素晴らしいと思います。本作品を読み、すぐに著者の既刊作を購入しに走りました! それぐらい面白かったです!
わきた さん (20代女性 会社員)
 毎回ロケーションが異なるのも魅力の一つだと思う。戦時下の情報戦争というアンダーグランドな設定ながらも、美しい背景に、その中を奔走する登場人物、そこに鮮やかに張り巡らされた罠、そして結城中佐の謎が、見事なエンターテイメントを作り上げているように感じた。
 とりあえず今から『ジョーカー・ゲーム』、『ダブル・ジョーカー』を買いに行こう。すぐに!

 毎回「今回はどう騙してくれるんだろう」とドキドキし、毎回「そういうことか!」としてやられる。久し振りに純粋に面白いと思った、究極のエンターテイメントだと思いました。
 今後のD機関の活躍と行く末、そして結城中佐の謎を、楽しみに待っています。頑張って下さい!
イック さん (30代女性 会社員)
 待ちに待った新刊でその期待をちっとも裏切らない極上の短編小説と言えると思います。基本的に私は長編小説の方が読み応えがあって好きなんですが、このシリーズは例外で一つ一つの短編が長編小説に劣らない読み応えとスケールがある。さらにシリーズの特徴としては全て物語の視線が変わるのにどの作品もまったくブレないところが素晴らしいと思います。

 柳広司さん大好きです!!! 特にトーキョー・プリズンとジョーカーゲームのシリーズが好きで、更なる続編を心待ちにしています。
じゅらい さん (10代女性 学生)
 全体的にバライティ豊か。前二作が綺麗に『ジョーカー・ゲーム』が写真のポジ、『ダブル・ジョーカー』がネガと分けられていたからでしょうか。今回のパラダイス・ロストは前二作の要素を継承しつつ、別要素を加えたバライティ豊かな作品になっていたと思います。
 「人間はずっと平和でも、戦争でもいられない」というCの言葉が印象に残りました。結城中佐は肉体的に人を殺さないけど同業者のスパイ根性は容赦なく叩き潰す、その彼らしいサディスムが大好きです。

 本当に柳氏の書くジョーカーシリーズが大好きです。今回の単行本でスピンオフの『眠る男』が入っていませんでしたが、もしや第四巻に収録予定でしょうか? それならばご無理をなされぬよう願いつつ、期待半分不安半分で楽しみにしております。陳腐な言葉ですが応援しています。あなた様の書く歴史の裏側にはいつも脱帽しております。どうぞ末永く。
豆乳クマ さん (40代女性 会社員)
 「帰還」では、記憶を失っているにも関わらず、魔王の言葉が耳の奥に聞こえる。凄いです。記憶が無くても身体が動き、情報を分析し行動に移す事ができる。魔王のしもべ達。
 「暗号名ケルベロス」は、初の中編でスリリングな駆け引きやスパイのレベルの差などD機関のスキルの高さを見せつける話です。クールでいざという時は残忍な印象のスパイの人間らしさが最後にきてチラリと垣間見え今までにない人間くささが出た話だとおもいました。

 なかなか結城中佐が表に出る事はないとは思いますが、結城中佐がらみの話が読みたいです。カッコ恐い感じでお願いします。
ぽんぽこ大統領 さん (10代男性 学生)
 何事においても、極めた人──プロフェッショナルはかっこいいものです。しかし、これほどまでにかっこよくて特異な才能を持ったプロフェッショナルが、これまでいたでしょうか!
 僕自身はシリーズ第一作『ジョーカー・ゲーム』を読み、二作目の『ダブル・ジョーカー』は未読ですが、存分に楽しむことができました。ひとつひとつ、傑作短編ミステリーとしてできあがっているため、シリーズ未読でも、どの短編から読んでも、楽しむことができると思います。短編だからこそでるスピード感と、大胆な伏線の張り方。最強のスパイに、またもしてやられた……そんな感覚を存分に味わいました。
 横文字の名前や専門用語が多く、本来なら僕がいちばん苦手とするタイプの小説ですが、丁寧に書かれた文章のたまものか、ひじょうに読みやすく、いっきに読んでしまいました。なんとなく、賢くなれたような気もして、すごく貴重な読書体験です。このシリーズをずっと、追いかけていこうと思います。

 『追跡』の一節、若き日の「結城」が、陸軍幼年学校の同級生四人を打ちのめしたあとに言った言葉。「殺すのは最悪の選択だ。もちろん自分が死ぬのもね」
 死ぬな、殺すな。という戒律を厳しく守らせるD機関のボス、結城中佐は、こんなに若いときからこの戒律を自らに課し、守り続けてきたのか──。この一文を読んだときは鳥肌がたちました。もちろん、物語はそう一筋縄ではいかないわけですが、このタイミングでのこの台詞は、ひじょうに効果的に、強く印象に残っています。
あいko さん (20代女性 学生)
 柳先生の作品は、本当に期待を裏切らない面白さだと思います。今回は短編集ですが、読み進めていくうちに、どこかで「あっ!そうだったのか!」と驚かされること間違いなしです。
 私は戦争系の話は苦手なのですが、この「ジョーカーゲーム」シリーズは別で、新作が出るたびに読んでいます。とにかくD機関のメンバーや、結城中佐がかっこいいんですよね。それぞれのキャラクターと、彼らの頭脳戦が魅力だと思います。