いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

罪の余白

■第24回モニター「罪の余白」芦沢央

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

りんご さん (20代女性 会社員)
この本の一番いい所は、様々な視点から物語が進んでいく事だと思います。それぞれの思いが交錯しながら、最終地点へと辿り着く。普通の小説なら、ただ一人の視点から描かれることが多いので、その一人にしか感情移入が出来ませんが、今回はそれぞれに感情移入が出来たという所が読み進めていく上で一番面白かったです。そして、この物語はいじめと、それに対する復讐劇ですが、この父親の復讐の仕方、その結末はとても納得のいくものでした。多くはここでは語れませんが、ただこの先に希望の感じられる終わりだと思いました。
「不器用で、ひどく生きにくい、でもいつも一生懸命な子」。安藤が心でとらえる早苗の描写です。これが一番心に残っています。この物語の救い、それは彼女の存在だと思います。深くは知らない、だけどそっと支えてくれる、そんな彼女を一言で例える、私も彼女をこう捉えていたので印象に残りました。
一番共感したのは真帆です。真帆はとにかく必死な子だと思います。咲の一番の友達で居続けるために必死で、今の地位を守るのに必死で、だから咲のご機嫌を取るのに必死な子。ここまで過激ではありませんが、私にもそういう経験があります。この子に嫌われたら一人になるかも知れない、そういう心情には強く共感できました。
全体を通して、すごく共感することが出来ました。これからも期待しています。
リンコ さん (40代女性 会社員)
面白かったです。こんなどろどろした女の子同士の友情なんて、なんて後味のわるいと思ったのですが、やはり人間誰しも神様にはなりきれないもので、どこか意地の悪い部分を持っているものです。誰でも自分が一番かわいい。何か勘違いしている女王様きどりの子、そういえばいたかなと思いました。とても新人作家が書いたとは思えない、ぐいぐい引っ張っていくどろどろしさに、ドキドキしながらもついついページを追ってしまいました。
印象に残ったセリフは、「わたしは、お母さんよりもりっちゃんたちをとった」です。本当なら、そこまで友達に執着しなくても、お父さんだけでも、お母さんとは楽しい想い出だけでも、家族のつながりがあれば、加奈はバカな真似をしなくてもよかったはずなのに。若いということは、それだけでもろくはかなく、そして友達が世界のすべてだと思ってしまうところがあるものだと思いました。
最低なんですけれど、加害者になっても「かなりの美少女」と言われる咲が、一番好きかなと思います。こんなにかわいいんだからと街で噂になるほどでも、簡単に芸能人になれるわけもなく、ただいたずらに年をとり、それでも、人の注目を集めてしまう中途半端な生き方しかできない咲。ものすごく自己中心で、人がどうなろうとかまわないところとか。美少女だから許される?やはり、物語の中だからこそ、こんな美少女にもし自分が生まれていたらと思わずにいられない。でも、最低な女の子。
このミステリーに出てくる人物がみなどこか生きづらさをかかえていて、それでも前へ進んでいこうとするのですが、いろいろなところでボタンがどんどんかけちがっていく。自分の高校生の頃の屈折とした思いを思い出しながらも、どんどん悪意の深みにはまっていく、そしてさらにそれを隠蔽しようとする女の子達の迷い、娘がいじめのために追い詰めれらていたことを知った父親の思い。すべてがストーリーが展開するたびに小さな火花をちらしていくようで、ドキドキハラハラしながら読みました。
かにゃんこ さん (20代女性 主婦)
今、自分が妊娠しており、母親という今までにない観点で読んだ初めての作品です。我が子をいじめでなくしたら、気が狂ってしまうのではないかと途中読むのがすごく辛かったです。過去に少なからず体験したいじめ?と呼べるほどではないかもしれない嫌がらせの描写には胸が痛くなるほどでした。思春期ならではの友人への執着と周りの目が気になるとかすごく感情移入してしまいました。全体を通して「そうくるか」と驚かされるところもありました。
好きな(共感した)登場人物は加奈です。学生時代に自分が経験した感情がすごく伝わってきました。PCの日記が出たときこんな感じだったなぁと感情移入してしまいました。
うらら さん (40代女性 会社員)
大津いじめ事件でマスコミをにぎわせている中だったので、関心をもって読むことができました。
いじめ被害者とその家族、いじめ加害者、それぞれの視点でギュッと凝縮して描かれている。学校生活の中でグループにいることにこだわった女子高生。自分自身に全く見覚えがないわけではない。学校生活の中という狭い世界を生きている。社会にでても多かれ少なかれ「いじめ」とは無縁にはなれない。切なさが残る作品でした。
共感した登場人物は、いじめ被害者の父親です。私も子を持つ親として、同じ立場であったならと考えるといたたまれなくなりました。平和すぎる世の中でみんな平和ボケしていると思いました。
今後の作品に期待を残します!
ノン さん (30代女性 主婦)
一章ずつ語り手が変わり時間と共にストーリーが進むと共に人物の身の上や心情が明らかになっていき、時間を忘れて一気に読み切りました。冷静と狂気に揺れる父親と友人を中心に閉ざされた世界の戦い。いじめの元となった悪がどこからやって来たのか、、大きな決定的な出来事や原因はなく小さな悔しさや価値観や不安の積み重ねからのみ、、だというところが救いがなく、逆に現実はそうなのかもしれないと考えると恐ろしい。いじめ、自殺という今まさに注目が集まっている話題だからこそ、明確な解明があってはいけないのかもしれない、とも感じる。また最後には大テーマから離れた結末があるところが、読み終わりに爽やかさを感じた。
聡が心に衝撃を受けながら病院に向かう時に身体に起こる感覚、咲が追い詰められた時の夢が、特に臨場感溢れていた。
好きな(共感した)登場人物は聡。悲しみや怒りに翻弄され、また父としての強さや、心理学者としての冷静さもあり人間味がありながらも、誠実なまっすぐなところ。年齢を感じさせない素敵さがある。早苗は、作品中唯一の静かな女性像。美人で無表情なところが魅力的。
昨今特に注目が集まっている話題、ニュースから情報を受け取り見守るばかりでしたが、この作品を通して身近に感じ自分自身で考える機会を得ることができました。ありがとうございました。テーマへの思想の偏りを感じず、若いエネルギーが溢れたいろんな言葉が素直に心に染み入ってきました。今後の作品を楽しみにしています。

Tukyo さん (40代女性 その他)
考えさせられる話です。
登場人物それぞれの心理描写が、まるでそこで、囁きを耳にしているようなリアル感で描かれており、後半はあっと言う間に読み進めてしまいました。
読み終わった満足感を得たにも関わらず、登場人物について、何か見落としはないか?何か救いになる理由は無いか?と、もっと知りたいと思ってしまう‘のめりこみよう’に我ながら驚きました。フィクションでありながら、感じる怖さや知りたくなってしまう衝動は、本当に起こった事件を振り返る心理といっしょです。
また、昨今の事件、子供の環境など、現実に存在した場面と重ねて読みました。どんな事柄も、事件の原因のような気がする反面、何がいけなかったのか、明確な答えが無いことが、こういう事件の怖さなのかも知れないと・・・改めて感じました。
印象的だったのは、咲の悪夢が表現されているところです。支離滅裂なのに、書いていることを読者も追っていける、表現力が素晴らしいです。
もっとも好きな人物は早苗です。
ストーリーの衝撃性に流されてしまいそうなところを、早苗の、彼女にとっては自然な見方から見ると、ある意味冷静な視点で「起こったこと」「事実」を随所随所で「整理」してくれます。キーとなる人物です。また、個人的には 友達になりたいな、そう思える人です。
心理描写、表現のリアルさが素晴らしいです。これからの作品にも大いに期待しております。
あゆみ さん (20代女性 会社員)
読み終えた瞬間、思わず息をつきました。これほどまでに生々しい、人の「執念」を感じることは日常生活の中ではまずないからです。
自分を愛し、自己顕示にかける咲の執念。異常なまでに咲へ依存し、自身の居場所の確保へかける真保の執念。娘への愛情と、そこから来る犯人への復讐を誓う父親の執念。
自身が過ごしている普段の生活では絶対に表に出てくることのない内なる黒い感情・想いが、生々しく文章化されており、「人の悪を正面から見る」という非常に貴重な体験を、この本を読むことでできました。
好きの反対で大嫌いですが、咲・真保の「悪」は、共感できる部分もあることがわかり自己嫌悪に陥りました。表向きでは褒めちぎるが、内側では人を見下す咲、他人を排除することによって自身の身を守る真保。その感覚を味わった経験があるのに、成長するにつれふたをしていた部分にひさびさに触れ、自身の内側とも向き合うきっかけとなりました。
大変面白く、一気に一日で読んでしまいました!
年代、性別に関わらず楽しめる本だと感じましたので、家族や友人にお勧めしたいと思います。
冬のホンダナ さん (50代女性 主婦)
プロローグ、第1章の2あたりからあたりから、ぐいぐいと引き込まれていくのを感じた。○月○日 ○時○分 登場人物の名前で始まる各章の時間の流れと彼らの心の動きの描写が細かく書かれていて目が離せなかった。悪意の心理描写が巧みで、読んでいるこちらの心がえぐられるような気がした。罪の余白、というタイトルも作品を言い尽くしている。
印象に残ったのは、第2章 2 10月18日19時15分 小沢早苗の語りで進むこの章。昼食を食べている早苗が、背後の安藤と近江教授の会話を耳にする場面。安藤の言葉に、この同僚は大切にしなければならない、と思うところ。
好きな(共感した)人物は、小沢早苗。好きな小説が夏目漱石の『心』だということ。生きるのが下手だけど、懸命に生きて(生きようとして)いるところ。母親との確執、いたたまれない気持が伝わってきた。その唯一の対策が、表情を乏しくし、口数を少なくポーカーフェイスで、という選択だった。そんな風に生きてきた早苗が人を愛することで、少しずつ自分の殻を破りつつある所に共感するとともにエールをおくりたい。
フロンティア文学賞に輝いたこの作品を、読めてよかったです。作家、芦沢央さんの作品に大いに期待します。親子間や、夫婦間の心理描写を読んでみたいです。
TEL さん (20代男性 その他)
今まさに話題となっているイジメの問題を通して現代の闇が描かれている。
加害者と被害者、そしてその家族の視点で物語が進み読み始めたら止まらなくなった。
復讐とは償いとは命とは。
様々なことを考えさせられ人間関係が不安な様子、悪意をもって人を貶めようとする様子がとても現実的で、自分のすぐ近くでもこんなことが起きているのではと思わされた。
イジメで失われる命。
その命を奪った者にも命があり家族があるという現実。
どうすることもできない遺族の葛藤と悲しみには泣くしかなかった。
「反省に、何の意味があるんだ」。失われた命はどうしても戻らないという現実。
償い、反省がなんのためになるのかと考えさせられた。
新海真帆の周りの目を気にしたり信じられない様子は自分のことのように感じられた。
孤立することを恐れそうなると自分がいじめられるのではと焦る気持ちはとても共感しました。
イジメの問題がニュースで多く取り上げられ命の大切さやイジメの愚かさを今一度考えるべきである今だからこそ誰もが読むべき一冊だと思います。
明確な救いや答えがあるわけではなくても考えることで得るべきモノが必ずあると思いました。
ひなふく さん (30代女性 主婦)
選評の通り、確かに只ならぬエネルギーが詰まっていた。それも生への強いエネルギーが。
被害者を含む、幾人かの登場人物が抱えた闇が交錯したがために失われた命。各登場人物のそれぞれの視点から描かれている価値観、世界観が痛いほどリアルに伝わってくる。
いったいどうしたらそんな悪意に満ちられるのか、理不尽な仕打ちに憤りを感じる、学校という狭い箱をどうして世界の全てだと感じてしまうのか、もっと視野を広げようよ、本物の純真無垢とはこういう人のことを言うのだろう、おおざっぱな父に対するやるせなさ、断罪されたとしても本当の贖罪とは何か・・・・・
とにかく心に色々な感情を飼いながら物語に引き込まれていく作品です。睡眠欲の強い私が、夜中に一気読みをしてしまいました!
印象に残ったのは「人は、遺伝子を残すために生きているのではない。 物語を刻むために、生き続けるのだ。」という箇所。読んだ時、鳥肌が立ちました。性的指向、特質、病気、マイノリティに対してのさまざまな偏見が行き交う生きにくい世の中での、一筋の光のような言葉です。
最も好きな登場人物は早苗です。「天然」と言う表現が、可愛いなどの褒め言葉と同等に捉えられている昨今、果たして本物の「天然」がどれほどいるだろうか。
ニュアンスの分からない奴、空気が読めない奴、不器用な奴。おそらくグレーゾーンとは一生無関係な早苗。私はこれほど純度の高い、純真無垢とも言える「天然」な女性、早苗に憧れられずにはいられない。
このような素敵な作品の読者モニターに当選させていただき感謝致します!芦沢央先生の次回作も楽しみにしています。
ボノ さん (50代男性 会社員)
大津の自殺事件が大きく報道で取り上げられる中、タイミング良く同じ話題で、感情移入し易い題材でした。また、罪を犯した者が、精神的なプレッシャーにより自ら墓穴を掘っていく様子が、松本清張の小説のように、臨場感あふれる描写により楽しめました。
印象に残ったセリフは、「待って、待ってください。反省、するから」。物事の本質を考えずに、その場さえしのげれば良いという場当たり的な性格を端的に現していると思うから。
好きな(共感した)登場人物は安藤聡氏。自分も子供を持つ親なので、娘の自殺という一番きつい精神的なダメージを受けながら、心理学者の知識を活かして、罪を犯した者を追い込んでいく際の、分析力とその方法にも感心したから。
視点を変化させることで登場人物に感情移入がし易く、松本清張ばりの心理サスペンスが楽しめる作品です。脇役も個性的で、物語を盛り上げてくれます。
石油王 さん (40代女性 主婦)
女子高生のヒエラルキーがリアルに書かれていて怖い。
最近も「大津いじめ事件」が大きく報道されたこともあり、あり得るなというか、あるあると思ってしまう現実感が怖いのである。
そして、PCに残された日記の内容がわかった時、読んでいる私も緊張が高まり、一気にスリリングな展開へ向かっていく。
題材的に、悲しく辛い内容なのだが、最後に一筋の光が見え、少しは救われた気がした。
美しいが、無表情でまるで精巧なロボットのように見える安藤の同僚・早苗が、脇役ながら興味深く描かれていた。人の感情を読み取ることができないため対人関係が苦手なのだが、嘘や社交辞令が言えず不器用で正直なところが好感が持てる。
そして、気になったのが作中に出てくる「ベタ」(闘魚) 。ストーリーとは直接関係ないのだが、効果的な演出となっている。
この著者はこれがデビュー作だという。力のある方だなぁと思った。
これからの活躍を期待したい。
KOF さん (30代男性 専門職)
妻の死の後、男親一人で育て上げた一人娘・加奈の、転落死の内情を知った父親・安藤が復讐を実行する様子が恐怖だったが、親が子を思う力はDNAで操られているという考え方も、有りだと思った。
妻・真理子の残した加奈の死をどうしても受け入れられない葛藤がよく表現されている。
好きな(共感した)登場人物は早苗。咲や真帆のような、まだ何者でもない不安定さからくる、傲慢やいやらしさがないから。
今時の高校生の際立った人物像が、よく描かれていたと思う。中・高校生が読めば、自己に投影してより深く読めるのではないだろうか。
是非、そのような世代の人に読んで貰えるといいですね。

さくみこ さん (30代女性 主婦)
ストーリーは登場人物も少なく、わかりやすい。
作品中で最も印象に残ったのは加奈がベタを見ている場面。ベタの様子がよく分かり、その後もベタが話に入ってきたので。
好きな登場人物は小沢早苗。独特の人物でおもしろい。
今いじめがとても話題になっていますが、このような話を学生たちに読んでもらえば、いじめが少しでもなくなるのではないかと思います。
かじろう さん (50代男性 自営業)
プロローグから第一章、第二章・・・と正直言って私にとっては苦手である残酷なまでの女性特有の感情表現が続きました。しかし長いトンネルを抜けたかのように、第四章からは息もつかせぬ緊迫感に包まれ、紙媒体ならではの残りページ数を感じながらの最後の展開は見事と言えるものでした。確かな筆力を感じさせた作品であることは間違いありません。
印象に残ったのは、真帆を丸めこもうとする咲とそれに従ってしまう真帆。
好きな登場人物は、復讐しようとする安藤聡。同じ父親の立場として共感できる。
ラストの展開は手に汗握らせ、一読の価値があります。
眞弓 さん (50代女性 主婦)
亡くなった少女は母親の命と引き換えに自分が産まれたと知りながら、何故死を選んだのだろう、男手一つで娘を育ててきた父親の深い悲しみや後悔はどのようなものだろうと想像していたら…次第にストーリーは狂気に満ちた悪意の世界へと向かっていた。
加害者となる少女達の恐るべき自己中心的な発想。少女達が生きていた世界を知るに従い、コレが今の子供達を取り巻く世界なのだろうかと血の気が引く思いをした。既に壊れている人間関係、友達、親友という名のモンスターの存在。学校、教師という空虚な存在。ネットの恩恵を享受しているはずの彼女達が実はその存在に脅えているということ。父親の復讐心。
目を背けたくなるような悪意の数々にもかかわらず不思議と暗く陰湿な感想は持っていない。どちらかと言うとアスペルガーの女性の一生懸命さや、ベタ(闘魚)の色鮮やかさが心に残り、晴れ晴れとした気持がする。いじめ、虐待、発達障害、インターネットなど現代社会の様々な問題を織り込んだ素晴らしい作品であり、読む人の年齢や立場によって、色々な事を考える機会を与えてくれるだろう。
印象に残ったのは、親の同僚であるアスペルガー症候群の女性が過去を振り返っている場面。「私が死ねば、もうお母さんは私を責めない」。この言葉は母親である自分に重くのしかかってきた。
自分では気づいていなくても、子供を傷つけている言葉や態度があるのではないかと怖くなった。
好きな(共感した)登場人物は小沢早苗。悪意の塊のような少女達に反して、真っ直ぐで、一生懸命に生きている姿に好感がもてた。
たとえ、その真っ直ぐさというのがアスペルガー故のものであっても私はこの女性が好きだ。
いじめるかもしれない人、いじめられるかもしれない人、そしてその人たちの親世代の人にたくさん読んで欲しい。きっと読んで良かったと思えます。
えむ さん (40代女性 主婦)
「いじめ自殺」が新聞に載らない日はない程、様々な事件が起きている現在、高校生の母親という立場から読ませて頂きました。
「学校」は、開かれた学校という言葉もありますが、親の立場からすると神聖な教育の場であるけれども一種閉鎖された場所だと思っています。学校内で起きた事(事件)は、子ども(達)を介さないと情報を得られない…。その中で『事故』や『いじめ自殺』が起こってしまう悲しさが増加していると思います。
芦沢 央さんは新人とは思えない筆力、次の展開が読めない内容で登場人物の設定も詳細に、また高校生・親それぞれの立場からの描写がとてもリアルで惹き付けられました。 「加奈」を亡くした父・「安藤」の職業が「動物行動心理学の専門家」という事もあり、悲しみや怒り・後悔で激情に駆られる部分もありましたが、冷静に自分を顧みる場面、他者を分析する余裕もあり、展開が速く目が離せなくなり一気読みでした。
最も共感した登場人物は、小沢早苗さんです。
実直過ぎるが故、対人関係が苦手な所。でも何にでも一生懸命な姿にとても惹かれました。
「大切な人の命を奪われたとき あなたはどんな償いを求めますか?」
テーマ性の深い、様々な問題提起もしている素晴らしい作品でした。年齢を問わず、この夏一番!皆さんに是非お勧めしたい一冊です。
そして芦沢央さんの次回作が、もう今から本当に待ち遠しいです。
ユウ さん (20代男性 会社員)
まずタイトルが絶妙。罪を証明できるか、罪の手前なのか、いろんな取りかたができますね。咲の自己中心的な全能感に満ち溢れた、傲慢なキャラクターモデリングが非常にリアルで、好感と嫌悪感を同時に感じられ、不気味な印象を受けます。いたいた、こういう奴って、学生時代を思いだしました。
デビュー作でこの悪意の表現は凄まじさを感じます。湊かなえを初めて読んだ時のような衝撃を受けること間違いなしです!おもしろかった!
印象に残ったのは冒頭の転落死シーンです。望んで死んでいくわけではない者の絶望感や、憤りのような感情がごちゃ混ぜになった、素晴らしい描き方だと思います。飛び降り自殺を行なう際に心境や状況を言葉で表現している作品は数多いですが、加奈の無念さにこころを打たれました。
好きな(共感した)登場人物は早苗さんです。こういう不器用さをある種、自分も持ち合わせているので、彼女なりの愛情を強く感じ取れました。
結果、とても面白かったです。ちょうどいじめについて世間では実在の事件で持ち切りなこともあり、この作品で描かれている、「直接手を下さないいじめ」に対して、または言葉のいじめに対して、教育者や親、大人側はもっと真剣に考える必要があるのだと警鐘を鳴らしているように読み取りました。ぜひ、幅広い年代の方に読んでもらえると嬉しい作品です。
エージェント さん (20代男性 その他)
印象に残ったのは、父親が全てが片付いた後に語るシーン。娘を思う気持ちが何も飾らず率直に伝わってきたから。
好きな(共感した)登場人物は父。復讐をしようとする首尾一貫した態度がかっこいい。
もくもく さん (10代女性 学生)
1ページ目からまるで、自分が体験しているかのような、もしくは映画を見ているかのように、自分の脳内に映像が映りました。
また、一人一人の登場人物の気持ちの描写がとても細やかで、ページを読み進めるうちに、どんどん自分もその場にいるかのような錯覚がおきました。
次々と展開していく話に思わず息をのむ場面が多々ありました。最後には一歩前進したことがみられるような終末でした。
気づいたら次へ次へとページをめくっており、いつの間にか読み終わっていました。読み終わった後は、スポーツをした後のような心地よい疲労感が残っていました。
父の咲と真帆に対する憎悪と、加奈が苦しんでいることを気づかなかった自分に対する嫌悪のような気持ち、咲は自分がここまで加奈を追い込んでいたと分かったときの気持ちなど、全て自分がその登場人物のような気持ちになりました。
描写がリアルで、次々と読んでしまう作品でした。すっかり虜になってしまいました。
次回の作品も楽しみにしています!!
リョータ さん (30代男性 会社員)
聡がトロッコを使った心理テストを咲に話した場面で、昔テレビで見た戦争を体験された方の話を思い出しました。
自分の見えない所で何百もの人間の命を奪う爆弾スイッチを押す事と、目の前の一人の人間をナイフで刺し殺す事とでは、どちらが罪深いか?
罪深さで言えばもちろん前者です。ところが話によると、前者は罪を感じにくく、後者は精神に異常をきたすほど罪を感じるそうです。
「いじめ」というものがいつまで経ってもなくならない理由が、ここにあるのだろうと思いました。
直接はとどめを刺さないということが、罪の余白を生み、相手の痛みや苦しみを想像する能力を麻痺させ、事の重大さに気づかず、相手を死に至らしめるような事態にまで発展します。
相手の痛みに気づかせるということ、この当たり前のことが「いじめ」というものをなくしていく、唯一の手段なのだと思います。 芦沢央さんの作品を初めて拝読しました。読み手を引きつけるチカラが半端なく、読書スピードの遅い私が短時間で一気読みしてしまったほどです。
これからの作品を心より期待します。
印象に残ったのは、「ひとりになりたくない」と焦る新海真帆。
学生時代、自分にも心当たりがあったからです。
こういう勝手な焦燥感が「いじめ」というものを形作るのかもしれません。
少数派になりたくないから多数派に行き、なかなか来ない人を、だんだんと違った目で見るようになる。幸い自分のクラスでは「いじめ」はありませんでしたが、発生する可能性が充分にあったことを思うと、少し恐くなりました。
最も好きな登場人物は、小沢早苗です。
人の心を支配することに長けている咲の、天敵であるかのようなこの人物に魅力を感じました。
早苗と咲はまるで誰の心にも凄む、天使と悪魔のように思えました。

サーモン さん (10代男性 学生)
とてもテンポが良く、読みやすかったです。何より、現実にあるメーカー、商品などの名前が書いてあるのは、状況を想像しやすいので良かったと思います。今回、このような体験をさせて頂いて一番感じたことは「受賞した作品は、何年も書いて、惰性に入っている作家さんの作品よりも読みやすく、面白いな」ということです。
最も印象に残ったのはベタの描写です。
共感した人物は小沢早苗。自分と似たような感覚を持っていたから。作品が進むにつれて、人間味が徐々にでていたため。
読み終わって最初に感じたのは人間の貪欲さ、悪意の恐怖。全ての描写がリアルで、現実でおこりそうな、下手なお化け屋敷に行くならこちらを読んだ方が絶対いいです!
コイケ さん (50代男性 自営業)
とても読み応えがあり、なおかつ考えさせられる小説でした。
子供の頃、いじめられっ子に近い状態を経験した私にとっては(さほど深刻な状況には至りませんでしたが)、他人事ではない出来事も多かったです。
読んでいて胸が痛くなりました。
一方で、娯楽作品としての読み応えも充分ありました。
特に終盤の「直接対決」とでも呼ぶシーンは文字通り手に汗握る緊張感で、ページをめくるのももどかしい、という感じで一気に読みました。見事な筆力だと思います。
印象に残ったのは、加奈が遺した日記を安藤が読む場面。
日記の文面のみが記され、読んでいる安藤、その場に居合わせている咲の感情がまったく描写されないので、余計に想像力を喚起され、息苦しくなりました。
好きな(共感した)登場人物はやっぱり、安藤。自分も父親なので、共感できる部分が多々ありました。もしも私が同じような目に遭えば、きっと何らかの形で復讐を試みると思います。
また、真帆の心情もよく理解できます。
いじめられる側に回りたくないという気持ちから自分より弱い者をいたぶるのは卑劣な行為ではありますが、それは誰もが持っている防衛本能によるもので、身も蓋もない言い方をすれば「仕方ない」とも思えます。
咲は忌まわしい存在ではあるものの、決して特殊な人間ではありません。
むしろ、世の中で成功を収めた者の多くは、彼女と同じように計算高く、賢く立ち回ってきたのではないでしょうか。
「いじめ被害者の親による報復」という極めて今日的なテーマを扱っていることで、おそらく大ヒット作『告白』と比較されることが多くなると思います。
そして、きっと同じように映像化され、大きな話題となるでしょう。
忙しくなると思いますが、自分の姿勢とペースを崩すことなく、良い作品を書き続けてください。楽しみにしています。
朱鷺 さん (40代男性 会社員)
展開がとても早く面白かった。
最後のシーンが怖かった。
好きな(共感した)登場人物は安藤聡。父親の思いがとても感じられた。
同じ年代の子供を持つ親としてはとてもやりけれない。
面白かった。次回作にきたいします
わきた さん (20代女性 会社員)
途中で展開は読めたけど、それでもぐいぐいと惹きこまれてあっという間に読み切りました。
選評に「特に『悪意』に対しての描写が秀逸」とあった通り、人間の瞬間瞬間の意識がとてもリアルで、元凶のような咲は、けれども誰しも思うような、誰しも意識した事があるだろう、共感したくないけど共感してしまうリアルさがあった気がします。
主役はもしかしたら、そんな誰しもの分身、咲かもしれない…。そう思ってしまう程、咲に、真帆に、加奈に、人間の本質を見た気がしました。
安藤の父としての結論に、その選択に、胸に迫るものがありました。
同じ親としその答えに向き合うと、また違う側面からこのストーリーを読めた気がします。
好きな人物は、共感とは逆に掛け離れた、早苗です。
“普通の人の考えている事が理解できない”彼女が、逆にこのストーリーの救いとなっているような気がします。
安藤とこの小説に彼女がいてくれてよかった―そう思うほど、読み進める程に愛おしい彼女でした。
初めて拝読させていただきましたが、きっと作者の芦沢さんは人の心の動きに敏感な人なのだろうと感じるほど、人間の本質と、意識の機微のリアルさに一気に読んでしまいました。
新たなヒューマンドラマを描く人が出た、リアルすぎて知るのが恐い程――
次回作にも期待しています、頑張って下さい!
風竜胆 さん (50代男性 会社員)
ある日突然、最愛の娘に死なれてしまった父親の苦悩と復讐を描いた作品。主な登場人物は、大学教授である父親の聡と娘の加奈。加奈のクラスメートの咲と真帆。そして、聡の同僚の早苗。
加奈を死の原因を作ったのは、咲と真帆。真帆は幼稚な感じが強いが、咲の方は、小賢しく、享楽的で、自らの罪を反省するどころか、隠ぺいに汲々とする。しかし、その方法は、あまりにもいきあたりばったりで、短絡的だ。グループという群れをつくりたがるくせに、同じグループの中でもお互いに何を考えているか分からない、裏表のあり過ぎる女子高生たちの怖さ。そして、学校という閉鎖社会の危険性といったものが良く伝わってくる。
彼女たちと対照的なのが早苗。大学教授になれるような高い知性を持ちながら、アスペルガー症候群という障害のため、他人の感情を読み取るのが不得手だ。その代わりに、裏表のない、まっすぐな心根を持っている。事件に直接タッチしている訳ではないが彼女の存在により、咲や真帆の軽薄なあざとさが一層際立っている。
とつぜん理由も分からず、最愛の娘を奪われた父親の苦悩はいかばかりのものか。その理由が判明した時に、原因を作った者たちに、罪の報いを受けさせたいという気持ちは、痛いほど理解できる。
印象に残ったセリフは、「ごめんな、お父さん大ざっぱで。でも、これしか思いつかなかったんだ」。父親の娘に対する不器用な愛情が表れている気がするから。
好きな(共感した)登場人物は早苗。表裏のない、まっすぐでひたむきなところ。
早苗が主役で活躍する作品も読んでみたい。