いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

墓頭

■第29回モニター「墓頭」真藤順丈

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

云一 さん (20代男性 学生)
まるでノンフィクションを読んでいるみたいな気分がしました。インド洋の孤島、九龍城、カンボジア、クメール・ルージュ、PMC、富士の樹海、きな臭い福祉施設と異能の子供たち......挙げればきりがないほどの、ノンフィクション的な舞台装置や小道具の数々。文体も、すごく「それっぽさ」を演出しているよう。作中で起きた出来事から目を背けたくなったのは、むごい描写に中てられただけではなくて、それが何処かで本当に起きていることのような気がしたからです。とくに奴隷市場のくだりなど「社会の裏側って、こうなのかもしれん」とドキュメンタリー番組を観た後のような、安全地帯から窃視する居心地の悪さが残りました。
もちろん、小説としてちゃんと面白いんだと思います。タイトル通り「墓」が重要なモチーフとして、そこかしこに嵌め込まれているけれど、ぜんぜん解釈しきれませんでした。つまり、一回読んだだけでは味わいきれなかったような、なにか見落としてしまったような気がかりの残る小説でした。

●作品中で最も印象に残った台詞
セリフではありませんが「生まれながらに彼は墓だった」という一文が、もっとも心に残りました。この本の第一文として、わけも分からずに目にしたときにもインパクトを感じましたが、最後まで読むと深みが増したようで面白い。

●作品中、最も共感した登場人物
ピカが好きです。物語後半のサスペンスを大いに盛り上げてくれたからです。彼を含め、小説の登場人物として魅力的な人物がたくさん登場しましたが、もし実在するならお近づきにはなりたくないひとが多かったように思います。ので、人間としてすきなひと、というのは難しい質問です。

読んだ人と話がしたいです。なので、たくさんの人に読まれると嬉しい。
くぼちゃん さん (40代女性 会社員)
異形の主人公の一代記ということでどれだけおどろおどろしい内容かと思っていました。確かにすさまじい人生ではありましたが、主人公が人間としてまっすぐでいてくれたことに救いを感じました。近代の闇の歴史をちりばめてあり読みごたえのある内容でした。

●作品中で最も印象に残った場面
連綿と続いた殺戮の理由が判明した場面が印象に残っています。殺戮という非道な行為に及んだ理由にほんの少しだけ救いを見ることができた気がしたからです。

●作品中、最も共感した登場人物
やはり主人公のボズですね。彼の行為は許されることではないのでしょうが、根底にある自分の信条に揺るぎがなかった点でよかったです。

読み始めた時にはもっとドロドロした内容を想像して読破できるか自信がありませんでしたが、最後まで読んで結構すっきりとした読後感を持ちました。ぜひみんなに読んでほしいですね。

Portal さん (40代女性 会社員)
キテレツな設定から、どのような展開になるのか、予想もつかない展開でした。墓頭の幼少時代から始まり、青年に至るまでのイントロ、はじめはホラー寄りの話かと思いきや、ホウヤとの出会いによって、墓頭の人生が思いもよらぬ展開になり、目を離せないまま、バイオレンスに続くせつなく謎な流れ。最後の結論まで一気に駆け抜ける展開でした。
切なかったり、いたたまれなかったり、目を覆いたくなるような場面、目をそらしたくなったり、なのに、読後にはあったかいものが残りました。これって、映像にしたら、また違う面白さが出る気がします。
ボノ さん (50代男性 会社員)
歴史の史実や戦後の東南アジアの混沌とした状況を背景にした壮大な物語です。体にハンデを負った主人公を取り囲む狂気の人物に翻弄される数奇な運命のドラマティックな物語の展開と人の心を操る心理ゲームの側面ももつ興味深い小説です。たくさん詰め込み過ぎの感も少しあります。

●作品中で最も印象に残った台詞
新見探偵の「人は普段から、無意識のうちに自分を守るために、本質的には他人を理解しようとしないわけですよ。これは、生存のうえでの自己防衛ですね。」のセリフ。他人を理解できないのは、自らの能力が足りないからと思っていたが、実は逆で自己防衛本能だというのは驚きでした。

●作品中、最も共感した登場人物
アンジュ 子供を守る母としての献身的な姿勢と墓頭の子供を捜してあげる優しさが感動的だから。

戦後の東南アジアの混沌とした状況を背景としたジェットコースターのような物語に心理ゲームを組み込んだてんこ盛り小説です。種々のストーリーから構成されているので、好きなストーリーも見つかると思います。
さん (50代男性 会社員)
 頭に、双子の片割れの詰まった畸形嚢腫を付けて生まれたために、墓頭(ボズ)と呼ばれた男。彼は、誰もが目をそむけてしまうその異形故に、数奇な運命を生きなければならなかった。彼の頭は双子の兄弟の死体の入った墓。ボズは生まれながらに墓を抱えていたのだ。その墓は、彼の周りに不吉を呼び死をもたらす。彼が求め続けたのは、いかにして頭の死体を出すか。
 しかし、彼はその容貌にも関わらず決して怪物ではなかった。彼なりに自分の運命と戦い、暴走を続けるかっての施設仲間とも戦っていく。そんなボズの生き方に、読者はどんどん引き込まれていくだろう。

●作品中で最も印象に残った台詞
アンジュがボズをかばって言った次のセリフ
「あの人は、見かけや言動ほど、薄情でも奇矯でもあらしません。普通の人なら忘れてもうてもしかたのないことを、昔っからの大事な信念をずっと守って、律儀に生きてるお人です」

●作品中、最も共感した登場人物
アンジュ
ボズの顔は正視できないものの、彼の内面を評価する優しさを持っているから。
もくもく さん (10代女性 学生)
とても独特な作品だったと思います。
言葉の表現がとてもリアルというか・・・個人的には想像してしまい、若干気持ち悪くなってしまう箇所もありました。すみません。
本当におこったできごとなのか、そうでないのか分からなくなりました。本の世界観に読んでいくうちに引き込まれてしまい、ちょっと怖かったです。

●作品中、最も共感した登場人物
「僕」が好きだなと思いました。
父の捜索をする中でボズというキーワードから、外国まで出向いたり、自分なりに養蚕家の話から色々なことを分析したりと、素敵だなと思いました。

祖先のことを調べてみるというのは、なんだかいいなと思いました。
へびとんぼ さん (10代女性 学生)
最初のタイトルからして、何が何だか分からなく、またボズが何者であるのかが全く分からなかったのですが、読み進んでいくうちにボズの真相・過去が分かり度々、衝撃を受けました。スケールが大きい中でのボズの人生には、考えさせられることもありました。ボリュームがあるお話ですが、読んでみて短くも感じました。今、私たちが生きている時代とは異なる世界観です。是非、みなさんに読んで貰いたいお勧めの本となりました。

●作品中で最も印象に残った場面
ボズの世界が、音をたてて土崩瓦解する。といった場面であり、ボズが嗄れた声を苦しみながら漏らす所は、読んでいる私まで苦しくなってくるようで彼の苦しさが伝わってきました。

●作品中、最も共感した登場人物
私の中では、やはり「ボズ」が一番心に残っています。悲惨な状況で産まれ、悲惨な暮らしの中でも生きるボズの姿に凄さを感じ、圧倒されっ放しでした。

臨場感のある場面やセリフがとても好きでした。真藤順丈さんの作品を読んだのは、この作品が初めてです。良い本に出会えました。ありがとうございました。

ふじよあひ さん (20代男性 学生)
生まれた環境故に狂気に取り憑かれていくボズの狂気が丁寧に描かれており.作品世界に引きこまれて行きました.

●作品中で最も印象に残った台詞
「世界が君を拒むなら,世界のほうを変えてしまうあるってことなんだ」
自らの人生に疲れてしまった”シロウ”にヒョウゴが言ったセリフです.現在の自分の置かれている環境に納得がいかないと思うだけではなく,自分の力・行動で生きていけという力強いメッセージを感じました.


●作品中、最も共感した登場人物
一番好きな登場人物はヒョウゴです.
生きる喜びを伝えようと頑張る彼の生き様,セリフの重さがとても気に入っています.

50年以上にわたる男の人生を描いたこの作品,ボリューム・内容ともに大満足の作品でした!!真藤さんの他の作品も読んでみたいと思います!!
流星部長 さん (30代女性 主婦)
今回久々に現代小説を読ませていただいたのですが、正直とても疲れる内容でした。
ここまで跳躍した心理内容の小説というのも初めてであり、比喩表現の内容も決してオブラートに包むことのない、さらにえぐるような表現に何度も吐き気を覚えました。
以前映画で「SEVEN」を観たときと同じような脱力感が、絶望感が心の中で隠すことのできないほど膨らんでいます。
途中何度も涙が流れ、情け容赦のない恐怖が体を震わせました。ですが最終章のボズが体験した、死の淵からの光景を読んだ時に、涙がとめどなく、どうしても止めることができませんでした。
ボズの生への希望を垣間見た気がして、心の琴線に触れました。死を抱えている彼が生を授かった日からきっと誰よりも生を欲していたのだと思いました。

●作品中、最も共感した登場人物
アリ先生
ボズが生を受けて、最期まで壊れることなく生きていたのは間違いなく彼の影響が多分にあると感じたので。
彼こそがボズにとってメンターだったのではないでしょうか?

この本を読んで、私は様々な種類の涙を流しました。
そして人間が生み出すことのできるあらゆる感情が渦巻いている文章の一つ一つが目をひたすら追わせました。
感動した!ということはないですが、静かな熱に心が震えました。これからも人間を書き続けていってください。ありがとうございました。
坪井坪子 さん (40代女性 主婦)
序文はじめ、なんだかこれ小奇麗だけどあんまり心に響かないような気がする文章、まるで弔辞とか墓碑銘みたいな・・・とまで思いかけたのですが、これもまた「墓」をイメージさせる計算でしょうか?だとしたら脱帽です。
著者の作品は某異形コレクションシリーズ(他社ですみません)にて、何編か拝読しており、なかなかエッジの効いたホラーを書く方だなあと。なので、「頭に死体が入った男」と言うからにはドロドロホラーかと思いきや、むしろ横溝正史風人生波瀾万丈冒険譚。ジョン・メリックとか、やりようによっては親子三代怒涛の人生を生き抜いた二夜連続スペシャルドラマ。思っていたのとはかなり違うけれど、見始めたらついつい最後まで見てしまうという感じでした。しかも何回か自分の予想・推理が裏切られること間違いなし。最初から3分の1くらいは物語がどの方向に転んでいくのか、なかなか見極められなくて読み進むのが遅かったのですが、後半3分の2はワクワクと読み進めてしまいました。多分他の表現だったらばエグいシーンもあるのですが、著者の文章は良い意味で上品だと思います。なので読み終えた後には爽快感がありました。

●作品中で最も印象に残った場面
マダム・ヴィラと「シロウ」、ユウジンの生活シーンが印象的です。マダム・ヴィラ、最初すごく嫌な女性です。でも不自由な目で、己の中の「地獄」をカンバスに叩きつけるように描く、そしてその作品を見て尊敬せざるをえない「シロウ」の心の変化。そして私もいつの間にかマダム・ヴィラが嫌いではなくなっている。むしろちょっと好き。ムワッとくるような南国の熱気の感じられる、そこが印象的です。
あと、「血の色の泡の膜がわだかまっている海面」という文章で、死体を出さずにその海面の下に凄惨な数々の死体が有るんだろうな、漂っているんだろうなと感じさせるシーンが凄く印象的です。

●作品中、最も共感した登場人物
ボズ。己の責任のないところで攻撃されたり疎まれたり憎まれたり。「異形の者」って、生贄の羊になりやすいんですよね。見ためからして他と違うってわかりやすいから。ボズはちょっと性格ゆがんじゃっているけど、よくがんばって生き抜いたね。むしろたくましく育ったねって褒めてあげたいです。

真藤順丈様。この作品を読んで、貴方様の他の作品をもっと読んでみたくなりました。個人的意見ですが、貴方の作品には紙媒体が似合います。手で触って、匂いを嗅いで、読む。そんな本らしい本が似合うイメージです。
しろちゃん さん (20代男性 学生)
主人公の感情や行動が様々な表現で描かれていて、情景が想像しやすかったです。
今まで数々のホラー小説を読んできましたがホラーシーンを楽しむというよりは、主人公の人生の移り変わりにとても惹きつけられました。

●作品中で最も印象に残った台詞
生まれながらに彼は墓だった---
本文の最初が意味深長な始まりで、読み進めていく内にその事実を悟ったとき衝撃を受けました。

●作品中、最も共感した登場人物
主人公ボズの幼少期を支えたアリ先生です。医学的観点からボズに関心を示しながらも、実の子のように親身になって接しているところ。

自分好みの内容でとても楽しく読ませていただきました。次の作品も楽しみにしています。
官庁エコノミスト さん (50代男性 公務員)
よく調べ上げられた時代背景とともに、雄大なスケールでボズの奇怪な生涯を描写し、余すところなくスリリングな展開を楽しめる。ボズのキャラクターはよく考えられており、さらに、ホウヤ舎監とヒョウゴの思考と行動のパターンもストーリーの展開に即してムダがない。白鳥塾をはじめ、ボズの周囲の人間がかなり死ぬので、ホラーとも怪奇小説ともカテゴライズされようが、この作者らしい構成の緻密さとスピーディーな展開と結末の意外性を楽しむことが出来る。

●作品中で最も印象に残った台詞
第5部の「組織の本質は宗教」というセリフが、印象に残った。まさに、正鵠を射ている気がする。

●作品中、最も共感した登場人物
ヒョウゴの思考と行動パターンに共感した。
IQが飛び抜けて高いのもさることながら、とてつもなく大きな視野からスケールの大きな作戦行動を取っている。しかも、ムダがない。

この作者の作品は初めて読んだが、ストーリーだけでなく、登場人物のスケールがやたらと大きい。真藤順丈らしい構成の緻密さとスピーディーな展開と結末の意外性を楽しむことが出来る。
FORT.G さん (30代女性 主婦)
幽閉される人間が本当にいるのだるか。
ボズは何故、異形でありながら嬰児の頃に殺されず済んだのだろうか。
誰しもが「誰か相手を殺したい・死にたい」願望を持ち合わせて生きています。生きるを語るよりも、ヒョウゴとホウヤの「死」観の会話が興味深い。

●作品中で最も印象に残った場面
モニター本399ページ
「自我や意思の問題で、たとえば主観を客観的に説明できるかと突きつめると袋小路に嵌まる。人間は完全な客観性を持てないから」 自分の視野の狭さを改めて思い知りました。

●作品中、最も共感した登場人物
いません。
事故死や殺し屋に一切関わりがない今のところの人生が幸せで、作中の世界に足を踏み入れるのが怖いから。

2行あらすじを読み、スティーヴン・キング『ダーク・ハーフ』を彷彿しました。ホラーが苦手なのでジャンルごと避けてます。
この度ありがたく読了し、怖くて・・・。やっぱりホラーを直視できません。
祖父の話とはいえ、伝え聞きを書き起こす手法で、幕間は少しだけ救われました。怪しい養蚕家が誰なのか消しては浮かび、想像しながら追って読むのが楽しかったです。
グロいのはなにも拷問など、死の瞬間や死体発見だけではない。生命誕生の瞬間も、また然り。まざまざと見せつけられました。
藤崎 さん (30代女性 その他)
息をつく間のない展開に一気に引き込まれました。
何よりもこの圧倒的な世界観!こんなにも濃い物語には、なかなか出会えません。
「彼」=ボズ(墓頭)に関わる人々の、それぞれの思惑が渦巻きながら巻き込まれてゆく展開の激しさ、そして、その過激さには興奮しきりでした。文句なしに面白い作品です。読んだならば、人に勧めたくなること間違いなし!です。
読後の覚めやらぬ興奮から、誰かと、あるいは自身の心の裡で、「彼」について語り合いたくなる読後感が必ず得られると思います。更には、もしかしたならば、現代の風潮の中にある暗黙のタブーに切り込む挑戦作、とも読めるのではないか、と感じました。
真藤順丈さんの作品は今回初めて読んだのですが、今後の作品に強く期待!気の早いことでしょうが、次の作品が楽しみです。

●作品中で最も印象に残った場面
白鳥塾での海外旅行の場面が印象的でした。
理由としては、まだまだ残っている先の頁に対して、何が起こるか分からない、目を離すことの出来ない緊張感、期待、興奮を覚えたのがその場面前後からだったので、私にはそこが一番印象的な場面に感じました。

●作品中、最も共感した登場人物
ホウヤ舎監が好きです。
思想に偏りのある人物ではあっても、それ以外の面でのホウヤ舎監の台詞には、共感出来る美しさを感じました。

真藤順丈さんの作品は、私はこの作品が初めてなのですが、「墓頭」、とても面白く、気に入りました!
今回、モニターという形で初めて真藤順丈さんの作品に触れるきっかけを頂き、こうして嬉しい出会いとなりましたこと、感謝しています。
真藤順丈さんの今後の作品や、これまでの作品も読んでみようと思います。最後になりましたが、真藤順丈さんの、今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
ミッピ さん (30歳女性 主婦)
頭に双子の片割れを抱えたまま生まれ、育ってきた墓頭。生まれながらにして、他人とは違う外見。祖母の考えで、日の光を浴びない生活を送ってきた。
親は早くに死に、育ての祖母も死に、親友や大事な人も次々と死んでしまうことは、すべて自分の頭の中のこぶのせいだと思っている、とてもかわいそうな人の生涯の話でした。ここまでコンプレックスを持って生きていくのって、すごく大変なことだし、勇気がいることなんだなって思った。でも、彼を取り巻くすべての人に少しずつ勇気をもらって成長していくさまが素敵だと思いました。

●作品中で最も印象に残った台詞
『生まれながらに彼は墓だった』
最初は意味が理解できない言葉でしたが、読んでいくうちに納得できました。

●作品中、最も共感した登場人物
墓頭。
コンプレックスを持っていて、人間を信用できずに生きてきたのに、いろいろな人に出会うことによってドンドン気持ちが優しくなっていうところに共感が持てた。

3年かけて描いた作品ということで、とても深い作品でした。一字一句かみしめながら読みました。おもしろかったです。白鳥塾出身の子供たちの人生を描いた作品があったら面白いかもしれないですね。読んでみたいです。
はっぴー さん (20代男性 学生)
私の予想を遥に上回る結末でした。
時折出てくる史実に基づく記述が妙にリアリティがありフィクションなのか過去に実在する人物のことなのか分からなくなる時がありました。私はボズ側の立ち場に感情移入してしまった為、この技法(?)は最適でした。
わくわく感がありページをめくりたいが、心はドンドン暗くなってくる作品だと思います。ボズに与えられた環境・境遇を一読者として恨んでしまう作品である。

●作品中で最も印象に残った台詞
モニター本P48「お父さん」
この物語のスタート部分でボズは実の父にも捨てられ、先生も死んでしまい悲しみが一気に襲ってきた一文だと思う
心のどこかには父は自分の味方をしてくれると思っていたに違いない


●作品中、最も共感した登場人物
ボズ
自分のことを見捨てられているのに必死に生きようとする姿
自分とは一体何なのか。を探そうとする姿勢が感じられた

この作者さんの作品は初めて読んだのですが、物語に引き込まれてしまいました。
3年の歳月をかけて執筆した理由が私にはわかる気がします相当作者の方も悩みながら書かれたと思います
この作品を読めて良かったです。
青猫 さん (30代女性 専門職)
どっしりずっしりとした重量感で、すっかりと世界に引き込まれました。しかし最初はとっつきにくい印象でした。
登場人物は誰も彼もが日常からかけ離れていて、とんでもなく異常だし。数々の場面も暴力と死に満ちていて、不快感すら催すほど。酷く醜悪で惨たらしく、奇妙で理不尽な物語。それでも、それまでの物語があまりに重苦しかったが故の、呪縛が解き放たれた後の世界観はとても明るくて。読後はむしろすがすがしさすら感じさせられました。

●作品中で最も印象に残った台詞
「生まれながらに彼は墓だった」
この作品を表すのには、この一言だけで充分かもしれないほどインパクトのある言葉。
そして、最初の一行で引き込むのにも充分すぎるほどの言葉。すべてがこれに集約されているような気すらしました。

●作品中、最も共感した登場人物
マダム・ヴィラ。
芸術に戦いを挑むかのような姿がもっとも印象的な人物でした。彼女の作品は、ぜひ見てみたいと思わされます。

とんでもない読み応えでした。
最初はやや読みにくいかな、と思いましたが。引き込まれると一気でした。

time さん (30代男性 会社員)
生まれた時にその特異性から家族にさえ愛を注がれなかった。名前すら付けてもらえなかった。そんな人生が今のこの日本でどれだけの人が想像できようか?
人が一人で生きていくのはとても大変なこと。祝福されず、身よりもなく住むところ食べることも明日生きている保障もどこにもない。たとえ死んでしまってもきっと誰も悲しんでくれないだろう。今の日本人はこの境遇でどれだけの人が生き抜こうと思えるだろうか?
この本の主人公通称『墓頭』はそんな生き方をただひとつの目的のために生き抜いて行く。その貪欲さを私は持ち合わせていないのでひたすら衝撃の連続だった。
 平凡な生活を送っている人や暇を弄んでいる人もちろん充実した生活を送っている人皆さんにお勧めします。

●作品中で最も印象に残った台詞
「自分以外の人生を理解できるようには作られておらんのですわ。〜その他者の核心に隠されているような<謎>は暴いちゃいけません。〜」この台詞です。理由ははっきり表現できないのがものすごく、くやしいですが自分の心の中の何かにいい意味なのか悪い意味なのかそれすらも分からないけど影響のある言葉でした。
きっと今までに真剣に人向き合った人が思う気持ちだとおもう。

●作品中、最も共感した登場人物
やはり「墓頭」です。自分は彼ほど過酷な人生を歩んではいないが、重なる点があり共感が持てたから。

本当は重たい話は苦手で・・・。でもひとたび読んでみるとその数奇な人生に引き込まれて行く。結局一気読みしてしまいました。
この作品の続編はないかもしれないけど、次回作も期待しています。
恵美 さん (30代女性 主婦)
生まれたときから死にまとわりつかれ、名前すら持つこともなくボズと呼ばれた男は自分と関わると死の連鎖が起きると信じている。何故なら彼の頭には死んだ双子の兄弟がいて自分自身がすでに墓だから。誰にも受け入れられない、目を合わしてももらえない少年時代はとても切ない。その後白鳥塾の人たちと出逢い運命の波に翻弄されていく。果たしてボズはどこにいるのか。ボズのことを語っている養蚕家は何者なのか。主人公の僕を通して知る壮大な物語。大変スケールが大きいにも関わらず、根底にあるのは愛。とてもシンプルな「生きる」ということを描いた物語でもあるなあと思いました。

●作品中で最も印象に残った場面
ユウジンが起こした奇跡
それまでたくさんの死に呪縛されていた墓頭を解き放った生命力に満ち溢れる場面に感動しました。

●作品中、最も共感した登場人物
主人公のぼく。一番平凡だから。

突飛な世界なんだけど根底には家族とは、生きるとは、ということが描かれている作品だと思いました。たくさんの人にボズの物語を読んでもらえるといいなあと思います。
ルイオグ さん (20代女性 主婦)
小説らしくない、小説を読ませてもらったという思いです。
それにしても、なかなか進まないので途中何度も早く結末を知りたがるなんて、浅はかな考えなのかも・・という、そんな事をふっと感じながら読み進めていました。正直、結末にどんでん返しは用意されていませんし、作者の方もそこで爆発力のようなエネルギーを注がれている印象も受けなかったので結末重視の小説でないことは、言い切れるんじゃないでしょうか。

●作品中で最も印象に残った台詞
ユウジンに語りかけるシーンで、
「歩いたり、話したりできるってわかったら、つけ込まれることもある」
警告をする一言の中に、真摯な愛情と根深い孤独な心理が凝縮されている様で印象的でした。

●作品中、最も共感した登場人物
《アリ・C・プラブハット》
ボズの人生に“兆し”をもたらした人それこそが、アリ先生であるように思います。同時に、ボズの心が遅ればせながらこの世界と出合った瞬間だった気がしました。
たとえその出会いが、肯定出来なかったとしても、すべてはそこからはじまったのだから。わたしはその出会いが、貴いものだと信じたいです。
さゆり さん (20代女性 会社員)
読んでいて、ずっと黒い霧の中にいるような感覚だった。先に進んでもいいことは待っていないとわかっているのに、夢中で霧の中を進んでいった。
死というものを考えさせられていくなかで、生とは何かということも考えた。孤独を感じ、繋がりの暖かさを知った。他人があるからこそ、自分を意識することを知った。絶望を描いているのだけど、反対のものを意識させられる。
表現も生々しい言葉を多く使っていて、臨場感があった。難しい人間性や人の思考を見事に表現していたと思う。

●作品中、最も共感した登場人物
ボズ
はじめは、差別され迫害され、希望を失って人殺しになるのだと思って読んでいた。でも、ボズはいつだって人間で、優しい。人を裏切らない。

かなりの長編でしたが、一晩で読んじゃいました。ボズへの興味で一気に最後まで行きました。まさかあんなにプラスの終わりかたをするとは思いませんでした。
実在しえない人間性、実在しえない人の思考を描くのは、本当に難しかったと思います。実は私も小説を書いているのですが、非常に勉強になるのと同時に、力の差を見せつけられました。
さらら さん (20代男性 学生)
最初のタイトルからして、何が何だか分からなく、またボズが何者であるのかが全く分からなかったのですが、読み進んでいくうちにボズの真相・過去が分かり度々、衝撃を受けました。スケールが大きい中でのボズの人生には、考えさせられることもありました。ボリュームがあるお話ですが、読んでみて短くも感じました。今、私たちが生きている時代とは異なる世界観です。是非、みなさんに読んで貰いたいお勧めの本となりました。

●作品中で最も印象に残った場面
ボズの世界が、音をたてて土崩瓦解する。といった場面であり、ボズが嗄れた声を苦しみながら漏らす所は、読んでいる私まで苦しくなってくるようで彼の苦しさが伝わってきました。

●作品中、最も共感した登場人物
私の中では、やはり「ボズ」が一番心に残っています。悲惨な状況で産まれ、悲惨な暮らしの中でも生きるボズの姿に凄さを感じ、圧倒されっ放しでした。

臨場感のある場面やセリフがとても好きでした。真藤順丈さんの作品を読んだのは、この作品が初めてです。良い本に出会えました。ありがとうございました。

つゆだくのどりい さん (20代女性 学生)
文字なのに色が見えてくる。それもひんやりと曇ったカーキ色。そんな色が頭にもくもくと充満して墓頭の世界は始まる。文字の世界に閉じ込められた墓頭が怒り、私の世界に何度も飛び込んで来そうになる。暖房の空調音にびくつきたくなければ、この世界は知らない方がいい。

●作品中で最も印象に残ったセリフ
冒頭の一文に勝るものはない。「墓頭は母親を殺したよ。」タイトルから異質で何かハードボイルドめいた空気は覚悟の上であったがこれには1DKの部屋に突然圧迫される様な不気味さが心地がした。結局物語初めで母親殺しをやってのけた墓頭のせいでどの場面でも私は印象から脱出する事はできなかったのだ。

●作品中、最も共感した登場人物
墓頭だ。生まれながらにして人を殺めると表現されてしまう墓頭のまさに頭一つ抜けた「狂気」の性格にやはり強い興味を禁じ得ない。そして頁をめくる指を止めることが出来なくなった私。強い個性に圧倒の二文字。

この不気味さ、食べ続けずにはいられません!宣伝活動でどんどんと墓頭を日本に浸食させていってしまって下さい!
ブラックホール さん (20代女性 学生)
 この作品は読むのにだいぶ骨を折りました。何度も眉間にしわを寄せたし、何度も本を閉じて目をつむりました。
 正直なところ、この小説は少し苦手です。私には刺激が強すぎました。読んでいて、思うこと、感じることはたくさんあったのですが、この強すぎる刺激に圧倒されて、うまく書くことができません。

●作品中、最も共感した登場人物
私はアンジュさんが1番好きです。アンジュさんの言った「そなえるのです」の一言には母の強さを感じて、胸を打たれました。

真藤さんの作品を今回初めて読みました。この作品を書くまでにたくさん苦労してらしたのかなと勝手に想像しました。私の思い違いだったらごめんなさい。
今回の小説を苦手だと言いましたが、読者モニターを書かせて頂けたのも何かの縁です。次回、真藤さんの新しい作品がでたら、再びチャレンジ精神で読んでみたいと思います。応援しています。
セシル さん (20代女性 学生)
作品の第一部のタイトルは「闇の子宮から」。右頭部のこぶの中に入れ子となった双子の死体を持って産まれてきた子、墓頭。彼は出産時の帝王切開にて母親を殺して生まれてくる。なかなかにショッキングな物語の幕開けである。
その後も、次々に彼に関わる人間の死が描かれていく。身寄りを失った墓頭は「白鳥塾」という施設に入るが、海外旅行で向かった先は、親のいない子供たちへのあまりにも無情な世界。
まるで江戸川乱歩の世界のようだ。異形の者として産まれ、読んでいるだけでも不気味な墓頭の容姿。思わず目を背けたくなるような描写が続くが、物語の展開から目が離せずに一気に読んでしまった。
「頭のなかの死体をどうやって出すか――」幾度もの手術の失敗を経て、時折消えた兄弟に語りかけながら墓頭の物語は進んでいく。そして、もうひと組の兄弟と、繋がっていく伏線。疑問を抱きながら読み進めていくと複雑だった人物相関図が頭の中でどんどん埋まっていく様が快感で。物語にのめり込んでいった。

●作品中で最も印象に残った台詞
「生まれながらに彼は墓だった――」
作品冒頭の台詞であり、墓頭を取り巻く人々から彼への印象も伺わせる、まさに作品を象徴する言葉だと思います。この言葉がなくなって、やっと彼の物語も終わったのだなと読み手側もほっとしました。

●作品中、最も共感した登場人物
アンジュ。
墓頭の子を妊娠し、彼が認知しなかった子のことを聞いてショックを受けるも、その子ども達を探し出す所に墓頭への深い愛と、最後の瞬間まで強い女性だなという印象を受けました。

日常から離れ、没頭出来る読書をしたい方にオススメな、読み応えのある本です。
バニシングツインズという存在に向き合って生きてゆく墓頭の生き様はかっこいいなと思いました。
八多羅 さん (20代女性 学生)
常に死がそこにある。人間(我々)の醜い部分が墓頭を、その“こぶ”を通じて容赦なく暴かれる。なんて嫌な小説なのだろう。読む手を止めてしまいそうになりながら、それでも読み切ってしまったのは、そんな中にも垣間見える、人間(我々)の温かな部分がわずかに先を照らしてくれたからだ。
 激動の世界の中で、近年流された多くの血の記憶を辿りつつ展開する物語。壮大なスケールで描かれるのは、異常で極端な、しかしリアルな人間の姿。それを読ませきる著者の筆力に脱帽の一言。

●作品中で最も印象に残った場面
物語終盤。<墓>に封じられた「死の瞬間」の再現の中に見る願望という淡く残酷な未来の光と、その後の絶望の中に、ユウジンという生身の人間の形をもってもたらされる、力強い希望の光。
 読んでいるうちに私自身も囚われていたらしい、救い無き墓頭の呪縛の中から解放されたかのような感覚を覚えた。

●作品中、最も共感した登場人物
アンジュ。この人の強さは、自分を取り巻く救い無き状況に怯え、何度もくじけながらも立ち向かおうとするところだけには非ず。墓頭に向き合えぬ自分の内面の弱い部分に向き合い、受け入れ、その上で多くを包み愛そうするところにある。

今回初めて著者の本を読ませていただき、すっかりファンになりました。これから他の作品も手にとらせていただきます。