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天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債

■第34回モニター「天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債」幸田真音

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

衣谷弥 さん (学生)
「高橋是清」と言えば、名前くらいはほとんどの人が知っていると思いますが、その生涯となるとなかなか知られていないと思います。しかし、これを読めば、面白く是清のことがわかり、当時の政界や経済のこともわかると一石二鳥にも三鳥にもなる作品です。
現代にも是清のような日本に人生を捧げるといった政治家が現われれば何かが変わるのかな、と読みながらしみじみしてしまいました。
是清だけでなく、他の人物についても描かれているので、色々な方面から是清のことが知られて良かったです。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
「残酷と申すより、卑怯にございます!」
この悲痛の叫びに当時の政界の狡さと是清の真っ当さが含まれていると思いました。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
陸軍相の田中義一が好きです。
財政、国防を冷静に見て、陸軍でありながら海軍の方に費用を譲るという決断ができるところが良いです。

アイク さん (公務員)
読者を惹きつける序章から始まる高橋是清の物語。教科書や資料集で見かけるだけの彼の世界が今まさに開かれていく、そんな感覚を味わいながら読み進めていました。ページをめくるごとに彼がどんな人物だったのかが分かり、非常に楽しく読むことができました。加えて当時の状況もこれを読むことによってうかがい知ることができ、知的好奇心もくすぐられる作品でした。
文体は非常に淡々としたものになっています。その為、読む人によっては淡々としすぎてあっけないという印象を持つ方もいらっしゃるとと思います。ストーリーは非常に面白いのです。
一方で難点を挙げるとしたら、以下の2点です。1点目は状況説明と登場人物のセリフがごちゃ混ぜになることです。歴史的事実の補足説明が節々に入るのですが、それが登場人物たちのやり取りの最中に入り、せっかくの熱のこもったやり取りに横やりを入れてしまっている箇所がいくつかありました。2点目は登場人物や役職などが非常に多いことです。知識がある人でしたら問題ないと思いますが、当時の状況を知らない人が読むと混乱してしまうでしょう。主な登場人物や主な組織の構造図などがあると、あまり是清が生きた時代を知らない人でも楽しむことができると思います。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
和喜次が大学南校に辞表を出した後の展開です。
ここは、お金のやり取りで掌を返したような態度の変化や枡吉の優しさなど、人のいやらしさのみならず人の温かみが出ている場面です。この場面を読むと、嫌なことがあっても、きっと枡吉のような良い人もいるはずだから頑張ろうと思えます。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
是清の養祖母・喜代子です。
彼女はどんなに是清が色んな失態をしても、是清を叱りしません。けれども、彼女は是清を見捨てるわけではなく、ずっと見守っています。そのせいか、是清は喜代子に素行の悪さなど知られたと知ると反省しています。きっとそれは、喜代子の教えが是清の中に息づいていること、そして是清が無意識のうちに喜代子を大切にしているのだと考えます。彼女のように、ずっと見守り、ふとした瞬間にその人の心に現れ悟らせられるような人物になりたいです。


私の中でただの文字でしかなかった『高橋是清』が、この本を読んでからは頭の中で生き生きと動いています。教科書を読んだだけでは知り得なかった彼の生き様を知ることができて、非常に楽しかったです。
あまり自分から歴史小説には手を伸ばさないのですが、本書を読んで歴史小説が楽しくなりました。

こんぺいとう さん ()
分厚さを感じさせない読み応えでした。船でアメリカへ渡った一人の少年が、後に大蔵大臣、そして日銀総裁へ。渡米し、まさかの奴隷生活時代から、後に日本を引っ張っていく大きな存在になるなんて、本人すら想像していなかったと思います。成長していく姿を追っていくうちに、高橋是清という人間にどんどん興味が湧いてきました。成功する人は、いつの時代もパワーに満ち、経験することに貪欲な人なんだなと改めて思いました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
人間は、無一物でこの世に生を享ける。その後、どんな波瀾や苦難に直面しようとも、所詮自分の始末は自分一個の腕でつけるものだ。その時々で骨惜しみせず、おのれの信ずるままに精一杯生きて、なにも残さず、裸で堂々と死んでいけばそれでいい、という是清の言葉。さまざまな失敗や経験を経て道を切り開いてきた人の言葉だなと、強く印象に残りました。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
是清の妻の品。どんな苦労があっても、きっと是清に対しても思うことはたくさんあったはずなのに、文句一つ言わず、尽くして家庭を守ってきた素晴らしい女性だと共感しました。最後の場面での彼女の言葉にも気品と強さを感じます。

一人の男の人生が、まるで血が通ったように生き生きと描かれていて、圧倒され、また魅了されました。私には難しい部分もあったので、何度も読み直そうと思います。その時はまた違った見方ができるのかもしれません。違う著書も読んでみたいと思いました。

ワド さん (会社員)
無知であることによりアメリカで奴隷のようになったにもかかわらず、その後は英語力や人脈により何度も仕事を転々とし、成功と失敗を重ね、末には総理大臣になる。これはある種のサクセスストーリーでしょう!今のご時勢では考えられないくらいの転職っぷりに脱帽です。何度も人脈により成功し、また少しだけ失敗しているところが人との関わりのすごさがわかります。
若い時の是清のダメな描写、特に酒に由来する事が多いのにどんなにダメでも英語力があるからか巻き返しがきくところがすごい。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
橋和吉郎と改名する場面。いずれ総理大臣となる人が、危なくならないようにと偽名を使うとは・・・時代か・・・

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
後藤常 用心深く名前を元からごっそりかえたり後になって是清を議論で打ち負かして半年も束縛してしまうところ
キャラが立っている

MAY さん (会社員)
逆境の中で折れずに立ち向かう姿に感動しました。
どんな「苦労」の中でも諦めないってすごい!

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
高橋是清の逆境に立ち向かう姿。
aka さん (主婦)
恥ずかしながら日本の歴史や経済に関しては勉強不足でしたが、学生時代に習った日本史の記憶をたどりながら読みふけっていると、「なるほど!」の連続。世界の動きや日本の情勢も、文面を読めば思い描くことができるように書かれているので、とても面白かったです。
なにより、今から150年も昔のこととは思えないほど、高橋是清さんの幼少時代の勉学に対する貪欲さや行動力のすごさに感心させられ、転職を含め、めまぐるしいほどの生活環境の変化も常にポジティブに乗り越え、一つも無駄にすることなく経験値として後世に活かす姿には、自分もやれば何でもできる、道は開けていくのではないかという希望や夢をもらえました。
徹底した現場主義で、身分や体裁にこだわらず何でも自分で体当たりする人柄や、とにかくメモや日記を毎日事細かに残していたであろう習慣、人間関係の築き方と活用の仕方、それらを突き進める信念の強さが、いくつもの大きな功績を残された背景にあるのだと、どのシーンを見ていても感じました。
同世代や若い世代の人たちも是非読んで、精神を受け継いでいけたら素敵だと思います。

後半は、列強諸国に必死で追いつこうと近代化を推し進める日本が、いかに無理して数々の戦争を行ってきたのか、そしてその裏づけとなる資産の確保や国際信用、国民感情の安定を、高橋氏がいかにうまくコントロールしてきたのかに圧倒されました。まさに波乱万丈の人生の中で、どん底の生活を何度も見てきただけのことはあり、冷静かつ、フラットな目線での判断と行動の早さが、どれだけ当時の日本を救ってきたことか。
一途に国の発展と、国民生活の安定、幸せを願い、長年にわたり戦い続けてきた彼が、昭和の軍国主義に武力でもって葬られたことは、あまりにも悲痛で、最終ページでの喪失感は言葉にならないほどでした。

全体を通して、詳細にわたって、緻密に歴史や経済、高橋是清さんの人生をなぞり、わかりやすく、かつテンポよく、読者を没頭させてくれます。しかし、著者の幸田さんがこの偉大な人物にかける思いの強さの表れだとは思いますが、あまりにも高橋是清さんの言動のすべてを褒め称える調子が続くので、そこは少し違和感がないわけではありませんでした。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
やはり、高橋是清さん。
…どんなに偉大な功績を残し、地位を築いていても、そこに拘泥することなく常に前を向き、周囲の情勢をキャッチしようとする姿勢に感銘を受けました。その功績の裏には、計り知れない努力があり、その努力を彼自身がとてもポジティブに楽しんでいたところは、今後是非見習いたいです。

幸田さんの作品は今回初めて読みました。歴史、経済のプロフェッショナル…という強烈な印象を受けました。高橋氏の功績だけを追いかけるのではなく、家族を思うシーンや友人とのつきあい方など、人間的な側面もうまくシーンにとりこんで、彼の人間的な魅力をふんだんに伝えてくださいました。これを機会に、日本の近代史や経済にもっと目を向けたいと奮起させられました。
とちとち さん (主婦)
最初から最後まで思ったこと。それは、「もっと早く読みたかった」です。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
「お祖母さまのお世話は、いたらぬことも多いと存じますが、一所懸命努めますので、留守中のことはどうぞご安心を」
です。結婚して6年になりますが、それでもこのような事は私には言えるだろうか、ハッとし、考えさせられたからです。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
お君です。まだ自分が20代という事もあるかもしれませんが、一番引きこまれました。


大人の男性が好む内容だろうなとは思いましたが、歴史が苦手だったアラサー主婦でもとても面白く、考えさせられました。株式投資も始めたばかりですが、ただ自分が儲かるためだけの投資ではなく、もっと日本がよくなるために、世界がよくなるために、選んでいこうと方向性を決めることもできました。ありがとうございました。

さん (会社員)
日本が近代化を成し遂げていく過程での、知られざる政治史、経済史の一端が窺えるようであり、極めて興味深く読むことができた。
特に、日露戦争前後において、国の存亡を賭け、外債発行のために是清が力を尽くしている様子は、正に手に汗を握るようだ。教育者、役人、銀行マン、政治家と、是清の人生は波乱万丈。何度も挫折を経験しながらも、人の縁に恵まれ、復活を遂げて大きな仕事をしてきた是清の、私心のない生き方は多くの人の胸を打つだろう。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
尾崎行雄が、新聞連載で是清の半生を読んで語った時のセリフ。是清の生き方を端的に表しているから。
「物に拘泥はらないこと、氏のごとき人は、日本中ほとんどない・・・・・氏は生まれつき身分の高低などには少しも頓着せず・・・・・だから世間の喝采を受けても、有頂天にはなるまいし、反対に非難を蒙っても、ビクともするものではない。」

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
是清の後妻の品
先妻の子、実子、愛人の生んだ子までも、分け隔てなく自分の子供として育て、夫を助け、家を守った。激動の時代を生きた女性の強さを感じる。

えりか さん (学生)
堅苦しくて読みにくくてなかなか入り込めなかったけど、文章に慣れてきたら面白かったです。13歳で英語勉強したいなんて言ってとってもアドベンチャーな人生だなー

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
「これは約束のシェイクハンド」とてもテンポのいいフレーズで、場面にそぐわずちょっと笑ってしまった。また、鈴木直が是清に手紙を書いてきて、是清は返事を書こうと思ったけどやめて添削とお礼のみを書いて送り返したシーンは、是清の抑える気持ちを表していてすきです。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
鈴木直。英語を勉強して聖書を覚えている真面目で控えめな直さんがいい。自殺しようとしたけど是清に諭され生きていく直がなんだか好きだと思いました。
水無月 さん (学生)
高橋是清は、転職や失敗を繰り返して内閣総理大臣へとたどり着いた人物です。彼は諦めずに何事にも全力で挑戦していくというチャレンジ精神を持っています。そして、彼は人との縁に恵まれているなと思いました。

若くしてアメリカへ渡る彼ですが、奴隷となり帰国できない危機に陥ります。しかし、救世主が現れて無事日本に帰ることができます。様々な人脈や経験を活かして困難から抜け出す場面が多く、読んでいて引き込まれました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
「残酷と申すより、卑怯にございます!」

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
主人公の高橋是清です。彼の行動や言動には驚くばかりだったからです。

今まで私はこのような小説を読んだことがありませんでした。しかし、この作品をきっかけに経済や政治についての作品を読んでいきたいと思いました。
こひな さん (会社員)
本当に波乱万丈な人生で次は何が起きどう解決するのだろうと期待しながら読むことができました。いろいろな職業を経験した是清でしたがどんな仕事でもよく学びそれを活かすべく行動ができることが素晴らしいです。
是清のセンスと人となりがいろんな良い話や厄介な話を集めてしまうのかと思いました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
鉱山事業に失敗し職も財産も無くなって貧しい暮らしをしているのに役人への話を断って丁稚小僧から働きたいと実業界へ入っていった是清の姿勢がすごく好きです。専門知識を持たない上司の下で働いたときに苦労したのでこんなふうに考えてくれる上司がいたらありがたいと思いました。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
品の懐の大きさに同じ女性としてすごいなと思いました。自分には無理かなと思うところもありましたが、いろいろなことを受け入れていて凛とした印象でそんな女性として母としての姿は見習うところがたくさんあるように思いました。

話に動きがあって飽きることなく読め、時間を見つけては早く先を読みたいと思える小説でした。とても楽しめました。新聞小説にも興味を持てたので面白そうな話を探してみたくなりました。

こなごな さん (会社員)
高橋是清の業績と最後は知っていたが、幕末に生まれ、明治維新、日露戦争、関東大震災、昭和恐慌、と激動の時代に生きた彼の生涯はまったく知らなかった。
前半生は失敗の連続、アメリカで奴隷となり、帰国後は相場で大損、友人の借金を背負い、ひも同然の生活、しかしそんな経験が後半生に活かされる。
実業界転進後の高橋是清の活躍はすさまじく、倫敦における日露戦争の戦費調達、さらに昭和恐慌と怒涛の勢いで展開していく、特に金融恐慌での高橋是清の活躍は読みどころです。
幸田真音さんの文章は読みやすく経済を知らない自分でもすらすら読めました。
それでいて必要なデータはしっかり載っているので経済書としても十分参考になると思います。一度発行した国債を高橋是清でも止めることはできなかったが、アベノミクスによる黒田日銀の異次元の金融緩和後の日本はどうなるのか?今こそ多くの人に読まれるべき作品だと思います。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
名セリフがたくさんあり付箋だらけになりましたが最も印象に残っているのは「国にとっても経済や金融にとっても欠くべからざるは信頼である」
金融恐慌のとき銀行に札束を積み国民の信頼をえることにより収束できたわけですし、今の日本でも信頼があるからこそ安定的な金融政策が打てると思います。もちろん人としてもとても大事なことです。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
桝吉(お君)
セリフがほとんどないので想像ですが、高橋是清がもっとも辛いときに陰で支えになったのはもちろん、凛とした姿勢がとても印象に残っています。

コバさん さん (会社員)
高橋是清という名前は、子供のころから教科書で見ていたし、首相や大蔵大臣を歴任した人物ということも知っていた。しかしながら、生い立ちや少年―青年期にこれほどまでに様々なチャレンジをし、ドラマチックな人生を歩んだ人だったとは知らなかった。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
酒浸りな自分を戒めようと思うにも、歯止めが利かなくなっている場面では、そんなどうしようもない男でありながら多くの人が手を差し伸べる様子に、この人物の圧倒的な実力を感じずにはいられなかった。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
登場する女性は、どの人も、強く気高い江戸の女あるいは明治の女であり、強く心を惹かれた。時代のせいか若くして病に倒れる人も多く、口惜しい感じがした。
お君と本当に夫婦になっていたならば、日本は変わっていたかもしれないと思った。

適度な距離感で主人公をはじめとする人たちを描写していて心地よく読むことが出来ました。
私も、これからもっともっと色々なことにチャレンジしなきゃと強く心に誓いました。ありがとうございました。
ポンカン さん (学生)
正直に言ってしまうと、あまり登場人物、感情移入できず引き込まれなかった。特に前半部分で主人公をあまり好きになれなかったのが大きいと思う。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】

「残酷と申すより、卑怯にございます!」

作者の想いが非常に強く出ているセリフだと思う。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
高橋喜代子
厳しくも是政に対する深い愛情が伝わってくるところ。短刀を渡し、切腹の方法を教える姿は切なかった。
なおきち さん (自営業)
とても読み応えのある小説でした。
教科書の中でしか知らなかった高橋是清という人物が、自分が思っていたよりももっと大きな人物であったという事が良く分かり、沢山の人に読んで貰いたいと思いました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
末松と翻訳記事を新聞社に売り込むところ…若い是清の発想力や行動力を好ましく思いました。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】

鈴木知雄…是清のような生き方はすごいと思いますがなかなか出来るものではないので、鈴木のような真面目で堅実な生き方の方が共感できます。

素晴らしい小説をありがとうございました。
最後の品の叫びは現在の我々が今叫びたい事かもしれません。

じゅんじゅん さん (学生)
是清が主人公の歴史経済小説ということで、お堅い伝記のような作品かと思っていました。実際には歴史的要素を多く含みながらも物語的に楽しめました。文章も簡素で読みやすかったです。
是清が、いつでも恐れを抱かず新たな地に踏み込んでいこうとする姿勢には感服しました。是清が仙台藩にもらわれてきたという点で、少し親近感を覚えました。
登場人物が非常に多いので、下巻には人物相関図か登場人物紹介ページがあると助かると思います。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
是清のセリフ「なあ、直。忘れるなよ。順境は、いつまでも続くものではない。だがな、逆境というのもまた心の持ちようひとつで、これを転じて、いくらでも順境にすることができる」
自分が言い聞かせられているような気持ちになりました。これと同じような言葉はいくらも聞いてきましたが、是清の声に乗ると、ぐっと重みを増すように感じます。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
やはり、是清!
勇敢な「挑戦者」であり続ける彼の生涯に恋をしそうです。

MA さん (会社員)
この本を読むまで高橋是清という人物が実在の人物だとは知りませんでした。
読んでいるうちに歴史の教科書で見る有名人の名前が次々に出てきて、読了後にネットで検索して、改めて感じる波乱万丈さに、是清が本当に閉塞感のある時代の勤勉な(私のイメージですが)昔の日本人なのかと信じられないような気持ちになりました。
前編で子供のうちに渡米を果たしたことをはじめ、次々と職を招かれるがままに受けて辞めてしまうのを読んで養祖母の気持ちをつい考えてしまいました。
今まで小難しそうだとこのような小説は手にとったことはなかったのですが、意外にも読みはまり時間はあっという間にたっていました。歴史経済小説また読んでみたいと思いました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
日銀内でこじれが生じて結局理事派が辞表を出したときの是清の対応。
当時の日本にとって優先すべきことを判断して厳しくも冷静に発言していて、印象に残りました。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
自分が女ということもあり、妻の品が好きです。
新婚時是清がペルーへ行く時気丈に見送っていたことや品が逃げ帰ってきたときの是清の対応に喜んでくれたことなどに懐の大きさのようなものを感じました。
笑門来福 さん ()
ほぼ半世紀前の予備校で「高橋これ着よ」と着物を着せられ2.26事件の凶弾に倒れたとだけ聞いていたが、今回わが身を抜きに最優先で国のことを考え軍部に反対し国民を思い家族を愛し80歳過ぎまで国のために働き続けた是清の生き様を知り何度も涙があふれた。背景にあるのは若くして海外に飛び出して得た広い視野と下積みを厭わぬ現場主義。今の日本のエリートにもっとも欠けているものではないだろうか?
「軍隊が必要」という声が上がっている今こそ若者から老年まであらゆる日本人にぜひ読んで欲しい一冊。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
陸軍がますます勢いを強めており発言力が増すばかりで誰も表だって批判など口にできない雰囲気が醸成されつつある。裏で小声で文句を言う議員はいくらでもいるが堂々とノーを突きつけることができなくなっている。やるしかない。たとえ自分一人でも。是清は心に誓う。誰かが阻止しなければこの国はとんでもないことになる。是清は敢然と、そして公然と軍部批判に乗り出したのである。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
桝吉
気風の良さと是清を将来性のある男と見込んだ眼力。
彼女が亡くなる最期まで「先生はあんなにご立派になられて」と陰ながら喜んでいた姿。


歴史文学というともっぱら司馬遼太郎の竜馬がゆく(坂本龍馬)坂の上の雲(乃木希典、東郷平八郎)など英雄がもてはやされるが、今回のどちらかといえば薩長を敵に回すことになった是清を取り上げたことで、歴史の中で大切なものは何かということがわかった気がする。
特に品と直の部分は現代では非常に理解されにくいにも関わらずあえて取り上げたことは素晴らしいことです。
シゲ さん (自営業)
歴史に疎い私ですが、高橋是清の生きた時代の社会、経済、政治の流れがよくわかり、とても面白かったです。
是清の人生は波乱万丈であり、同時にすこぶる運がいい人物で、『事実は小説より奇なり』という言葉が事実であることを証明するようだと思いました。
是清の強運は、是清自身が積み上げてきたものにより起こり、是清の歩む道だからこそ最大限に活かされたものなのだと、小説を読み終えてしみじみと感じました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
心ハ是レ常二楽シミト為ス。
どんな苦難に直面しても、常に人生を楽しめ・・・ この言葉が、是清の人生の歩み方を物語っているように思いました。タイトルにある「天佑」という言葉も、是清の人生を表す言葉だと思いますが、天の恵みは、是清がどんな苦難に直面しても、精一杯に人生を楽しんだ・・・楽しめるものにするように努力した結果だと思います。


是清の生きた時代は現代のような教育体制が整っておらず、学ぶことが平等ではなく、容易でもなかった時代だったことがわかりました。この小説は、ぜひ十代、二十代の人に読んでもらいたいと思いました。
REDMOON さん ()
高橋是清は226事件で軍国主義の犠牲になった人物と日本史で学んだ程度知っていた。しかし、226事件の関係者ということではなく、高橋是清自身に焦点を当てる話を読んだことはなかったのでこの本に書いてあることは新鮮だった。

この本に書かれている高橋是清は、偉人と呼ばれるだけの偉業を成し遂げたことがわかる。だが、そこには高橋是清の華麗な人生というよりもいくつもの挫折失敗を繰り返した結果であることは興味深い。なによりも、高橋是清の才能は人を魅了すること。その結果人と人とが繋がっていき、日本国際を売るという大きな成果をあげていくことができたのだ。現代にこのような魅力ある人物は少ない。

作者の幸田真音さんはテレビなどでも活躍している方であるが、経済についての深い知識に加え、登場人物の心情を上手に取り入れた骨太な文章を書く作家と感じた。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
病床にあるはずの法王と呼ばれた川田日銀総裁が、高橋是清の日銀入りに難色を示した田尻大蔵次官に対して意見を言いに行ったということを聞いて高橋是清が感動した場面。

高橋是清の行状が良くなかったことは事実なので、田尻大蔵大臣の懸念は仕方のないことであったが、懸念に対して川田が抗議をして正しい人物評を行なうようにと病の身でいってくれたということは、そこまで高橋是清に惚れ込んでくれたということだろう。人と信頼関係を大きな土台とした高橋是清を理解できるエピソードだと思える。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
フルベッキ
高橋是清だけでなく、日本という国をつくりあげていく優秀な人材が育っていく上で大きな貢献をした人物である。その見返りを十分に受けることが出来なかったことは不運ではあるが、フルベッキという人物の清廉な人柄が伝わり好感を持てる。


高橋是清が全身全霊で試みた国債の売り出しと、現代における国債の売り出しは目的、意味合いが同じとはいえない。しかし、財政の歴史を知ることで、現代の財政の状況を理解することに役立つだろう。
また、高橋是清という人物を知ることも出来、歴史小説としても面白い。
おそらく、日本経済の復活が望まれる今こそが、この『天佑なり』を読むのにふさわしい時期だろう。これから、多くの人に読んでもらえるようになることを期待する。
k.k さん (会社員)
今まで伝記小説というものは地味な物と思っていたが、「天佑なり」を読んで自分の中の伝記小説のイメージが変わってしまった。事実は小説より奇なりとはよく言うが是清の人生はまさにこの言葉がぴったりなのである。そしてこの本は高橋是清の知恵が詰まった実用書でもあり、なんて生ぬるい世の中に生きている事かと気付かされると同時に勇気をもらえる痛快小説である。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
上司にあたる人物と対峙する場面が非常に印象に残った。気難しい上司等に対しても臆せず発言し、理解を得て物事を進めていってしまう事に感銘を受けた。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
高橋是清:キレ者なのに真っ直ぐな人で、非常に尊敬できる。


伝記小説というものを初めて退屈せずに読む事ができた。これを機に他の書籍にも触れてみたいと思う。

りんちゃん さん (主婦)
とにかく驚いた。
100年前の日本にこんなにも波乱万丈な人生を送った人物がいたとは。
次から次へと、それこそページをめくるたび現れる困難。彼のいる場所は目まぐるしく変わり、海の向こうにまで広がる。これは天佑を受けた男の冒険物語だと思った。

そしてそんな彼の人生にはいつも必ず支えてくれる女性の姿がある。
幼いころから不思議な縁に導かれ、あたたかな愛情は常に控えめに、それでいて強く確かに彼に注がれていた。だからこそ高橋是清は険しい道をものともせずに進むことができたのではないだろうか。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
『心是為常楽(中略)どんな苦難に直面しても、常に人生を楽しめと説いたのである。おのれの運を信じ、楽観的に物事を見る。そこから拓ける道があると。』
これは高橋是清の人生そのものをあらわす言葉だと思った。激動の日々の中で、進むべき道を見失うことなく歩き続けた彼の言葉の重みを感じた。
天からの幸運をも味方に自分の力としていく心持は、ただただあっぱれ。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
高橋品。
妻として、母として、主婦として。素晴らしい女性だと思った。後添えとして高橋家を守り、子供たちを(自分の産んだ子供ではなくとも)しっかり育てる姿に感動した。
時代に違いはあるが、私だったら耐えられるかどうか。私も品のような心の強い女性でありたいと思った。
ヴィヴィアン さん (主婦)
なんという振り幅の広い人生でしょう。
決して本人が望んだわけではないのに、ある時は騙されて、ある時はほとんど無理矢理に乞われて・・・ある意味見切り発車ともいえる人生で、何度も大事故に遭いながら、人や運命を恨んだり、憎んだりすることなく、タダで起きることなく、勉強して、勉強して、勉強して、見識を広めて、手を差し伸べてくれる人を見つけて、人との縁を大切にして、活路を見出していく。
天佑なり、と是清は言ったけれど、そんな是清だからこそ、天も味方してくれたのでしょう。
こんなに豪快で、ついでに大酒のみの経済人がいたことを知りませんでした。
当時の人達がもっと是清の意見に耳を傾けてくれたら・・・今の日本に是清のような人がいたら・・・
「たら・・・」をたくさん考えさせられました。

【作品中で最も印象に残った場面(もしくはセリフ)】
「心是為常楽」
心ハ是レ常ニ楽シミト為ス。
幸田さんの高橋是清を一番端的にあらわしている言葉だと思うので。

【作品中、最も共感した(最も好きな)登場人物】
是清の2番目の妻、品さん。
自身も可愛がっていたであろう姪で高橋家の女中頭でもある直と是清との5人の子供も、前妻の子供達や自身が産んだ子供達となんの隔てもなく、心から慈しんで育てたという品さんに共感というよりは、驚きと尊敬の念を持ちました。是清から見た彼女ではなく、彼女の本心を聞いてみたい。


歴史小説は好きですが、経済には苦手意識があり、後編は特に経済用語や内容をちゃんとは理解できなかったのですが、幸田さんの是清の豪快さに惹かれて読みました。読んで良かったと思います。