いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

はなとゆめ

■第41回モニター「はなとゆめ」冲方丁

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

弐仁 さん (学生)
普段あまり時代小説は読まないので、とても緊張していました。
今まで読んでいたものと比べて少しかためといいますか、時代小説ということもあり、序盤は少し戸惑いましたが、読めば読むほど作品に引き込まれていく感覚でした。 他の時代小説を読んだことがないのでわかりませんが、比較的読みやすい作品なのかと思います。
清少納言が語り部だったせいか、自分自身が清少納言になったかのような気分に陥り、私自身中宮様のことをとても愛しく感じながら、読み進めていました。 本当に、凄いと、ここまで感情移入のできた作品は初めてです。 文書を辿ればその様子が脳裏に自然に浮かんでくる、冲方先生の細かな表現の秀逸さを感じることができました。
凄い作品に出会ったと思います。
紐メガネ さん (学生)
江戸を舞台にした時代小説は何冊か読んだことがあるものの、平安時代を舞台にしたものは初めてでした。あまりなじみのない世界観だったもののすっと本の中に入り込めたと思います。
この本の主人公は清少納言、彼女の書いた枕草子はエッセイとして有名です。それを意識したのか、清少納言の回想形式で進むこの本も清少納言の感情や浮かんだ考え、日常の様子を率直に、思ったままに書こうとしている、そういう意味ではエッセイと似たような印象も受けました。だから彼女の感情がよく伝わってきたように思います。特に中宮定子に対する憧れや尊敬ぷり、枕草子を書くに至る決意の描写が特によかったと思います。
歴史小説の面白いところは教科書では数行で片付けられた出来事が、小説として取り上げられると、遠くに感じる歴史上の人物や出来事が、実際にあったことなんだ、と身近に感じられることだと思います。この本もまさにその面白さに満ちていると思います。特に内裏での日常は現代の日常生活とちがってとても風流な「いとおかし」な世界観でした。話のところどころで出てくる歌がいい味を出しています。
政争の話などドロドロした話の個所もあるものの全体を通して清少納言の成長や日常を描いた爽やかで口当たりのいい雰囲気の作品だったと思います。
yuyu さん (自営業)
清少納言の頭の回転の良さ、定子の優しい人間性。 私はこの二人の求めあう関係がとても好きだ。 定子という人間の優しさや気遣いは何処から生まれたものなのだろう。 清少納言の華を見出し、咲かせ、愛でるだけでなく支えあう事までできる定子。 そして定子の番人であると忠誠を誓う清少納言。 彼女にとっての「はなとゆめ」は定子でいっぱいだろう。 作品全体を通して、忠誠心の美しさをひしひしと感じた小説だった。
自分の華とは何か、自分の夢とは何処かと自問をしてしまう。 そしてその答えを一生出せぬまま終えていく人間も沢山いるのだろう。 答えを問わない人だっているのだろう。 私は自分のはなとゆめに必死でいたい。 そして朝顔が枯れた後でも「ああ綺麗だった」笑いたいものだ。
てけてけ さん (学生)
今まで読んできた歴史物とは違い、静かに流れていくような美しく儚い作品でした。 宮中の華やかさ、人間関係の難しさが、清少納言の語りという形でいい意味で淡々と書かれているような印象を受けました。 『枕草子』で実際に読んだことのあるエピソードや、聞いたことのある人物名も多く、歴史物なのに読みやすかったです。 『枕草子』を読んだときは、清少納言は「機転はきくけれど自尊心が強そうな女性」というマイナスイメージが強かったですが、この本を読んで改まりました。 清少納言の中宮定子への愛が伝わる、丁寧な描写でした。 静かな夜に一人で読みたくなる一冊でした。
成海 さん (学生)
古文の時間に読んだ枕草子の印象から、ずっと清少納言という人が苦手でした。しかし、この作品を読んでその印象は覆されました。清少納言が語り手となっており、とても読みやすかったです。枕草子に載っているエピソードもとても色鮮やかに語られ、こんなに面白かったのかと枕草子を引っ張り出して読み直してしまいました。清少納言を中心に内裏の華やかな部分と共に当時の熾烈な政権争いや派閥などが描かれており、彼女とともに女房になりきって読んでいたのでまるでその場にいるようで嬉しくなったり苦しくなったり共に華を見せてもらいました。登場人物一人一人がすごく生きていて、その感情も想いも痛いほど伝わってきました。このようにして「枕」はできたのかと納得しました。
フォレ さん (主婦)
清少納言の目線で語られていく平安王朝の物語。一瞬、『あれ、冲方さんて女性だったっけ??』と思う程
女性目線の描写が私にとっては違和感無く、むしろ共感してしまう部分が大半でした。 歴史上の人物…という程度しか知らなかった清少納言こそ平安王朝の華やかさの中に生きる存在そのものと言うイメージでしたが
宮中に出仕する事になってからの清少納言が自分の年齢や容姿に他の女房達に気後れしたり、壁にこっそり隠れていたり、夜にしか参上しないという場面を想像すると、とてもコミカルな感じで思わず『頑張れよ〜』と思ってしまいました。 清少納言と一緒に、貴族達と歌のやりとりをしたり、会話をしたり、ドキドキしながら読み終えることが出来ました。
文月りんと さん (専門職)
最後まで読み終えて、まず思ったのは、自分の知っている「清少納言」、そんな彼女のイメージとは、かけ離れた作品がそこにありました。 この作品を読み始めるにあたって、自分の頭の片隅にいる彼女は百人一首の歌人、そして、「枕草子」の作者という認識のみだったという事が、今となっては冒頭の彼女のように床に這いつくばって身を隠したくなる気分です。 作中、彼女がどんな生涯を生きてきたのか、その生い立ちがまるで日記を読み解くように進行していきます。 冒頭から差し込まれる数々の歌、そしてその歌に対しての清少納言自身の答えも描かれていて、歌のみでは、読み手の解釈で変わってしまうものもあり、ああやって描かれているからこそ、清少納言が伝えたかった内容をイメージしやすくなっていたのかと、感服しました。
びび さん (会社員)
枕草子は学生時代古典の授業で聞きかじった程度でした。
今回「はなとゆめ」を読み、清少納言の女御としての日々、妻として、母として、女としての日々や思いを垣間見ることが出来た気がしました。
中宮定子の美しく凛とした姿や、一条帝との揺るぎなき愛を感じ、その裏では一家をしょって立たねばならぬ強い意志が、彼女を支えていたのだろうかと考えさせられました。 正直、「はなとゆめ」に描かれている清少納言は、女として嫌いなタイプです。鼻につくいやな女だと、私は思います。 しかし、何よりうらやましいと思ったのは、清少納言が中宮定子という比類なき素晴らしい主を得られたことだと。 心から守りたいと思える主に出会えたこともまた、清少納言にとって何ものにも代えがたい幸せだったのではと思えてなりません。 鼻につくこの清少納言が執筆したという「枕草子」を何十年振りかにきちんと読んでみようかと思うきっかけになりました。 栄華を極め、恋と歌で華やぐ平安京。でも、それだけではない、陰謀も渦巻く生きにくい時代だったのかもしれないなと。
特盛り抹茶パフェ さん (会社員)
読み終わった後、自分もこの時代を彼女らと共に過ごしたような、不思議な感覚に満たされました。 藤原道長による勢力争いに巻き込まれた中宮様と清少納言。彼女らは辛い経験をいくつも乗り越え、そしてその間に書かれた『枕草子』は、波乱に満ちた清少納言の人生そのものでした。 最初は自分のために、やがては誰かに読まれるために文章を綴るようになるその過程。 最後に編纂する場面では、楽しく愛しい日々だけをすくい取り、悲しみは残さないことを選ぶ。 自分の知らないところで人が読み、思わず笑いをこぼす、たわいない言葉たちのために。 書いた文章が人に読まれるために大切なことは何か。改めてこの作品から教わりました。
しの さん (主婦)
絢爛豪華な宮中の女性たちはみな、主や家族、そして自分のために戦い続けているようでした。ただ着飾って座っていればよいのではないのです。
あまりにも有名な才女、清少納言は大変遠い存在でしたけれど、華やかな内裏で、容姿や偉大な父へのコンプレックスを抱えおどおどする姿には親しみを覚えました。そして、そのような彼女が中宮定子の計らいと努力で自分だけの才能を開花させていく姿には本当に勇気づけられます。また、定子とその家族が衰退していく過程は、最初その素晴らしさが語られるだけに悲惨で、定子が家族を守ろうと懸命になる姿には胸が苦しくなりました。
しかし、どのような状況であっても、定子とその女房たちは、決して弱音を吐きません。彼女たちは主従の関係であると同時に戦友のようにみえます。辛い環境に追い込まれても、それを嘆くのではなく、面白いことをみつけて笑いに変える。 それは現代を生きる私も見習いたいものです。そういった姿勢が『枕』に反映されているのだと思うと、嘗て学校で習ったあの有名な古典を今一度手にとってみたくなりました。
花木 凛 さん (会社員)
平安時代の女性の視点から描くとは、それも現代の男性が?
読み進めるうちに、まるで私自身が宮中の御簾の中へと誘われるような、いつしか女房の一人として清少納言たちの会話を同じ部屋の片隅にいて、楽しんでいるような、不思議な感覚を覚えた。
現代調の言葉使いと、リズム、それがまるで不自然ではなく、私が平安朝の時代へと時をさかのぼったのではなく、清少納言たちがこの現代に時を飛び越えて来てくれたような親しみさえ感じられたのである。
和歌や漢詩の教養が重んじられた宮廷社会での生活こそが、日本文化の源ではないかと改めて考えさせられた作品である。
ちふゆ さん (学生)
清少納言が私の前に現れて、宮中での思い出を語り聞かせてくれている。そんな印象を持ちました。高校時代に古典や日本史の授業で習ってきたような平安時代の趣や歴史を体験し、実感した人、清少納言が側にいる。それくらい緊張感が伝わってきたのです。そして平安時代の人物の中でも、他の誰でもなく清少納言がいるのだと感じたのは、中宮定子の零落を語る部分です。私はこの部分が実際に歴史として知られているものよりも抑えて描かれているように感じました。そこには清少納言が中宮定子の栄華を守るという意図があったのではないかと感じています。
みのり さん ()
高校1〜2年生の時に出会いたかった!なぜなら、古典やら日本史やらの基礎知識を一通り習い終えた時だから。しかも、その後も教科書の上で平安時代に出会ったはずだから。きっとそのたびに嬉しくなっただろう、と思うのです。彼女らの生きた証がここにも、そこにも、と。知識と結びついた時、一層輝きを増す物語なのではないかと思います。
さや さん ()
源氏物語にはまり、一時期平安時代に詳しかった私にとっては懐かしいエピソードが多く、それだけでうれしく思いました。 百人一首に出てくる歌も多く、古典の授業を受けていてよかったなーと思います。 学生時代に田辺聖子氏の清少納言を題材とした小説を読んだことがありますが、その時の清少納言のイメージとこの本でのイメージが違っていて新鮮でした。番人として目覚めていき、そして枕を書いていく過程がとても自然で納得させられるものでした。
有明 さん ()
知性あふれる女性が愛したものをやわらかに描写し尽せる筆力はさすがで、清少納言自身が目の前で語りかけてくれているように感じた。また、風流で機智に富んだ会話や華やかな宮廷の様子、古典で有名な数々の貴人との交流が鮮やかに描かれていたところも心が躍った。夜が明け、華やかで愛しい時間のすべてが過ぎた朝が印象に残っている。寂しくも空しくはなく、寒く苦しい季節なのにあたたかな思いが残されている。有名な一文で締められた最後は、やわらかな色がそっとページに映ったような気がした。