いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

天地雷動

■第44回モニター「天地雷動」伊東 潤

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

soka's bee さん (主婦)
とても奥が深い。いろんな面白さが凝縮された一冊だと思う。戦国時代の生き様がとてもリアル。武将と家臣と末端の兵士、武士と商人・農民など…それぞれの人間臭さが見事に描かれていて、身分や立場によって、守るべきものや目指すものが違うことがよくわかる。歴史を詳しく知らなくても、人間模様や駆け引きの面白さにぐんぐん引き込まれる。心の動き、行動の一つ一つが臨場感いっぱいに描かれる一方、信長については一貫して客観的。それが信長の人間らしからぬ残酷・冷血さをうまく引き立て、「戦国時代」という独特の風潮に、現代人は到底コミットしきれないことを改めて感じさせられる。秀吉が奮闘した、鉄砲の流通や武器調達の事情も面白い。また長篠戦に勝った側も負けた側も、武将たちがそれぞれの思いをはせるシーンは見どころ。未来への大きな変化を感じる秀吉と、依然難しい立場に肩を落とす家康。全てを失ってもなお、毅然として天下取りに向かって意気込む勝頼。その後の時代の行先がとても知りたくなる。大いに余韻の残る終わり方も見事。
がーの さん (学生)
戦国時代のはっきりとしていて、それでいて微妙な力関係というのがとてもよく伝わってきました。不満を抱えていても織田信長に追従することしかできない家康の描写、冒頭の強大な力を持つ父の死に対して、悲しみではなく恨み似た感情を抱く勝頼などその時代独特とも言える感情を見事に描いていると思います。それぞれの戦国大名の描写もどれも真に迫っていました。常に上を狙い続け、残虐さ、非常さだけでなく、カリスマ性を感じさせる信長。父の死以後、家臣たちをどうまとめ家を発展させるか悩む勝頼、微妙な情勢に立たされ、ひたすら耐え忍ぶ家康。三者三様の大名の景色ですがどれも面白いです。そして信長の右腕として信長の無茶な命令に確実に応える秀吉の奮闘っぷりも良かったです。家康、秀吉、勝頼という大名だけでなく、武田軍の一兵士の視点を取り入れていることも作品をより深くしていると思います。敗色濃厚でも戦場に向かわなければいけない彼らの心情は察するにあまりあります。それでいて家族や仲間のために逃げる、という選択肢も彼らに持たせることで、ただ死地に向かう際の感情を描くだけでなく、場合によっては仲間や家族を見捨ててでも逃げて生きのびなければならない、という彼らの葛藤もとてもよく描かれているな、と思いました。名前の有名な大名も、戦いの中に埋もれる一兵士の話もどちらもしっかりと描くことでさまざまな歴史の中の”男”の姿を読むことができたと思います。
桜奈 さん (学生)
いままで時代小説を読んだことがなかったので、全て読み切れるか不安でしたが、すらすらと読みきれました。小学校、中学校の歴史で教えられ、各々の人物に持っていたイメージとは、違うところばっかりでした。信長は我が侭だったかのように思っていましたが、裏ではこんなことを考えていたのか、と思いました。また、授業で習った「長篠の合戦」というと武田家と織田家の戦にしか言われませんでしたが、武田勝頼・織田信長・徳川家康・羽柴秀吉らの視点で構成されていたため、合戦前後の背景が見えて興味深かったです。織田信長のような先輩などが欲しいと思いました!
岡田杏子@本が好き! さん (学生)
普段は歴史小説をなかなか読まない僕でもやはり有名な武士たちが登場するせいか理解できました。伊東潤さんのは読んだことありませんでしたがこれをきっかけに他の作品も読んでみたいなと興味を持つことができました。
のん さん (その他)
学生時代に歴史の勉強をしたけれど、うっすらといつの時代に何があったか大まかな事しか記憶に残っておらず、その時の人々はどんな想いを抱えて生きていたのか考えた事もなかった。しかし、天地雷同を通して一人一人の想いや境遇などに考えを巡らせることが出来ました。そして、今までは時代小説というと難しそうでなかなか手に取る事はありませんでしたが、読み進めていくうちに、「もっと読みたい!」と思う様になり、とても素敵な一冊に出会えた事を幸せに感じています。
マイムマイム さん (その他)
女が1人も出て来ない、まさに男だけの戦の物語でした。長篠の戦いという結末が分かっている歴史だけど、いよいよ戦が始まる場面になると手に汗握り入り込みました。信玄亡き後の勝頼の判断や行動を見ていると、亡くなった父、武田信玄の存在が偉大すぎて、勝頼や家臣たちはその影から抜け出せずに、まとまることができなかったのではないかと思えてなりません。主君に恵まれたもの、恵まれなかったものの結末がそれぞれ表れていました。
シゲ さん (会社員)
越してきたばかりの三河の土地を舞台にした話であったこともあり、大変興味深く拝読いたしました。天の目で歴史の流れを再確認するような手法で書かれた作品ではなく、日や舞台(場所)が変わることによって、細かく視点が変わり、複数の当事者の視点で当時の様子を表現する手法が巧みで、登場人物の情動に呼応しながら読み進めることができました。
淡心 さん (会社員)
「天地雷同」を存分に楽しませて頂きました。「問答無用の本格合戦小説」と作者が言い切るだけの価値がある作品だと思います。武田勝頼と長坂釣閑、徳川家康と酒井忠次、秀吉と弟の小一郎秀長、織田信長と徳川家康、これら主従二人の対話を通して、それぞれの人物像を浮き彫りにした描き方が見事だと思いました。いつの時代も、名将と名参謀のコンビネーションが新しい歴史を切り開いてきたと思います。そういう意味で、長篠での敗戦を契機とする武田家の滅亡は、優柔不断な武田勝頼と佞臣長坂釣閑コンビがもたらしたものと言って差し支えないと思います。そこが徳川家康・酒井忠次コンビとの根本的な違いと思います。結果が分かっているのに、これだけ引きこまれてしまうのは、登場人物ひとり一人に対する作者の細やかな人間観が表現されているためだと思います。それぞれの登場人物に対して、複眼的な見方で新しい息吹を与えた作者の着想に感服です。さらに、「いつ、どこで、だれが」という副題付きで物語を進めていることで、時系列的な流れが、読者にとって理解しやすいということも本書への興味を倍加させているのではないかと思いました。
あおい さん (主婦)
長篠の戦というと偉大な父亡き後、己の力を過信した勝頼が織田軍の鉄砲に負けたというイメージだったのが、そこに至るまでの男達の骨太のドラマに引き込まれました。王道の歴史小説です。
そら さん (会社員)
大河の流れに突き出た石のように、大きな歴史のうねりの中にも、それに逆らうような人々の想いがある。しかしうねりは結局は全てを押し流してしまい、後世の我々はそのうねりの跡のみ目にする。この小説は、かつてあっただろうそういった押し流された人々の想いを教えてくれる。その結果、この小説が見せてくれるのは歴史が作りあげた記念碑ではなく、我々に似た当時の人々のスナップ写真である。
SAKURA さん (会社員)
会話や情景描写も緊迫感があり鬼気迫るものがあった。家康にしろ秀吉にしろその性格の特性が今までにない描かれ方で面白かった。武田家側の気持ちにたつと釣閑の存在が破滅へと導く張本人で憎々しかった。
おまめ さん (主婦)
時代劇小説は今までも読んだことはあったのですが、いままでに読んだことがない作品でした。クライマックスにいくまでの勝頼・信長・秀吉・家康などのそれぞれの軍の内部事情や人間関係、それぞれ同士の関係などが別々に書かれているところが物語を読みやすくしてくれ、それぞれの人物や軍に対する読者である私自身の思いがでてきて物語に引き込まれました。本を読んでいると言うよりは本を通して映像が頭の中に描かれている感覚でハラハラしたり悔しくなったり悲しくなったり安堵したり、最後まで一気に読んでしまいました。
さくら猫 さん (会社員)
本格歴史小説は久しぶりに読みましたが、織田勢と武田勢それぞれの視点から描かれているのは初めてで新鮮でした。描写が想像しにくい場面もありましたが、読み進めていくうちに秀吉、家康、勝頼、帯刀それぞれの気持ちに感情移入してしまい、結果は分かっていながらも思わずどちらも負けて欲しくないと思いました。
yuto さん (会社員)
作者の言葉にあるように、ブラックコーヒーのように無駄がなく、テンポが良いので非常に読みやすい。それでいて それぞれの関係の機微が伝わってくる。こういった小説は退屈なイメージがあったが、小説が苦手な人でも読みやすい作品に仕上がっている。
いしまる。 さん (学生)
一読して、まず思ったのが、濃密ながら大変わかりやすい筆の運びである。信玄の死後から長篠の戦いに至る短い期間を、読者は傍観でなく、過去の自分の記憶辿る様な経験をする。それを支えるのは、作者の特徴であろう、明瞭な伏線の数々だ。ややもすると、先が簡単に予測できてしまうが、題材の興味や期待には敵わない。『天地雷動』と銘打った理由は、読み終わり、物語を回想すれば、誰しもわかるはずだ。
kazusa さん (主婦)
物語ではなく史実を読んでいるようでした。武田勝頼、羽柴秀吉、徳川家康、宮下帯刀の4人それぞれからの視点で描かれている。誰にも肩入れしすぎていない物語ってのも珍しい。誰もが知っているあの「長篠の戦い」結末がどうなるかを知っているのに武田軍【特に信玄に仕えていた宿老の武士達)、帯刀にこの戦いを避けて欲しいと思わずにはいられなかった。
官庁エコノミスト さん (専門職)
武田信玄の死から、長篠の合戦までの武田勝頼、織田信長、羽柴秀吉、徳川家康などの動向をたんねんに追っている時代小説であり、とても重厚な雰囲気に仕上がっている。読みどころはいろいろとあろうが、現代人の仕事になぞらえると、スタッフ的な役割を担いそうな武将と、一族郎党を率いたラインに連なる宿老である武将との確執もひとつの焦点となろう。後者が羽柴秀吉や徳川家康であることはいうまでもないが、前者の典型が武田家中で「座敷侍」と蔑称される長坂釣閑や織田家中の鉄砲の専門家である橋本一巴などであり、彼らにもそれ相応のスポットを当てている点が、合戦や武術に重きを置きがちな時代小説としては目新しく感じる。また、玉薬の不足が武田勝頼軍の敗北の大きな要因としている作者の見方も現代的な感覚と映った。
REDMOON さん (無職)
長篠の戦いというと信長の勝利で終わったためか、多くはその視点でどのように勝ったのかを描くことが多い。ただし、武田側の視点では新田次郎の武田勝頼のように勝頼を主役に据えた視点の作品も時にはある。だが、この作品は「長篠の合戦」という舞台を描いた群像劇のようなもの。その意味でまったく新しい形の作品といえるだろう。両陣営の人々の動きが巧みに書かれており、読み終わったときにはまるで自分が長い長い戦いを経験したように疲れてしまった。無論、それは嫌な疲れではなく自分の意識が作品の中に没入できたということで、それだけいい作品だったと感じた証だ。作者の書いた過去作と繋がるということなので、ぜひとも読んでみたいと思えた。
かーき さん (主婦)
あっという間に読了。有名な長篠の戦い、結果も参戦者もわかっていても、それぞれの思惑に時にハラハラしたり、憤ったりしながらどんどん読み進められた。各々の立場での戦いまでの経緯が、客観的に描かれているのに、皆に勝ってほしい、と感情移入しながら読んだ。
ミステリアス さん (学生)
まずなにより、あまりに有名であり結果も知られている長篠の戦いをクライマックスに持ってきたうえで、そこに至るまでの両軍の動き、更には帯刀や監物といった本来ならばスポットライトを浴びることが少ない人物までも含めた心情を細かく表現していることに何より驚嘆した。特にその中で敗者となることがわかっている武田方をどのように描き出すのかということに非常に関心があったが、信玄公以来の重臣たちと勝頼・釣閑とのやり取りを通してなんとか勝頼が主導権を握っていこうとする場面などは、リアルな感じが伝わってきた。歴史が好きな方はもちろん、長篠の戦いという名前を朧げにしか覚えていないという方、さらには歴史にはまったく興味がないという方が読んでも多方面から楽しめる素晴らしい作品に仕上がっていると思う。
コイケ君 さん (自営業)
時代小説、歴史小説は苦手なので普段ほとんど読まないのですが、そんな自分でもさすがに知っている家康や秀吉、信長など有名な武将がたくさん出ているので、親近感を持って(という表現は偉そうですが)読み進めることができました。読み終えて感じたのは、「戦国時代=武力がモノを言う世の中」ではなく、知恵や策略こそが勝ち抜くために必要な世の中だった、ということです。もちろん腕っぷしの強さや武術の達者さ、度胸なども大いに求められたのでしょうが、先の先を見通して作戦を立て、状況を把握しながら密かに準備を進めていった者が人の上に立ち、権力を握っていくのだと改めて感じました。現代社会に通じる部分も多く、とても勉強になりました。