いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

八月の六日間

■第45回モニター「八月の六日間」北村薫

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

淡心 さん (会社員)
ヒロインの「わたし」が目の前に浮かんでくるように、活き活きと描かれている。雑誌の編集者としてのきびきびした仕事ぶりが感じられ、また独り暮らしの寂しさやわびしさどころか、前向きで積極的な姿勢が読者の共感を呼ぶものと思う。それと、山の風景描写が見事。四季それぞれの山の姿に魅了される思いである。さわやかで、明るくて、読み終わってのあと味がとても良い。本好き、酒好き、何よりも山好きなワーキングガールにぜひ一読を薦めたい。
海斗 さん (学生)
登山愛好会に入ったこともあり、山への興味は強く、山の素晴らしさを少しずつ分かり始めた今、出会えて良かった本だなあと感じました。けれども、山のことを何も知らない頃の僕であったとしても、山の神秘や美しさなどをこの本から教わっているような気がします。山はとっても素直で、ありのままの自分を受け入れてくれるように、この物語も僕を当たり前のように受け入れてくれました。疲れているときに読むと少し元気がでる、悲しいときだと顔が少しずつ綻んでいく、嬉しいときならば誰かに会いたくなる、そんな優しい物語でした。
so-akbook さん (主婦)
独り山登りの魅力が伝わってきた。「自然vs人間」「自己への挑戦」という面だけでなく、山に向かうに至る経緯や、山登りで蘇る過去の記憶、山での人との出会いなどをメインに書かれているので、共感できるエピソードも多く、親近感を持てた。女性編集者という仕事(日常)と山登り(非日常)というコントラストと、その二つを繋ぐように彼女が登山時に必ず持参する本。本の一説の抜粋やその解釈なども、シーンに合わせてうまく織り交ぜられており、自然や感情の描写とともに文学までも楽しめ、何とも言えない豊かな気持ちになれる(読んでみたい作品がいくつかあった!)。最初の槍から始まり、厳しい苦しい(もちろんそれだけではないが)登山に向かうことと、日常の消化できていない心のわだかまり(学生時代の部活動の屈辱、友人の死、恋人との別れ)を解いていくこととが、うまくシンクロするところがじわじわ心に染み入り、強烈な訴えがあるわけではないのに、読み進める心地よさを感じさせる。読後は、肩の力がすぅっと抜けたような爽快感というか、これからの季節に似合う上向きな気持ちを味わえて、晴れやかな気分だった。
may さん (会社員)
仕事という日常と山登りという非日常。両方がなければ人生が成立しないのだろう。力一杯できること、したいことが公私両方にあるというのは羨ましくなった。
Alice さん (公務員)
とても読みやすく、あっという間に読み終えた。小説というより、1人の女性の登山記録のようで、普段山歩きなど全くしない私だけれど、山に登ってみたいと思った。
24くん さん (学生)
北村先生の作品は過去にも何冊か読みましたが、今回も主人公とする女性の精神(内面)の描写がとてもうまいと思いました。 山のぼりをすることによって、過去の自分と向き合い、今の自分と、また向き合う。 定期的に自分の心を整理するためにこの主人公”私”は山にのぼっているのではないかと思います。自分を見つめなおすために山登りもいいかもと思わせてくれる一冊でした。
夜狼寺大 さん (自営業)
北村薫さんといえば、初期のコージーミステリーの印象が強いので「八月の六日間」は別人が描いたような感想を抱きました。何か大きな事件が起きるでもなく、淡々と物語が進んでいき、ラストもスッと終わっていく。あえて初期作品と正反対の文章を書かれています。登山小説を読むのは初めてだと思います。(夢枕獏さんの山岳小説は読んだことはあります)この小説も『スキップ』や『ターン』と同じく《時間》がテーマなんだなあと思いました。友人の子供が大きくなっていったり、パラオ共和国の日本軍の塹壕描写など、あちこちで時の流れを感じられました。自分はほとんど登山をしないので、主人公と一緒に登山をしているような気持ちになって読みました。とても面白い読書体験でした。
そら さん (会社員)
剣豪の武者修行の心持ちを感じた。執着をせず、自分の目指す場所へ一人立ち向かう。まるで女性の書く日記を後ろから覗きこむような文体でありながら、その中身は今の男どもすら持っていないような潔さがある。読んでいて風を感じた。
がーの さん (学生)
北村薫さんの小説はいつも等身大の女性を描いているように思います。今回の小説もまさにその印象でした。北村さんの女性主人公らしい語り口の柔らかさはもちろん素敵だったのですが、なにより山に登ることで主人公の女性が変わってきていることがわかることが良かったな、と思います。それも一回の登山で劇的に変わる、というわけではなく、数年に一回の登山を何度も描いて、主人公の周りの環境の変化と合わせて登山の様子を描いているのが印象的でした。山での出会いの描写もよかったです。名も知らない人とその場限りの出会いや会話が主人公を和ませたり、その出会いが不思議な縁となって自分の元に戻ってきたり、基本的に主人公は一人で登山をしているのですが、一人で歩いていてもどこかに人との縁というものは転がっているのだな、と思いました。
陽都 さん (会社員)
読み進め、すぐに没頭するストーリーでした。なぜなら、私と同世代、そして会社の中での周囲との関係性など色々な部分で共感し、そうそう!と思うところが多くのめりこんでいきました。山登りの怖さと素晴らしさや達成感などがすごく伝わってきました。私は山登りはしませんがフルマラソンに挑戦していて、その時に気持ちに似ているなーと感じました。毎日の中でうつうつと考える気持ちをどこで発散し、心のバランスの取り方が表現されてるなとー思いました。
にゃんこたん さん (会社員)
山歩き歴3年で、今年こそアルプスを歩きたいと思っている私としては、作品中の山の様子など、とてもリアルで楽しく、今すぐにでも山へ行きたいと思ってしまいました。主人公の女性は仕事が出来、肩書もついているキャリアのシッカリした女性で、私と共通点は年齢だけですが、なんとなく同じ世代の空気感が共感が出来ました。出版社勤務の主人公のお話で、仕事ぶりも物語に出てくるので、そういうお仕事に興味ある人にもおススメな一冊でしょうか。また、作者の北村さん特有の、作品の中に他の小説や詩集がたくさん出てきます。文学好きの人、そして山好きの人、仕事に悩んでいる人、いろんな方が楽しめる作品だと思いました。
ちゃちゃ さん (自営業)
わたしにとっては、私自身の物語を言語化してもらったような、自分の中にある思い出を呼び覚まされる作品でした。一つ一つの短編の間には、数ヶ月の時間の経過があります。ふだんなら、連続性の無い短編集でさえ、一気に読むことを好む私ですが、この本は、一話ごとに間に時間を置きたくなりました。編と編の間に、主人公が時を過ごすように、私の時間もインターバルをおいて少しゆっくりと、時間の経過を感じてから、次の編を読み進めたい。それほどに、主人公と自分の時間を重ねて感じたていたいのです。主人公が山に持っていく本を選ぶように、わたし自分が山を登るときには、この本を持っていきたい。主人公が山の中で様々な人と出会ったように、もう一度この主人公と山の中で出会いたいと思います。
shiba_moto さん (会社員)
北村薫=日常の謎、だけではないというあらためて教えられた作品でした。山という一般には非日常の世界。人はそこになぜ登るのでしょうか。山の持つ大きな力、包み込むような懐の深さ。そこに飛び込むことで、人は下界で傷つき疲れた心を癒すのかもしれません。槍ヶ岳をはじめ数々の山を攻める主人公は、少なくとも傷つき疲れる度に山に登り、再生を果たしています。そんなに簡単にいくものかとは思うものの、私自身も山に登ってみたくなりました。時間も体力もないので現実的ではありませんが、この本を読ませていただく間だけは、同じような効果があった気がします。山がもたらす人との出会いもまた魅力的で、どこの誰とも知らない人々と繰り返す、その日その時限りの出会いが素敵に見えます。中でも麝香鹿さんとの運命的な出会いが印象に残ります。ああ、山に登ってみたいなあ。
うーみん さん (主婦)
山女子ってどんな人たちだろうと読み始めた作品。主人公の不安定な悩める40歳女子がなんとも可愛らしく愛おしい。主人公だけでなく、どの登場人物も魅力的で自分の友人たちと重ね合わせてしまった。青春小説のような爽やかな読後感とは少し異なるけれど、40歳を自然体で感じることができ、最後の最後に「あー良かったね」とほっとして優しく本を閉じることができた。
岡田杏子 さん (学生)
とても面白かったです。北村薫さんのは読んだことあるのですがこれも昔のことでそんな記憶もなく、ただただ読んでたのですがとても面白く、今後、他の作品も読んでみよっかなーと思えました。
かまっち さん (専門職)
主人公と同世代のものとして、共感しながら読みました。この世代の特徴として、日々細切れの時間を生きていることが上げられるでしょう。家事、育児、仕事と、時に分単位での行動を強いられます。ですから、最も贅沢なのは、まとまった時間です。「わたし」はそれを、登山に使います。最も自由で最も解放される時間。でも、その時も、荷物をしょったままなのです。そこが非常に象徴的でした。自分自身のために時間を使おうとするときでさえ、生きていくために必要な荷物は下ろせません。持ってこなければ良かったものや、置いてきてしまったもの、なくしたくなかったものがたくさんあります。もし足りなくても、重すぎても、自分自身で背負い、目的地に向かうしかないのです。もしもっと若かったら、荷物なんかいらないと思うかもしれないし、捨ててしまいたいと思うかもしれない。でも、自分になれる場所に行くには荷物がいる。それを受け入れて、必要なものを見極めて荷造りをする。それができるのが、大人になったということなのでしょう。また、本を忘れない、たとえ読まなくても置いていけないというところも印象的でした。「わたし」の言うとおり、本は読んだときの空気をはらみます。それは自分の過去の一部です。それを手放さず、そして上書きするように読む。それもまた、自分を確かめることなのだと思います。読んでいて、年を重ねるとはどのようなことか、考えさせられました。荷物を持ったまま歩くこと。必要ならルートを変えること。時に、目的地を変更し、あきらめること。これらを受け入れながらも、自分を保ち続ける。それが大人なのだと思います。大人になった「わたし」が別れた人に、軽やかにひとことが言えたように、私もすれ違うひとにかける言葉を選びたい。そう思わせる一冊でした。
黎(れい) さん (公務員)
今日、槍を見てきました。と言っても、まだまだ山初心者の私には登れません。東京都写真美術館の展覧会です。燕岳からの夏の槍ヶ岳。”わたし”が見た風景よりもずっと前の風景です。『八月の六日間』”わたし”と一緒に山に登り、”わたし”の見た風景を見に登りたくなりました。
真広 さん (学生)
心が疲れたら山に行こう。山は様々な姿を主人公の前に現します。美しい紅葉、満天の星、真っ白の雪、凍えるような寒さ、高低の激しい道のり。そして、山は嬉しかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと、全てを包んでくれる気がするのです。下界でのゴタゴタを忘れるために、リフレッシュするために主人公は山へと向かいます。山での出会いは一期一会。後には残らないさっぱりとした付き合いに、心地良さを抱く主人公でしたが、何度も一人で山へと赴き、これまでに山で出会えた人たちと再び巡り会うとき、また会いたい、これからも仲良くできたら嬉しい、と心境が変化していきます。山で交流を育み、山を下りてからも続く関係。それは、主人公が山に出会ったからこそ得ることのできた財産、宝物だと思うのです。読み終えたら、きっと山へ登りたくなる、そんな小説です。
ちゃば さん (学生)
非現実的な山での数日間は、神秘的な自然の情景だけでなく、ゆっくり考える時間も与えてくれるのだなぁ。 負けず嫌いな主人公にも共感できて、「こんな自分でもいいかな」と自分自身を見つめ直せました。好きなものに囲まれて、どんどん心が肥えたら、そうしたら、明日からまたがんばれそうです。
春咲小紅 さん (学生)
小説というより、まるでエッセイを読んでいるかのような感覚でした。慌ただしい日常の場面は自ら人に揺られて通勤する様とシンクロし、つかの間の休みにふっと息が吸える様子。この作品の主人公にとってそれは「山」なのだと思うと、自分で精神のバランスを取る術を身につけている主人公の女性を好ましく思いました。辛いことも苦しいこともあるけれど、彼女の中でそれらと「山」は切り離されている。その様子に、気分転換が下手な自分は「息抜き」の方法を教えて貰った気がします。体調の悪い時は決して無理をせずに、淡々と軌道修正しながら山を登っていく主人公の姿を思い描くと、勇気を貰って自分も何かを変える為に遠出をしてみたくなりました。
mocca* さん (公務員)
読後のすがすがしさ、希望が湧いてくる、自分を好きになれるこの感じ、毎回ながら素晴らしいと感じました。読み終えた時のスッキリ感は、主人公の成長を確かに感じられることと同時に、曖昧なまま上手に散りばめられた伏線が、緩やかに、でも素早く繋がって実を結ぶ気持ち良さもあると思いました。

頑張っている自分を労り、解すこと。ダメな自分も受け入れること。苦く辛い経験や記憶を、乗り越えて…いや、噛み締めて、なおも前を向くこと。そんな、走り続ける人(特に女性)が必要としていることをじんわりと、押し付けがましくなく、教えてくれるような作品でした。ただ、苦く辛い経験を噛み締めて、前を向くには、たくさんの時間や、周りの人の支えや、喪失感を埋めるだけの豊かな体験が必要なんですね。意図して叶うものでもないんだな、と。誰しもが痛みを背負って、本当に痛いところはほとんど誰にも見せずに生きていくんだなぁ、なんてことを考えました。

非常に読みやすく、言葉選びのセンスや表現の巧さにうっとりしながら読み進めていると、時々、ドキッとするような、深い文に立ち止まります。サラッと書かれた文にドキッとするということは、自分の核心に触れている部分なのでしょう。共感ポイントはいくつもあり、読む人によって違うのでしょう。北村さんの作品に出てくる女性はいつも凛として、賢くて、上品です。それは、一人称の文体から受ける印象とも通じるものがあります。でも、決して完璧ではないし、弱さや脆さ、欠けたところを抱えているのです。その繊細な人物像を説明的にならずに丁寧に描き出しているところも読みやすさの一因かもしれません。素敵な主人公に、特に働く女性は自分を重ねて共感できるところがあると思います。読んでいる間は主人公に心を重ねて入り込めて、本を閉じた後に、私もがんばろうと自分を顧みて思えるのです。「山ガール」な主人公のお話でしたが、登山やアウトドアには興味がない人にも、楽しく読めると思います。主人公が最後に大きな癒しを得ると、自分も癒されるのですね。自分を癒すために、何度も読みたいお気に入りの作品になりました。
シゲ さん (会社員)
『八月の六日間』を読み、単純ですが、山に登りたくなりました。それは、体を動かしたいという意味ではなく、主人公のように日々の様々なことをリセットするために。山で出会う人々たちのやりとりは日常では味わえない貴重な触れ合いだろう。綺麗な空気のなかで気持ちを、思考を、リセットする。人が自然に惹かれる理由の一つなのだろうと思う。山の美しさ、清々しさをこの作品は教えてくれ、そして、人生を歩むことはいくつもの山に挑むようだと気付かせてくれました。
ナッキー さん (主婦)
まず、一番始めに。読後感が[爽快]でした!読んでる最中にも爽快な場面は何回もあるのですが(山登りのシーンがたびたびあるので)、いろんな意味での爽快感はなんともいえません。日常の生活を送っていると、なかなか「気持ちいいな〜」と思えるシーンに出くわすこともないので、読んでる最中は次々にページをめくっていました(^^)主人公が自分と同年代ということで、共感できる部分がかなり多かったのも、面白かった一因だと思います。人生=山登りだな〜とつくづく思わせてくれた作品だと思います。悩みながら前に進み、途中でつまづき、回り道をしながらも目的地にたどり着く…人生もそれの繰り返しで、悲しい事やしんどい事もあるけれど、でも、同じ分だけ楽しい事や嬉しい事もあったり。そして、目指す場所は人それぞれでいいという事も教えてもらったような気がします。何年か前から、山登りをしてみたい…と思っていたのですが…子育て中ということもあり、躊躇してたのですが。今作を読んで、やっぱり行きたくなってしまいました(笑)必ず、近い将来、行ってみたいと思います!しかも一人で…。
たか さん (学生)
まず、読んだ後にすっきりとし爽やかな気持ちになりました。主人公の「わたし」は、山を登ることで心の柵を少しずつほどいていきますが、それと同じように読んでいる私も心がほぐれた様な安らぎを感じました。また、登山中という限られた時間の中での人々の出会いの描写のひとつひとつが素敵でした。それぞれの出会いに意味があり、「わたし」を手助けしてくれている、人との出会いの大切さを改めて教えられた気がします。そして何よりも、登山を続け毎度何かを得て、ステップアップしている主人公の「わたし」が輝いており、好感が持てました。自分自身、「わたし」のように何か自分だけの世界感を持っている女性になりたいと思いました。