いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

就職相談員蛇足軒の生活と意見

■第46回モニター「就職相談員蛇足軒の生活と意見」松崎有理

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

にゃんころもち さん (無職)
読みやすい文体でサクサク読めました。読み手を置き去りにするようなSFではなく、ほのぼのとした少し不思議な話という印象。
訥弁さと妄想力ならシーノに負けないから蛇足軒で私も秘書にしてくれないだろうかと羨ましくなりました。
ぽにいの件では、ほのぼの系かと思って油断していたのに急にシリアスぶっこんでくるんですかと少々動揺しましたが、変に謎を残すこともなくすっきりと終わって良かったです。
にしても、どこまで嘘なのでしょう。
京介 さん (無職)
就職相談員蛇足軒の主とその秘書のもとに訪れるワケありの特殊求職者たち、その求職者たちが持つ様々な苦労と問題を解決し彼らにピッタリの就職先を見出す蛇足軒の奮闘を書いた現代SF作品です。
天気や気温、その地の表現のリアルさや文の中に置かれた耳触りの良い、可愛らしい言葉や名前も魅力の一つだと思います。
さん (会社員)
職安の特命相談員のところを訪れる特殊休職者たちが面白い。不死身の男、3秒後を予知できる女性、果ては、吸血鬼から、お掃除ロボットまで。「もう、最後の方人間やないやん」と思わず突っ込んでしまった。
また、彼らのために見つけてやった仕事というのも、まさにぴったりで、そのアイディアには感心してしまう。
特盛り抹茶パフェ さん (会社員)
次々と繰り出される嘘の連続に、頭がくらくらしてくる。
蛸足大学でホラホラ属の専門。開始早々から虚構が連なる。その嘘で描き出されるのは、現代の日本かこれからも抱えるだろう就職難の世界。
そしてページを繰るうちに、これはいまの時代の拳法小説かもしれない……と思えてきた。
かつてのカンフー映画では師匠と弟子が、互いに拳を交え、肉体を介して心と技を鍛錬するのが定石だった。
しかしこの小説では、特命就職相談員の蛇足軒は、弟子ともいえるシーノにこれといった術を教えない。
シーノはただ黙って師の話を聞き、彼の元を訪れる求職者が就職していく様子を見届けるだけだ。周りが何をアドバイスしようが、本人に世間と折り合いをつける気持ちがなければ、就職難の社会で働くことは難しい。
蛇足軒が家に求職者を招き、相談する様子をシーノに見せている行為は、まさにブルース・リーの「考えるな、感じるんだ!」だ。
自分の能力が世間の役に立たないと嘆く特殊求職者たち。深刻な彼らの悩みっぷりと、トンデモ能力とのギャップには、毎回くすりと笑ってしまう。
けれど、能力を十分に生かせず就職できない高学歴浪人の現実が、薄暗く重なる。蛇足軒のところへやってくる求職者は、博士号持ちのシーノの常識を悉く打ち砕くような異能力者ばかり。
そしてついには、人工知能を搭載した博士号持ちのお掃除ロボットと出会うときがやってくる。
永世棋聖がコンピュータ将棋ソフトに破れたエピソードをふっと思い出した。
人間に使われる存在のお掃除ロボットが、親しげに喋ってくる。シーノが就きたかった常勤研究職まで、ロボットにさらわれそうになる。
人間の知能を超えつつある目前の衝撃。そして驚異。
近未来の憂鬱。これからも続くだろう雇用のありかたに、疑問を投げかける。
蛇足軒に秘書として雇われ過ごすシーノの日常は、のほほんと暖かみのある風景に描かれているのが、せめてもの救いだ。
そして自分探しの旅を終えたシーノの決断とその言葉に、じんわりと胸が温かくなった。
もみじ さん (学生)
口から出るのは嘘ばかりの蛇足軒ですが、その言葉はどこか頼りがいがあって、気がつけばシーノと一緒に優しく包み込まれていました。私の就職先も探してください家元!(笑)
金魚のいちゃぽんや庭師のトクさん、そして個性的な求職者たち。キャラクターはみんなコミカルでとっても可愛いくて、でもちょっとほろりとするような切なさもあって、どこか勇気づけられるような、そんな素敵な喜劇でした。
ゆきこ さん (会社員)
題名をみて何か難しい話かな?と思いましたが、シーノさんと家本との関係が微妙に波長があっておもしろく、読めました。
kei さん (会社員)
ライトノベルのようで、活字離れした世の中においても好まれそうな小説です。
TABO さん (会社員)
”大学を出たけれどバラ色の人生とはほど遠い”といった現代の普遍的な重い社会問題を、時に笑いを誘う物語になっており、一気に読めた。
主人公は高学歴プアー、理科系博士号取得者だが訥弁、他人へ働きかけるコミュニケーション能力が低いため希望職種(研究員)になれないでいる。これは国の博士増員計画の犠牲者であるが、同時に大学と社会とで求められる能力に違いがあることを思い知らされる。
しかし世の中は捨てたものではなく、訥弁だが思いやり豊かなその性格で自分にマッチした職を見つけるという意味で最後は救いがある。
くぅ さん (学生)
全体的を通じて読みやすく、読んでいて飽きない作品だった。
まず個性あふれるキャラクターとコメディ要素あふれるストーリー展開に惹かれた。そして就活難民のシーノが就職するんだろうなとは思っていたが、就職先があんな特殊な場所だったのには驚いた。
また蛇足軒の仕事紹介は私の考えの斜め上をいくものばかりで、感心せずにはいられなかった。
ラストを含め、十分楽しめる作品だった。
ハナコ さん (学生)
私もシーノと同じように、前途多難であろう就職活動に焦りを感じている一人だ。
就職活動が始まるまで残り1年を切った。周りは就職活動のこと、インターンシップのことばかり話している。不安じゃないと言ったらもちろん嘘になる。1人で生きているわけではないのだ。親がいる。家族がいる。友だちや仲間がいる。現実は、どの方向からもプレッシャーは尽きない。
この本では、シーノの家族や友だちが一切出てこない。周りを気にしなくていいシーノをうらやましく思った。そして同時に、私のことをわかっているのは私でも私をよく知る人でもなく、本当の他人なのかもしれない、とも思った。
やりたいことがあってそれになることだけが正解なんじゃない。正解かどうかもわからないのに、模範解答を求めようとしている私たち。拒絶される悲しみと恐怖におびえている。
でも、答えはいくつもあっていいし、それが絶対に正しくある必要もない。本当の他人を通して感じたことに実は強い意味があることを知った。
誰もが同じことを出来たら、なんとつまらない世の中なんだろう。シーノをはじめ、家元や家元を訪ねてくるさまざま人たち、登場人物たちはそりゃあもう変わっているのにどうしても憎めない。嘘だぁと笑ってしまうような近未来であり、現実的でない設定もあった。
けれども、フッとその場にいるような気にさせてくれる、現実と非現実が交錯するようなこの物語。単なる職探しに奔走する物語にはとどまっていない。
嘘道家元はなぜ職安の特命相談員をしているのか。サラッと読んだ一読目はがっかりしたのを覚えている。しかし、その理由が嘘だったらと考えると面白い。
答えはひとつじゃないだろう。秘密がなかったら信頼できるのか。嘘をつかなければ信頼されるのか。しがらみが多いこの世の中は、いつでも誰かに見られているようで評価されているようで、息苦しい。
それに疲れたとき、この本を読んだら少し気持ちが楽になる。嘘だとわかっていても、だんだんと本当のように思えて
くるはずだ。
あくまで私はこの物語の傍観者であり、私にとってシーノは他人だ。感情移入できる物語とは違った見方を、この本は、シーノは、私に教えてくれた。
紫伊 さん (学生)
初めて読んだ作家さんでしたが、面白くすぐに読み終わってしまいました。
この作品には一見不自由な能力を持っている人たちが就職先の相談にやってきます。それに対して百歩七嘘派家元であり職業安全保障部局の、特命相談員、蛇足軒その人にとってピッタリな職業を提案します。
自分の欠点も使い方次第では長所になるのではないかなと思い、元気をもらえました。
主人公の27歳の無口な女性シーノも就職口を探している一人です。蛇足軒で働きながら、求職者たちを見ていたり、蛇足軒の人たちと関わったりしているうちにに彼女の気持ちが緩やかに変わりラストに彼女が選んだ道にはほっこりしました。
また彼女の奔放な想像やちょっと変わったネーミングセンスには思わず笑ってしまいました。また、この作品に出てくる登場人物はみんな個性的で優しく包み込んでくれるような人たちで温かい気持ちになれました。
私自身もこれから就職活動が始まります。蛇足軒のような人に会ったり、考え方をしたりしたいと思いました。
海姫 さん (主婦)
登場人物がいい。
人物でないものも人間らしくて繊細でいい。
苦笑させられることも何度か、噴出してしまうところも、そしてホロリとするところも。魅力たっぷりでした。
まるちゃんこ さん (主婦)
普段割り切りの良いミステリーを好んで読んでいるので、何とも珍妙な登場人物達に初めは戸惑った。
しかし蛇足軒のキャラが半端なくずれていて、そこで働くシーノがそのズレに少しずつ慣れていき、というよりシーノ自身がズレていったのか、やはりシーノという人自体が元々ズレていたのか、段々としっくり日々を送り始めた所から俄然面白くなってきた。
シーノ命名のいちゃぽんが団子でもたこ焼きでも丸呑みしてしまう奇妙さ、やっぱりどこかズレている庭師のトクさん、ライバルの黒燿斎、こちらの時空も歪んでしまいそうになりながらも、物語はどんどん進んでいくから目が離せない。
最後にはホームレスの身の上を何故か普通に受け入れるシーノ(笑)。
それでも最後は逆転ホームランだよね…?と期待しつつ、このラストは…結局どっちなんだ?!
何はともあれ一読してお試しあれ。
桜子 さん (専門職)
へんてこな登場人物達ですが、作品の最初から最後まで、人間の温かい心が根底に流れていると感じました。どんな外見や生い立ちであっても、それは欠点ではなく、個性ととらえることが大切だと思いました。秘伝書というのは書物ではなく、「心」なのだとわかりました。
SFチックな描写だけど、温かい気持ちになりました。
なみんつ さん (その他)
「うわ、堅そうな本だ」手元にこの本が届いた時の感想です。
しかし、本を開いてみると読みやすい。スラスラ進む。しかも表題からは想像できないまさかのファンタジックな作品。
特殊能力に悩む特殊求職者に能力を活かした仕事を提案する蛇足軒。博士号を取得しながらも就職できない主人公。
特殊求職者のキャラクターも各人おもしろい。最後の求職者なんて、誰が読んでもル○バ。
現代の流行り廃れも描かれていて面白い作品でした。
ふくちゃん さん (学生)
松崎有理さんの作品は初めて読ませていただきました。
多彩な文章表現に、細かで入り込みやすい設定。感情移入しやすいのに、とても個性的な登場人物。
特にシーノの推理というか妄想には、度々驚かされました。出会った人のこと瞬時にあそこまで、想像できるなんて。
僕には到底できそうにありません。
キイチ さん (学生)
蛇足軒がほんっとにおもしろい!!!
一見馬鹿っぽいのに実は凄く人を考えていて最初はつまらない…?と思ったんですが凄く面白くて一度ではまって読んでしまいました?
研究職にこだわらなくっても大丈夫だよって言ってあげたぃ?
ベネネ さん (学生)
蛇足軒さんの設定がすごくユニークで話しに引き込まれました。ただ、最初はあらすじで理系の研究職を目指していたという主人公が男性の方だと想像していたので少し違和感を持ちましたが、読んでいくとそんな違和感はすぐに減っていき、最後まで一気に読んでしまいました。
ぜひ、まだ進路のあいまいな大学1、2年生におすすめしたい本でした。
てけてけ さん (学生)
「就職活動」をテーマにした重めの作品かと思いきや、題材は現実的なのに登場人物や設定はファンタジーで驚いた。
私自身、就職活動を行っている身なのだが、この作品を読むと「誰にでもその人にあった就職先があるんだ」という気持ちになって前向きになれた。
職安の特命相談員のもとにくる求職者たちは皆一風かわっていて、いったいどのような職業に就くことができるのか、ワクワクした。現実と非現実が上手く融合していて、最後まで楽しんで読めた。サクッと読める一冊。
オレンジカバー さん (学生)
日常系のコミックエッセイのようなゆるーい雰囲気の物語で、なんだかほのぼのと和んだ気分のままで読み終えました。
主人公のシーノの一人称がとても生き生きとしていて、そしてユーモアあふれていて面白かったです。
シーノ以外の登場人物たちも強烈でした。思いっきり非日常なキャラばかりなのですが、それでも作品の世界観はさっきも書いたように、ゆるーい日常の雰囲気なので、そのアンバランスさが不思議な印象を残してくれました。
就職相談員というタイトルにもある通り、テーマは「自分に合った仕事とは」ということだと思います。自分自身現在大学生で、そのことについては嫌でも考えさせられるのですが、これから仕事を見つける人にも、そして今の仕事に悩んでいる人にも読んで、和んでちょっと笑って、そしてメッセージを受け取ってほしい、そんな作品だと思います。
読女27 さん (会社員)
仕事って、必要とされて初めて成り立つものなんだなと、シーノや特殊求職者たちのエピソードを読みながら思いました。
蛇足軒が、特殊求職者たちの特殊すぎる特性に、通常とは違った角度から焦点を当てて、価値を見いだしては仕事を紹介していくのが面白いと思いました。
あずきかぼちゃ さん (自営業)
政府の博士増員十万人計画、嘘道百歩七嘘派、丸い食べ物でどんどん大きくなるランチュウのいちゃぽん、特殊求職者に特命相談員。著者のごく近い未来の嘘物語が大好きになりました。
不死身人間に吸血鬼などメチャクチャな特殊求職者の就職斡旋は、ムリだろ! 
と心の中で突っ込みを入れましたが、きれいに解決。嘘やいい加減さで固められた蛇足軒をついうっかり尊敬してしまいました。
蛇足軒の秘書、やってみたいです!
さん (会社員)
嘘道と言う何とも奇抜で面白い設定。完璧な嘘をつけるのも一種の才能だよなぁ、と思います。平仮名が多くて若干読み難い部分もあったけれど全体的に時間をかけずにさらっと読めてしまう。
いい加減な雇主かと思えば、ちゃんと人の為を想い考えてくれている一面もありこの人の元でなら、と次第に思えてくる。
本当にやりたい事はなんなのか。今のままでいいのだろうか。この葛藤はよく分かる。何故なら身に覚えがあるから。せっかく学んだ分野で活躍したいと思うんは当然で、でもここでならこの人と一緒ならずっとやっていきたいと思える事も大事なんだよなぁ、と。
ところでトクさんの奥方、破壊的に料理下手なのもある種の才能だと思います。絶対に食べたくないけど!!トクさんただの味音痴なんじゃないの?
ピアノ さん (学生)
短編集になっていて、とても読みやすかったです。主人公があまり特徴がなく、平凡な人で、またあまり話さないといいう設定が新鮮でした。就職希望に来る人が人ではないという点がまた面白く、その人づつに仕事が見つかってその仕事内容にその人の力がうまいこと生かせれていて、関心しました。
この本を読むと、もしかしたらあの仕事をしている人も本当は人間ではなかったりして・・・とたまに思ったりしてしまいます(笑)
きいろいしまうま さん (会社員)
摩訶不思議な物語と愉快な登場人物、甘くて美味しそうなお菓子が面白かったです。
まこな さん (主婦)
研究者、代書屋と、日常の謎ならぬ、日常のSFを描いてきた松崎さん。新作のお仕事は就職相談員です。
もちろんただの相談員ではなく、相談に訪れるのは個性的な就活者ばかり。彼らの就職を主人公といちゃぽんが見守ります。そして何より、百歩七嘘派の・・・(笑)。
ありえないのにすぐ隣にあるような、不思議な世界を見せてくれる松崎さん。主人公のように就活で悩んでいる人、今の仕事が自分に合ってないと悩んでいる人にぜひ楽しんで欲しい物語です。