いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

鹿の王 上・下

■第50回モニター「鹿の王 上・下」上橋菜穂子

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

うっしぃ さん (主婦)
大自然を間近で見て感じているかのような描写に引き込まれました。物語の世界がこの地球のどこかにあるかのように感じ、主人公の感じた暑さや匂いまで感じ取れるような気がしました。
たんちゃん さん (会社員)
生きるとは、命を繋ぐとは。深く考えさせられる物語でした。ファンタジーなのにミステリーを読んでいる、物語の世界にぐんぐん引き込まれ、ページをめくる手が止められませんでした。飛鹿、火馬が駈けている姿が目に浮かんで来るような。
そして、ユナちゃんがとても可愛かった。ヴァンとユナ、サエが、ホッサル、ミラルが幸せになって欲しいと心から思えるほど魅力的なキャラクターでした。
北村リョウ さん (学生)
久しぶりにこれほどのめりこむことができる作品にであった気がする。それぞれの守りたいもののために戦うことや、その葛藤が痛いほどつたわってきた。
藍川陸桂 さん (学生)
はじめ本が贈られてきた時その厚さに「うっ」と詰まった。しかも二冊である。「こんな長い話を読了できるのか?」という疑問が頭をよぎった。
しかし、杞憂に終わった。
話は長いが文章がものすごく読みやすい。しかもストーリーもしっかりと作られているので初めて出会う世界観で聞きなれない固有名詞が多いにもかかわらずにもかかわらずどんどん話の中に引き込まれていってしまい、全編を約四日で読んでしまった。吃驚である。
話の道筋、風景、登場人物が類を見ないくらいにきれいで、頭の中で「鹿の王」の世界を想像しながら読むと感動するほど美しい。読み終わった後も「はい、おしまい」ではなく何とも言えない余韻が残った。
恥ずかしながら、上橋先生の作品は「獣の奏者」シリーズしか読んだことがなかったのだが、他の作品もぜひ読んでみたいと思わせられた。
eric さん (会社員)
息つく間もなく、一気に読み切りました。人と人の戦い、病との戦い、しがらみ、いろいろなことが絡み合い、また長編でありながらも飽きさせない、読み応えのある一冊でした。
ふくちゃん さん (学生)
青々と広がる草原や天にも届きそうな険しい山々。大自然を駆ける飛鹿。夏に香る草木や、身も凍るような冬に深々と降り注ぐ冷たい雪。どれもが目の前にあるようで、本の中に飛び込んでしまったかのような感覚でした。
生きていくことすら困難な世界で、誰かのために生きようとするヴァンやホッサルに、何度心打たれたでしょうか。血が繋がっていなくとも、同族ではなくても、誰かのために命を生きる。当然のようで、容易にはできないことです。命を捧げることが守ることではなく、生きることが助けることになるのだと知りました。
鮎川 さん (学生)
始め、王国や登場人物の関係性などを理解するのに時間がかかりましたが、その分それぞれの国や氏族の生き方・価値観などがしっかり描かれていて読んでいく内にどんどん引き込まれていきました。ここまで深く世界観が描かれている物語もなかなかないのではないでしょうか。
人だけでなく自然や動物たちと共に生きることについて描かれているのが何より面白いと思いました。
yut3D さん (会社員)
色々な要素が複雑に絡み合っていて、とても読み応えのあるストーリーだった。長編という事もあり、読み終えた後に物語の世界観がしっかりと頭に残っている。淡々と綴られている文章はとても読みやすく、飽きもしないし疲れもせず楽しむ事ができた。
2Kraw さん (学生)
ヴァンとホッサルの二人の主人公を中心にした物語が一章ずつ交代で繰り広げられていくので、いつこの二人は出会うのだろうか、そういう気持ちで読んでいきました。ただ、ヴァンとホッサル二つの物語が重なり合わされているので登場人物が多くストーリーが複雑であるため頭の中で整理しながらでしたので少し読みづらかったです。
物語の中で私が一番気に入ったことは話の中心の病に対して、ヴァン目線ではファンタジーな不可思議な現象がホッサル目線でリアルな医術に切り替わっていく様でした。ファンタジーだけれどもファンタジーではなくリアルだけれでもリアルではない、そんな風に感じました。
Na0 さん (会社員)
壮大なスケールのファンタジーだなと思いました。景観の壮大さは勿論のこと、病の恐怖や人の醜さ。生死、愛、哀しみを描きつつ、人と人の繋がり、深さをそして命を感じさせる作品だと強く思いました。
そして、遠そうで実は心情的な部分はリアルな世の中とそう遠くもない面も持ち合わせているお話かなと感じました。
えりっく さん (学生)
自らは絶対に買わない種類の本で、苦手なカタカナの名前が多かったので、最初は読めるかな・・と不安でした。しかし、とても面白くて惹きこまれました!著者が女性ということもあって、思いのほか読みやすかったです。読めてよかった。
レン さん (その他)
「獣の奏者」シリーズ以来の新作、とても楽しみにしていました。「鹿の王」というタイトルからは一体どんな物語なのか全く想像出来ませんでしたが、冒頭の謎の犬による襲撃事件から予想のつかない展開の連続で、ぐいぐいと引き込まれました。妻子を亡くし自らも死んだように生きてきたヴァンと、優秀だけれど少し皮肉屋の医術師ホッサル、謎の病を巡って交互に展開するストーリーの中で、二人がいつ、どのようにして出会うのだろうとハラハラしながらページを捲りました。
一つの国の中に、容貌も風習も宗教も異なる人々が存在する国―…。そこで摩擦が起きないはずもなく、特に、病の真相を探るホッサルが東乎瑠の祭司医長と対峙する場面は、根本から考え方の違う人たちと向き合う難しさを改めて感じました。
一方で、ふとした事から異民族と暮らすようになったヴァンが、戸惑いながらもいつしか彼らと家族のような絆で結ばれてゆくさまには、人間同士の可能性の無限さも感じられました。だからこそ終盤、愛する者たちを守るため、病によって変化する内面にのみこまれないよう必死になって己を保とうとするヴァンの姿は、静かに胸を打ちます。病との闘いという、ともすれば内面的に偏りやすいテーマが、様々に入り乱れる民族間の対立や政治争い、雄大で美しい自然描写に絡まり、大変重厚な物語でした。
時間をおいて、また始めからじっくり読みたいと思います。
さん (会社員)
1ページ目から訴求力がすさまじい。匂いまで感じられそうな文章表現力で、ぐいぐい物語に引き込まれた。様々な家族の形があり、様々な価値観があり、本当に人間というものは一筋縄ではいかないと、再確認させられる場面が何度もあった。
特に好きなシーンは、二人の主人公が語り合うところ。二人の会話をその先まで読みたかった。
終りのページに近づくにつれ、この残ページで終るのだろうかと心配になるくらいだったが、理想的なところで終っていて、快感とともにとても寂しくなった。
わがままを言わせてもらえば、もう少しヴァンとユナのシーンが読みたかったのと、ヴァンの物語はこれで完結でもいいと思うが、もし続編があるなら、ホッサルが主人公の物語(第二の主人公とのことだったが、まだまだ解決されていない部分が多くあるので)を読みたいと思った。
桐生景一 さん (会社員)
いや、とてもおもしろかった。
さすが上橋さんて感じのファンタジーであり医療ものであり、生きるとは何か、生きているとは何か、命をつなぐとは何かということを問いかけてくる。
発生する病の謎からそれを解き明かしていくまでのミステリーのような感じとクライマックスに至るまでの面白さ、そして西洋医療のようなオタワル医術。
ファンタジー世界での医療ものなんて初めて読んだけど本当に面白かった。
MJtaro さん (会社員)
読み始め当初は、ファンタジー小説独特の架空の地名や人名に戸惑いながら「何て読むんだっけ」「誰だっけ」と読み返しながら進みましたが、中盤を過ぎ物語が動き始めると一気にどっぷりとストーリーにハマりました。
ファンタジーと言って連想されるような単純なモノではなく、政治的な駆け引き、伝染病との格闘、自然と人間のあり方などは現代におけるロシアの民族問題や、地球の気候の変動などにも通じ、改めて考えさせられるきっかけとなりうるものでした。
さらに最終盤になってくるとミステリーの要素も強くなり、「犯人」は誰なのか、「真実」はどこなのかと緊張感も高まり、大人も楽しめる王道のエンターテイメントの風合が濃くなってきます。そしてタイトルとなっている「鹿の王」の存在とその意味が分かる頃には主人公のひとり・ヴァンの生き様にすっかり魅了されました。
シゲ さん (会社員)
民族と民族の戦い、そして病気との闘い、さらに、恐怖との戦い……その戦いはすべて、生きるためであり、愛するものを守るための真摯な行動。
ファンタジー小説ではあるけれど、この物語のなかで起きていることは、現実世界で起きている真実でもある。仲間を守るための戦いに敗れた主人公だったけれど、そんな彼が世界を襲う病魔に打ち勝ち、人類の希望となる。結果的にはかつての敵さえも救うことになる。
愛は、敵や味方、そんな枠組みにははまらない深さをもつ。人が生きたいと思うのも、生きてほしいと願うのも愛故なのだと、『鹿の王』は教えてくれました。
フラワーボックス さん (無職)
ファンタジーでありながら命や病について考えさせられました。その一瞬一瞬を考える良い機会になったと思います。
オレンジカバー さん (学生)
北方をモチーフとした世界観がとても魅力的で、自然や獣たちの描写などの小説の世界の美しさ、厳しさを感じさせてくれるとともに、それ以上にその世界の人々の営みというものを非常に強く感じさせてくれる小説でした。
どうしてそう感じたかというと、この作品のテーマとして国のあり方や病と人類の戦い、親子の絆、というものがあると思うのですが、そうしたテーマに対し、上橋さんが真っ向から挑んでいるということが、登場人物たちの行動から伝わってくる
からだと思います。
かって妻と息子を喪ったヴァンのたまたま拾った幼い少女のユナへの思い、謎の病と懸命に戦う医者のホッサル、そしてその裏で見え隠れする故郷や国への思い、そこから浮かび上がってくるのは人々の感情や生き様、そしてもっと大きな生命というテーマだと思います。そうしたものが感じられるから、人々の営みというものを強く感じたのかと思います。
読み終えた後もこの本の世界がしばらく自分の心に残り続けているように思いました。それだけ重厚で力のある物語でした。
Nikonov silvertongue さん (学生)
上橋先生らしい人々の思惑絡み合いがとても面白かったです。
バンビ さん (会社員)
初めてこの方の作品を読みました。とても壮大で読みやすくて面白い!あっというまに話に引き込まれて、徹夜で上下巻を読破しました。
厚さに少しおののきましたが、杞憂でした。どう表現したらいいのかわかりませんが、頭の中に世界が浮かぶんです。情景が目に浮かぶようでとても面白かったとしか言いようがない。
うめちゃん さん (その他)
ひさしぶりに、2度読みをした作品でした。
最初、突然捕まっているところから始まったので、どうなることかと思いましたが話がどんどん広がっていき、上橋さんらしい壮大な自然と空間の中に引き出され、特に下巻止まらなくなりました。
ホッサルたちが懸命に新薬を作ることに挑戦していること、感染を乗り越えたヴァンを探し、抗体を見つけようとしているところが、すごくリアルに思えて、医療のあり方みたいなものも考えさせられました。
また、侵略されてもたらされた新しい麦などが害を持つ毒麦となったり、これは偶然できたわけでもないが、半仔といった元々異種の動物を掛け合わすことで生まれた生命によって、新たな病気や問題が生じたりすることも、今の世界で意外と簡単に行われている生命操作の中にある怖さみたいなものに通じているようにも感じました。
今回の全体としてのイメージは、ユーラシア大陸でした。中国奥地、中央アジア、インドに至る山岳地帯と、厳しい自然、遊牧の日々。(たぶん消えてしまった火馬と汗血馬のイメージが重なってしまったからかも)
また、登場人物たちも、それぞれ生活環境は異なり、性格も個性的であるものの、それぞれが、案外ぎりぎりのところで生きているにも関わらず、自分の大切な人や関わった人への誠意は懸命に守り、絶対に貫いている。その人間らしさは、上橋先生の作品らしい「生命〜生き方」を感じさせるものでした。
yu-pi さん (学生)
見知らぬ深い森の中に、迷いこんでしまうのではないかという懸念は、私と本が一体になったその瞬間、溶けてなくなりまし
た。それどころか、目の前に広がっていたのはきれいな光そのものでした。
無数の小さな命の光、闇をものみ込む愛の光、居場所を求める切実な光。先にある私たちは、何を守り、この光をどうとらえたら
いいのでしょう。
小さな虫の命を奪う、痛みの大きさが膨大で、読後の自分の変化に驚かされました。
そして、病もまた、その光をつくる要素の一部なのです。
病と人は水魚の交わりを結び、互いに、今に導いている。そう思うと、ふっと心が軽くなりました。
医学にも自然にも精通したこの物語。美しい情景を背に生きる、皆と出会えてよかったです。
FORT.G さん (主婦)
普段読まないジャンルの「親子愛」。
流行り病を生き延びてしまった過酷さ、国の侵略、病原菌の耐性。楽しく読めて勉強にもなり、温もりに満ちています。
「私たちの身体はひとつの国みたいなもの」目から鱗で感動しました。
自分は自分、他人は他人。線引きをしているからヴァンとユナの、血縁を超えた絆が生まれたのだと感じました。
サルガタナス さん (その他)
とても重厚なファンタジーを読んだ満足感に浸っています。
物語はサスペンスフルな状況で幕を開け、一気に物語へと引きずりこまれました。描かれる美しい自然の描写には、実際にその地を訪れた様な感覚を抱くことができます。また、物語の中で描かれる人々の営みには感動いたしました。
孤独な中生きていたヴァンがユナと出会い、互いに成長し、絆を深くしてゆく過程。この二人が、居候としてやっかいになった家族との仲で育まれてゆく家族としての愛。
その後、ヴァンは様々な人々と出会い生きることとは何かなど、大きなテーマとともに物語りは進んで行きます。
ヴァンの物語だけでも、十分魅力的であるところに、さらに、もうひとつホッサルの物語が語られることで、とても深みのある小説になっていると思います。
ホッサルと病との闘いは、読んでいて、真摯に病とは何か、そしてそれを治すとはどういうことかなど考えさせられる事が多くありました。
この二人が出会ってからの物語は、さらに面白くなって行きました。さらにラスト少し前のシーンではとても切ない感じがしましたが、それを超えて家族の愛、絆といったものが最後に描かれており、感動しました。人々の繋がりとは、こういったとても綺麗なものであるのだなとの読後感を覚えます。
人々が生きていく上で無視しては通ることのできない過酷な道をどうやって進んでゆくかと言った事柄に目を向けさせてくれる重厚な小説で、人や獣や命ある様々なものが生きてゆくこと、死んでゆくこととは何かというテーマに彩られた素晴らしい物語でした。
REDMOON さん (無職)
この小説は大国に取り込まれた地に起きた黒狼熱が持つ謎とそれに関わる人たちの物語で、サスペンスの要素も持っているファンタジーでした。
そして、上橋先生の作品に共通していると思うのですが、そこにいる人の風土というか文化が精緻に書かれており、読んでいてとても人の匂いがしてくるのがとても素晴らしいです。だからこそというべきか、事件の背後に動いている人もその犠牲になる人たちも単純な善と悪で割り切ることが出来ない立場にあり、話に深みを出しているような気がします。
また、物語を通して進行する大きな話とヴァンとユナの血のつながらぬ親子の絆やホッサム、サエたちの心や生きざまを描く小さな話がとてもうまく融合して結末まで何が起こるのだろうとハラハラしながら読むことができました。
ピアノ さん (学生)
とても面白かったです。初めは慣れない漢字の読み方に苦戦しましたが、慣れたらあとは気になりませんでした。
病が流行って人が次々と亡くなっていくなかで懸命に生きようとする人や、病気を治そうとする人、そんな彼らの姿を読んで感動しました。
話の根底には病というものがつねにあって一見すると暗くて重い話のように感じてしまうけれど、ユナという存在がいることで重さも緩和されており、いいバランスになっていると思いました。
てっぽう さん (学生)
死に場所を求めながら闘い、生き残り奴隷となったヴァンと、医学の未来を見つめながら黒狼熱の謎に迫っていくホッサル、章ごとに主人公が異なる話が描かれているような序盤から、突然発生した黒狼熱の謎を軸に二人の物語が交わっていく様は、読んでいてわくわくしました。
物語中の人々の誰もがそれぞれの生き方を貫こうとしているようで、嫌いな登場人物はいませんでした。それだけに、登場人物の苦しみが胸に迫ります。
国、文化、生活様式、思想や人種など、様々な差異が生む軋轢や葛藤が描かれながら、それと平行してウイルス、菌や藻など、人間や人間の親しむ犬や飛鹿や火馬のどれとも異なる存在との共生、そしてその脅威が描かれていて、生命の尊さとそのあり方を考えさせる作品でした。