いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

気障でけっこうです

■第52回モニター「気障でけっこうです」小嶋 陽太郎

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

ミズノミズ さん (学生)
ある日、公園で首まですっぽりと埋まっている人を見つけたらどうするでしょうか。
本書を読了するまでの私なら、大方の常識を持った人々と同じように警察並びに救急車等、然るべき公的機関へ即刻連絡していたでしょう。しかし、しばしお待ちを、この本を読んだ後には、私はそして今後この本を読み終えるであろうあなたは、その人の前にそっと傘を置いて、助けを呼びに行こうと思うようになると断言します。何を言っているかわからない?簡単な話です、こんな幽霊に自分も憑りつかれてみたくなるという話です。
やたらと気障で長ったらしいセリフを吐く七三分けのサラリーマン幽霊「シチサン」と今時女子高生きよ子の物語。やや古風な言い回しに独特の軽妙さが見え隠れするのは森見登美彦さんや万城目学さんを彷彿とさせます。どうにもこうにもい
きづまるということは、から始まる書き出しからしてすでに面白い。
しかしながら、この手の話、それはつまり突然現れる幽霊と主人公の友情物語なんてものですが、は、はっきり言って世の中にごまんと溢れております。読んでる最中に私はふと、嗚呼、これもそんなよくあるストーリーなのではないか、読了後既視感に襲われるのではないか、そうなったら嫌だなあ、と思いました。
しかしそんな心配は阿呆の杞憂です。この本、しっかりとそして軽々と読者の予想を裏切ってくれます。どうしてシチサンは、首まですっぽりと埋められて、そして幽霊となったのか。その謎が解決したのちのエンドマークに向かうまでの勢いた
るや、凡俗たる私には語りようのないものです。
とにかく皆様ご一読を。爽やかでそして儚い友情の物語です。
May さん (会社員)
人が一人死んでいる。それなのに何故か重々しい感じがない。そんな不思議な雰囲気の本だった。
落とし穴に落ちて(?)死んでしまったシチサンが生きているときに最後にあったきよ子。それだけの理由で取りつかれてしまうのは納得がいかないだろう。だから文句を言うのもわかる。でも、そんな悪態を付き合っている二人の掛け合いは読んでいて面白かった。
シチサンが幽霊になった理由。死んでしまった理由。それがわかったとき、これほど人のことを思えるのかと驚きつつ、悲しくなってしまった。
まちこ さん (専門職)
あらすじを読んでも、先がまったく想像できないストーリー。その混乱状態はまさに主人公のきよ子と同じで、この状態を打開すべくとにかく物語を読み進めることに集中しました。
まこな さん (主婦)
穴にすっぽりおさまったサラリーマン風の男が幽霊になって現れて、どうなったら感動の物語になるんだろう?・・・と恐る恐る読みはじめたら、シチサンの謎は?きよ子はどうなるの??キエちゃんは次に何をするの???とぐいぐい読み進めちゃいました。出てくる人はみ~んな変なのに、とっても元気になれる物語。傷心の時はブランコの門戸を叩こう!
海斗 さん (学生)
いきなり突拍子もない出来事が繰り広げられ、読んでいて本当かよと思いつつも、なぜだかいつの間にか物語に吸い込まれていました。そして、何といってもそんな設定がとっても楽しかった。ありえなさそうなストーリーを、だけど世界中のどこかで実際に起きている物語、として書かれているようでした。フィクションという枠組みを超えて、新たな世界観を僕らに示してくれている気がしました。
北村リョウ さん (学生)
ギャグの雰囲気から始まったが、次第にシリアス要素が増えていき、非常にテンポよく楽しく進み、爽やかに読み終えることができた。
登場人物たちの心の動きがはっきりと伝わってきた
さくら猫 さん (公務員)
インテリ風の男性が首まですっぽり埋まっているというシュールな状況から物語が展開することに新鮮味を感じました。女の子は事故に遭うし、親友は変な子だし…。なのに、こんな幽霊だったら楽しそうとか、こんな友達だったらいいかもと思わせてくれるようなキャラクター達で、最後まで一気に読んでしまいました。
幽霊を成仏させる話でしょとか思って、甘くみてしまってすみませんでした!少し想像力が要りますが…惹きこまれる作品でした。
ピアノ さん (学生)
あらすじを読んだだけの段階ではわりと軽い話なのかなと思ってました。でも読んでいくにつれてだんだん奥深いものになっ
ていき、予想していなかった展開になっていったので驚きました。ヒチサンと主人公の会話がとても面白かったです!
えりっく さん (学生)
とっっても面白かったです。表現、文章、物語の進み方、、書き方が上手くて本当にすごいなと感じました。
あずきかぼちゃ さん (自営業)
公園で首まで埋まった男。それを助ける、いつもはめんどくさがりの女子高校生きよ子。人とずれているけれど全く気にしないキエちゃん。どこかガサガサ感のある人たちが、男が首まで埋まっていた謎に迫っていく物語は、ゆるい。けれど、それがなぜかおもしろい。幽霊のルールや、彼を殺した人ではなく、助けようとしたきよ子にとりつくのもおもしろい。脇役ながらキエちゃんの存在感の大きさ、印象深さは後々まで残りました。
もちもち さん (学生)
読んでいく内にどんどんシチサンが私の中でかっこよくなっていきました。
幽霊というファンタジーものであり、友情を描いた青春ものでもあり、また純愛ものでもありました。一言で言い表せない作品でしたが、私は読み終えた今、満足感に浸っています。
ヴィヴィアン さん (主婦)
冷静に考えれば結構ハードな状況続きなのに、なんとなくほのぼのとして、爽やかな読後感でした。きまぐれな神様が、シチサンに特別扱いをしてくれたことを願います。
みさぽに さん (その他)
どんな感じの本か分からなくて、日々の話を幽霊と過ごしてみたゆったりした感じかと思いきや、後半はサスペンス感が漂っていて、その違いにびっくりした。
登場人物の情報や背景を必要以上にかいてないので、読む人によってこの本の色がだいぶ違うと思います。
くまごろう さん (学生)
最初、読み始めた時は言葉が少し難しいかな、と思いました。でも、ゆっくりじっくり読むと慣れてきたのですぐに読み終わってしまいました。
登場人物の気持ちや状況を表現するのに、いろんな言い方をしている所が印象的でした。例えば、始めの方のきよ子が一人で考え事をしている所や由香さんがどれだけ美しいのかを言っている所とか…。また、きよ子やキエちゃんが少し不思議な性格で時々ツッコミたくなりました。キエちゃんがお見舞いの時に持ってきた自作の漫画のタイトルが一番驚きました!どうやって思いついたのかキエちゃんに聞いてみたいです。
この本にはおもしろい場面もたくさんあると同時に、いろんな考え方を教えてもくれると思います。大切な人の死について人がどう感じるのかを話にしている本は他にも読んだことがありました。しかし、この本では大切な人の死に直面した人と大切な人を置いてきたまま死んで幽霊になってしまった人が出会ってお互いの気持ちを話している所が他の本には無い部分だと思いました。
MJshintaro さん (会社員)
きよ子、シチサン、キエちゃん、のとても魅力的なキャラクターとテンポの良い会話、新鮮な微笑ましい描写にハマってスラスラと読了。
前半はいくつもの不思議な現象がコミカルに描かれ、中盤以降はシチサンの存在とその目的が明らかになると一気にスピード感と緊迫感が増しドキドキさせられる。
いくつかの出来事や謎は最後まであえて語られず読者の想像に委ねられている部分もあるが、それはそれで後味が悪いわけでもなくこの作品のテイストに合致しているようにも思う。ちょっと「気障に」背伸びをしながら大人になっていくんだなと感じた爽やかな読後感。
pito さん (学生)
冒頭から独特な言い回しと言うんでしょうか、、文章に惹かれてこの本の世界にぐいぐい引っ張られていきました。シチサンときよ子のキャラがとてもいいです!
スラスラ読めて、でもところどころくすくすっと笑えて、思わずその部分をもう一度読んでしまったりしました。最後もなんだかあたたかく、気持ちよくて読み終わったあと晴れ晴れとした気持ちになれます。面白かったです!!
ライムとザクロ さん (学生)
予期せず幽霊と関わりを持つことになってしまった学生の物語、というのは以前にも類型の作品に触れたことがあったのですが、本作の特徴はその幽霊が何とも冴えない魅力不足なおっさんということでしょうか。でも、その魅力不足というのは第一印象に過ぎず、読み進めていくうちにこの幽霊の身勝手さと時折見せる真剣な様子のギャップにキャラクターとしての魅力を感じるようになっていきました。
yu-pi さん (学生)
周囲とは違う、密度の濃い空気の中、いつもより多彩な表情で学び、考え、行動し、目まぐるしく成長していく姿に、物語との相性
も手伝って、終始魅了されていました。
何気ない日々の1コマとして現れた、非日常としての日常。本来隔てられている、生あるものと、死するものとの関わり。多くを見せてもらったからこそ、時の流れに従って、毎日を迎え続けることの美しさを、より感じることができます。きっと誰にとっても、本の中の皆さんから学ぶことは、大切なことでしょう。
kai_sou さん (主婦)
あらすじから抱いた作品の雰囲気を、良い意味で裏切ってくれました。言葉選びのセンスが光り、会話の妙が生まれていて楽しめました。
きよ子、シチサン、キエちゃん。みんな濃いキャラクターなので下手するとくどいだけになってしまうところを、小気味好く軽妙なテンポで読ませるあたりが、新人賞デビュー作とは思えないほど。笠地蔵やタバコの使い方も巧いなと。シチサンとの奇妙な関わりを通して、きよ子自身がちょっぴり大人になっていく姿には好感が持てます。散々振り回されたきよ子が、最後に爽やかな風を運んできてくれたようで、読後感もとても良かったです。
はるお さん (会社員)
距離の近い文章です。最初はとっつきやすく、少しすると距離が近すぎてややうんざりしますが、最適な距離を取ることによってとても読みやすくなります。口に出したくなるような文章です。
読んでいるうちに自然と画を想像していて、映像化に向いている小説ではないかと思います。
キャラクターありきの小説が多い中、ストーリーありきのキャラクターだと感じて、個人的には好感が持てます。ただ、由香は話の大筋にもっと関わってくれると嬉しかったです。
誰かとの今生の別れ際、くさいことでも言って何の未練もなしに「気障でけっこうです」と言えたらとても格好いいだろうなと思いました。現代日本版ハードボイルド入門。
つとむん さん (会社員)
最初、あまりの文学的表現に目と頭が追いつかなくて、読み終えるのに時間が掛かってしまうかもしれないと思ってしまったことが嘘のように一気に読み終えてしまいました。面白かったです。
のほほんと話が進んでいくのかと思いきや、終盤の緊迫感は楽しくなるくらいでした。自分的には、もう少し櫻田を反省させて欲しかったですが…。まあ、追いつめられる恐怖を味わったことで良しとします(高飛車ですみません)
友達や知り合った人のために行動できるって良いです。現代社会、親兄弟や親せきでさえ深く関わることが少なくなっているなか、友達のために何ができるって良いなぁと思わされました。うっとおしいとか煩わしいとか面倒臭いと思われるか
もしれないと思って、なかなか行動できないことの方が多いです。何もしない事が良い事とかんがえてしまいがちですが、人とのつながりの嬉しさが確認できた感じです。
気障なのは誰なのか?蟹江さんなのかと思っていましたが、違ってました。これも読み終えるまでの楽しみになりました。
yamasan さん (主婦)
はじめの女子高生のきよ子が出会った、地面にあいた穴に首までぴたりと収まった、サラリーマン風の男がでてくるところが面白かったです。これからどんな展開で話がすすんでいくのかなとまず興味をもちました。その男が突然、幽霊となってあらわれ、気弱な幽霊と、女子高生きよ子のやりとり、はじめはきよ子も幽霊のことをうっとうしがっていましたが、幽霊と一緒に日々を過ごしていくと、奇妙な日々がかけがえのない日々になり、幽霊から家族や友達の大切さを学んでいくところがよかったです。
最初の展開からこんな展開になるとは思いませんでした。きえちゃんとの友情もよかったです。面白さと感動を味わうことができました。
桐生景一 さん (会社員)
首まで埋まっているおじさんを発見して、車に轢かれ幽霊に取り憑かれるってシュールな設定なのに、なんだか最後まで読んで切なくなってしまった。シチサン、気障で理屈っぽいのに優しくてほんと憎めない人だなあと。
たかた さん (学生)
とにかくそれぞれのキャラクターが魅力的で愛おしく、彼らが織りなす物語がたくさんのことをうったえかけてくるようであたたかさの中に一筋に煌めく光があるような物語でした。きよ子さんとシチサン会話(またはきよ子さんの心の声)が面白くにやりとさせられました。
柚木悠理 さん (学生)
史上最年少受賞の大学生の作品というから、自身の体験を踏まえた青春小説か、はたまた若き本の虫が巧みに弄する言葉遊びの産物か、などと表紙をめくる前から想像めぐらせていたが、そのどちらの予想も外れ、この『気障でけっこうです』という小説は、非常に素直で優しい物語だった。
素直な展開と素直なユーモア。作者はさほど現代の闇に染まっていない無垢な心の持ち主だろう。羨ましい。でなければ、自らの心の意地悪さとでも言おうか、それをチラとも作品に覗かせない、どんな作風でも書ける将来有望な作家かもしれない。
最近の若手作家の小説に多いのは、できる限り読者の予想を裏切ってやろう、展開を読めなくして最後に驚かせてやろう、といった意気込みの感じられるものだ。事実、本のアオリ文句には「最後の○行で驚愕します!予想を裏切られました!」みたいな言葉が並んでいる。それはそれで面白い作品だが、この若き才能が紡ぐ物語は、読者を決して裏切らない。
ああ、きっとこのキャラはこうなるんだ、ならないでほしいけど、という推測通りに話が進む。話の中に散りばめられたパズルのピース(伏線というと大袈裟になるが)を丁寧に拾い上げていく流れはストレスがなく、心地の良いものだ。それからキャラがいい。実際にこんな友達がいたら、こんなお姉さんとお茶に行けたら、私も高校生の頃こんな性格だったな、こんなことを考えてたな、と思わせる。
幽霊が出てくるストーリーだというのに、すんなり物語に入り込める。読後感も良くてすっきりとした、しかしどこか煙草の香る、とても素敵な小説だった。作者の今後にも期待できる。個人的には、この作者のもう少し歪んだ作品も
読んでみたいなと思ってみたりする。
こはる さん (学生)
主人公の語り口が、初っ端から愛おしくて仕方がありませんでした。この摩訶不思議な物語を、主人公きよ子の性格が、ちょっぴり温かくそしてたくさんのユーモアで包んでいるため、物語の世界に入っていく楽しさに、ページをめくる手が止まりませんでした。結果として起きている出来事は、冷静に考えると重い内容であるにも関わらず、主人公に取り憑いている幽霊や親友のキエちゃんなど、主人公を凌駕する個性豊かな登場人物が、きよ子にさりげなく沢山の愛をもって支えているところも、この作品の素敵なところです。
ことのは さん (学生)
『気障でけっこうです』というタイトルに反して、開始早々から情けない!人生の落とし穴にはまってしまった―…それだけなら、「気障」なのかもしれないけれど、この男、文字通りに穴にはまっている。それだけでなく、その男、通称・シチサンを助けるべく動き出した主人公・きよ子まで冒頭で車にはねられてしまうとは。
頭の中で登場人物に数えきれないほどの突っ込みを入れながら、読ませていただきました。気まぐれな神様のせいもあり行動に融通がきかないシチサン、クラスでの関係にうまく馴染めないきよ子、きよ子の親友で、奇人のキエちゃん、それぞれの行動が(良い意味で)読めません。しかし、中盤からシチサンの死の真相が見え始め、最後まで一気読みしてしまいました。
そして、きよ子とシチサンはずっと一緒に居たものの、「知らないことだらけなのに」というきよ子の言葉通り、多くのものを残さず、去ってしまいます。この、序盤のコミカルさに対し、結末部では決して甘やかすことなく、物語が収束している点が気に入りました。気障な奴、というと普通は憎たらしいのですが、このシチサンの気障さには終始ほっこりとさせられました。