いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

インドクリスタル

■第55回モニター「インドクリスタル」篠田 節子

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

劇団2人 さん (会社員)
海外赴任経験者のわたしがお勧めします。これから海外に仕事で行かれる方、海外在籍の方、新しいビジネス書として持参してください。最後まで飽きのこない展開に、1250枚を一気に読んでしまいました。
May さん (会社員)
文化の違い、命の危機に直面しながら、自分の信じること、やりたい仕事に真摯に向かう姿が読んでいて気持ちよかった。
この本を読みながら、何が正しいのかが分からない中で自分を何をすべきかを決めるのは本当に難しいと感じた。
ポピー さん (その他)
あまりのボリュームに一瞬怯みましたが、読み始めると、たちまち自分もインドへと飛び立ち、藤岡と共に行動しているかのような臨場感を味わうことが出来ました。石の買い付けがこんなにも大変なビジネスだなんて。そして、交渉慣れしていない日本にとって、どこの国での交渉事も大変だろうけど、インドという国はあまりにも次元が違うと感じました。様々な面で奥が深い国です。
たんちゃん さん (会社員)
とても面白かった。私の知らない水晶の使い道を知ったり、インドでの女性の扱いなど日本人の私には理解出来ない話がたく
さんあった。日本人の藤岡さんにとっては非日常な事でもロサにとっては全て日常なので村を守りたかったのだろう。どうし
ようもない権力には、ああするしかなかったのかも知れない。インドの事を考えるとても良いきっかけになった。
reader&reader さん (主婦)
とにかく人間社会の多岐にわたる問題に関わる内容で、テーマが実に奥深い。
前半のインドでの水晶獲得に至るルート作りの過程では、藤岡氏の行動力や巧妙な人脈作りや駆け引きなどビジネス小説の面白さを堪能することができた。後半では、それまで軌跡全てを見事に転覆させる衝撃的な展開が続く。過去から今までの現実社会の、世界規模で起こっている問題の多くを集約しているように思えた(まさに「世界の縮図」!)。
それができたのは、巧妙なストーリー設定や人物設定に成功しているからだろう。「インド」「水晶(自然界の鉱物)」「最新技術開発」「日本企業」という骨組みから、「身分制度」「貧富、男女格差」「都市と農村」「現地住民たちの過酷な労働と資源の搾取」「自由と拘束」「宗教問題」「放射能」「NGO」「共産主義」「テロ」などへと見事に波及させている。
更にロサという、古来インドの民族文化を背負い、幼少時に「生き神」という特殊な経験をもつ少女の存在が斬新。彼女は壮絶な過去の経験(アイデンティティの喪失)と何かと障壁となる一目で現地の女性だとわかるルックスを持ちながら、人並外れた記憶力を持つ。その能力に見惚れ、彼女を過酷な環境から救おうと手を尽くすのが主人公である藤岡氏。藤岡氏の水晶確保(現地からの資源の搾取)に絡み、彼女はそのことが孕む大きな問題を猛スピードで理解し、知を積み、不思議な力で行動を起こし始める。途中でロサの思考については一切触れず、藤岡氏目線一本で貫き通す潔い執筆が、最後の衝撃シーンの読者へのインパクトを最大限に引き出していると思う。彼女の存在なくしては、これだけのスケールのストーリーは成立しえない。
エンディングで、(結果的には悲惨な顛末となってしまった)ロサの行動に対して是非の判断を下さないところも、実にリアリティがある。日本にはない発想で、地元人の生活が根付いた土地を守ろうとするロサ。そして、最後に登場人物それぞれに下る天罰が、これだけ複雑で壮大なストーリー全体をすっきりとまとめている。一度読み終えても、視点を変えて何度でも読み返して楽しみたい、読み応え十分の超大作だ。
また、異文化の下で暮らす人同士の間では「常識」なんて存在せず、異国起源の支援やボランティア活動が、現地の人々にとってみれば結局は思想の押し付けであるという感覚にもハッとさせられた。近年は「グローバル化」や「ユニバーサル」といった言葉もよく耳にするが、それがいかに表面的なものなのか、その実態の難しさを思わずにはいられなかった。
MJtaro さん (会社員)
水晶という資源とそれを利用した産業、インドの田舎の村という馴染みのないテーマや設定にそれほど期待もせずに読み始めるも、序盤から「ロサ」という天才少女の存在から目が離せなくなった。
そして、日本人ならばビジネスマンのみならず通じるはずの常識や約束が通じない状況や、信頼のできない人間関係などにイライラするほどストーリーにのめり込める。終盤は予想通りのハッピーエンドというわけでもないところが、物語にリアリティをもたらしているとも感じる。
正直最後まで人工クリスタルの精製過程などの詳細は理解できなかったものの、人間ドラマとして、そして海外ノンフィクションのような緊迫感を持って読めた。
ジャムおじさん さん (会社員)
インドには自分自身が馴染みがあり、yesを示す時の首を傾げる仕草に共感しつつ読みました。その他にも、ウルルン滞在記にでも出てくるような村の情景など、納得のいく内容で、気がつくと内容に引き込まれて一気に読み終えました。インドと日本あるいはインド人と日本人の関係を上手く取り入れられている冒険小説だと思います。
凄く読み応えのある面白い小説でした。
みょん さん (会社員)
今まで知らなかったことだらけで、実際のインドの難しさをすごく感じました。
インドに階級制度があることは知っていたけれど、ここまで残酷に分かれているとは思っていなかったし、暗闇の部分がなくなることは永遠にない気がしました。
私は民主主義、資本主義の世の中で生きてきたけれど、それがどれだけ女性として恵まれていたことなのか、日本で暮らすことのありがたさを、つくづく感じました。
人間として生きていくうえで、私が大事にしていることが、日本という土地だからこそ、当たり前に手にしていると思いました。
もちろん、インドでも幸せなことはたくさんあると思うので、今後はインドの良いところを知りたいと思いました。
淡心 さん (会社員)
1250枚の大作を読了しました。著者のこれまで読んだ作品、たとえば「女たちのジハード」や「仮想儀礼」等とはまったく違った分野の作品です。
壮大なスケールで展開される奇想天外なエンターテインメントに圧倒されました。同時に、これまで抱いていたインドという国の印象が根本的に変わりました。ITやバイオ関連事業とか近代科学の最先端分野で着々と実績を重ねている大国である半面で、これほどの劣悪で醜悪な一面が未だに残っていることに驚愕した想いです。それと、これだけの克明な描写をされた著者の取材能力に深い敬意を表したいと思います。
Na0 さん (会社員)
自分の仕事とはとても通じないが、それでも分かる!この場面分かる!と思わせるシーンがあり、社会人ならば必ずあぁ〜と共感を持ちつつもグイグイ読み勧められる今時な、まさに究極の社会派エンタメだなと感じました。
もりりん さん (会社員)
いやぁ〜すごいものを読ませていただきました。質量ともに超重量級で大満足!
「篠田節子」というのはもしやユニット名なのでは?と言いたくなるくらい抽斗の多い作家さんですが、この一見ビジネス小説のような造りは新鮮で驚嘆です。
ビジネス小説風といっても、そこは流石の篠田節子氏のこと。昨今流行りの痛快サクセスストーリーとは一味も二味も違うのは言うまでもなく、重厚な社会派小説?グローバルな舞台における風刺小説?とでも言える国際時事小説ではないでしょうか。
精密機械部品メーカー社長の藤岡が高品質な原料を求めて奮闘する展開に手に汗握り、上っ面しか知らないインドという国の国情や社会システムには驚かされ自らの無知に恥じ入り…。
しかし何と言っても心を捉えて離さないのが先住部族の不思議な力を持つ少女ロサの圧倒的な存在感。彼女の存在が全ての軸となり視座となり、読み手が彼女の存在を透かして見る「世界」、例えばインドという国、日本を含む先進国、国際NGOや海外支援等々、日頃我々が何の疑問も抱かずに「常識」や「当然の価値観」と思い込んでしまっている「世界」が全く別物
として浮かび上がってくる様は鳥肌が立ってくる。
恐らく多くの日本人の典型であろう藤岡の感覚や価値観が、時に気恥ずかしく時に後ろめたく時たま誇らしく思える感覚はかなり衝撃的。
篠田氏の小説はいつも物事も人も多面体であり、自分の立ち位置によって見え方が全く変わってくることを教えてくれるし本作もそう。「大義」や「善」の描き方がニュートラルなところも彼女の小説の大いなる魅力の一つです。
これは篠田節子さんにしか書けない小説です。そして、たぶん篠田氏の現時点での最高傑作なのは間違いありません。こんな年末近くなって、文句なしの“今年のベスト1”小説に出会ってしまいました。この先出会う小説たちが物足りなく感じてしまいそうなのが少し怖いです(笑)。
ミズノミズ さん (学生)
圧巻、と形容するに相応しい、とても内容の濃い小説でした。
ビジネス冒険小説と聞けば、何とはなしに、昨今流行の某半沢氏のような男が世界を又に掛けて活躍するような話のように思ってしまうかもしれませんが、この小説「インドクリスタル」にそんな胸のすくような展開はありません。
そこにあったのは、読むのを続けることを躊躇うほどのリアリティ・ぬるま湯で生きる日本人には余りにも強烈な世界。久々にページをめくる手が止まらなくなりました。
話としては非常にシンプル。山峡ドルジェという会社の社長・藤岡が、インドの地で水晶を買い付ける話。それだけの話のはずなのに、ほんの少し切り取ってみただけで、ただのビジネスの話ではない、社会のひいては人間が永遠に抱えていくであろう、残酷な問題が浮かび上がり、我々にその都度考えさせる。
圧倒的な小説だった。出会えた幸運に感謝したい。
ヴィヴィアン さん (主婦)
友人がこの作品にも出てきたグルガオンで生活しています。とても苦労しているという話を聞いているのですが、インドの現状がこの話の通りなら、私が友人から聞いて想像している以上に日本人が生活していくには文化や考え方の違いに戸惑い、耐え難いことがあるのだろうと思いました。広大で複雑な宗教や民族や歴史や価値観を持つインドには、全く想像も出来なかった様々な人がいるのだと、あたらめて思いました。
綿密な取材の元に現代のことを書いている話なのに、同じようなことが実際に起きているとは思いたくなくて、どこかファンタジーを読むように、自分の心の位置を現実からずらして読んでしまいました。
桜子 さん (専門職)
藤岡の壮絶でスリリングな体験に驚きの連続でしたが、一方でロサの成長も気になり、最後は遠い存在になってしまったようでちょっと感傷的な気持ちになりました。
先日もテレビでインドの少女を取材していましたが、小説と同じように、殴られて暴行にされたと言っていました。経済発展著しいインドでも地方の小さな村ではこの小説のようなことが実際にあるのかなと、インドという国の奥深さに恐ろしさのようなものを感じました。
さくら猫 さん (公務員)
インドを舞台にした小説は初めて読みましたが、とても丁寧に取材されていて、インドの実情や人々の暮らしや状況が細かく書かれていてすごいと思いました。読んでいるうちにノンフィクションを読んでいるような感覚に陥るほど、描写や人の描き方が分かりやすかったです。歴史好きにも、社会派小説好きにも、また映画好きな人にも読んでほしい一冊だと思います。
相川陸桂 さん (学生)
面白かったです。最初に本を見たときにすごく分厚くて、これホントに最後まで読めるかな? と思っていましたが、話が面白く、文章もうまく、話の運びも早いのでサラサラと読めてしまいました。
また、インドに関してかなり詳しく調べてあるな、と感心しました。
みらふぃる さん (主婦)
冒頭、インド奥地で採掘される純度の高い水晶に魅せられます。最先端科学に関わる町工場・山峡ドルジェ社長藤岡の事業展開の鍵は水晶にありました。
無駄のない文章で、あっという間に水晶の歴史と現状をレクチャーされ、読者は藤岡と共にインド・クントゥーニ地方採掘現場への冒険に足を踏み入れます。
藤岡の事業提携先となる石英掘削業者インド人チョードリーとの虚々実々の駆け引き。チョードリーの使用人の少女ロサ。奥地の集落の人々との出会い。カースト階層社会、男尊女卑社会であり部族の混合社会でもある、インドが俯瞰的に捉えられています。
NGO活動家のイギリス人ドナヒューの登場で藤岡はフェアトレードに鞍替えし、その後更に、対立していた強権の地主とは似ても似つかない、人懐っこさと切れ味を合わせ持つ息子・ラージェンドラと手を結びます。
読者は、日本の小さな町工場がグローバル・ビジネスと直結する醍醐味を味わい、そして問題を突きつけられることになります。またNGOの支援を善と言い切れない面も理解します。階級差や格差などという言葉では括れない、混沌の世界の表情を隅々までよくぞ書ききったものです。
クントゥーニのコドゥリ村で6年にも亘り人脈を広げ事業を展開してきた藤岡が最後の詰めで共産主義過激派に襲われる危機。その冒険譚には真実味があり疾走感があり本を置くことが出来ません。
そして、物語の終わりには事実の積み上げによって丹念に編み上げられた新しい世界観が出現し、藤岡の事業は一体何だったのかとの一抹の虚しさを残しつつ、読者は知らず知らずに地球社会に目を開かされています。
ニコリともしない少女ロサの黒光りする肌・力強い眼差しは摩訶不思議な存在感を示し、ロサも原石、人間の原型であるかのよう。卓越した能力を持つロサの成長した姿からは私たちが忘れ去った善悪を超越した人間の本質が垣間見えます。
藤岡の留守宅の妻とNGOに打ち込む娘の自立した姿も印象的ですが、ロサほどの大物はそうそう現れっこありませんね。
コドゥリ村原住民の心からの笑顔、イノセントなおねだり、そして抑圧された怒りの爆発を見せられた時、日本人は生きることの原点さえ見失っているのかも知れないと思いました。
12年後の最終場面、藤岡からある人に宛てたメールが掲げられ、私は、藤岡さんにはまだ分らないの?とつい思ってしまって、一瞬の後そのメールは私自身が持ち合わせている世界観の表象だと気付かされたのでした。
篠田節子さん、渾身の大作です。
わらび餅 さん (会社員)
凄い濃厚なストーリー。インドと日本の違いは文化の違いの一言だけで説明できるようなものじゃなかった。そんな中で、繰り広げられるインド人とのビジネスと天才的な少女との出会い。様々な身分と思惑をもった人達が絡み合い、先が読めない展開だった。
ゆかり さん (会社員)
自分とは全く関係ない世界の話のようで、今を生きるのに大切なものの見方、考え方、そして、自分は混とんとした世の中においてどう生きていくか、といった様々なことを考えさせられた本でした。
日本国内で頑張る時代は過ぎ、自分の基盤となっている考え方、常識がまったく通じない国ともこれからは競っていかなければならないこの時代においても、強く生きなければ、と思わせてくれる本でした。
ゆきみ さん (学生)
「インド」と聞いて、私が思い浮かべるのは厳格な「カースト」が根付いていることと、私たちには理解し難い「コミュニティ」が重要な地位を占めていること、のふたつでした。しかし、そんなものはインドの表面部分。実際にはもっと根深い闇が広
がっていたのだということを、この小説を通して知ることができました。
特定の地域の水晶を得るだけなのに、交渉し、金を払い、上手くいくかと思った矢先にトラブルに合い、また別の人脈を使って一からスタート……。そうやって色んなインド人と会うことで、インドがとても一言では表せない国だということを知るのです。冬の寒さも忘れるくらい、久々に夜更けまで読みふけった作品でした。
みおぴ さん (会社員)
読みはじめの数ページは水晶の買い付けの話などで、経済の話?難しそう。最後まで読めるかな?と思っていたが、そのうち魅力的な少女ロサが現れ、一気に引き込まれ最後まで読むことができました。
あず さん (会社員)
日本とインドの文化の違いや、現場と経営者、研究者との視点の違いなど、さまざまな面から考えながら読み進めていきました。専門的だと感じる部分も多かったですが、気付いたらそれぞれの人間関係や考え方にのめりこんでいました。うんうんとうなづけるところや、それは違うと意見を言いたくなるところなど、登場人物と一緒に考えている気分になったりもしました。
一企業の戦略だけでなく、藤岡さんとロサの関係が根底にあり、さまざまな思惑が感じられました。
とても読みごたえがあり、暗い部分もありましたが、最後はほっこりしました。
しほり さん (会社員)
インドが好きなのですが、この本を読んで、インドに行きたい!とは思わなかったです。海外で働いている人には、当たり前な話が多いと思いました。
REDMOON さん (無職)
インドを『知って』いる日本人は多いが『理解して』いる日本人はほとんどいないだろう。この作品は現代でも古いしきたり、思想の中で生きるインドで日本人がビジネスをすることがいかに容易でないかを書いていて、これまで無縁だった世界と触れることが出来て新鮮で面白かった。
また、インドの文化、そしてインドの片田舎で産出される高品質な水晶とともに話の軸となるロサというミステリアスな少女の存在は、主人公である藤岡だけでなく読者にもその心の中にあるものを必死で探らせようとする清らかであり邪悪な魅力を感じて、作品にいつの間にか没入していた。
普通のビジネス小説とも普通の冒険とも違う、全く新しい境地の小説だと思う。
コイケ さん (自営業)
まず、主人公である藤岡の仕事内容に驚きました。あまりに危険が多く、途轍もなくギャンブル性が高く、よほど神経が太くてタフでなきゃ務まらない仕事ではいでしょうか。
少なくとも自分には絶対無理。しかし、その藤岡でさえ全容の片鱗しか窺うことのできないインドという大国の底知れなさが描かれていて、ページをめくるたびに未知の世界への扉を開けるような気分になりました。また、異なる風習や価値観を持った異国人たちを相手にビジネスをすることがいかに大変であるのかを、改めて思い知らされました。