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代体

■第60回モニター「代体」山田宗樹

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

akabee さん ()
実に壮大なスケールで描かれたSF小説。細やかで丁寧な技術的根拠の説明と、絶妙な登場人物の設定によって、とてもリアリティがあった。曖昧さのないしっかりとした筋書きと、一つ一つのテーマにきちんと結末を描き出していくスタイルが印象的だった。あっという間に引き込まれ、一気に読み切ってしまった。本書で描かれた技術が、現実世界でどこまで実現可能のか詳しくは知らないが、かつて、脳死や植物状態の人の「死」について、盛んに議論が行われていたことを思い出した。そして、そう遠くない未来、技術の進歩とともに、ここで展開されたような「人間の死」や「自分が自分であることの証明(アイデンティティ)」の問題が、我々の目の前に立ちはだかるであろうことは否定できない。「代体」という筐体に、データ化された意識を転送すると、本来の自分の体とは違う体をもった人格が誕生する。非常に科学的で無機質な話だが、そこには、死にゆく我が子をなんとか生き永らえさせてやりたいと願う親の深い愛情や、やり残した未練を全うするまで死ねないという生への執着など、無機質とは程遠い、科学では単純に説明し得ない、人間らしい強い感情(心)がある。
近未来の技術を駆使した、SFという要素での見どころの多いストーリーであるにもかかわらず、本を閉じたときに最も心に刻まれているのは、「親子の愛情」や「人を思う心」なのだ。それがこの作品最大の特徴なのかもしれない。世界を巻き込んだ悲劇的な展開からは想像もつかないような、切なくて優しい結末に心打たれた。
シトラス516 さん ()
読み始めはSFだ!と思っていたのですが読み進めるうちに哲学色が濃くなり本を置く度に自分ならどうだろうと考え込みました。後半ではパンデミックでハラハラした後やはり哲学的な思考から離れられなくなりました。最後の1文で泣いてしまいました。一気に読むより考えながら読んで時間はかかりましたが本当にいい読書タイムを過ごせました。おもしろかったです!
hushi亜子 さん ()
「代体」あ〜急成期の治療や、ターミナルの患者にはいいかもな〜
そこが、まず始めの感想。お金がかかるのは難だけど、良い方法だな〜と。このまま医療モノになっていくのかと思いきや。
難しい。難しすぎて心が折れかけてしまった。が、ガインの存在を知ってから、展開が一気に進み難しい物事は置いといて、八田、ガインこの二人の関係がとても気になり
なぜこんなにもガインは八田に執着するのか
なぜ、八田は八田でいようとするのか
決して相まみえないと思われた二人が、共に進むことになった時
ガインの中でセンチメントが芽生えた瞬間
それは八田の力が強く響いたのだろう
ガインは5歳の記憶と気持ちが戻ったのだと思った
ガインのあの最後の一言
今までの彼の行動の果てに得れた大切な言葉だったのだと
ラスト3ページで、こんなに泣かせられるとは思わなかった。
はたはた さん ()
山田宗樹さんの繰り出す物語にはいつも驚かされます。
誰もが一度は考える、科学技術の発展した未来社会。
そこに問題はつきものですが、毎回、こういう切り口があったか、と度肝を抜かれます。
人間だからこその、生と死への意識、未知なるものへの好奇心によって切り拓かれていくストーリー。
「代体」も、そんな人間の欲を愛しいほど純粋に描いた作品だと感じました。
かかな さん ()
山田宗樹さんの作品を読むのは初めてです。気難しく堅い雰囲気を想像していましたが、予想外に軽いタッチで話が進むので安心して読み始めました。もう1つ体があればいいのに!と、漠然と考える人は多いと思います。
ですが自分とは何か、意識なのか、身体なのか、両方なのか、そこまで想像するのは難しいです。現実感のない近未来的設定ですが、ビジネスとして確立されたので作中では無機質で不思議と違和感がありません。
この設定から誰でも思い付く疑問点もしっかりと説明されているので更に説得力があります。
ですが元々SFが好みではないので、代体システムの本領が発揮される2章の途中から置いてけぼりに。
無理のあるギリギリを行くかっちりした作り込みは素晴らしいと思います。
読まず嫌いが多くモニター企画がなければ手を出しづらいジャンルなので、『百年法』にも興味を持ちました。
みたらし さん ()
ありそうでなかった設定が面白かった。
まだ先の話ではあるけれど将来的には実現しそうな話でもあるためどこまでが
許されるのか考えさせられた。
少子化が進んでいくと代体が正になったりするんだろうか。
しの さん ()
人が管理できないものを作る恐ろしさをヒタヒタト感じる物語でした。
この形のない「意識」というものは、いったいどこでどう生まれて今こうしているのでしょうか。
ほんとに不思議です。そんな意識を取り出す。
すごいことだ!
しかも今の自分の記憶が現実にあったことだと、幻ではないと、言い切れる人はいるのでしょうか。記憶力の弱い私は甚だ不安です。でもこの物語を読んでちょっと答えをみつけた気がしました。
倫理観は感情で一気に流れを変える。。。
その基準は愛や情など欲によるところが大きく、「選ぶ人」を選ぶ時の運なのかもしれません。原発や戦争もそうですが、この物語を読んでいるとどうしても今を思い、未来を想像してしまいます。
そして身近な食べ物、化粧品や薬などすべて作られるものは倫理観によって制御されているのだと実感しました。
わかりやすく楽しめる物語なのに深く考えさせられていました。
登場人物たちの個性が魅力的で、ちょっとしか登場しない人でも重要で心に残ります。
それぞれを主人公に別の物語が見えてくるような楽しさでした。
さらに不思議だったのが、最初に読んだ時と二度目に読んだ時で、私の頭の中にある主人公が変わっていました。この物語はいつどんな時に読むかで心の主軸となる人が変わるのかもしれません。
次に読むときは誰に目がとまり心に残るのだろう。
読み始めるといくつかの物語の流れを思い描かずにはいられないのですが、そんなちゃちな私の想像をはるかに上回る面白さでした。
びーりこ さん ()
一言でいうと、とっても面白かったです。「人の意識を移送できたら…」。設定が面白く最初の数ページで引き込まれました。そして、あっという間に読み終わってしまいました。もし本当に意識を転送できるとすれば、命とは一体何なのでしょう。
どこからが死でどこからが生なのでしょう。テクノロジーが著しく進歩している昨今だからこそ、それは妙に現実的で、考えさせられました。山田宗樹先生の作品は初めて読みましたが、SFで少し難しいテーマにも関わらず登場人物やシーンが目に浮かぶようでとっても読みやすかったです。他の作品も是非読んでみたいと思いました。
ぺんすけ さん ()
イッキ読みでした。『代体』ということで「カラダ」(=物質)にまつわる話かと思っていたら、いつの間にか「ココロ」の話へと展開し、驚きの連続の中で読み通しました。「そこにいる相手が、実はその人物ではないかも知れない」「ひょっとすると、自分が自分自身ではないことに気づいていないのかも知れない」…想像してみるだに足元を掬われるような恐怖を覚えるような世界観のなか、主人公(僕)をはじめ多くの人間が全人類の生存を脅かす難題に、巻き込まれ、解決を図っていこうとする、「重くて」「重さがない」物語でした。
もりりん さん ()
これは壮大な変奏曲だ。表題の「代体」を主題とする旋律だとすると、転調に転調を重ね次第にテンポが上がり、クライマックスに向けて思いもかけない隠れ主題が現れ、無限大の広がりと高みへとカタルシスに巻き込まれていく。
 それは物語の展開の意外性に途中で読むのを止められないだけではない。読み進むにつれ、?我とは何ぞ?″という永遠の哲学的テーマが容赦なく読み手に問いかけられ続けられるのだ。
 人工知能が話題をさらいロボットが社会のそこここに登場し人間の仕事を肩代わりし出した現代、対する我等人間の意識=魂の在り処が個々の人間のアイデンティティなのか?、何を以て?我″が我たるのか?と、ニュースを見る度にふと考えてしまう人も少なくないだろう。人間の意識が身体から切り離された時、その意識は変容するのか、自分の属性を見失うのか、あるいは解放され自由を手にするのか。更に、本作は読み手に生命や死の定義すら曖昧にさせていく。答えの出ないテーマに読み手の自分が囚われ、読了後の今も考え続けている。技術が進歩し環境が変われば価値観も倫理観も変化していくだろう。恐らく遠くない将来、我々が直面する技術と倫理の葛藤。未だ現実的でない今だからこそ自分
自身に問いかけてみる価値のあるテーマだ。
 臓器移植を巡る『死者の鼓動』、生命を描いた『天使の代理人』、心の救済を語った『聖者は海に還る』と、心身の医療現場と心の問題に言及してきた山田氏。ここへきて『百年法』『ギフテッド』とその舞台が大きく広がった。現実の、遠いようですぐそこまで来ている近未来設定の作品ジャンルに大きく舵を切った感がある。身体から自由になった魂の次の次元は何だろう?更なる技術の進化と価値観の変容をテーマとした新たな物語が楽しみで仕方ない
hideaki さん ()
代体という題名からは想像できなかったストーリーで、とても面白くてハマりました。入院中に通常の社会生活ができるように代わりの体、代体に意識を移すことが当たり前の世界でありながら、それにより意識のみ生き続けることが可能なったことへの倫理による規制が働いた世界でもある、その設定が実に物語を面白くしていてよかったです。でも結局は、規制を破ったことから大きな事件に発展していくのですが、その大きな事件までの過程に引きずり込まれました。
きっしぃ さん ()
こんなことが可能にはならないだろうと言い切れない。近未来を想像させる衝撃のストーリーでした。
読みはじめは「代体」というものが本当にあったら便利な世の中になるだろうなと単純に思いました。
代体に意識を転送してその間に体の悪いところを直せば無駄な時間を過ごさなくて済む。とても効率的で現代の人間がいかに仕事に追われているのか…ということの象徴にも思われました。話を読み進めると代体によって引き起こされる問題や、自分が死の縁に面したとき人の体を使ってまでも生き延びたいと思うかなど、とてもたくさんのことを考えさせられました。
けんしん さん ()
読み始める前に、睡眠と食事をとることをことをお勧めします。ページをめくる手がとまりません。
寝食忘れるぐらい面白いです。
アメリカの哲学者ドナルド・デイヴィッドソンが考えたスワンプマンという思考実験があります。
あなたがスワンプマンだったとしたら? そんな問いがなげかけられた気がします。
私ってなんだろう。そもそも、人間って何なんだろう。読んでいるあいだ、ずっとそんなことを考えました。
ラストの一行。泣きそうになりました。SFですが、SFファンじゃなくても楽しめます。
シン さん ()
僕自身、SF小説はほとんど読んだことがなかったのですが、楽しく読むことが出来ました。
人間の中に違う人間の意識が入り込んでいて、そこから思わぬ方向に事件が発展していき、とてもわくわくしながら読む事が出来ました。肉体に閉じ込められた意識が何に突き動かされ、意識の奥深くに眠る願いは何なのか、その願いは叶うのか。最後には良かったねと言える作品でした。ガインと輝明にはもう少しだけ冒険して欲しかったです。
うきよ さん ()
「自分」とは何なのだろう。「肉体」なのか「意識」なのか。どちらも自分なのに、一方を無くしてしまったら、もう自分とは違う存在ではないのか。そしてこの記憶は本当に自分のものなのか・・?そう考えだしたら止まらなくなった。
シリアスな場面が多い中で、斉藤のちょっとずれた発言とか、竹内&筧のやり取りが面白かった。
momopiyo さん ()
難しい内容を非常に読みやすく書いたSF作品で、表紙にあったように一気読みだった。科学が日々進歩していく現在、こういった作品にまでリアリティーが出てきており、冷やりとする感覚も楽しめた。
サンフランビスコザビエル さん ()
自分が自分なのかわからなくなる、ホラーすら感じた。奇しくも読み始める直前に人工知能の展示を見たばかり、やがてはこのような社会が来るのではないかと思うと怖くなる。
ことぶきジロー さん ()
『百年法』よりも、さらにSF度が増し、これまでの山田宗樹作品とは全く作風が異なることに驚いた。
人間の持つ意識や心は何なのか、さらには神の存在までも深く考えさせられるような作品だった。
うさこ さん ()
導入からの科学の進歩に、登場人物の複雑さに、ちょっと尻込みしつつも、世界観を把握した途端に、今の私達の科学における倫理観のさらに先を求められる主題に、今度は怯んでしまいました。百年法の時と同じく、物語にドキドキしているのか、突きつけられた場面に自分ならばどう判断するのか、人として正しいのはどうあるべきなのか?にドキドキしているのか。エピグラフとして置かれている詩の意味が分かった時、そして、事件の中心となる突出した天才の遍歴を思うにつけ、切なくなります。ラストの余韻が甘いのが救いでした。
ののすけ さん ()
とにかく怖いと感じました。こんな世の中がもしかしたらそう遠くない将来にやってくるのかも、と考えるだけでゾクゾクしました。人間とは何か、生きるとは何か、自分自身というものは何か、たくさんのことを考えさせられました。意識と肉体は切り離していいものなのか、もっと考えると、臓器移植なども一緒ではないのか。本来、人間が生まれてきた時の意識と肉体でこの世から離れていかなくてはいけないのではないか、そんなことも考えさせられました。ただ、最後が少しホッとする終わり方だったので、救われた気がしました。
オリビエ さん ()
「究極の不老不死」
治療に痛みなど苦痛を伴う場合は良いと思うが、1つ使い方を間違うと恐ろしく思う。
もし、現実に「代体」があって自分が使った時、本当に自分なのか不安になる。
あず さん ()
突飛な設定に見えて、もしかしたらありえるかもしれないと思える話でした。
代体を使った方々がメインではありませんが、その方々のセリフも物語の大事な部分を担っていると感じました。痛みから解放されることで出来ることや分かることもたくさんあります。しかし、痛みがあるからこそ体験できることもたくさんあると思います。八田さんと喜里川さんは同じ立場だったのに状況の違いでその後が変わり、それに悩む八田さんがとても人間らしく、その、人間らしさがガインにも良い影響を与えたのだと思います。
さく さん ()
心の奥底から叫びたくなるほど面白かったです。
私のすみずみまで面白さが染み渡りました。
そして、面白いと同時に文章の美しさを存分に味わえました。
こういう話が読みたかったんだ!エンターテイメントってこういうことだよ!
百年法以来の睡眠不足でした。
オレンジカバー さん ()
世界観がとても面白いです!

 人間の意識を取り出すことが可能になった近未来。病気や大けがをした人間の意識を取り出し、その意識を”代体”と呼ばれる仮の体に入れることで、治療の負担を減らし、また身体が動かない間でも、日常生活や仕事をすることが可能になっています。
 しかし、その代体を使っていた患者が行方不明となり、そして無残な姿で発見される。ここまでがプロローグです。
 代体は無残な姿で見つかってしまいますが、でも一方で意識を取り出すことが可能になっているため、本当に中の人間は死んだのか。身体が死んでいる一方で、その人の意識が残っている場合、それは死んだことになるのか。
 そうしたキーワードを軸に、様々な関係者の思惑が入り乱れた物語が展開していきます。
 荒唐無稽な設定なのですが、脳科学の知識をしっかりと取り入れ、様々な医療関係者や警察関係者、研究者の思惑や立ち位置もしっかりと描かれていて、それによってより物語の強度も高まっています。設定や世界観がしっかりと練られ
ているからこそ、話の進行は緊張感が溢れていて、先が読めません!
 代体に入っていた人間の行方をめぐるサスペンスとしても、代体というシステムが発達した仮想未来のSFとしても楽しく、そうした物語を楽しんでいるうちに、心と身体の関係や人間の意識についても思いを巡らさせずにはいられない、そんな壮大な物語になっていくのです。
 楽しませて、そして考えさせる、単なるエンターテインメントでは終わらせない小説だと思います。
BLACK SIREN さん ()
人の意識を肉体から解き放ち、別の器に移し替えることが出来るようになるという未来は、技術によって「人間」あるいは「生命」というものが脅かされる世界といえる。
作中で描かれるその危うさは、そもそも、「命」や「意識」といったものを、人はほんの少ししか理解していないことが、根本的な原因となっている。だからこそ、読み終えた時に事件の裏に潜むもの、その行為の意図、それが法的に、倫理的に正しいのか、間違っているのかを考えるよりも、自分は自分であるという「自己の存在証明」をどうすれば出来るのか、と深く考えさせられたような気がする。