いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

明日の食卓

■第63回モニター「明日の食卓」椰月美智子

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

TAK さん (30代男性)
とても面白かったです。虐待のニュースが流れるたびに、世間は親を非難するけれども、その内実はいろいろあるのだろう。もし、自分が同じ状況に置かれたのなら、果たして立派な親でいられるか。わたしは自信がありません。虐待は絶対いけないことだけど、虐待してしまう状態へと追い込む家庭や社会の状態も考えないといけないと思いました。
虹のママ さん (30代女性・子2人)
子供との向き合い方、距離のおき方など自分だったらどうするだろう?と自問自答したり、自分に当てはまる内容が次々と書かれてありドキッとする場面もあり、どんどん本の世界に引き込まれて行きました。子供の成長とともに自分も心の成長、余裕を持ちたいと、この気持ちを忘れないために私にとってこの本はなくてはならない存在となりました。
ののすけ さん (30代女性・子2人)
先が気になって、途中で止めるのが難しいくらい夢中になり読みました。この家族はどうなっていくのだろう…と、3つの家族のことが気になりました。そして、自分と似ているところなどを考えて、読み終わってからは、少しだけ家族に対して優しく接するようになりました。それにしても、どこの家族もご主人は頼りにならないなって思いました。
ゆかりん さん (40代女性)
この本はまるでアパートの隣の家の出来事のような、身近すぎて読むのにパワーが必要な作品でした。天使のような子供なんていない、まして神様のような親も大人もいない。そんなリアルをつきつけられた気がします。そしてどんな形でも母親は 我が子を愛するのだと。
myon さん (40代女性)
3人のユウ君が登場するけど、どのユウ君もすべて、考えていることの違う一人の9歳児として思い浮かべることができて、ものすごく色の濃い作品だと思いました。ユウ君たちだけでなく、三人の母親がそれぞれに違う生き方をしていて、同じ母親でもこんなに違うのだな、と改めて感じました。私には子どもがいないので、子どもがいる女性が生きがいにしていること、そして犠牲にしていることについて、より気持ちを置いて読み進めていたように思います。詠みながら、子どもに対する愛情の深さを持ちつつも、子どもの母親としてだけの人生を生きていないところに、今を生きる女性の強さと希望を感じました。だからなおさら、序文の出来事が、この困難に衝突しながらも愛情深く子どもを見つめる三人の誰に起きるのかと、この親子に起きるのかな、などとドキドキして、最後は1人ずつ消えていくカードに「あの親子なの?」とショックを受けながら、読むスピードも上がりました。
たあぼう さん (50代男性)
3人の母親は居住地も異なり接点もない、この母親の内面が順番に語られていく。ほのぼのした幸せな家庭が一転、一気にサスペンス要素を帯びてくる。果たして自分が信じていた幸せな家庭、親子関係は幻想に過ぎなかったのか、それとも見ぬふりをしてきただけか。そんな厳しい局面に立たされる母親たち。特に後半の新聞記事の仕掛けが絶妙でラストに向けてページをめくる手が止まらなくなる。3人の母親のうち、誰が救われ、救われないのか。9歳の子供の悪意に怖ろしくなる面もあれば、いつもの椰月さんらしい暖かい親子のやり取りもある。椰月さん自身が書いていて涙があふれたという。子供を産んだ母親の愛情の深さと強さ、一方一時的な感情に振り回されかねない人間の弱さなど、自ら男児2人を育てる椰月さんならではの人間ドラマです。しかし本作の男たち、ダメダメだなぁ^_^;
imasato さん (40代男性・子2人)
モノと便利さに囲まれているのに生き辛さを感じている子育て中のお母さん、「自分は妻の大変さを理解している」と思っているお父さん、これから家庭をもつ人たち、子育ても一段落ついた方々。どんな人にもおすすめしたい作品です。自分に置き換えたり、奥さんに置き換えたり、自分の母親を想いながら読み進めて欲しいと思います。小説を読む、それ以上の経験がきっとできます。
夘月とも さん (20代女性)
作者の想像力に驚きました。そして人を、特に家族を信じることの難しさを感じました。 私はまだ独身ですが、家族であっても他人と暮らすことの大変さが伝わってくる作品でした。
May さん (30代女性)
幸せな家族が一つの出来事で壊れてしまうこともある。そんなことを感じてしまい、他人事とは思えなくなってしまった。衝動的な行動、信じられない行動というのは簡単だけど、自分が絶対にしないとは言い切れないんだと思い、怖くなる。それでも強く生きていく家族の幸せを願わずにいられなかった。
ンボランバロンヅ さん (10代女性)
私はまだ子であり、母ではありません。ですが、子育ての苦しさや苛立ちが痛い程伝わってきて、母もそのような気持ちだったのかと思うと涙が止まりませんでした。特に、「みんなで私を馬鹿にして」という台詞(うろ覚えなので正確ではないかもしれません)。実際に私も聞いたことのある台詞なので、胸に迫るものがありました。いつか母になる時に、私もイシバシユウの母のようにならないようにしたいと強く思うと同時にイシバシユウの母が増えませんようにとも思います。
桜子 さん (50代女性・子3人)
3つの家族それぞれにどこにでもある家族の姿だなと思いました。夫の協力はあまり得られないなかで、子育てを背負っている母親のつらさが、手に取るように伝わってきました。それと同時に、自分の息子達が小さかった頃の事を思い出してちょっと苦しくなりました。一線を越えてしまったユウ君のお母さんは一生後悔すると思いますが、やはり誰でもいいから子育ての話ができる人を作っておくべきだったのではと思いました。私の場合は転勤族だったので本当に大変でしたが、近所のオバサン達が何かと世話を焼いてくれたおかげで乗り切る事ができました。オバサン達のアドバイスをいつも心に留めておくように心がけました。「今はつらいだろうけどトンネルには必ず出口があるからね」「子供は未来からの 留学生だから、大切にしないといけないよ」など、子育て経験者のオバサン達の言葉は名言だなと思いました。子育ては大変というマイナスのイメージがありますが、「子育てという一大事業を担っているんだ」と心を切り替えたら、一線を越えてしまう事はないのかな、と感じました。
リンド さん (40代女性)
3家族の話がローテーションで繰り返される。一巡目で一番危ういなぁと感じたのは、あすみの家族。何か事件が起こるなら、この家族だろうと……。この3家族の共通点は、息子の名前の他にも、だらしない父親や叔父など大人の男性にあった気がする。どの家族の話でも男性にイライラした。自分が女だからか、母親の気持ちは身に染みるし理解出来た。
Alice さん (40代女性・子2人)
自分も男の子を持つ母親です。それぞれのイシバシユウくんの母親の感情の動きが、手に取るようにわかりました。自分も「亡くなったイシバシユウくんの母になっていたかもしれない」という思いでいっぱいになりました。椰月さんが子育てをするなかで、感じていたことを基にして書かれた作品。男の子の育てづらさ(もしかしたら女の子にもあるかもしれませんが)を感じたことのある人なら、きっと共感できる作品です。最悪の事態を招く前に、どんな形でもいい、この作品に登場する3組のように逃げ場を作って欲しい。そのきっかけになります。
くぼちゃん さん (50代女性・子3人)
環境の違う3家族の子育ての中で、それぞれにいろいろなストレスを抱えながらがんばっている様子に共感しました。たとえ母子と言えども人間同士、そんなに順調に行くはずがないのです。ましてや現代では、昔のように周りからの手助けはほとんど期待できません。子育て中の母親たちをもっと温かい目で見てほしいと期待します。そしてこの本のような悲劇が起きないよう切に願います。
桐生景一 さん (30代男性)
三つの石橋家、その石橋家とユウという名前の子供の物語は、普通のどこにでもあるような家庭がだんだんおかしくなって狂っていくその様が読んでいてとてもおっかなかった。家族がボタンの掛け違いでだんだんおかしくなって、ちょっと間違えば親が子供を殺してしまう。子育てをしたことはないけれど、きっとこの本のように一歩間違えばこうなってしまうことも多いんだろうななんて思って読んでいた。
ayaponzu さん (20代女性・子1人)
普通の家庭でも一歩間違えると同じようなことが起こりうる時代だと思います。核家族が増え、ご近所さんや周りとの接触は少なく、母と子供が孤立する中での育児。主要な3家族のリアルな生活。とても胸が痛く、どの家族も共感できる物語でした。どの家族も少し明るい光が見えるラスト、とてもよかったです。
mochashake さん (40代女性・子1人)
「よかった」が読み終えた瞬間の心の声でした。3人の誰かが殺人を犯してしまったら悲しすぎると思っていました。私はこの3人のもしくは4人目の石橋にいつでもなっていたのではないかと思います。一人娘は反抗期であすみ様に子供の暴言に驚きショックを受けました。夫に失望し苛立つ私は留美子です。仕事でかまってあげられない私は加奈でもあります。この3人の物語に反省と反論と未来を思いました。自分と重ね合わせ、私は我が子に道標を用意してあげられるだろうか、親として目標とさせる様な人間なのだろうかと何度も問いただしましたがやはりまだまだです。3人のこの先の未来が幸せである様に願い、自分も幸せで子供と笑っていられる様でありたいと背筋をスッと伸ばしてみたくなる作品でした。いろいろな場面で自分と重ね合わせました。でもどんな形でも最後には幸せな未来を想像できる作品に感動しました。反省も含めまた読み返したいと思います。
翠子 さん (20代女性・子1人)
愛しい我が子を手にかけてしまう瞬間とは――。子育てがいかに孤独か、そしてこの本に書かれていることが本当に誰にでも起こり得ることなのだと、身に染みて思いました。私自身も、1歳2か月になる一人息子を息育てています。苦しい出産を経て私を迎えたのは昼も夜もなく続く泣き声、2時間弱の睡眠、子供と狭い部屋に閉じ込められているような激しい孤独、一向に終わらない家事。乳児期がやっと終わったら今度は山九が明け仕事。オフィスを急いで出て、保育園に走り、十分にかまってやれないまま夜になりあっという間に朝が来る。まだ物言わぬ我が子なのに、最愛の子なのに、つい声をあらげたりイライラしたりしてしまう。母親ならば誰でも経験があることです。だからこそ、いろんな女性に読んでほしいと思いました。そして、仕事だと言って妻を顧みない夫にも。文章の所々で、涙せずにはいられませんでした。この本はフィクションであり、フィクションの形をとった作者の独白でもあり、何万という母親たちのノンフィクションです。発売が楽しみです。こんなにも共感した本は今までなかったかもしれません。たくさんの母親の気持ちを代弁してくれてありがとうございます。子育て頑張ります。
なつみかん さん (50代女性・子2人)
子ども二人が成人し、自分の子育てはずいぶん前のことになったと思っていましたが、この本を読んで、子育てまっただなかだったころの自分の喜び、悩み、行き場のないもやもや感などがパッとよみがえってきて、驚きました。それほど、ストーリーや登場人物の会話がリアルだったのだと思います。登場人物には工夫が凝らされていて、そこがまず面白いと思いました。出てくる三人のお母さんたちにはそれぞれユウという8歳の男の子があり、名字は全員石橋なので、三人のイシバシユウ君がストーリーで重要な役割を果たします。このユウ君たちはそれぞれ全くキャラクターが違うので、自分の息子はこのユウ君のタイプだったな、と思いながら、読み進めました。ラストがどうなるのか、は本当に最後まで読めませんでした。その意味では、少しミステリー小説の要素もある本だったと思います。読んでいて、何回か涙がこぼれました。子育てをしていたときに時々感じることがあった苦しい気持ちを、この本を読むことで再び思い出し、そしてまた、昇華できたからかと思います。あってはならないことですが、本当に自分の子どもに対して、どう接したらいいかわからなくなり、手を出してしまうことがあるのが子育て。そんなときに、この本を読んだら、少し目の前が開けるような気がします。若いお母さんたちの「明かり」になるような一冊だと思いました。子育て中の人にもこれから子育てをする人にも、私のようにもう子育てが終わった人にも是非読んでほしい一冊です。
むらさき さん (20代女性)
母親はもちろん、まだ子供がいない人にも読んでほしいと思った一冊でした。「幸福とはなにか」ととても考えさせられました。家族構成も生活環境もまったく異なるイシバシユウ(8歳)の子どもを持つ3つの家庭。裕福な家庭で専業主婦で子どもを第一に考えるあすみ、二人の男の子を持ち自身もライターとして仕事をしようと考えている留美子、シングルマザーで仕事を掛け持ちしている加奈。話が進むにつれてそれぞれの問題や家族の歪みが見えてきて家族として、母親として、子どもとして一番の幸せとは何だろうと思いました。どの家庭も実際にありそうな形だからこそ自分だったらどのような家庭が作りたいかと考えました。同時に子育ての大変さを感じ、自分の母親もたくさんの苦労を抱えながらも笑顔で自分のことを育ててくれたのだと思い、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
yukiko0514 さん (40代女性・子2人)
ユウの命が途絶えてしまう書き出しに暗澹たる気持ちで読み始めました。主要3家族が抱えるそれぞれの問題も他人事と思える部分が少なく、もし私だったら……と絶望的な想いを抱きました。ただ、どの家族にもわずかながら明日への希望(新たな生命の誕生予定、離婚して母子での再出発、見つけた夢に向かっての更なる前進など)を見出すことができる結末だったことが救いでした。もちろん作品の結末は、各家族のゴールではなく、各家族の新たなスタートなのだと思います。私たち親子も夫婦も、家族として頑張っていかなければならないと改めて考えさせられました。
yU1kA さん (20代女性)
それぞれ違う家族の生活が描かれているのに、要所要所で昔の記憶と重なって、胸が痛くなったり、ジーンと目頭が熱くなったりしました。親が昔、悪さをした弟を叩いて鼻血を出させた事があり、今では笑い話ですが、良く家族でその事を振り替えって話しています。望んで親になるのに、誰も子育ては教えてはくれない。悪い子に育ったら親のせい、よその芝生が青く見えるように、よその子供が良く見えることもあるけれど、その家庭でも何か抱えてるかもしれない。何が正解かは分からないけれど、家族で笑って過ごせるように、親は子育てを頑張ってくれていたのだなぁと思いました。私は結婚してません、子供も当然居ませんが、この本を読んで私と弟二人を育ててくれた母の気持ちが少し、分かったような気がします。小学生の頃の子育てした大変な話を、あまり語ってくれないので、母の大変だった気持ち、不安だった気持ちに寄り添えた気がして嬉しかったです。結婚して、子供が出来て、また成長して子育てに迷ったり悩んだときに繰返し読みたいです。
つなこ さん (20代女性)
出産経験どころか結婚経験も無いので、どこか上部をなぞっている感覚だったのですが。人の悪意は疲れるなぁと。本当に厄介なのは、自覚があってそれを振り撒いている悪意なのか、まるでそうだと自覚が無く、なんなら善意の押し売りをしているつもりの悪意なのか。出てくる男性陣がこぞって頼りない人ばかりでダメダメすぎて、結婚というものに対して恐れが沸き上がってしまいました。それぞれの家族にそれぞれ問題があって、それは当たり前のことで、「ウチだけどうして!」なんて考えなくても良いんだろうなぁ、と。幼い頃『親』は完璧超人で間違ったことは決してせず、言うことは絶対だなんて思っていた時期もありましたが、そんなことは決して無く、『親』だって試行錯誤で探り探りで、いつか自分が親になったときが来るとしても『正しい子育て』をやる自信なんてまるでなくて。結婚して、出産して、子育てに躓きそうになったときにまた読みたい。今現在、絶賛子育て奮闘中の方々に是非とも読んでもらいたい。
ゆかり さん (30代女性)
様々な年代の方に読まれるべき本だと思う。専業主婦、パートをかけもちするシングルマザー、自らの才能で生きていける自立した女性という、価値観の多様化した現代の縮図をそれぞれの視点から読むことができた。小説の中でいろいろな問題が起きる中、親がどう子供を信頼できるかというよりも、どう子供に親を信頼させるかが重要で、親の目の届かないところで幾らでも子供が情報を得られるようになってしまった今は、親はより一層毅然とした対応のできる、ぶれない強い精神力が必要なのかな、と思った。余談ですが、作者さん自身が女性でお母さんだからか、どうしてもお父さんやその他男性に辛口で、もう少し頼りになる男性が一人でも登場したら精神的に楽だなあ……と思ってしまいました。私にはまだ子供はいませんが、すごく身につまされるお話で、正直子供を産むのが怖くなるくらいでした。 実体験を基に、ということで、おそらく吐き出さずにはいられなかった体験だったのだろうと推察いたしますが、筆力がすばらしく、一気に読んでしまいました。
たんちゃん さん (40代女性・子2人)
子供を持つ親として、とても胸が痛くなる作品でした。一見、何も不自由のない、あすみ。一人ひとりは良い子なのに2人揃うと怪獣の様な兄弟を育てる、留美子。シングルマザーで頑張る加奈。特に留美子のパートでは子供たち、夫の豊の様子にイライラし通しでした。私なら我慢出できないかもしれないと思いました。我が家の子供たちは大きくなったので、この3組の親子の頃は遠い昔になってしまったけれど母親である前に1人の人間なので感情が先走る事もあったような気がします。子育てに正解はないと思うのですが、色々と考えさせられる作品でした。
秋雨タヌキ さん (20代男性)
子どもを持つ家庭が陥り得る暗いシチュエーションが3つの家族を題材として描かれており、次に待ち受ける展開が気になるというドキドキ感を味わうとともに、読んでいて心苦しい気持ちにもなりました。この作品を読んでから、家族を持つことが少し怖くなりました……。
トラキチ さん (50代男性・子2人)
女性にとって、子供というものの存在の大切さ・愛おしさを実生活で体験し、又これまでの作品で表現してきた作者の集大成的な本作はミステリーテイストも盛り込まれていて、最後にはハッとさせられる傑作である。どの石橋家の母親たちも、子供に対する愛情は並外れたものがあり、共感及び応援を強いられる読書なのだけれど、次第に崩れてゆく姿は目を背けたくなるほど苦しく、裏を返せば常に現実を直視している作者の想いが文章に乗り移って届けてくれているような気がする。印象的なのはフリーカメラマンをしている豊という名の駄目な父親、彼の子供に対する愛情の希薄さは滑稽さを通り越して、作者が世の子供を持つ男性に襟を正すように訴えかけているよにも感じる。本作は前述したように冒頭の1ページのシーンがどの家族であるのかということが常に頭の中にあり、そのいわば謎解き要素が読者にとって目の離せない読書体験が楽しめる。いじめや認知症の問題にも言及していてとってもリアルであり、小学生のお子さんがいらっしゃる方が読まれたら、自分自身が3家族の中のどの石橋家に近いのかということを照らし合わせて読むことを余儀なくされるのであろう。是非夫婦や友達同志で読みあって語り合って欲しいなと作者は願っているのでしょう。作者はタイトル名にもなっている“明日の食卓”という言葉のように、世知辛い世の中だけれど常に幸せを模索して生きて行こうと私たちの代弁をしてくれているのでしょう。本作はとにかく心に響く物語であった。この夏素晴らしい本に出合えたことを嬉しく思います。
so-kaka さん (30代女性・子2人)
私には6歳の息子と4歳の娘がいる。だから、主婦の毎日の忙しさ、子供や夫に笑顔笑顔で接することができないイライラなど、リアルな描写が多く、共感する部分が多かった。また、夫や近親者の失業や経済的危機、義父母を含む両親の介護、子供のいじめなど、いつ自分に起こってもおかしくないような設定も多く散りばめられており、未知の経験への心構えにもなった。読了後、一番に思ったことは、母親は家庭の軸であり、子供や夫、家族に一番のの愛情と手間暇を尽くしてやるべき存在なのだろうということ。同時に、その重大な負荷が、母親個人としての自由や夢を奪い、そのフラストレーションによって、心身ともにキャパオーバーを招き、制御不能な爆発的感情や言動を喚起することがあるということも、自分のことのように読み取ることができた。子供が成長し、比較的落ち着いた状態でいる今思うと、かつて私も育児ノイローゼがかっていて、自分に得体のしれぬ暴力的欲求を感じて、怖くなったことがある。半狂乱としか思えないような、まさに抑えきれない感情の暴発を起こしたこともある。子を持つ母親は、程度は違っても、おそらく多くの人が同じような経験を持っているのだろう。核家族化し、それが表面上見えにくい現代では、まるで自分だけが失格者のような気がして、更に母親の心理的負荷を大きくしたりもする。そんな、実は普遍的な育児や家庭での女性の奮闘模様を丁寧に書き綴ってくれているこの作品は、教訓になり、また「つらいこと、うまくいなかい境遇は自分だけじゃない」という激励にもなる。母親の制御不能の感情の根幹にあるのは、かけがえのない我が子を大切で愛おしくおしく思う気持ちに違いない。ある日突然、未成熟の個体が母となるのだ。それが必死に、幼い命とエネルギーに向き合い、思い通りにいかないこと、しんどいことに苦しむとき、やはり、それを傍で支えてくれる存在が欲しい。そういう点では、夫、両親、公共や地域の人々の立場もうまく織り混ぜて登場しており、非常に現実的で訴求力のある作品になっていたと思う。「一歩間違えたら……」にならないために、唯一無二の最愛の命を守るために、どういう環境を作ればいいのか、どんなことが必要なのかを、つくづく考えさせられた。
まるむ さん (20代女性)
自分の子どもをもつことに対して元々悲観的な自分であるが、この本を読み、改めて子どもを育てその生活を担う責任の重さを自分なんかが背負っていけるのだろうかと不安な思いが強まった。前半の、夫と子どもによって生活が満ち満ちていく描写には頬が緩み、温かな食卓が目に浮かんだ。しかし、あまりに衝撃的な事件、あるいは小さな綻びから家庭が壊れるまではあっという間で、妻たちの悲痛な表情が自分の顔にもうつっていた。当たり前の幸せが当たり前に続くことは奇跡に近い。言葉で記せば陳腐だが、崩壊する瞬間はどんな日常にも、どんな一瞬にも潜んでいる。順風満帆とはいえない家庭生活の中で過ごしてきた自分ではあるが、今もこうして両親やきょうだいがそばにいてくれることの貴重さをしみじみと感じ、思わず家族に連絡をとってしまった。読後の胸を刺すような感覚は、決して痛みだけではなかったと思う。