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望み

■第64回モニター「望み」雫井脩介

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

なつみかん さん (主婦)
大変重厚な、かつ面白い作品でした。読むのをやめることができず、最後まで一気に読んでしまいました。ミステリーとしても極上であると同時に、新たなタイプの家族小説としてもすばらしく、雫井脩介の新たな代表作になることが間違いない一冊です。
究極の二者択一のラストが想像され、果たしてどちらが来るのか、手に汗を握りました。こうなってほしいと自分が思っていたラストとは違いましたが、大変印象深く、また感動的な終わり方でした。
どこにでもいる普通の人々の表向きの仮面?のようなものをはぎ取り、その奥底にひそむ気持ちの機微を描かせたら、雫井脩介の右に出る者はいないと、改めて感じました。登場人物たちの会話や思いがとてもリアルで、引き込まれました。

息子が殺人犯かもしれない…というほどの事件は、実生活ではめったに起こらないことかもしれません。しかし、私たちが生きていれば、様々な事件や出来事に巻き込まれ、家族の在り方や家族の一員としての自分の役割を考えたり、見直したりする状況に立たされることもあるのだな、と本作を読んでつくづく思いました。
一人の母親として、読んでいて本当に切なくなる一冊でした。読んだ後、タイトルと物語の内容がとても合っていると思い、それがまた切なさをそそりました。
Akira さん (自営業)
今まで読んできた雫井先生の作品とはまた全然違う作風でした。
どこまでネタバレしないで描けるか自信ありませんが、この何とも言えない読後感を伝えてみます。

同じ年頃の息子と娘を持ち、犬までも同じような家族構成であったのもあって、最初から感情移入され一気読みでした。辛かったけど先が気になって止めれませんでした。事件に何だかの関わりがあると確実になった時の父親と母親の異なる立場。どちらも理解できます。加害者にはなって欲しくない、加害者であってでも生きていて欲しい。。。理解はできるけど、もし自分がその立場になったら…難しいですね。ただ、こういう時の母は確かに強い。たとえ普通の神経ではいられないのが女の方だとしても、その芯の強さは男じゃ敵わない。
自分が同じ立場になったら、真の意味で信じてあげれるか、肚をくくれるのか、そして最後まで守ってあげれるのかーーずっと自分に問いかけながら読み進めました。
この作品に出会えて本当に良かったです。
衿子 さん (会社員)
ごく普通の善良な家庭の中で、抱えきれないほどの大きな問題が起きた場合どうなるかを描いた、悲しい物語でした。
犯罪に巻き込まれたから不幸、親しい人が亡くなったから悲しい……そういった分かりやすい理由ではなく、もっと複雑な悲しみに打ちのめされながら、最後まで読み終えました。
登場人物の造形がリアルで、必ず誰かに感情移入しながら楽しめるはず。
時折挿入される家族の思い出エピソードがとにかく泣けました……生々しい心理描写に、小説を読む喜びを久しぶりに思い出しました。
ラストまで読んで、人間の弱さを愛おしく思ったのは、きっと私だけではないはず!
今後、世代を超えて読まれる小説になるのではないかと確信しています。
たあぼう さん (公務員)
今までになかったサスペンス。息子の無実あるいは犯人と思われる事実が発見される度に父親と母親の心は大きく揺れ動く。もし、息子が犯人なら石川一家の幸せは崩壊し、父親の仕事は立ちいかなくなり、娘の進学も難しくなる。無実を願う気持ちと、無実だった時の生活崩壊を恐れる気持ち。この心理描写が見事で、結末まで目が離せなくなる。
imasato さん (会社員)
ほどよく抑制されつつも重くない筆致で、登場人物たちの心理を丁寧に描いていく。そしてジャンルも幅広い。それが雫井作品の魅力であり、どんな人にもどの作品から読むこともおすすめできると思います。本作もそのひとつ。テーマはとても重いもので、著者も執筆時に悩み苦しみ抜いたとのことですが、これから読む人にも登場人物とともに悩み、苦しみ、結末を迎えて欲しいと思います。
マドモアゼルモモ さん (会社員)
とても 重く、苦しい小説でした。
メディア等でしか 事件を知るすべのなかった 一昔から比べると 最近はSNSや一般の人々からの投稿ビデオ等で 『犯罪』を 簡単にリアルに感じる機会も多く、『犯罪』に対する恐怖感が 薄れてきたように感じてました。
しかしながら ""望み""が 改めて犯罪の持つ根深さを 投げかけてくれた様に思います。
オリビエ さん (会社員)
自分の子供がもし、犯罪に関わってしまったら・・・。
この物語を読むまでは、無条件で子供の無実を信じるつもりでいました。
加害者だった時、被害者だった時、本当に子供の事を信じてあげられるか?
その時、何を望むのか?
どんな結果でも、生きていて欲しいと思ってしまうのが親かもしれません。
リンド さん (主婦)
自分の息子が、ある殺人事件の加害者かもしれないし、被害者かもしれない。私だったら、どちらに望みを託すだろうか。最初は父親寄りだったが、読み進めるうちに、だんだん母親に共感する自分がいた。読後、なんともやりきれない気持ちになり、涙が止まらなかった。この小説は、とにかく多くの人に読んで欲しい。それほど衝撃的な内容だった。
了ジュニア さん (会社員)
建築デザインの仕事をしている父親、自宅で校正の仕事をしている母親、長男、長女といった平凡で平和な四人家族に起こったある事件に家族それぞれの立場での心情を描きながら「家族とは何か」を読者に問いかけるサスペンス小説です。サッカー選手を夢見ていた長男が怪我で挫折を味わい交友関係も乱れていた頃、九月のある週末無断で二日間家に帰ってこなかった。そんな中長男の友達がリンチによって殺害される。真相がわかるにつれ事件には四人の高校生が絡んでいて殺された生徒以外の三人の所在が不明だった。長男は殺人犯なのか、それとも被害者なのか。父や母や妹の心が揺れ動く。「殺人を犯すくらいなら被害者として死んでくれていたほうがいい」「生きていてさえくれれば自分が守ってあげる」父は今まで建築家として築いてきたものを失いたくない、妹は高校受験を控えて将来を壊されたくないといった保身的な心情、母は母性とも言うべき心情。男性と女性の本能的な部分での感覚。主に社会に軸足を置く父と家庭に軸足を置く母。どちらが正しいと結論づけられないまま家族の心理描写が展開されていきます。私も三人の子供を持つ父親としてこんな究極の選択をせまられたらどうするか、そして何もない平凡な日常がどれだけ幸せなのか考えさせられながら読ませていただきました。
りょう さん (会社員)
久々に読了後涙したお話でした。
どんな結末であったとしてもそれがベストなはずもなく。加害者でもあっても被害者でもあっても、心に傷を負うわけで、どんなに望もうと結末は変わらない。
加害者であったならば、本人だけでなく家族は一生日の当たらない場所を歩き続けることになるし、被害者であったならばもう二度と会う事が叶わない。どちらであるかなんてそれは究極の二択。
生きていて欲しいと願う母親の気持ちも分かるし、「死んでいる」かもしれないと分かっていても無実を願う父親の気持ちも分かる。どにらにせよ心が痛い結果しか生まないけど。
自身の行いに責任を持つことが出来ない子供の愚行。なぜそんなに簡単に人の人生を終わり出来るのか。それがどれほど重い所業なのか理解してない故の逃亡劇。
身内が事件にかかわっているかもしれないと聞かされた時、家族はどうすればいいのか。きっとそこに答えなんてない。報道される情報は全てが真実とは限らないけど、第三者からすればそれが全てになってしまうから言い方一つでどちらにでもなく。それはとても恐ろしいことだと思う。
ガブリエル さん (会社員)
行方知れずの息子は加害者なのか、被害者なのか。被害者ならそれは息子の死を意味する。
加害者なら、それは家族全員の社会的な死につながる。どちらに転んでも、家族の形は大きく変容する。終始そんな緊張感に包まれた作品。
目を逸らすことができず、一気に読みました。私自身、高校生の息子の母であり、一方で仕事を持つ社会的存在でもあるため、自分なら・・・と常に自問自答しながらの読書。
母親としては、貴代美の心情は痛いほどわかります。一方、もし、自分の息子が殺された立場だと考えると、加害者の母親が自分の息子さえ生きていてくれたら・・・と考えているとしたら、許せない気持ちになるような気もする。
息子を信じているといいながら、自分の社会的立場を考える父親が息子を殺した夢を見るあたりは戦慄もので、母、父、妹、祖母、叔母、親族、取引先・・・様々な人の立場が交錯して、とても考えさせられ、読み応えがありました。

goody さん (主婦)
筆者の魅力ある作風を存分に堪能できた。加害者被害者どちらの身内でも身を刻まられるほど辛い。
その両極端の振れ幅を丹念に書き上げ、読後は読者の胸に何かしら問いかけるものが生まれる、そんな作品だった。
ぴよたん さん (主婦)
男と女の間には深くて暗い川がある。そして父親と母親の間にも理屈では越えられない川があるのではないのでしょうか。夏休みに入り、出掛けたきり行方がわからなくなった息子が殺人事件の加害者として報道されてしまったら。関係者とみられる四人の少年。息子ではない少年の死体が一体。見つかってはいないもう一体の死体。逃走中の加害書は二人。加害者でも良い。生きていて欲しいと望む母親。息子が被害者の可能性がある。真実はまだわかっていない。そう思う父親。未成年とはいえ無神経なマスコミ報道とネット社会。息子を含む少年たちの情報は拡散されてゆく。真実虚実不明なまま。親の知らない息子の生活、友人、恋人。それぞれの世界は一部重なりながら想像とは違う色を帯びてくる。そしてその世界の一つが終焉を迎えた時見えるものとは。私が最近読んだ本の中で、一番夢中になった作品です。
myon さん (会社員)
ごく普通の、どこにでも存在する学校生活の延長線上で、こうもあっけなく犯罪が発生し、仲間同士が加害者被害者になり得るということが、あまりにも当たり前すぎて、逆にこの感覚が実際に事件に関わってしまう羽目になった家族たちの気持ちなのだろう、と思いました。
その苦しみに寄り添うことは、あまりにも怖すぎて、傍観者のようにしか読めませんでしたが、それでも距離が今までよりぐんと近くなったことを実感します。
もし、あってほしくはないけれど、そのような事件にニュースで接することがあったときには、加害者被害者の気持ちを今までとは違った見方で見るようになるような気がします。
もりりん さん (会社員)
 そうか…。だからこの物語は『望み』と名づけられたのだと、最後のページを読み終えて思った。
 強い想いの実現を請う"願い"でもなく、超越した存在にその実現を委ねる"祈り"でもなく…。
 家族だからこそ、想い出の積み重ねという様々な要因が原因の特定をより困難にし、本人だけでなく自分や他の家族の行く末をも鑑みて期待する結果に両の揺らぎを伴う。だからこそ、淡い想いの実現を夢見る"望み"なのだと。
 この物語のキーワードは殺害現場から「逃走したのは2人、行方不明は3人」。
その差の1人は加害者なのか被害者なのかあるいは無関係なのか、その謎に物語序盤から早々に引き込まれていく。両極端の結果を望む父親と母親だが、彼らとて、誰かの"親"であると同時に、社会の一員たる何某という個人でもあるのだ。誰かの親、もしくは誰かの夫や妻であるポジションだけが、彼または彼女の人生を決定づけるわけでもない。
 自分以外の家族が被害者であれ加害者であれ犯罪に関与した可能性があるという極限の絶望的な状況にあって、家族の一員としてあるいは家族の中で割り当てられた役割として自分を位置づけるのか、はたまた一人の個人として自分の人生設計の将来を考慮するのか、あるいは社会人としての社会的責任に思いを巡らせるのか、も問われてくる。そんな中で、「家は家族の形」という建築哲学を売りにする建築デザイナーという父親の職業は、この物語にとって極めて皮相的であり象徴的でもある設定と思える。
 家族とはある意味、「絆」という言葉と似ている。ある時は頼もしい他者との繋がりの実感であり、生きる縁(よすが)となり、人生のモチベーションにもなり得る。だが、ある時には自分の意志では断ち切ろうにも断ち切れない軛であり、勇気を振り絞って断ち切ることが即ち他者からの非難の対象ともなり得る。そんなアンビバレンツな家族という厄介で愛すべき存在を舞台に描かれた本作は、自らがその立場にあれば一体どう考えどう行動しどう望むだろう?と誰もが自問するだろう。
 雫井脩介氏は当事者ではないが無関係でもない、当事者の近い周辺にいる人間の心理描写が恐ろしく巧い作家である。語り手が当事者ではないが故に、何があったのか誰がどうなっているのか、という核心部分がわからない登場人物たちのもどかしさや苛立たしさと、居ても立ってもいられない不安を、そのまま読み手も共有することになる。
 読み始めたらさいご、石川家の人々と共に不安定な心理状態に置かれ、我々読者の睡眠時間を容赦なく奪う罪作りな雫井ワールドへいざ!
松戸まっくす さん (会社員)
 突然失踪した高校生の息子・規士(ただし)、その矢先に規士の友人の死体が車のトランクから発見される。行動をともにしていた息子は加害者として犯罪にかかわっているのか、無実なのかー。父・一登(かずと)、母・貴代美(きよみ)・妹・雅(みやび)たち家族の間でさまざまな思いが錯綜しながらストーリーは展開していく。
 一登は息子がもし加害者だったら自分の建築家としての将来はどうなるのか、雅は進学への道が閉ざされてしまうのではないか、家族を案じながらもついわが身の行く末に思いを巡らせてしまう。母・貴代美はどのような形であれ、生きていてほしいと強く願う。特殊な状況だからこそ、より激しく悲観と楽観が交錯していく。
もし自分の家族が犯罪者になってしまったらどうするか? 本作を読んでいる間、胸につきつけられる課題は重く苦しい。それでもわたしたちは最後まで救いをもとめて読み進めていく。作者は人生にどれくらい希望を抱いているか、あるいは絶望しているのか。最後まで家族のことを信じるべきか。その答えをより多くの人たちと共有してみたい。
あむねっと さん (その他)
この長編に、たった二文字の題名をつけた作者の「望み」は何なのか。

犯罪をテーマにした作品だと知り、読むまでに時間がかかった。実際に手にとってみると、続きを読みたくて、読む手が止まらなかった。ラストでは、うっすらと涙を浮かべた。
息子が犯罪に関わっているかもしれないという出来事は、珍しいことかもしれない。しかし、その出来事が世の中では、100%起きないということでもない。自分の身近な人がその出来事にぶつかった時、自分は何を考え、どう未来へつなぐことができるのだろうか。答えは、すぐに見つからないかもしれない。事件が起きた時、解決の手がかりを見つけるため、その備えができるように、機会を与えられた気がする。
KET さん (その他)
とても面白かったです。
息子が加害者か被害者か。加害者ならば、むごたらしくリンチして殺した殺人犯。被害者なら、むごたらしく殺害されている。
殺人犯だったとしても生きていてほしいと願う母と、息子はむごたらしく人を殺したりしないと信じる父親。
自分だったらどう考えるだろうと想像してみましたが、わかりませんでした。
桐生景一 さん (会社員)
とてつもなく重かった。
少年事件に巻き込まれて行方不明の息子は犯人なのか、それとも被害者なのか。
犯人のほうがいいのか被害者のほうがいいのか。
救われたという言葉がすごく重かった。
読み進むの辛かったけど、それでも生きているのか死んでいるのか、どうなっているのか
一登と貴代美、両方の立場を考えながら読み進めた、辛かった。
itoko♪ さん (主婦)
自分の子どもを信じること、そして信じきる自信が果たして自分にあるのだろうか。この作品を読んでいる間ずっと自分に問いかけていました。そして自分の子どもが事件の関係者、それも加害者なのか被害者なのか分からない状況下に置かれたとしたら…。そのどちらであっても、苦悩は計り知れない。でも、事件の真相が知りたくて、一気に読了しました。著者に「あなたならどうしますか?」と問いかけられているかのような、作品タイトル『望み』。親としてどう行動し、何を望むのか。その答えは、やはり人それぞれ。私なら…子どもの無事をただただ祈ること、それだけしか出来そうにありません。とても苦しく、とても考えさせられる作品でした。
まさまさ さん (会社員)
とにかく描写がリアルで、物語の世界にぐいぐい引き込まれた!
日常から徐々に不穏な空気が流れ出し、不安が大きくなっていく恐怖にページをめくる手が止まらなくなった!
揺れ動く父と母の思いに感情移入して、自分だったら何を望むかを深く考えさせられた。
にか さん (主婦)
なんとも深い話だった。息子が殺人事件の被害者か加害者かわからない……という状態のまま最終章まで引っ張っているのに飽きさせないどころか両親の心境の変化にドキドキさせられっぱなしだった。私だったらどうするだろう?私だったらどう感じるだろう?と親目線で一緒に苦しみ悩んだ1冊だった。
BLACK SIREN さん (その他)
息子が少年事件の関係者になった、ということだけしかわからない状態が、これほどの登場人物の心を軋ませるというのはとても面白いです。それというのも、その息子が『加害者』であるのか『被害者』であるのか最後まで不透明な状態にしていることがポイントなのでしょう。『加害者』としてでも生きていて欲しい、逆にこのような事件を起こす子ではないのできっと『被害者』になっている、という2つの相反する予測は、どちらも親としても切実な気持ちから生まれたもので、正しいかどうか、基準で割り切ることができないのが、哀しくなります。
とても繊細な話であり、最後まで緊張感を持って読むことが出来ました。
aco さん (専門職)
少年の事件は昨今ニュースでも珍しくない。しかし、「自分の子供が加害者であるか被害者であるかわからない」という状況は、考えてみたことがなかった。十分にあり得る設定であるし、実際に揺れ動く貴代美と一登の気持ちはとてもリアルで、私自身が読みながら気持ちがとても揺さぶられた。

加害者家族として生きていくことは並大抵のことではない。まして、もう一人娘がおり、娘への影響も計り知れない。しかし、子供が、「生きてさえ居てくれれば」という気持ちも痛いほど伝わった。子供を信じてやるということが、子供の死を意味するという皮肉な状況に自分だったら、と考えさせられた。

また私にとって響いたのは、貴代美と貴代美の母親が、弁当を食べるシーンだ。

""母に許されたという思いが、貴代美の中でこびりつくようにして巣食っていたあらゆる不安を押し流していくようだった。お腹を痛めて産み、毎日毎日ご飯を作って身体を洗い、病気になれば付きっきりで看病し、人生のいろはを教えて大切に大切に育ててきた自分の子どもが、この先不幸になるとしても、母はそれを許してくれるという。地べたに這いつくばり、砂を噛むような生き方をしても、母はそれを許してくれるという。""

親子、とりわけ母子の特別な何か、というものを強く感じた部分だった。母に許されたと感じることで覚悟が決まる貴代美の様子は、何か胸に迫るものがありました。

規士くんの望みも、両親に許されることだったのかもしれないと、ふと思いました。
翠子 さん (会社員)
自分の息子が殺人犯だとしたなら−−−私はあまりミステリーは読まないたちです。なぜなら、「犯人はだれなの!真相は何!?」とせっかちさが先立ってしまって、丁寧に読むことができずに全然感情移入も読み込みもできないまま終わってしまうから。ですが、この本は次の展開が気になりながらも間をしっかり読ませてくれたので、1ページ1ページしっかり読むことができました。『このミス』に選ばれた作者の手腕がいかんなく発揮されていると感じます。私のように『ミステリーってしんそうにたどりつくまでがまどろっこしいしなんとなく手に取りにくい』と感じている人にも読んでもらいたいです。
きっしぃ さん (会社員)
規士が行方不明になってから、読了までずっと苦しい気持ちだった。加害者として生きていてほしいか、被害者として犠牲になってしまったか、どっちを望めばいいのか、望んだところで、真実はどちらなのか。
自分が規士の家族になったような気持ちで、真実が早く知りたい気持ちもありながら。最後に示される真実が怖かったです。
読み終わった後は、しばらくなにも考えられなくなり、呆然としてしまいました。
ライムとザクロ さん (公務員)
 少年犯罪が関わる物語と知って、社会が抱える矛盾や問題というようなテーマを深く掘り下げた展開の、雫井さんの作品としては今までになかった類型の作品を想像したのですが、実際に読んでみると我が子が被害者なのか加害者なのかも確定しない中で揺れ動く両親の葛藤という家庭の部分にフォーカスを絞っていて、今までの雫井さんの作品にあった家族の物語の延長線上にある物語なのだと強く感じました。
秋雨タヌキ さん (学生)
結論づけることが非常に難しい問題を突きつけてくる作品でした。果たしてどのような結末が待っているのか、また、自分が同じ立場に立たされたらどのような考えを抱くのだろうか、これらのことが読書中は常に頭にちらついていました。
alohalohga さん (主婦)
“究極の選択”って、こういう時に使うのが本当の使い方なのかもしれないな、と思いながら読み進めました。どの登場人物の考えや想いにも共感できる、あるいは、理解できる気がしながら読める本、というのも、今までに経験のないものです。読んでいく中で、タイトルの『望み』の重さに気付き、心が締め付けられるような気持ちを抱えたまま、読み終えました。私だったら、どちらの『望み』に気持ちを託したでしょうか。