いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

虹を待つ彼女

■第67回モニター「虹を待つ彼女」逸木裕

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

ただの さん (男性・30代)
とても面白かったです。恋したことのない人工知能の研究者が故人を生き返らせる研究で故人に初めて恋をする。恋に落ちたときには、相手はもう死んでいる。とても切ないお話です。
ミステリーとしても面白く、調査を止めるよう脅迫してくる脅迫者は誰なのか、脅迫する理由は、などとても興味深く読みました。
読後感がとてもよかったです。
yaemon さん (男性・20代)
2020年の渋谷を舞台にした近未来SFミステリ小説。
この作品でとても魅力的だと感じたのが、世界観。
ドローン、人工知能といった、そう遠くない未来に現われるであろう本作品の技術が、著者のWebエンジニアとしての知識によって、より現実的な世界に導き、それが独特で魅力的な世界観を生み出している。
私自身、20代後半のSEなので、この世界観がとても魅力的に思えた。
また、この作品を5年後、10年後、50年後に読み返してみたとき、
どう、その時代の世界観でこの作品を捉えるのか? それが楽しみになった。
そういう意味で、生涯読み続けられる作品なのだと感じた。
胡桃 さん (女性・30代)
私は、最初に晴はどうして自殺を選んだのか、不思議でした。
晴が唯一心許せる相手、『雨』は一体誰なのか、工藤さんを狙ってる『HAL』は一体誰なのか?
沢山の謎が入り交じって推理しながら、読んでいくたびに私はワクワクから、ドキドキに変わるのを感じました。
色んな人間関係が交わり、晴に関わる沢山の人間模様。
最後に工藤さんは幸せになったのかは、読んでみて欲しい。
間違いなく自分が思ってたことが、考えてたことが逆転されると私は思った。
私は最後は、可哀想だった感じました。凄く泣いてしまった。いろんな意味で、、、。
ぜひ、みんなにも読んで貰いたいと思いました。
プリン さん (女性・40代)
死者をモデルとした人工知能体を作ろうとする研究者・工藤。感情の起伏があまりなく、人間関係の機微にうんざりしている彼が、人工知能体のモデル・晴にどんどんのめり込んでいく過程が狂気を孕んだ静かな筆致で描かれていて秀逸でした。工藤と晴があまり感情を表に出さないタイプなので、その周りの人物たちが生き生きとしていて印象的です。血の通わない人工知能を開発するうちに、逆に工藤が人間味を増して魅力的になっていくのも興味深かったです。あちらこちらに小さな謎が散りばめられてい
て、最後には綺麗に回収されると同時に驚きの事実が姿を現し、一種のカタルシスへと導くエピローグもよかったです。
白花豆 さん (女性・40代)
ドローンとゲームを融合させ、現実にテロを起こしたり、人を殺したり、人工知能など、このジャンルに疎い私でも戸惑うことなくすんなりと物語に入り込めました。死んだ人間の人工知能を作り出すのも興味深く、リアルな困難が伝わる細部も読ませます。工藤を脅迫する「HAL]、「雨」の存在も不気味で一行たりともおろそかに読めないおもしろさがあります。間違いなく今年のマイベスト10に入ります。
こまめ さん (女性・50代)
第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作「虹になるのを待て」(木逸裕)を、「虹を待つ彼女」(逸木裕)と改題・改名しての刊行となった作品ですが、読み終えたら「虹を待つ彼女」のほうが確かにしっくりくるような気がしました。

「虹を待つ」とはどういう意味なのか、「彼女」とは誰を指すのか、工藤より先に真相に辿り着こうとしましたが、結局は先回りすることはできませんでした。
PCでもスマホでもゲームはほとんどやったことがないのでよくわかりませんが、工藤や水科晴が「すごい」ということはわかりました。
専門用語が多用されていても「難しい」とか「わかりにくい」ということがありませんでしたが、それは著者の文章力が長けているからだと思います。
著者の略歴を見ると、大学の法学部卒でウェブエンジニア業に就いているということですが、それが十分に生かされている内容だと思います。
ぱソんこ さん (男性・10代)
『虹を待つ彼女』はまさに今起きている現実の延長線上のような世界観です。特に、人工知能やビデオゲームに限らず現在のITに対する理解があればより深く楽しめるようになっています。
おかげで私はこの作品のネタを一般のミステリマニアよりも一層楽しめました。

囲碁や死者の人格の人工知能といった内容は今現在実際に研究、実用化が進んでいる分野でもあります。劇中の人工知能のあり方、進展はそこそこのITの知識があるナードとして全く違和感を感じないものになっていました。
さらに、ビデオゲームの小ネタがいくつかあるのでゲーマー層に対するアピールにもなります。実際に私が過去にやりこんだゲームがいくつか出てきて非常にうれしい限りです。
中村 英歩 さん (女性・30代)
聴き心地の良い曲に浸っていたのに突然それが遮られ、顔を上げると物語は終わっていた。
それが最終ページを閉じた感想だった。新人の方とは思えないなめらかな読み心地に時間を忘れて熱中した。
最初に凄惨かつ陰惨な事件への入り口が開かれているにも関わらず、それをあえてかいくぐっていくかのような展開に驚く。そこかしこの言い回しには独特のセンスがあり、聖書の引用のくだりでは深読みしたくて何度も読み返した。

主人公の工藤はネット社会に生きる上で壊れ始めた人間を傍観している。プログラムに敗北する人間たちはとてもリアルに描かれていて、これからくるかもしれない未来を予感させる。水科晴の自作ゲームに関する描写はとても美しく絶望していて、物語の味わいを深くしている。雨、に関する描写も含め、水科晴の発する『音』の描写は非常に心地良かった。
リンド さん (女性・40代)
話の展開が全く予想出来なくて、先が気になりページを捲る手が止まらなかった。デビュー作とは思えない程、素晴らしい作品だと思う。人工知能の開発ということで、専門用語などたくさん出てきて難しいのかな……と思っていたけど、とても読みやすく話もすんなり入ってきた。意外な結末も、少しジーンとくるような感動的な終わり方で、「虹を待つ彼女」というタイトルがピッタリだった。
ザトウ さん (男性・10代)
テンポよく展開されていく物語に、序盤から夢中になって読みました。
読みやすく軽やかな筆致と小気味良い会話。そして何より、先の読めない展開に目が離せませんでした。
登場人物たちも、多彩で個性豊かなキャラクターがおおく、読んでいて楽しかったです。人工知能が物語に大きく関わってくるのですが、人工知能でこんなこともできるようになるのか、とすごくときめきました。
衝撃的な事件を起こした 水科晴 に魅了された人々が巻き起こすとても綺麗で、美しく、鮮やかで、愛おしい、虹のような物語が心に染み入りました。
とても面白かったです。ありがとうございました。
桐生景一 さん (男性・30代)
読み始めた当初、工藤の人間性にいまいち惹かれなかったんだけど、人工知能で晴を再現しようとしているうちに、工藤も人間性がだんだん変わっていったようでそれが面白かった。
ゲームの中で死んだ少女、それを死後再現しようと調査しているうちに死んでいる人間に惹かれていく、でもそれが本物なのかというともどかしい。それを探っていくうちにどんどん感情移入できるようになってきた。
かなえ さん (女性・40代)
キャラクターに魅力のある作品でした。晴が本当はどんな人物だったのか。工藤が追い求めるのと一緒に、私もどんどん知りたくなっていきました。人間と人工知能。それは全く違うものではあるのでしょうけれど、声と思考パターンがほぼ同じであるならば…。それに対するほのかな恐怖も感じました。
なつみかん さん (女性・50代)
素晴らしく面白く、読ませる一冊で、これを新人の方が書いたとは本当に驚かされました。人工知能、ドローン、オンラインゲーム…など、普段の私の生活には耳慣れない言葉から始まった本作でしたが、わかりやすい文章とぐいぐい引っ張るストーリーで時間を忘れて読みふけりました。
若くして亡くなった水科晴、その恋人と思われる謎の人物「雨」、その謎を追う研究者工藤、工藤の同級生みどりなど、どの人物も魅力的に描き分けられ、それがストーリーをますます面白くさせていたと思います。
「雨」の正体とラスト近くの展開は想像することもできず、わかった時、思わず声が出てしまいました。
上質なミステリーであると同時に、王道のラブストーリーとしても読め、人の気持ちが様々に交錯するところが読んでいて切なかったです。今までにない新しさを感じさせてくれる小説でした。美しく、さわやかさが残るラストがとても印象的で、家族などにも勧めたいと思いました。読み終わってみて、タイトルが内容に合っていて、秀逸だと思いました。
ぶうたん さん (男性・50代)
 人工知能が身近な存在となり、日常生活にも欠かせないものとなっている。
そう遠くない将来の姿と思われるが、科学の進歩による功罪。
 バーチャル空間に収められなくなってきた思いに動かされて、現実世界での自分の行動を決めているのですね。
リッキー さん (女性・30代)
時代設定は2020年だけれど、過去の出来事として現代で実際にあった出来事と物語がリンクしていて、現代の物語を読んでいるように自然な感覚で違和感なく読めました。
人工知能と自然な会話が出来たり、死者の人工知能化が不可能ではなくなる可能性のある人工知能に期待と恐ろしさを感じる作品だと思いました。
物語が進むにつれてどんどん話が広がっていき、ストーリー展開も伏線も全く予想出来ませんでした。
人工知能と恋愛とミステリが上手く融合していて、今までに読んだ事のないミステリです。
綾野水生 さん (男性・20代)
人工知能を扱ったサイバーミステリとしても恋愛小説としても、また変形の暗号ミステリとしても面白かったです。3つのダニットを結びつける伏線回収が素晴らしかった。
卯月とも さん (女性・20代)
最初は難しく感じましたが、2020年になってからは、主人公がいろんな事件に遭いながらも、ハルに惹かれていくのが印象的でした。
ラスト、全く想像できませんでした。
了ジュニア さん (男性・50代)
描かれている世界は2020年という近未来ですがスーパーコンピューターやスマホなど凄まじいスピードで進む現代の技術革新を考えると小説の世界はあながち空想世界ではない気がしました。この小説を読み終わっていくら人工知能が進化して人類に勝る才能を身につけても人間は感情の生き物であり、その感性こそが全てに勝ると言われた気がしました。
もりりん さん (女性・50代)
 いっそあざといと言いたくなるほど本読みのツボを押さえたスリリングな展開、小憎らしいほど手練れでテンポのいいストレスレスな文章。結末どころか次の展開すら読めない面白さに、瞬時にして物語世界に引き込まれる。読み終わった次の瞬間にはもう、この著者の次の作品が読みたくなる。溌剌と書くことの喜びが伝わってくるようなそんな作品だった。
 そしてもう一点、謎の探究と共に、歳を重ねてもなお人は成長できるというカタルシスも味わえる。死してなお謎めく神秘的な美貌のゲームクリエーター・晴の人生となり、人となりを追い求める人工知能研究者・賢の一種のロードストーリーだ。物語が時系を行ったり来たりする中で、彼に関わる脇役たちのヒューマンヒストリーも描かれ、彼らが着実に「大人」としての常識や成熟を遂げていくのと対照的な賢の精神的な未熟さが際立つのだ。その?中二病″な賢がどう変化していくのか、オトナへの階段を1段でも登れるのかもこの作品の楽しみの一つだった。
 表紙を開いた瞬間から最後のページを読み終えるまで、一瞬たりとも気をそらさないノンストップミステリー。秋の夜長にぜひ一気読みを!!
akabee さん (女性・30代)
人工知能の光と影を、見事に描いていた。プロ棋士の目黒や工藤自身に見る、人工知能(人間の叡智の集積)に挑み、乗り越える達成感や喜びを生むことは光であり、離婚や自殺など人工知能のリアルさゆえに非現実の世界に飲み込まれるリスクが影。そこに更に、「故人 水科晴」という謎多き人物を人工知能に載せることで、これらの光と影が更に複雑さを増していく。晴の過去を掘り下げ、リアルな晴の再現が近づくごとに、開発者である工藤自身が飲み込まれていくのも見応えの一つだった。
テーマはたくさん盛り込んであるのに、ストーリーは簡潔で分かりやすい。どんどん引き込まれながらも、本書で描かれているテーマに自分なりの思考を巡らせることができる楽しさもある。
一気読み必至。ゆっくり丁寧に読み返し、興味深いテーマについて逡巡したい衝動に駆られる。
じょい さん (男性・20代)
若くして自ら死を遂げた水科晴、そして彼女の遺した足跡を追う工藤。私の頭の中では晴を必死に追う工藤の姿が何度も浮かび上がった。様々な人間の感情が渦巻く本作品は読み進める中でミステリという概念に捉われていては勿体ない。
 水科晴を巡っては「何故」が常に付きまとった。それほどまでに真相は予期できないものであった。彼女の持つミステリアスさは読み手をぐっと惹き寄せる。私自身もその魅力に捉われた。
 そして、工藤だ。彼を支える者、進む道を遮る者。幾多の困難を乗り越え、全てを擲つほどに水科晴を追い求める姿には羨ましさを感じた。彼をそこまで動かすものは何なのか。物思いに耽っていた。
 晴を追い続けた工藤は報われたのだろうか。水科晴のミステリアスな行動は何故なのか。この謎の面白さを見過ごすのは勿体ない。
たくやん さん (男性・30代)
だいたい一冊の本を読むのには、はやくても一週間はかかるぼくですが、この作品は三日ほどで読み終える事ができました。文章もとても安定していて読みやすく、苦になる部分がほとんどありませんでした。そして、すべての謎が明かされたとき、そこには予想をこえたラストが待ち受けていました。
きっしぃ さん (女性・20代)
2020年の人工知能が今よりももっと発展した世界の話で、本当に近い未来に実現しそうだと、リアルに想像できました。
人工知能と恋愛したり友達になったりかけがえのない存在になることをわくわくする一方とても怖いことかもしれないと思い
ました。
亡くなった人を人工知能として再現することで人は救われるのだろうか?もしそんなことが可能となったら、自分は誰を再現したいと思うだろうかと色々なことを考えました。
晴のことを調べるにつれて、脅迫を受けたり殺されそうになったり、とてもハラハラして、晴の恋人だった雨の正体にもとても驚きました。
ラストも切ないなかにも希望があって、しばらく余韻に浸ってしまいました。
本当におもしろかったです。
秋雨タヌキ さん (男性・20代)
「他人の思惑を先読みして物事を進める聡明な主人公・工藤のキャラクター性」「ストーリー内に散りばめられた伏線の回収劇」「ストーリー展開の意外性」これら全てに満足しました。本当に面白い!! また、ウェブエンジニアという著者の職歴が本作品において上手く生かされているとも感じました。
minku さん (女性・10代)
とても面白かったです。最初は時間を見つけて少しずつ読んでいたのですが、50Pを超えてからは寝る間を惜しんで一気に読みました。それくらい面白く話から目を頭を逸らせなかったです。
ネタバレは防ぎたいので、詳しく語れませんがとにかく読んで、この作品に出会えて良かったです。
「面白い」この一言に尽きます。
逸木先生の次作も読みたいと思います。楽しませて頂きました。
yevgeny さん (男性・50代)
 読みやすい文体で段落の区切りもテンポがよく、読み始めてすぐに物語に引き込まれ、一気に読了した。過去の謎を解き明かしていくスリリングなミステリであり、同時に恋愛小説でもあると感じた。工藤の同僚たちであるソフトウェア開発会社の面々はとても身近でリアルな存在として描かれていたし、何より登場人物たちに無駄がない(無駄な登場人物がいない)。脇役もそれぞれしっかりしたキャラクターと物語に必要な存在になっていて、殊に中盤からは意表をつく展開が続き、「あの人物が!」の連続だった。
また、作中に登場するガジェット(ゲームやSNS、スマートウォッチ、人工知能など)は、2016年の現在すでに存在するもの・実在したものだったり、モデルがわかるものだったり、もうすぐ作中にあるような状態になると想像できるものばかりで、作品のリアリティを高めているし、それぞれの登場人物にも感情移入することができ、映画的な場面を想像しながら読み進めることができた。
ある程度、読み進めたところで展開が想像できてしまうミステリもあるなかで、本書は意表をつく展開で、それでいて伏線はすべて回収される、とても美しい構造だった。そして、読み終えて、この美しいタイトルがすとんと腑に落ちる、その感覚が何よりの喜びだった。 好きな作家が一人増えた。次回作にも期待したい。