いただきましたモニター当選者の皆様のご感想は、こちらのページ上にて掲載させていただきます。感想を御覧になって、お好みの本を見つけてください。

犯罪小説集

■第68回モニター「犯罪小説集」吉田修一

※いただいた文面から、一部抜粋させていただきました。

yosuke さん (男性・10代・学生)
傑作! 弱さや欲望が人間を破滅させていく、哀しく切ない物語に引き込まれました。
かな さん (女性・20代・会社員)
サスペンスのようなヒヤリとした感覚とは違い、悲哀に満ちたぼんやりとした世界観に包まれました。一つ一つの犯罪を外から眺めるしかなく、深く入り込む余地のない密な5編でした。
トム さん (男性・20代・会社員)
タイトルからするとミステリー集のように感じられますが、トリックや犯人捜しというような要素はほとんどなく、著者が得意とする、罪を犯してしまう人の弱さや脆さに焦点をあてた小説集になっています。
殺人がテーマになった話が多いのですが、犯人は不器用な人間ばかりでどこか共感してしまうことが多いです。短編という短い文章の中でここまで殺人犯に魅了させられる文章を書く著者の腕には感服してしまいます。
八代目 さん (女性・30代・主婦)
吉田修一の書く犯罪はどうしようもなくてでもどこか共感してしまう犯罪が多いと思います。今回はそれに加えて雪崩のように犯罪に向かう流れを止められないという感じで、読後切なくなってしまいました。
虹の母 さん (女性・30代・主婦)
犯罪者の手記?と思うほどリアルで、自分の目の前で起きているかのような臨場感、当事者になったかのような気持ちにもなり、読み進んでいくうちにどんどん心拍数が上がっていきました。
おくちゃん さん (女性・60代・主婦)
人は崖の上の細い道を関わりあった人達と共に並んで歩んでいるのかもしれない。その道はかなり細くちょっとした油断、弱さ、妬み、執着、自尊、追い詰められた時の対処等が元で足を踏み外し崖の下へと転落する。時には犯罪者となって。踏み外した本人のみならず前に並んでいた人も後ろに並んでいた人たちをも、巻き込んでしまう。罪を犯す人は決して特別なのではない。今日もその細い道を両手を広げバランスをとりながら、声を掛け合いながら慎重に歩んでいこう。
弱い自分を知っているから。
fuu さん (女性・50代・主婦)
5編からなる犯罪小説集。1人の少女が突然いなくなった。その悲しみに区切りを付けることなど出来ない。また、別の集落では、閉塞感から悪のエネルギーが充満していく。『万屋善次郎』を読み、ある事件が思い浮かぶ。
記憶からは薄れても忘れることはない連続殺人放火事件。今日もたくさんのニュースが流れてくる。そして、残念だけれど強く記憶に残る事件も。
わきた さん (女性・30代・会社員)
ハッピーエンドでも、またバッドエンドとも違う。明確なエンドがなく、結論を出さない吉田修一の作品が苦手だった。淡々と人間の深部を、真実を抉り取ってくるその作品を読むのが辛かった。この「犯罪小説集」は、まさにそんな吉田修一がいろんな角度から攻めてきた感じで、逃げ場がない。
犯罪という極端な事象によって炙り出されたから一見極端な人間心象ドラマに思えるけど、実はどれもこれも、ちょっと深い所を掻き混ぜたら誰もが見覚えのあるもので。
だから、この小説集の中の特定の誰かを心から憎む事が出来る人は、果たしてどれだけいるかなと思ってしまう。むしろ、目を背けたい人がいたらそれはきっと…。
そんな事気付かせないで欲しい。

やっぱり吉田修一は苦手だ。
ハシビロコウ さん (男性・10代・学生)
ドックンドックンと心音が聞こえるかのような緊張感のある文体に、誰かの秘密を覗き見るように怯えながら、誰かの秘密を覗き見るようにワクワクして読み進めていくと、後に深く余韻を残し、心のど真ん中を正確に突き刺す結末を迎えて、思わず僕はため息を吐きました。
ああ、そうだった。吉田修一さんの作品はこんな風にわけのわからない感情の波に打ちのめされるんだった。
yossy さん (女性・40代・主婦)
誰しもが持つ、人間の愚かさや奥深くに潜む思いをじわりじわりと炙り出してしまう何とも空恐ろしい作品でした。
心の奥深くに燻っているものは何だったのか、彼ら(彼女ら)はなぜ犯罪を犯してしまったのかを赤裸々に綴る、まさに『 犯罪小説集』というタイトルがぴったりな小説集でした。
ののすけ さん (女性・40代・主婦)
どの物語も、どこか知っているような感覚だった。それくらい身近で、どんな人でも些細なことをきっかけに、犯罪者になってしまったり、犯罪に巻き込まれる危険性があると感じた。
人はなぜ罪を犯すのか、考えさせられる本だった。
るるこ さん (女性・10代・学生)
すごい話を読んでしまった………というのが率直な感想です。
ごく普通の暮らしだったのに、それがガラスが砕けるかのように散る様がゾッとするくらいリアルに描かれていてどんどん話に引き込まれました。
シャネルのママ さん (女性・50代・会社員)
 読みだしたら止まらない。
小説なのに、まるで自分の身に起きたようなリアル感は、読み終えた後にテレビドラマを見ていたような臨場感が興奮を呼ぶ。
 秋の夜長に、寝不足注意!
みどり虫 さん (女性・50代・主婦)
息苦しいような気持ちになるので、一つ一つをゆっくり読んだ。
犯罪に至る背景はどこにでもある日常で、誰にでもある感情で、犯罪者になってしまうのはほんの小さなきっかけからに過ぎないということ。だからこそ恐ろしさと同じくらいの悲しさを感じてしまい、読んでいてとても苦しかった。犯罪者に関わってしまった人達は、そのせいでゆがんでしまった日常をを、今まで知知らずに済んでいた感情を抱え、感情に囲まれ、生きてゆくしかない。そんな犯罪者や関わりのある人達が現実にいるのだと思うと、とてもやりきれない思いがする。でもその、加害者・被害者・加害者関係者・被害者関係者への想像力を与えてくれる本書は、どうか一人でも多くに読まれて欲しいと思う。
報道で見聞きしていることだけがその事件ではないのだという想像力を、この本は与えてくれるはずだから。
てけてけ さん (女性・20代・会社員)
何ともやるせない気持ちになる小説集でした。痴情のもつれ、金、近所付き合いなど、昨今犯罪の動機として挙げられるものについてリアルに描かれています。吉田先生の犯罪小説を読むと、「果たして法律に違反した者だけが犯罪者なのか」ということを否応無しに考えさせられます。容疑者に対して「以前から罪を犯しそうな人だと思っていた」と言うのはすごく簡単で、多分大半の人はそういうことを口にしてしまうんだろうなと思います。ただ、初めからそういう性格や言動になったのではなく、環境によるところが大きいのだろうと想像せずにはいられませんでした。読んでいると「もう少しこうしてやったら事件は起こらなかっただろうに」と思ってしまいますが、実際この場に居合わせたならやっぱり「無関心」や「外野」を決め込んでしまうんだろうな、と人の弱さを痛感しました。なんとも救いがなく虚無感に襲われる小説で、さすがは吉田先生と唸ってしまいます。
コビィ さん (女性・40代・会社員)
吉田作品のファンならばぜひ手に取ってほしい、読み応え十分の小説集だった。
本作品も吉田作品の醍醐味ともいえる登場人物の機微が手に取れるように巧妙に描かれ、時に息を潜め、時に哀れみ、時にハ
ッとさせられながら、夢中になって読み進めることができた。
5つの中編で構成された本作は決して5人の犯罪者による5つの事件簿にとどまらない。
読み進めていくうちに「業」という一文字が浮かんできたが、登場人物たちが自分の眼前で薄明りに照らされながら小道を辿
り、終着点にある暗い沼に予想通りにはまっていくのをただただ茫然と見つめさせられているような、そんな気分にさせられ
た一冊だった。
「人はどうして罪を犯すのか?」という問いがあるが、この作品集に触れると、「罪を犯す人」と「そうでない人」には境界
はなく、また一定の法則などもなく、何が罪で、どこからが罪でなのか、誰が真なる”犯罪者”であるのかを何度も考えさせられた。そして、まだその答えは出ていない。
この本を手に取る方にも、日常の合間でどっぷりと「業」に浸かっていただきたい。
トラキチ さん (男性・50代・会社員)
前作『橋を渡る』の上梓によってより幅広い作風を読者に提供してくれた作者。とりわけ犯罪小説は代表作である『悪人』や『怒り』をはじめ最も得意とする分野だと思われる。本作はその作者が満を持して放った五編からなるハイクオリティな作品集である。タイトル名はとってもシンプルで作者らしいのであるけれど、内容は予想通り一筋縄ではなくバラエティに富んでいてまるで長編を五編読んだようなボリューム感があり満腹感に溢れる読書体験を味わえた。
作者の人間の弱さをあぶり出す見事な描写は他の作家のそれとはステージが違うと感じます。出来れば全編を映像化して楽しませていただけたらと思います。一般的に白吉田作品と言われる『横道世之介』や『路』と合わせて読まれると作者の多才ぶりがより実感できると考えます。一体吉田修一はどこまで進んで行くのだろうか、今後ますます期待がかかります。
オリ人 さん (女性・40代・自営業)
誰もが陥るかもしれない
犯罪者になってしまう、そのボーダーラインは目に見えず
日常の連続にある次の一歩を踏み出した時に超えてしまっているのかもしれない。
そういう印象が強く残りました。
みさ さん (女性・20代・学生)
人はなぜ、罪を犯すのか。
その答えをこの小説に求めるならば、それは「環境」ではないか。
「何となく気味が悪いから」そんな曖昧な理由で、人はいとも簡単に誰かを疎外してしまう。自分たちが勝手に作り上げたイメージにより、誰かに期待を背負わせてしまう。そして興味がないものに対しては、とことん関心を払わない。
この小説に描かれているそうした行為の数々は、私たちがつい無意識にしがちで、だからこそ残酷な悪意に満ちている。
自分は、犯罪者を生み出す温床の一部ではないと、自信を持って言えるだろうか。この小説を読んでそんなことを思った。
ginga さん (女性・30代・会社員)
 中編集のため読みやすい。しかし読み終わった後に何とも言えない脱力感が襲う。罪を犯すか犯さないかの違いは、犯罪者本人の問題だけでは決してなくて、犯罪者本人の周りの人物が、気づかないうちに罪を犯してしまう環境を作ってしまうのではないかと思った。しかし反対に、罪を犯さまいと留まれるのは自分自身の強さだけしかない気もする。堂々巡りするばかりだけれど、そうやって人間は生きていくのかと思う。
メイプル さん (女性・40代・主婦)
初めは新聞やワイドショー番組でセンセーショナルに取り上げられる犯罪・事件。だがそれも2、3日後には新たなニュースが舞い込み、情報が上書きされ、人々の記憶から消されてしまう。しかしそんな事件は今私の隣にいる青年、すれ違った夫婦、前を行く若いカップル、見上げるビルの中にいる顔の見えない人、そんな遠いようで近い存在から生まれているんだということをそれぞれの小説を読んで感じた。
新聞記事で書かれる数行の事実の前後にある、それぞれの毎日を垣間見て…フィクションとノンフィクションの境目のない世界を読んだような気がした。
いいよ さん (女性・20代・学生)
人間の奥深くにある、抑圧された感情が何かを引き金に表にでてしまう、爆発というよりは、張っていた糸が切れてしまうような瞬間に、怖さを感じました。その引き金は傍から見ると決して大きなものではなくて、むしろ本人以外にはあまり理解のできるものではないのかもしれません。優しくされて、張っていた糸が切れ泣いてしまうのと、優しくされて保っていた自分の中の大事な糸が切れてしまう感覚は、根底では同じなのかもしれない、そんなことを思いました。優しさと哀れみは紙一重で、受け手の心の余裕やそれまでの境遇で大きく違ってしまうのかもしれないなと、ぼんやり思いました。
嫌な感覚、怖さを感じながらも、自分にはその感情が1ミリもないとは言えないような、人間誰しも似たような感覚は抱えながら生きているような気がして、居心地が悪かったです。それこそが吉田修一さんの上手さ、なのかなと感じました。
せん さん (女性・30代・会社員)
「犯罪小説集」というストレートな題名にひかれ、この作品を読みたいと思ったのは、人の心の弱さや闇をのぞいて、「私は犯罪を起こす人間ではない」と確認をして、安心したかったのだと思う。
周囲の偏見のまなざし、エゴ、間の悪さ。ささいなことが積み重なり、後に戻れなくなってしまう。
事件を起こす登場人物たちには、温かい家族や心配してくれる周囲の人々がいた。もし彼らのそばに別の誰かがいたとしても、彼らを救うことはできなかったのかもしれない。そう思うといたたまれなくなる。そして誰だっていつでも罪を犯すことは起りえるのだと思うと、ぞっとした。
shesidecafe さん (女性・30代・主婦)
5篇、それぞれの人々、、、当事者、周囲の人々、関係のないはずの人たち。。
それぞれの背景、感情、感覚に引き込まれます。
「怒り」もそうでしたが、犯人どうこう、と言うより、周りの人たちの感情に吸い込まれるような感覚になります。
このような感覚は他の小説ではあまりないので、不思議な感情で読み進められます。
犯罪と一つに言っても、それぞれの状況、環境、全く違う感情。
また、吉田修一さんの作品の中でも、九州なまりの話が特に好きで、今回もその話に特に引き込まれました。
中編集ではありますが、まるで長編かのような読み応えのある本でした。
Rogi さん (男性・30代・会社員)
今まで、吉田修一の作品はすべて読んでいるけれど、ハッピーエンドに終結する「表の」吉田修一作品と、その対極に位置する、ほとんど救いの残らない「裏の」吉田修一作品に分かれる気がしている。
その中でもこの犯罪小説集は「裏の」代表作になるくらい、救いはないし、どこかでいい方向に転がるのかな?というこちらの期待はすべて裏切られる。
それでも、ページをめくる手がやめられず、どこかでそれぞれの主人公に共感している自分がいて、びっくりする。ハイライトされているのは「裏の」側面なんだけれど、それでもそれぞれが決して「裏側」だけじゃなくて、それが人間なんだよなと思った。
そういう意味で、自分と主人公の境目がどんどんわからなくなって、ある意味とても濃厚な読書体験になった。
秋雨タヌキ さん (男性・20代・学生)
人間が罪を犯すまでに落ちぶれていく姿を描写する場面を読む度に心苦しくなりました。私は自他共に認める純粋ピュアピュア人間なので、この作品を読んでいる最中は幾度もしんどい気分に陥りました。ただ、このような場面は日常生活であまり経験しないことなので(日常的に経験したいことではないけれど)、物語を通じて追体験できたのは良かったと思います。
仮に自分が本作品中に収められた物語の当事者だったとしたら、仄暗い感情に負けておかしくなってしまうだろうな・・・。
アポロン さん (男性・40代・会社員)
犯罪小説の名手が贈るその名も犯罪小説集!
どの物語も情景描写がやけにリアルでドキドキしながらページをめくった。
人間の持ってる汚い部分、悲しみなどを見事にえぐりだし心に突き刺さる珠玉の小説集!!