フェイト/エクストラ CCC FoxTail2巻の発売を記念して、今回より不定期で本作の 著者である、たけのこ星人と「フェイト/エクストラ」のキーパーソンとの対談企画を 掲載してゆく。対談を通して1ゲーム作品のスピンオフ作品でありながら独自の展開の 見せる「FoxTail」の魅力を探ってゆきたい。

――今日は、「フェイト/エクストラCCC FoxTail」2巻の発売を記念して、 著者であるたけのこ星人さんとTYPE-MOONの武内さんに、この作品についてお話を伺いたいと思います。 今日はよろしくお願いします。


たけのこ武内
よろしくお願いします。

――「Fate/stay night」の発売から10年が経ちまして、その間にゲーム、 コミック、小説などなど関連作品が数多く発表されています。そうした中で、この作品はどういった位置付け になるのでしょうか。


たけのこ
シリーズ中の位置付けとしては漫画内ではボカしてますがぶっちゃけてしまうと、 ゲームの「フェイト/エクストラCCC」がひとつのルートだとして、マンガの方は それとは違うルート… 「FoxTail」ルートという感じですね。本編とは異なる、もうひとつのありえた「フェイト/エクストラCCC」 です。2話文の説明回をやって、最低限の設定解説はしましたので、この作品から入っても大丈夫……とは思います。

武内
まあ、調べながら読んでいただくというのも別にありだとは思うんですよ。シリーズの別作品を知っていた方が 面白くなる部分というのは、どうしたって出てきますから。

たけのこ
「フェイト/エクストラ」や「CCC」をプレイしている人たちには差異を楽しんでもらって、そうでない人たちには キャラやマンガのノリを楽しんでもらって、盛り上がってもらえればと思ってます。まあ、「フェイト/エクストラ」には ろび〜なさん(注1)のコミカライズもありますので、ゲームをやる時間がないという方はそちらをぜひ。(笑)

注1 ろび〜なさん
「フェイト/エクストラ」をコンプティークで連載していた。先日そちらの連載も終了し、新たに「フェイト/エクストラCCC」 本編の連載開始が発表された。なお「フェイト/エクストラ」最終6巻は12月10日発売。


――この企画が立ち上がった経緯について教えてください。


たけのこ
実は、単行本1、2巻のあとがきマンガである程度書いてしまっているのですが。(笑)「Fate/Prototype」のアンソロジーに参加させていただいたのが最初で……それをきっかけに、「コンプエース」さんで「Fate」シリーズの仕事をさせていただくようになりました。

――「Fate/Prototype Tribute Phantasm」収録の「恋する乙女」ですね。


たけのこ
僕は長いこと成人マンガを描いてきたんですけれど、アクションをずっとやりたかったんですね。ギャグの話なんかは思った以上にアンケートはとれていたらしいですけど、当時の編集さんからはそのあたりは作家の方向性として出来れば抑え気味にしようと言われてました。だから、今回の依頼が来た時はウキウキしながらやらせていただいて。(笑)この漫画は発売中の2巻に再録してますので、買った人は是非読んでみてください。

武内
自分がたけのこさんの作品を読んだのはあれが最初で、アクションの描ける人なんだなあというのが第一印象でした。この人すごくいいよね、是非とも何か描いて欲しいという話を編集部としていて……。

――武内さんの肝いり企画でもあったんですね。


武内
そういう部分もありました。最初は、別の作品のコミカライズの話をいただいたのですけれど、そちらは既に別の方と話を進めていました。じゃあ、どんなものをお願いしようかと考えて……キャス狐を主役にして、なおかつ既にある作品のコミカライズではなく、コミカライズから一歩踏み込んだ新しいことをやりたいという話をさせていただいたんです。これは、「フェイト/エクストラ」関係の企画につきまとってきた問題で、赤セイバーを中心に描くと、キャス狐を出せなくなってしまうんですね。エイプリルフールなんかのギャグ企画なら共演させられるんですけど、ちゃんとやろうとするとどうしても成り立たない。

――キャス狐をちゃんと主役にした物語というのを作りたいと思っていた時に、たけのこ星人さんが 現れたんですね。


武内
たけのこさんに何かしらの作品を描いてもらうという前提がまずあって、その作品において何を独自性、武器としていくのかを考えていきますと、キャス狐を中心に置くというのが良いだろうと。

――それは、たけのこさんの絵柄から?


武内
そうですね。キャス狐はやっぱりおっぱいが好きな、おっぱい星人に描いていただくべきキャラクターなので。

たけのこ
お話をいただいた時はまだ「CCC」発売前で、「フェイト/エクストラ」のキャス狐外伝という感じでしたね。

武内
企画が動き出したのは、「CCC」発売の半年くらい前でしたか。当初はそれほど大きい規模の作品とは考えていなくて、単行本1巻程度、長くても2巻程度におさまるもので考えていました。その後、奈須がキングプロテアなんかのサクラファイブ(注2)の設定を持ちこんできたタイミングで、時系列的にも「CCC」あたりの話になるので、もういっそ「CCC」の別ルートに、という話になりました。

注2 サクラファイブ
「フェイト/エクストラ CCC」初期プロットに存在していた五体からなるキャラクターユニット。パッションリップ、メルトリリスのみがゲーム本編に登場した。設定資料集「フェイト/エクストラ material」にイラストと設定が掲載されていたが……。


たけのこ
奈須さんが、その場でホワイトボード上にざっくりしたストーリー構成までやってくれまして、すごく助かりました。(笑)

武内
アニメのシリーズ構成って大事ですよね、本当。

――「FoxTail」というタイトルは、どのような経緯で決まったのでしょうか?


たけのこ
メールでやり取りをしている時に、奈須さんがテキストの中に「たけのこ星人版CCC(以下Foxと呼称)」で「CCC Fox」と書いてきたので、これでいいんじゃないかと思ったんですね。ただ、それだけでは寂しいので、もうちょっと長い言葉にしようと。「Fate」シリーズもそうですけれど、「空の境界」にもひっそりと英文タイトルがついてるじゃないですか。なので、「フォックスなになに」という英文を作ってみたんですけれど、TYPE-MOONさんから「長い」という指摘が……。

武内
ちょっとひねり過ぎでしたね、ぱっと見で、もっと強く伝わる言葉がいい。でも、フォックスだけでは弱い……いくつかの案を出すうちに、尻尾と物語(注3)をかけて、「フォックステイル」がいいだろうということになりました。

注3 尻尾と物語
英語の尻尾(Tail)と物語(Tale)は同音異義語なので、よく言葉遊びに使用される。有名どころでは、ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」第3章における、ネズミが語る「長い物語(long tale)」が「長い尻尾(long tail)」の形状にレイアウトされたタイポグラフィーが知られている。


――面白い話ですので、いずれあとがきマンガで是非に。(笑)さて「フェイト/エクストラCCC FoxTail」 の大きな特徴のひとつとして、オリジナルのサーヴァントであるセイバーの存在がありますね。


たけのこ
最初の打ち合わせの時に、武内さんから新サーヴァントを出すくらいのサプライズがあった方がちょうどいいという提案をいただきまして。僕も賛成したんですけれど、まさかそれを自分で考えることになるとは思いませんでした。(笑)

武内
たけのこ星人さんが何をやりたいかというのを全部出していただいて、その上でこちらからどうしたい、という話を提案させていただこうというのが、奈須の方針だったんです。

――TYPE-MOON側から、サーヴァントチョイスについて何かしらのリクエストはあったのでしょうか。


武内
キャス狐を中心にするという話から始まったので、今回は「倭のエクストラ」をやろうというコンセプトがありました。キャス狐をきちんと描くために、その対になるキャラクターが欲しい。キャス狐は日本の英霊なので、もうひとりも日本の英霊にするというのが妥当だと考えました。そういう理由から、日本の英霊でキャス狐に合う人を、とお願いしました。

たけのこ
ただ、僕にはその方面についての知識が全くなかったんですね。ならば人に聞こう! ということで、何人かの知り合いに「日本で、女性で、良さそうな英雄いる?」と聞いたんです。色々と候補を挙げてもらって、自分でも調べてみたんですね。そうした中に、実に「Fate」向けの英雄が見つかりまして、設定を練ってみました。このあたりのより詳しい経緯を、2巻の巻末オマケ漫画で描いてます。(笑)

――ここに、たけのこさんが最初に描かれたラフ画がありますが、この段階ではいかにも日本の英霊っぽい デザインですね。


たけのこ
人選を済ませて、描き起こしてみたんですけれど、どうもしっくりこなかったんですね。自分の好みではあるのだけど、このキャラクターがキャス狐や凛といった、他のキャラクターたちと並んでいるところを想像すると……全然、馴染んでいないなあと。とりあえず、マンガで動かしてみて、出たとこ勝負でいくしかないと考えながら提出してみましたら、武内さんから「ネタがあるんでデザイン考えてみていい?」というお話がありましたんで、もう願ったりかなったりでした。

――武内さんが、スピンアウトのコミック企画向けに、自らサーヴァントのデザインを描き起こされる のは珍しいですね。


武内
「フェイト/エクストラ」ではやっていますので、その流れに沿った作り方を「FoxTail」でも踏襲しているとは言えますね。これは奈須の言葉なんですけれど、新いことを始める時に、何もかもが新しいと旧来のファンが入り込みにくいというのがあるんですね。だから、多少、原作サイドの方で監修をして、「Fate」らしさというのを入れ込んでいった方がいいと。

――それが、このJKセイバーに。(笑)


武内
実は、最初にお話しをしていた時からもう、「キャス狐の対にするなら、女子高生みたいなキャラクターがいいんじゃないか」って考えてまして。

――耳と尻尾があるのも、対になるということを意識してのデザインだったということですか。


武内
そうなりますね。

たけのこ
僕もこのデザインを拝見した時、すごくいいんだけど、この耳にはどういう意図があるのか、武内さんに確認しました。意図があるのだったら反映しますし、意図がなかったらこちらで考えてみますと話した覚えがあります。

武内
「鉄腕アトム」でいうところの、アトムとアトラス(注4)ですね。すごく似ているんだけど、全く正反対だというのが対として成立するだろうという予感がありました。髪の毛は同じなのだけれど、服の色が違う。「Fate/stay night」で言うと、それこそアーチャーとランサーみたいな、どこか似ていて、だけど大きく、はっきりと対立する要素が入っているというのが、対になるキャラクターの記号としてはまとまるんですね。それで、たけのこ星人さんのデザインをある程度引き継ぎつつ、こういう形に落とし込ませていただきました。

注4 アトムとアトラス
アトラスは「鉄腕アトム」に登場するロボット。アトムのライバルともいうべき存在で、1980年制作のTVアニメ第2作では 同じ設計図から作られた兄弟ロボットという設定になっていた。


たけのこ
そういえば、最初はもうちょっと優しげな、アルクェイドっぽいデザインでしたよね。

武内
もっと顔をきつくして欲しいという、奈須からのリクエストがあったんですよ。

たけのこ
でも本当、助かったんですよ。最初に考えていたストーリーは全然別物だったんですけど今ひとつ馴染めなくて、もうひとつネタがあると嬉しいと思ってました。もともと、テンション高いはっちゃけキャラを描くのが好きなんですけど、「CCC」にはもう赤ランサーがいるじゃないですか。そしたらJKという単語が出てきたので「JKを免罪符にテンションが高いキャラに出来るな」と!

武内
「Fate」のサーヴァントの特徴として、英雄をベースにしつつ、どれだけそのあと面白いものと組み合わせられるか……というのがあります。僕らがずっと好きだった要素をどういう風に乗っけるか。たとえばアーチャーやランサーには少年マンガ的な要素を乗っけてああいう形になっています。普通のやり方ですと、たけのこさんが最初に描かれたデザインになるんですけれど、さらにひとつ飛ばして「Fate」っぽくすると……JKなんですよ。(笑)

たけのこ
もう、鞄まで持っていて最高ですよね。時々描き忘れちゃっていて、単行本で描き足してます。(笑) さっきお話の出た耳の整合性についても、JKといえばファッション大好き、そして気にいったファッションを見かけたので真似てみた、という流れなら自然かなという設定でまとめてしました。

武内
キャスターのための物語でありつつ、JKセイバーの存在はキャスター物語を成立させるためのいちばん重要なところと思っています。まあ、その後に奈須があれこれつっこんできて、他の部分も目立ってきましたけど。(笑)

――オリジナルキャラクター以外にも当然ながら「フェイト/エクストラ」のキャラクターが 何人も登場しています。たけのこ星人さんが何かしら気をつけられていることはありますか?


たけのこ
青年向けの絵柄と期待されている、とのことですので、普段の絵よりも頭身を少し高め、目を小さめを一応意識しています。単行本1巻収録の「フェイト/エクストラ CCC TRIAL」はまだそういうことを気にしていなかったので、恐らく自分の本来の絵柄に近いですね。僕は、自分の絵柄には個性があまりないと感じているんですけれど、それでもやっぱり僕が描いている以上、僕の絵柄にはなってしまうんですね。あまりそうなりすぎないように、いつもワダアルコさんの絵を並べて描いています。

――時々、原作ゲームを意識した構図の絵もありますよね。


たけのこ
1巻収録のチャプター2の扉では、赤セイバーがえびぞってる絵に対応する構図でキャス狐を描いてみたり、「コンプエース」の方では「CCC」の通常パッケージのキャス狐版みたいなのを描いてみたり。ゲームのアナザールートですので、僕としてはできるだけオフィシャル感を大事にしたい、少しでもワダアルコさんの空気が入るといいなと。見ている人がどう思うかは別に、あくまでも僕としてはそうした要素を絵に落とし込めればと思っています。

――凝り性でいらっしゃる。(笑)


たけのこ
あと、集合絵を描く感じとかTYPE-MOON作品っぽい感じでとか。元々自分でも好きなんですけれど。実は僕、武内さんの絵を見てシンパシーをずっと勝手に感じてたんですよ。じつは僕が、ちゃんと目鼻耳の揃った人間を描き始めたのは、冨樫義博さんの「幽☆遊☆白書」の模写からなんです。で、「Fate/stay night」を初めてやった時に、武内さんは絶対にマンガ畑の人で、冨樫さんの影響を受けてるって思ってました。後になって、「幽☆遊☆白書」が好きだという話を何かで読んで「ほらやっぱり!」って。

武内
「幽☆遊☆白書」、模写しましたねえ。

たけのこ
武内さんとそのお話をした時に、好きなキャラ聞かれて、返せなかったことが僕の中でずっと心のしこりとして残ってますよ。(笑) 作品全体が好きなんだけど、特定のキャラになると……まあ、玄海とか好きですけど。とにかく、勝手に起源が似てるって思ってまして、アクションシーンを描いている時とか、「武内さんはこれで満足してくれるのかなあ」とドキドキしながら描いてます。

武内
なるほどねえ。「Fate/Prototype」のアンソロを読んだ時に、この人のマンガ力は高いな、俺はこういうマンガ好きだなあと、印象に残ったんですよ。それはつまり、自分の好みだったということなんですね。(笑)

たけのこ
ジャンプ世代なので、あの雑誌のマンガのフォーマットが僕の底のほうにしみついているのは間違いないと思います。

――そんな武内さんの、お気に入りのシーンを教えてください。


武内
1巻Chapter1のキングプロテアの表現はかなりぞっとしましたね。「CCC」本編に未登場なので、見たことないじゃないですか。「やっぱこうだよ、こうこなくちゃねー」っと、久しぶりに興奮しました。後はまあ、2巻に入っているキャス狐の朝チュンシーンですか。(笑) こういう、フェチっぽいというか強烈な印象のコマとうのが時々あって、たけのこさんの描くそういうシーンが好きだったりします。

たけのこ
それなんですけれど……先ほどおっぱい星人だというお話をいただいたんですけれど、実は最近、おっぱいに対する愛情がなくなってきまして……。

武内
え? それはどういう?

たけのこ
成人マンガから離れれば離れるほど、自分の中から成人マンガ的な要素が減ってきたというか……キャス狐を描いても、おっぱいにあまり愛情を注がないようになっていることに最近気付いたんですよ。Chanpter1で、桜が倒れているシーンがあるじゃないですか。

――パンツ丸出しのすんごいシーンですね。


たけのこ
これ、編集さんから「桜のエロいシーンをいれましょう!」というリクエストがありまして、自分なりにエロく描くぞーと思ってやったんですね。ちょっと抑え過ぎたかな、でもこんなもんかなーと思ってたら、奈須さんの方から「桜の生パン……!まさかの不意打ちでビックリ」という思っていたより大きな反応が返ってきて……自分の感覚と真逆だったので、すごくびっくりしたんですね。成人マンガとそうでないマンガのラインの違いを把握していなかったんだなと。それで、意識的にエロい要素を抑えはじめたんですけど……。

武内
そこはちょっと誤解があるかな。エロいのがいけないんじゃなくて、露骨すぎるとギャグに見えちゃうんですよ。

たけのこ
成人マンガ家って、一般向けマンガをやるときにエロい要素を期待されることが多いと思うんですけれど、正味のところ自分はエロを描くのって得意ではないんです。もう少し正確に言うとエロいマンガに面白いことを付け足すというのは楽しくやれるんですけど、面白いマンガにエロい要素を付け足すのって自分はなかなか上手く出来なくて。で、そういうところが減っていった結果、自分の中からおっぱいへの愛情が消えてしまって……キャス狐のおっぱいを期待した読者の方が、「思ったよりおっぱいしていないなー」と思われたとしたら、すごく申し訳ないことをしたと、すごく反省したんです。それで、もうちょっとおっぱい出そうかなーと思ってキャス狐の朝チュンを描いていたら、まさにそのタイミングで武内さんから「もうちょっとエロくしたほうが、いいんじゃない?」というお言葉をいただいて「この人に見透かされてる! 流石だ!」って思いました。(笑)

武内
あのシーンを見る前、打ち合わせで「本来の武器を使っていないんじゃないか」と指摘したんですよね。大暮維人さんとか、ものすごいアクションとおっぱいが共存しているマンガ家さんっているじゃないですか。たけのこ星人さんはそこを目指した方がいいんじゃないかと。

たけのこ
うまいですよね、大暮維人さん。あと、「プリズマ☆イリヤ」のひろやまひろしさんも。

武内
「プリズマ☆イリヤ」がどうして受けているかといったら、アクションとギャグとエロじゃないですか。(笑)

たけのこ
自分では器用なほうの作家だと思っていたんですけど、実はそうでないことに最近気付いてしまって。キャス狐の服装っておっぱいが結構見えてて、すごくキャッチーなんですけれど、そのキャッチーさを自分が活かしきれていないことに最近気付いて……もうちょっとちゃんとやらないといけないなと。

武内
あーでも、それ伝わるわ。ものすごく印象に残ったんですよね、あの朝チュンシーン。可愛いなあって。何でこんなに可愛いのかなあ……たしかに髪型も違うというのもあるんですけど、やっぱり愛がこもってたからですよ。(しみじみと)でも、あれですよね。おっぱいって……深いですよねえ。

たけのこ
いきなり何を言いだされたんですか。(笑)

武内
こう、黄金の比率みたいなのがあるじゃないですか。

たけのこ
武内さんは割と、二次元のキャラクターとしては小さめの、現実感溢れるサイズのおっぱいを描かれますよね。

武内
なるほど……。(考え込む)

たけのこ
あれ? あまり自覚されてはいない?

武内
そうですね……あまりおっきいおっぱいを描くのが得意じゃないといいますか。バランスがよくて、すごくおっきくて綺麗なおっぱいを描くのは難しい。

たけのこ
むやみに大きくなったり、胴が長くなっちゃったりしますよね。

武内
それは、そういうものがものすごく、本当に好きな人が目指せるバランスだと思うんですよ。自分は割と、バランスの整ったものが好きなんです。自分の絵の中でいちばんいいくらいのバランスの大きさというと、五次ライダーくらいが限界で、それ以上の巨乳というと……パッションリップは、自分には描けないです。

たけのこ
武内さんのパッションリップ、見てみたいですけどね。(笑)

武内
いやあ、難しいですよ。ただの肉の塊としては描けると思うんですけど、自分自身が美しいと思えるおっぱいとして描けるかというと……。

――漫画内でのパッションリップはどうでしたか?


武内
生々しさがずいぶん増えましたよね。(笑)

たけのこ
そこは露骨に自分の成人マンガ家としての部分が出ていますね。これだけおっぱいが大きいと、無視できないんですよ。力を入れて描かなければいけないと……ウキウキしながら描きました。当然、おっぱい好きな人に言わせるとまだまだだと言われてしまうと思いますが。本当、いろんな人やキャラクターの顔と同じようなもので、何を美しいと思うのかがすごく出るのと、形としてもそうなんですけれど、胸の表現ってアプローチの方法がすごくいっぱいあるんですね。

――武内さん的に、おっぱいが絶品だと思っておられるマンガ家さんはどなたになりますか?


武内
すごく尊敬している人がいるんですけれど……内緒です。

たけのこ
ええっ、知りたいなあ!

武内
そんな、何でもかんでも話すわけねえだろ。(笑)自分だけの大切なものってのは、誰にでもあるんですよ。

――たけのこさんはいかがでしょう?


たけのこ
おっぱいかー。友達の成人作家さんたちにはおっぱい好きが大勢いて、そこの情熱には絶対たどりつけないなっていうのがあるんですよね。基本的には、僕よりもうまい人たちはみんな好きで、好き以上に参考にしちゃう。「たけのこさん、もっとぷにぷにした肉とか描いたほうがいいんじゃないですか」とか知り合いの作家さんに言われて、「たしかになー」とは思ってはいます。まだまだ出来ていませんが。

武内
たけのこさんはすごく真面目な作家さんなので、考え過ぎているんですよ。脳を使いすぎて性欲が減っちゃっているのかも。

たけのこ
頭でこねくりまわして考えてしまうタチで、それは長所でもあるけれど短所でもあるとは思います。今もキャス狐を動かすにあたって、もっともっと動かせるはずというのが僕の中にあるんです。なので、いちいち考えてしまうんです。ギャグが足りないかなと思ってギャグを付け足して、シリアスになった方がいいと思ってシリアスを付け足す。そんな風に頭で考えて動かしているところがあるんですけれど、キャス狐はもっともっとポテンシャルがあるキャラクターだと思うんです。そこをもうちょっときちんと出せたらいいなーと思いますね。

武内
キャラクターを深く愛して描くタイプの作家と、物語の重力を大事にして書く作家がいるんですよ。例えて言うと奈須きのこが前者で、虚淵さんが後者。虚淵さんは冷徹な世界を描けるし、奈須きのこの作品には感動できる。まあ、こういうお話も聞けましたので、たけのこさんにはもっとこう、アクションをしっかりと描きつつ、自分の中のリビドーみたいなものを見せてくれるといいなあと思ってます。

たけのこ
「フェイト/エクストラ」のコミカライズされていた、ろび〜なさんは、赤セイバーをいかにかわいく描くかというところに注力されていて、そこが素晴らしいなと思っています。僕もパッションリップのおっぱいはウキウキと描けましたので、頑張ってみます。

――まさかのおっぱい談義からいいお話っぽくなってきましたところで(一同笑)、最後に武内さんから この作品についての感想と期待を語っていただければと思います。


武内
たけのこさんも仰っていたように、オフィシャル感をとても大切にしてくれているというのを確かに感じるのだけど、自分としては大切にしすぎじゃないかなとも思えるところがありますね。

たけのこ
「Fate」の新しい作品をやる時は、必ずその作家さんなりの新しいことをやって欲しいということを武内さんがよく仰っていますが、確かに自分はその真逆にいってるかも、とは思いました。

武内
真逆ということはないと思いますよ。真面目に話を作り過ぎて、ちょっと助走が長いかなというところは感じていますけれど。(笑)

たけのこ
そこは、自分でも思ってます。(汗)

武内
自分としては、やっぱりたけのこ星人のマンガであるし、この人でないと描けないマンガになるといいなあと期待しています。ようやく動きだした物語で、「フェイト/エクストラCCC Foxtail」でしかできない、新しい物語と新しい結末を楽しみにしています。

聞き手・構成:森瀬 繚(ライター/作家)