内容紹介

あらすじ

江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。
通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。
なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。
それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。
何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――。

姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回りの娘・お夏。
七年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに我が子を捜し続ける夫婦。

行方知れずとなった親友かつ義兄を捜しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……。

心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よく、人を幸せにするものばかりとは限らなくて……。

洒脱な人形語りで江戸の事件を解き明かし、
市井に生きる人々の悲喜こもごもを描き出す、新たな畠中ワールド!!

登場人物

お華/月草

お華

木偶の姫様人形。真の井戸から引き上げた水を固めたような玉二つ。それがお華の眼になった――という由緒をもち、真実を語ると噂されている。江戸両国の見世物小屋で、芸人月草の話芸の相方として、人気を摑む。身丈は四尺六寸強(140㎝前後)。

金銀の刺繍がほどこされた着物をまとい、華やかな簪を挿した美しい外見とはうらはらに、愛想は良いが、口が悪い。ただその毒舌ぶりもまた堪らないと、“お華追い”と呼ばれる追っかけ集団も生まれている。

月草

お華を操り、口を動かさずに喋るという話芸を披露して、両国で話題となっている人形遣い。大人しく控えめな面立ちのせいで、舞台での存在感は薄いが、元は腕利きの人形師だった過去をもつ。ある事件を機に身を損ねて芸人に鞍替えし、江戸に流れ着く。

お夏

両国では知られた地回りの頭、山越の娘で13歳。姉の死に不審を感じ、その真相をお華に尋ねるべく、父親と月草の見世物小屋を訪れた。それをきっかけに月草とお華とも、すっかり仲良しになり、お華の謎解きにも一役買うようになる。

お夏

書籍情報

まことの華姫/著:畠中 恵

まことの華姫

著:畠中 恵

2016年9月28日(水)発売
※地域によって発売日が前後する場合があります。
ISBN 978-4-04-104643-2-C0093
定価:本体1,400円+税 四六判仮フランス装

初出:
「まことの華姫」2015年10月号、「十人いた」2016年1月号、
「西国からの客」2015年11月号、「夢買い」2015年12月号、
「昔から来た死」2016年2月号
※すべて「小説 野性時代」

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推薦コメント

絶賛の声、続々!

  • 人形は嘘がつけない。人間が口にできないことも、人形なら言うことができる。お華が「真実を語る」、というのはきっとそういうことだ。文楽の人形遣い 桐竹勘十郎氏、推薦!
  • 無限の物語を秘めた月草と華姫、お夏の造形は出色の出来。本家がえりをしながら、全く新しい衣装を着せることに工夫を凝らした意欲作!文芸評論家 菊池仁氏、太鼓判!
  • 丹念な考証で両国の実情を浮かびあがらせ、江戸情緒が満喫できる作品。謎解きのスリルと心温まる人情が見事に結び付いており、月草とお華の活躍はすべての読者に希望を与えてくれるだろう。文芸評論家 末國善己氏、瞠目!
読者モニターの感想

精文館書店中島新町店 久田かおりさん

畠中恵さんの『まことの華姫』、拝読しました。とても面白かったです。
辛い過去から逃れようと両国に流れ着いた人形遣い月草と、姫様人形お華のコンビの元に舞い込む市井の事件。
直接かかわらずに「真実」を見通してしまうお華の目。私も見てみたいです。木偶人形がいきいきと語る様を、そしてその目を通して見てもらいたい、心に秘めた謎のまことを(いや、ないですけどね)
親分もお夏もとても人情味あふれてて、読んでてとても気持ちが良かったです。シリーズ化希望です!

KETさん(30代・男性)

とても面白かったです。
時代小説ですが、時代小説をあまり読んだことがない人でも楽しめると思います。 主人公のお華がものすごく魅力的でした!

とんとんさん(50代・女性)

華姫と月草とお夏ちゃんの3人の謎解きは、魅力いっぱいでした。
しゃばけシリーズが好きなので、お華が実は妖で、本性をいつか現すのでは…そしてお夏ちゃんをその内側に取り込んでしまうかもしれない…なんて用心していました。ところが実際は、真実に迫ろうと謎解きをする。そんな華姫のために、わたしも月草を応援したのでした。

マルちゃんさん(50代・女性)

花のお江戸の見世物小屋を舞台にしたものですが、今までにない設定やあらすじに魅力されました。まさか、江戸に腹話術師がいるなんて思いもよらないですし、人形は文楽に使われるような姫人形で、しかも真実しか話さない。自分だったらどうするだろうと感じました。相談したい気持ちはありますが、語られた言葉を全部自分の中に受け入れることができるかどうか、自信が今のところないので、おそらく無理でしょう。この後の"お夏"の成長がどうなるのかも気になります。素敵な女性になってほしいなと思います。

わきたさん(30代・女性)

真実を知る事が、必ずしも幸せとは限らない。何故なら、どこかに光が当てれば、同時に影が生まれる。それが畠中さんの描く、“まこと”の世界なのかなと思いました。
――と言いつつも、プロローグとエピローグを結ぶあたたかな語りや、賑やかにお江戸の町を走り回る個性豊かな登場人物達が読後感を晴れやかに満たしてくれる、そんな畠中さんの世界はやっぱり素敵です。先生の新しいお江戸の物語が始まり、わくわくしています。まだまだ、お華の語っていないまことがあると思うので、楽しみに待っています!

あずさん(20代・女性)

誰もが知りたい"何か"をかかえていて、それを答えてもらえるなら…と、華姫を前にすると期待してしまうのだと思います。そういった人間の欲の部分だけに注目すると汚くも見えてしまいますが、周りを取り巻く人たちの優しさや思いやりが感じられたので、読みながら一緒になって悩みたくなりました。まことを知りたいという人間の業に関わる話でもありますが、登場人物のおかげでほっこりしました。

いうっちさん(40代・女性)

読み始めて、一瞬で本の中に入り込んでしまった気分でした。月草と華姫のもとにきた謎は、すべてがハッピーエンドになるわけではないけれど、次へと進む力になっている。知りたかった「まこと」、知りたくなかった「まこと」も一旦は受け入れていく登場人物たちに人間の強さを感じました。少し気弱そうな月草なのに、華姫からは大胆なセリフも簡単に出てくるところが面白い。聡明でまっすぐで人間的な魅力を感じさせる華姫が好きです。

ユウハルさん(40代・女性)

どの話も人情味にあふれる人々の生活を思い浮かべて物語の中へ入り込んでしまいました。華姫の、人形であることを忘れてしまいそうになる描写もさることながら、月草の存在感のなさには笑ってしまいます。各話の謎について犯人が分かって終わりではなく、いろいろな立場の人々とのことを考えた解決法に、江戸の人々の人情・優しさを感じました。月草・お華を見守る(?)お夏っちゃんの成長をもっともっと読んでみたいと思いました。シリーズ化希望です!

桐生景一さん(30代・男性)

読んでいて昔読んでいた漫画、『人形草紙あやつり左近』を思い出してた。
まことの眼を持つというお華に持ち込まれる依頼に困らされている月草。
お華が見通すというよりは、その周りの人間の動きで物事が解決されていくような感じではあったから、度々困らされている月草が可哀想にもなった。お華追いは地下アイドルのおっかけみたいだねw。

桜子さん(50代・女性)

お華は占い師ではないから未来を予言するわけでもないけど、月草の小屋は人生相談みたいだなと思いました。私も家庭のもめごとの悩みをお華ちゃんに打ち明けて、エイッと背中を押してほしいです。真実を誰かに教えてもらえば楽でいいけれど、お華が厳しい事も言うのは、自分で乗り越えるために力を貸しているのだと思います。
ラストでは、過去を背負った月草やお客さんたちが、流れ者の集まる江戸の人たちに支えられ、これからお華とともに暮らしていくんだな、と希望のようなものを感じました。

Casamiraさん(40代・女性)

一話一話、読み進むうちに畠中ワールドにどっぷりつかってしまい、読み終わってしまうのが残念なほどおもしろかったです! 姫人形のお華がまたとても魅力的。月草が操る華姫。人形なのに、人のような心を宿しているように人々には感じ、愛嬌のあるしぐさに人々は心がときめき♪「華追い」の気持ち解ります。また、この月草が操る華姫の「まことの言葉を話す」という噂によって持ち込まれる難題を通して、江戸・両国で生きる市井の人々の姿が印象深い。ユーモアたっぷりに描かれる一方で、人間の悲哀や切なさ、同時に、それらから生まれるさりげないやさしさなどに、じんわり。こういう表現があるから、読後にほっこりしてしまうのかなぁ~♪ あと江戸時代は火事が、現在よりもとても甚大な災害となっていたことを改めて知った。江戸時代の火事って怖いですね。。

てけてけさん(20代・女性)

まず、斬新な人物設定にやられました。守られるヒロインよりも、自分から何かを発信するヒロインのほうが好きなので、主人公のお華が、毒舌を交えながらもあっけらかんとした話し口調で、肝っ玉もすわっていそうなところが大好きです。それでいて自然と物語に溶け込んでいる感じが素敵です。「まことの華姫」というタイトル通り、真実を語る人形として知られるようになったお華が、現実味のある謎解きを繰り広げるのはギャップがあって面白かったです。人間が解くよりも真実味や説得力が増している様に思えるのも、月草の話術によるのだろうな。「自分に都合のいい真実」は知りたいけれど、「ありのままの真実」を知るのは嫌だと感じる人が多いと思うので、月草のセリフには共感しました。個人的には、月草の過去についての「昔から来た死」が1番好きでした。社会の仄暗い部分や人の習性について描きながらも、非現実的な主人公と現実的な謎解きの絶妙なバランスを楽しめる一冊でした。

プリンさん(40代・女性)

登場人物それぞれが魅力的で読んでいて楽しい。特に人形であるはずのお華が抜群の存在感で、愛嬌があって可愛らしい。『まことを語る人形』を実現するための仕掛けや超常現象は存在しないのに、するすると『まこと』が露呈していく不自然さのない巧妙な構成が見事。それぞれの短編を通して月草の過去を浮かび上がらせていく手腕にも唸る。続編があるのならまたお華に会いたいと思った。畠中先生の作品を初めて拝読しましたが、世間の世知辛さを描きながらも、心温まる人と人との交わりがとても良かったです。

官庁エコノミストさん(50代・男性)

非常に単純な構成と文体で好感が持てる。妖が出て来ずに人間だけで謎を解くという意味で、まんまことのシリーズに近いが、ただ、謎解きの方法論としては、若い男性が駆けまわって情報収集するのではなく、いわゆる安楽椅子探偵に近い。本書のタイトルと同じタイトルの短編第1話「まことの華姫」の謎解きは、ケメルマンの「9マイルは遠すぎる」のような味わいがある。

ピコさん(40代・女性)

奔放なお華と、穏やかな月草がいいコンビだと思いました。真実を知りたいと思いながら、自分に都合のいいことを真実だと思いたい、人のそんな気持ちがよく出ていたと思いま す。ミステリとしても、まとまっていました。

劇団4人さん(30代・男性)

誰にも言えない悩みをそーっと、誰にも気づかれずにお華に相談したくなる。そんな気分になりました。

しずくさん(40代・女性)

月草とまことの華姫そしてお夏、この3人の距離が徐々に縮んでいく様が面白かった。
そして誰もが悩みがあると真実を聞きたくなってしまう。どんなに辛い答えであっても知りたいと思ってしまうのが人というものなのかもしれない。月草が腹話術をするお華にぜひ会ってみたくなりました。まるで本当に人形が生きている人のように話すところを!「まことの華姫」是非シリーズ化してほしい。月草がこの後どうなっていくのか見てみたい。

くぼちゃん(50代・女性)

畠中ワールド全開という感じでとても楽しめました。
江戸の情緒あふれる風情の中で巻き起こる騒動を、時に笑い、時に涙を誘いながら人形がおさめて行くところも斬新でよかったです。 “真の井戸“のエピソードの、真実とは必ずしも喜ばれるものではないということがちょっと切なくて、考えさせられました。ぜひ、華姫にお目にかかりたいと思いました。裕福ではありながら、家族との葛藤に揺れ動くお夏の乙女心も切なく、これからお夏の月草への心情が、思春期の中でどう揺れ動いて行くのか楽しみです。

BLACK SIRENさん(30代・男性)

見世物小屋にある真実を語るという人形を目当てに、多くの人が訪れるというシチュエーションは、謎が向こうからやってくるという点で非常に合理的な設定だと思えました。もちろん、本当に人形に異能の力があるわけでもなし、謎も超常現象であるわけでもなし、どちらも人の意思によってなされていくのですが、謎解きをしていく過程そのものに惹きこまれていき、そこから見えてくる江戸の人々の情を楽しむことができました。ヒロインとなるお夏、人形遣いの月草の心に突き刺さった大きな棘を抜くことができて、万事めでたしという爽快感はあるけれども、続きが読みたいという名残惜しさもありました。

とりさん(20代・女性)

人間よりも人間らしく描写された華姫の、なんと小粋なことか。
確かにそこでは人間劇が繰り広げられているのに、その渦中にいる華姫が最も人間らしく、冷静にころころと楽しみ、笑ってさえいることが不思議でした。まことの華姫、読み手すら魅了するとは、なんともにくい愛らしさです。はじめて畠中先生の作品を読みましたが、なるほど、小気味良いリズム感と時代小説なのに違和感のない言い回しはなんとも言えぬ楽しさがありました。これからも拝読したいと思います。

八坂さん(10代・女性)

まず、世界観の描写が素晴らしい。目の前にあるのは紙に印字された白黒だけなのに、一面に両国の見世物小屋が広がり華姫に手招きされているような景色が浮かび上がる。登場人物も多彩で、両国を舞台に、人々の生き生きした暮らしぶりが存分に楽しめる。
また、華姫の語りも大変面白い。人形に喋らせているとは思えないほど機転が利いていて、生身の人間との掛け合わせも快活である。特に、お夏ちゃんと会話しているときは、華姫がお姉さんみたいで本当に微笑ましい。ついうっかり月草の存在が霞みかねないのも仕方なく思えてしまう。
江戸時代には、今よりも物の怪の存在が信じられていたからかもしれないが、華姫の存在はリアルである。華姫に”まこと”を求める人がそれぞれに”まこと”を見つけようとして葛藤する様に、読んでいるわたしも共に一喜一憂した。読んでいるうちにとても他人事とは思えなくて……。それでも、華姫が語るのは”まこと”ではなく、まことの井戸から出た玉を通して見た客観的な物事なのだろうと思う。人は大切な何かを思う時、そのあまりに偏った見方をしてしまいがちである。月草が華姫を通して(?)客観的に語ることで、人はちょっと冷静になれるのだと思う。それは、人形の言葉だとわかっているからこそ、より一層救われるものがあるのかもしれない。
成長したお夏ちゃんが見てみたいし、まだまだ華姫の語りも聞いていたい。月草のこれからも気になります。是非続編を!!

オルペウスさん(40代・男性)

新たな畠中ワールドの誕生!!
ほろ苦く、ちょっと切ないまことのはなし。
著者初の女性ヒロインに夢中になりました。満足度120%!!

ゆずさん(20代・女性)

木偶人形・お華が動いたり話したりする姿の描写が繊細で本当に生きている様に感じました。自身のことは多く語らない芸人の月草も謎に包まれた存在でしたが、辛い事から目を背けずに向き合う姿が素敵だなと思いました。各物語を通して、人は真実を知る事を望みますが、真実を知る事が自身にとって良い結果を招くだけではないと思いました。しかし、真実を知ることでより相手の事を理解したいという強い思いが伝わってきました。涙あり笑いありの心温まるお話でした。

neo999xさん(40代・男性)

日頃、歴史小説を含めて過去の時代を舞台にした作品を手にしないせいか、興味深く読むことができた。月草という腹話術師がしゃべっている設定であるのに、読んでいる者にあたかも木偶人形の「お華」が喋っているかのごとく想像させられる場面が多々あった。

Aliceさん(40代・女性)

畠中さんの作品はいくつか読んでいますが、妖が登場するものなども多いので、てっきり華姫が本当に不思議な力を持っているのかと思って読み始めました。ところが、華姫に不思議な力があるのではなく、結局は人の手で問題を解決していくというのが新鮮でした。この時代の熱みたいなものが感じられて、一気に読み終えました。

秋雨タヌキ(20代・男性)

各々異なる事情を抱えた人々によって織り成される5つの物語もそれぞれ味が異なっていて楽しめたし、各物語を通じて江戸時代の盛り場の雰囲気をも味わうことができました。
(この作品を読んでから日本史の教科書を開いて読み返してしまったほどです。)
最も好きな登場人物は「お華追い」です。現代におけるアイドルオタクに通じるものを感じ、親近感が湧いてしまったからです。彼らのように夢中になって追いかけ回してしまうような何かに出会いたいとつくづく思います。平成時代のお華ちゃんに会いたくなりました(いるかわからないけれど)。

さりーぬさん(10代・女性)

畠中先生の作り出す独特な世界観にどんどん引き込まれました! 本当はお華ちゃんは人形なんかじゃなくて本当に生きてるんじゃないの?と思ってしまうほどお華ちゃんがとても愛らしく感じました。また、お華ちゃんの声の主は月草なのに、月草とお華ちゃんの掛け合いが本当の会話みたいでとても面白かったです。こんなに楽しい推理小説は久しぶりでした!是非アニメ化や漫画化して欲しいです。

こんぱるさん(50代・女性)

大正時代を描いた「アイスクリン」の物語もそうですが、先生の本は今度は何を題材にしたのだろうととても気になり手に取らずにいはいられません。目の付け所が本当に素晴ら しいと思って読ませていただいています。
『あの時、本当はどうだったのだろう』『なぜこんなことになってしまったのだろう』――
人は誰でもそう思うことは沢山あると思います。そしてその答えを、真実を、語ってくれるというのなら「聞いてみたい」そう思わずにはいられないでしょう。この物語はそんな願いを持ってしまった人が、藁にもすがる思いで来てしまう両国の見世物小屋が舞台です。金銀の刺繍をした着物を着て華やかなかんざしを挿した美しい姫様人形。大人三人で扱う文楽の人形と比べても少し大振りなその人形の目は、真(まこと)の井戸から出てきたものだというから興味津々。今でいう腹話術でお華を操る芸人の月草も過去のある身で気になる存在。芸人とその小屋を取り仕切る山越親分とその娘お夏。今日はどんな問題が持ち込まれるのやら。と、楽しくも悲しいけれど人情味あふれる物語たちでした。

こんぱるさん(50代・女性)

凄く面白かった!最初、表紙の段階では舞台が江戸のミステリー? 日常の謎? と思ったが、そんな一言では片付けられない! 事件を解決といっても、明確な探偵役がいるわけではなく、皆で知恵を出し合って真実にたどり着いていく。お華も間違いなく主要登場人物の一人なのだが、決して彼女の『まこと』頼みで物語が進んでいくわけではない。でも彼女がいなかったら月草は動かない。物語は進まない。そこが面白い。
これまで、「時代小説で難しいのかな?」と勝手なイメージを抱いていたので(すみません!) 畠中さんの作品は初めてでしたが、とっても読みやすく、面白く、ぐんぐん読めました。何度も読み返したい物語であり、月草、お華、お夏と山越の今後をもっと読みたいと思いました。

お華ちゃんの両国案内

資料画像

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両国は、浅草と一、二を争うほどの賑わいをみせた江戸随一の盛り場だったの。明暦の大火(1657年)をきっかけに両国橋が架かると、橋の両側に火除地として広小路が設けられたのが始まりね。私と月草の見世物小屋も、その両国橋の西詰に建てられた、ってわけ。作中で描かれているように、髪結床や水茶屋といった床見世のほかに、棒手振りや屋台の露店商などが立ち並んで、その賑やかなことといったら、もう!江戸はとにかく火事が多いし、広小路は火除地だから、どのお店も常設じゃなくって、私たちの小屋みたいに酒薦張りで、仮設営業のみ許可されていたのよ。ほかには軽業や手品、浄瑠璃、講談などの見世物小屋もあって、両国一帯は様々な商人の売り声で賑わってたわ。夏になれば、川開きとともに花火が打ち上げられて、夕涼みや船遊びなどの納涼地としても、多くの人々が訪れたの。葛飾北斎が描いた当時の浮世絵には、その活況がいきいきと描かれて、まるで見物人がひしめき合う喧噪が聞こえてくるようでしょう?本当にワクワクする場所だったのよ。

直筆メッセージ

お華といっしょに両国へ。畠中恵

著者プロフィール

畠中 恵(はたけなか・めぐみ)

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年、『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の絶大な支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ貸します』『つくもがみ、遊ぼうよ』『ゆめつげ』『まんまこと』『ちょちょら』『けさくしゃ』『うずら大名』『明治・金色キタン』『若様とロマン』などがある。

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